レセプトの電算請求に関して

本田整形外科クリニック、本田忠ver2000/11/18


 基本的には推進でいくべきと思います。ただし前提条件は多々あります。

1)レセコンの普及率がまだ100%ではない

 医科レセプトにおける電算化割合は、医療機関数ベースで69.9%ということで、 まだ手書きのところも、かなりあるのですね。

アスカムニュース 11/6 より

 医療保険業務研究協会は、「診療報酬明細書の電算化状況」(平成12年5月診療 分)をまとめた。医科レセプトにおける電算化割合は、医療機関数ベースで69.9 %、請求件数ベースで 87.1%だった。これを病院・診療所別にみると、病院は 施設数で94.3%、請求97.6%とほとんどが電算化されている。一方、診療所は 施設数で 67.1%、請求件数で81.3%だが、医療法人の診療所では施設数で82. 3%、請求件数で86.5%と電算化の割合が高かった。

【医科レセプトの電算化割合の推移】

(各年5月) 施設数 請求件数

8年     60.9%  82.3%

9年     63.5   84.0

10年     65.9   85.3

11年     67.4   85.8

12年     69.9   87.1

2)日医前執行部と厚生省の実施に関する合意事項あります。

 角南先生が日医現執行部の確認したところではOKと日医雑誌に記載あります

厚生省所管行政に係る規制緩和要望及びその検討状況

平成12年5月31日付け日医発第236号(保38)

レセプト電算処理システムにおける取扱要領の改正について


3)モデル事業

 パイロットスタデイは増えてはいません。ごく一部の地域

日医報告書(佐藤一郎医師の生活)

Medwave news によると、米国厚生省が、医療費の請求・支払い業務の電子化に 利用する共通のフォーマットを公表しました。

米国厚生省が医療費請求・支払い業務を電子化へ

 医療機関と保険会社間で行われる医療費の請求・支払い業務の電子化を進めて いる米国厚生省(HHS)は8月11日、電子化に利用する共通のフォーマットを公表 した。共通フォーマットの導入は、複雑な請求・支払い業務を簡素化し、医療機 関の負担を減らすのが目的。HHSは、電子決済を行う医療機関や保険会社に対し、 2年以内を目標に共通フォーマットへ移行することを義務付ける方針。  現状では、医療機関は保険の種類によって、異なるフォーマットで医療費の請 求を行っているため、業務は複雑で時間がかかってしまう。HHSによると、今回の 電子化によって、医療業界全体で10年間に299億ドルの経緯削減につながるという。 HHSによるリリース (當麻あづさ、医療ジャーナリスト)


4)具体的な日程

電算請求は賛成です。推進すべきと思います

日程としては

介護保険  これは御存知のごとく、保険者側の体制不備、ソフトの不備でミソをつけた 対応の不手際、明らかに国保のミスでも支払延期等システムの不備もある。 できれば、ここでじっくりノウハウをためていただきたい

薬局:これも具体的な日程をあげました。薬剤師会は反対はないようです。   これが次に行う日程である

歯科 医科  これは同時か歯科が先なのかわかりません。介護での評判が悪いですから かなりの反対が予想されます。介護次第。いずれにしても厚生省としては 最後にしてノウハウをためるつもりでしょう。

介護や薬剤師がスムースに行け ば反対する理由は以下のみです


○問題

1)個人情報保護法とのからみが問題になっています。 これは今年中に決着つくと思います。ゴーサインは出るでしょう。

個人情報保護検討部会(第4回)議事録 (財)医療保険業務研究協会 各種マスターデータ提供

各種マスターデータ提供サービス

2)監査強化にならないか

 日医としても同意したといっても実は歯切れが悪いんです。この問題が 大きい。これが最大の問題です。

保険者側の動き 健保連など3団体、亀井政調会長に要請 健保連 千葉会長・日経連 成瀬常 務理事・連合 笹森事務局長等支払側3団体の役員 対抗としては日医にも同時にレセプトを回してデータを集めるかという 話もありますが、億という数字であり、人員の関係で一寸無理か 一部だけモデル地域でデータを蓄積するのが現実的かもしれません いずれにしても何らかの対抗策は必要です。データ利用の制限をかけるか

