▼Q23.過度の練習量が様々な障害を誘発する
と聞いているが、 「適度な練習量」の目安はない
か。(バドミントン)
A:1)スポーツの種類、年齢、性別、個人差などがあり、一概には練習の目安をま
とめることはできません。ただし身体各部位の痛みが一つの目安になるでしょう。使
い過ぎ症候群(オーバーユース)の程度は、一般に4度に分類されていますので、