○レセ点検強化へ都道府県センターに医師等を配置 ― 社会保険庁 ―

 社会保険庁は11年度から相次いでレセプト点検の充実・強化に乗り出す。各都 道府県レセプトを一括点検する「レセプト点検事務センター」に非常勤の医師な どを配置、レセプト点検に医学的な判断を加えるほか、レセプトの電子化や、レ セプトデータの一括集中処理などを行う。従来は事務処理担当者が再審査請求を 行っていたため、「不必要な請求があった」(同庁)という。  このため早ければ今年4月に、レセプト点検事務センターに非常勤の医師、歯 科医師、薬剤師を1人ずつ配置。レセプト点検に医学的見地を加えることにより、 不必要な再請求を防止する。医師は月に10日、歯科医師は5日、薬剤師は1日、 センターに赴き、検査料や投薬料、注射料などについて助言する。

 レセプト電子化は、年間約3億枚といわれるレセプトの点検業務を見直し、デー タの検索、抽出作業の効率化を図るのが狙い。紙レセプトをスキャナーなどで読 み込み、MD(ミニディスク)やDVD(デジタルビデオディスク)などの磁気 媒体に保存。電子化すればパソコンの画面上でデータの呼び出しが可能になるため、業務効率の向上が図れるという。

○画面での審査事務共助を稼働

 レセプト電算処理システム 日本医事新報  2000/03/17

 社会保険診療報酬支払基金は2月29日、第62回基金幹事長会議を開き、説 示の中で、レセプト電算処理システムについて、平成12年度からコンピュータ 画面での審査事務共助を開始するとともに、画面審査の実用化についても審査委 員の意見を聞きながら検討することを明らかにした。この「画面による審査事務 共助システム」は、磁気媒体レセプトの情報をクライアント・コンピュータの画 面に表示。併せて、事務共助の参考情報である日本医薬品集、長期投与医薬品便 覧、点数表Q&Aなどをデータベース化した情報を表示することで、事務共助の 効率化を図るもの。(3959号掲載)

○支払基金、レセ電算の全支部受入体制完備 医事新報 1999/03/04

 社会保険診療報酬支払基金の全国幹事長会議が2月25日、都内の基金本部で 開かれ、平成10年度厚生省補正予算で全支部に導入済みのクライアント/サー バーシステムを4月から稼働させ、順次、レセプト電算処理システムの参加医療 機関を受け付ける体制を整えることなど、11年度の事業計画について説示が行 われた。基金では、全国でサーバー(大型コンピュータ)約100台、クライア ント(パソコン)約4000台の導入により、保険者への請求・医療機関への支 払システムや、再審査等の処理システムなど、老朽化したシステムを更新。20 00年問題にも対応した。 ○支払基金 4月からレセプト電算処理に対応 薬業時報 1999/03/03  社会保険診療報酬支払基金は4月から、全国の各支部がレセプト電算処理シス テムに対応できる体制を整える。各支部にコンピュータを導入して、医療機関か ら出された電算化レセプトを各支部で処理できるようにする。また広報用パンフ レットを作り、医療機関から問い合わせがあった場合に配布する。

○「健保組合支援ビジネス」の拡大に期待         −医療関連S振興会セミナー−

 日債銀総研の布施泰男産業調査部長は11日、医療関連サービス振興会のセミナー で講演した。保険者機能の強化が求められることや保険財政の悪化に対応して、 レセプト点検や医療機関の評価・選択、老人訪問健康指導など、健保組合の事業 を支援する関連ビジネスが今後期待できると見通した。  布施氏によると「健保組合支援ビジネス」は、リネンサプライや臨床検査など の「病院業務代行ビジネス」と違い、「まだ出来上がった形はない」。「削り屋」 と呼ばれるレセプト点検も、医療事務に詳しい個人が独立する形態が中心で最近 になって数社の企業ができ始めたばかりという。講演で布施氏は今後保険者機能 として、レセプト点検のほかに疾病別コスト分析や医療機関の評価と選択といっ た「医療技術の評価と管理」、保養所運営などの「福利厚生代行」、高齢者の重 複受診防止や生活指導などを行う「老人訪問健康指導」、「患者満足度調査」な どが期待されると指摘。これらの機能に対応した支援ビジネスが期待できるとし た。その上で、レセプト点検が医療情報サービス企業と協力すれば標準的な疾病 コストや平均在院日数などがわかりコスト分析ができるようになる、老人訪問健 康指導でデータを収集すれば処方薬が実際にどれだけ服薬されているかコンプラ イアンスの実態がわかるようになるなどと、それぞれのビジネスが新たな事業展 開につながる可能性があると指摘した。 【コメント】  自力更生不能の銀行総研部長は、自らの頭の上のハエをまず追い払うべきであ る。(T.Y)


参考文献:この1年のレセプト関係の動き

○支払基金

 資格関係誤り件数を3年間で半減 日本医事新報 2000/08/31

 社会保険診療報酬支払基金はこのほど、平成12年度から3年間で資格関係誤 り件数を半減させるべく、防止対策要綱をまとめた。  要綱では、3カ年計画で各基金支部が「資格関係誤り発生件数を50%削減」 することを目標に定め、管掌別に1年ごとの発生件数を定めるよう求めている。  各支部では、目標達成のため、具体的に、(1)資格関係誤りの少ない医療機 関に手順・防止対策等を教示してもらい、誤りの多い医療機関に提供する、(2) 誤りの未然防止の連絡文書を年4回、医療機関に送付する、(3)誤りの発生状 況を時系列的に把握し、継続的に誤りの多発している医療機関には、経営責任者 と防止策について協議し、意識向上を目指す、(4)老人保健レセプトについて は、資格関係誤りの「再審査等請求内訳連絡表」が添付されているものについて 医療機関に事前連絡を行い減少を図る―などの活動を展開する。さらに、基金本 部では、受給資格の確認、資格確認に当たってのポイントなどを盛り込んだ「適 切なレセプト提出のためのハンドブック」を作成し、全医療機関に配布する予定。 (3983号掲載)3年計画でレセプトの資格誤りを半減  支払基金  社会保険診療報酬支払基金は、保険証番号の転記ミスや被保険資格のない患者 の受診といった資格関係のレセプト誤りについて、発生防止対策に乗り出した。 8月と2月を全国一斉の強化月間にしてミスの多い医療機関の院長と面接懇談す るほか、11月には発生原因を突き止める追跡調査を行うなどのキャンペーン活動 を展開する。また、厚生省に保険証のカード化を提案する。基金本部では今年度 からの3年計画で、資格関係誤りの発生件数を50%削減させる考えだ。  基金本部によると、資格関係に誤りのあったレセプトは約565万枚(1999年度) と0.7%強のレセプトに発生。約996億円にのぼる診療報酬が基金を通じて保険者 と医療機関との間を行き来している。とくに記号番号の誤りが150万枚(213億円)、 資格喪失後の受診が222万枚(428億円)と多い。資格関係誤りは基金ではすべて をチェックできず、保険者からの再審査請求で発覚。その分の診療報酬を医療機 関から一度戻してもらったり、正確な保険者番号が不明なときは医療機関の持ち 出しになるケースがあり、基金や医療機関などの事務作業が煩雑になっていると いう。  発生防止対策は、厚生省、保険者、日本医師会、日本歯科医師会など関係者に 協力してもらって実施する。 【コメント】  医療機関としての協力を求めたい。(T.Y)

○「容認件数半減計画」が奏功     支払基金          ― 目立つ「原審通り」 ―

 社会保険診療報酬支払基金が行うレセプト審査で、一次審査(原審査)に疑義 がある場合に行われる再審査の請求件数(11年1〜9月診療分)は前年同期より 約10%増加したものの、再審査で一次審査の疑義が認められた件数(容認件数) は約5%増に止まったことが、2月29日わかった。同日都内で開いた全国基金幹 事長会議に報告したもの。再審査の結果、不服申し立てが認められず一次審査の 通りとされた件数は約18%増で、再審査の請求件数の伸びを上回っている。基金 では、再審査の容認件数は一次審査のレベルを表す指標になるとして、13年度ま での3年間で半減する目標を立てており、「レセプト審査を充実させる取り組み の成果が着実に現れている」(田中泰弘専務理事)としている。  再審査件数が10%以上増えているのは、社会保険庁が点検事務センターを設置 するなどして政管健保のレセプト点検を強化しているため。容認となったレセプ トのなかには保険者にしかできない縦覧点検の結果、疑義が生じたケースも含ま れており、これが健保組合レセプトでの容認件数の減少を相殺したという。 【コメント】  常に的確なレセプトの記載を心がけたい。しかし、原審査に疑義が生じた際は、 再審査の請求を即刻行うべきである。(T.Y)

○査定の現状で日病セミナー 日本医事新報 1999/11/25

 日本病院会は12日、レセプトの請求、査定に関する全国医事研究会セミナー を神戸市内のホテルで開催した。セミナーでは、東京都国保団体連合会審査委員 の加賀谷寿孝都立豊島病院副院長が「適正なレセプトの作成と査定の現状につい て」、健保連の後藤信也レセプト点検指導員が「保険者から見た最近のレセプト の現状」と題して講演。加賀谷氏は、基本的な留意点を示した上で、特に病名に 関しては「適応病名を最初にきちんと書いてもらいたい。院外処方箋や他科患者 の診察には病名の連絡表を院内で活用してほしい」と指摘した。(3943号掲 載)

○保険者機能強化の基本的考え方を提示           −医福審で磯村、高木両委員−

 厚生省・医福審制度企画部会の磯村委員(トヨタ自動車健保組合顧問)、高木 委員(連合副会長)は1日の部会で、保険者機能強化の基本的考え方をまとめた 資料を提出した。磯村委員の資料はa)事務の効率化A医療機関との契約B保健事 業の充実C被保険者への情報提供――の4項目。個別項目をみると、支払基金に 委託しているレセプト審査業務を、健保組合の判断で、独自または共同で実施可 能とするほか、医療機関、患者調査の実施権を法律で明文化するよう提案。レセ プト電算化の推進を見据えた疾病名のコード化や、紙レセプトを10年保管する義 務の緩和も盛り込んだ。さらに、個別医療機関との契約で診療報酬の割引、付加 給付を実施できるような法律運用や事業運営基準の見直しを強調。被保険者に医 療機関情報を提供するため、支払基金の情報開示、広告規制緩和、保険者による 評価機構の設置なども提案した。そのほか、中長期的な課題として、保険者によ る医療機関選択と診療報酬契約、被保険者による保険者選択などを打ち出した。 高木委員の資料は、苦情処理と被害者の代理交渉権を持つ「医療オンブズマン制 度」の確立、政管健保の労使が協議する委員会を各地区に設置するよう求めてい る。 【コメント】  保険者機能強化は国民の医療水準の低下につながり、アメリカでは多くの問題 を引き起こし、クリントン政権も危惧している。(T.Y)

○保険者機能の論議で日医と保険者が協調も              ― 医福審・制度企画部会 ―

 厚生省の医療保険福祉審議会・制度企画部会は18日、事務局が提示した論点に 沿って、診療報酬体系見直しについて議論した。この中で塩野谷委員(国立社会 保障・人口問題研究所長)は、保険者機能の強化について「薬価制度、診療報酬、 高齢者医療制度と並ぶ大きな問題」と指摘。具体的な手法として「レセプトをき ちっと分析して医療を標準化し、医療機関の質が評価できるような環境整備がい る。その上で、保険者と被保険者を媒介する第三者的なエージェントが必要だ」 と提案した。  糸氏委員(日医副会長)は「国民にとって医療機関は選択の自由があるが、保 険者は選択の余地が無く、情報がない。保険者と医療機関が肝胆相照らすように 率直に話し合うことが必要。そうすれば、機能もはっきりする」とし、保険者側 に積極的な対話を呼びかけた。高木委員(連合副会長)は「保険者に価格決定能 力を持って欲しい。また、保険料をきちっと納めているのに、どこの病院に行っ たらいいのかという情報提供もない」と不満を訴えた。  保険者側の立場で、若杉委員(日経連社会保障特別委副委員長)は「保険者間 に競争が起きて、選ばれるようにするのもメリットだが、保険者の機能、権限は 弱体でとても無力だ」と厳しい現状を訴えた。また、磯村委員は「医師会との緊 密な連携は是非やりたい」としながら、「保険者はレセプト事務で精一杯」と述 べた。これを受けて塩野谷委員は「保険者はやる気がない。本来の仕事をせずに (支払)基金に業務委託ばかりしている」と痛烈に批判した。

○保険医師数が30万人突破    厚生省まとめ

 保険医師数が初めて30万人を突破したことが明らかになった。厚生省がまとめ た、10年4月1日現在の保険医療機関(薬局)数、保険医(薬剤師)数の統計に よると、保険医師数は対前年比5537人、1.9%増の30万1417人で、全体の52.7%を 占める。 【コメント】  5年後には医師数過剰が現実とされている。ドイツ、イタリアの轍を踏むこと なく、対応策を積極的に推し進めるべきである。(T.Y)

○レセプト点検の書類添付を「35万点以上」に拡大

 厚生省保険局は、レセプト審査を強化するための具体策を18日の中医協総会に 提示し、了承を得た。医療費の適正化を図ることが狙いで、(1)書類の添付を要す るレセプトの範囲を拡大(請求省令、告示改正)(2)添付書類の日計表に記載する 薬剤の範囲を拡大(通知改正)(3)請求点数 100万点以上レセプトについて、特定 の薬剤または処置に係る症状などの記載を求める(通知改正)──の3点。11年 4月1日から施行される予定。  社会保険診療報酬支払基金と国保中央会は請求点数42万点以上、42万点未満の レセプトは基金地方支部、国保連合会で審査している。中央で審査される「42万 点以上」のレセプトには所定の書類を添付しなければならないが、今回改正では この基準を「35万点以上」に引き下げ、地方審査支払機関で審査する「35万点以 上42万点未満」のレセプトにも書類添付を義務づける。

○ 保険者再審査には毅然とした対応を  菅谷常任理事

 菅谷常任理事は11日、山形市で開かれた東北医師会連合会・医療保険分科会の 再審査問題に係るシンポジウムで、保険審査の地域間格差を是正する観点から東 北6県の統一基準策定を求めた一部の意見に、否定的な見解を表明した。  保険者再審請求の増加傾向については、「経済効果のみが狙いであり、“削り 屋”がやっている限り減らない」と前置き、歯止めは各県審査委員会の毅然とし た対応しかない、との考えを述べた。  保険審査のあり方については、適正診療・適正請求を前提に「1次審査を通っ たものを(再審で)容易に変えるべきではない」とする秋田県医師会・寺田俊夫 会長の主張に全面的に賛同。医療側の審査委員が医師の裁量権を最大限に尊重し て審査にあたるよう、各県医師会の指導を求めた。  患者の多様性から、医療行為は基本的に定型化できないとし、判定基準を一律 に規定する考えを排した。その上で、「少なくとも、レセプトを見て診療内容の 妥当性を判断できるのは医師しかない」と強調。医療側審査委員が医師として審 査に携わる意味を十分理解して対応しない限り「審査問題で、いい状況は決して 出てこない」と述べた。関連して、「病名主義」による薬剤査定について、「病 名(適応)でなく薬理作用に着目するのが医師だ」と指摘。保険指導と保険審査 は別問題だと説きながら、「医師の裁量権をどこまではっきり認めさせるか、難 しいが医師(である審査委員)が現場で主張していかないと、成り立ちにくい」 と、繰り返し医療側としての自覚を促した。  また、6か月の再審査請求期間について、保険者側がレセプト取り寄せに要す る時間を考慮して「プラス2か月」などの容認を求めてくるケースについては、 「基本は6か月であり、1、2か月かかっても出てこないものは原審通りにすべ き」と述べた。安易な再審受理が請求件数の増加を招いているとし、「遅れて出 てきたものに対応する必要は全くない」と、毅然とした姿勢を求めた。

○保険者再審による減額査定を理由別に分類 ── 支払基金が各保険者にデータ提供 ──

 社会保険診療報酬支払基金は6月30日、保険者からの再審査請求で減額査定さ れた事例を初めて査定理由別にまとめ、保険者に提供を始めた。昨年10月からの 半年間に減額査定された「投薬」関係の診療行為(一般)のうち、算定ルール上 の間違いなどの事例が約5割で、適応外使用などで減額査定されたケースも約4 割に上る。また国公立病院、医療法人立病院の容認事例が多いことも明らかにな った。  埼玉、福井、愛知、香川の4支部が昨年10月から今年3月に調整した再審査結 果のうち、診療内容に関係するものをまとめたもの。減額査定されるなどの「容 認」の事例を「適応」「過剰」「重複」「その他」──の4つの理由に区分。具 体的な薬剤別、疾病名別、医療機関の経営主体別などに集計した。これまでより も詳しい情報になっており、保険者が今後の再審査請求に活かしやすくなった。  集計結果によると、4支部に寄せられた半年分の再審査請求は診療項目数で42 万9551件。この約27%が減額査定されるなどの「容認」と判断されていた。最も 容認になる割合が高かったのは、初診関係の約72%。指導関係でも約63%、再診 の関係では約61%が容認だった。経営主体別の容認事例は、国公立病院で容認全 体の約30%、医療法人病院で約28%が発生していた。  診療行為別の容認理由では、投薬関係(一般)で最も多かったのが「その他」 の約51%で、算定ルールの間違いや入力ミスなど。また39%は、適応外の投薬な ど「適応」関係で容認と判断された。これを診療行為別でみると、 205円ルール や長期投薬関係などの「内服薬(205円以下)」で最も容認が多く、「その他」が 約96%と容認理由のほとんどを占める。また、あるプロトンポンプ阻害剤は、決 められた投与週間を守らないなど「その他」の査定理由が約82%を占め、「適応」 による査定が約14%あった。別の同剤も査定理由の約82%が「その他」、約15% が「適応」で同じ傾向がある。ある鎮痛・抗炎症剤は急性気管支炎や右手関節炎 などに使われ、「適応」による査定が約65%になっていた。投薬の容認状況を傷 病名別にしてみると、件数が最多の「胃潰瘍及び十二指腸潰瘍」の病名で容認に なった多くは消化性潰瘍剤の使用によるもの。2番目に件数が多い「胃炎及び十 二指腸炎」でも消化性潰瘍剤を使ったケースが容認される割合が一番多い。 「検査・画像診断」(一般)では「CRP(定量)」が容認になるケースが多く、 「その他」が約59%、「過剰」が28%となっている。 【コメント】  これは保険者の無駄な再審請求を少なくするための資料として作ったものであ り、今後の動向を見て、それが活かされなければ、再検討する必要がある。(T. S)

○国保保険者の再審査請求件数が 600万件突破 ──保険者のレセ点強化を反映──

 厚生省は平成10年度の医療費適正化対策で、レセプト点検を強化する方針を打 ち出しているが、国保保険者の再審査請求件数は平成8年度 600万件を突破し、 請求件数の査定件数は約6割を占めていることが、平成9年度版「国保連合会事 業の概況」で明らかになった。また、1回あたりの再審査請求件数は年々増加し、 8年度は平均で 119件に上り、国保保険者のレセプト点検強化を反映している。  国保連合会再審査部会が扱った8年度審査請求件数(医科、歯科)は、保険者 656万1264件、医療機関15万2457件の計 671万3721件で、初めて 600万件を突破 した。再審査の結果、保険者分の 61.19%は減額査定となり、原審どおりは 36. 15%。これに対して医療機関の請求分は、復活件数の再審査請求件数に占める割 合は 43.27%、原審どおりが 54.61%を占める。医療機関からの再審査請求は、 平成5年度の17万 246件をピークに年々減少傾向を示している。 【コメント】  点検すべきはレセプトの内容であり、減額に視点を置いて点検強化すべきでは ない。(T.Y)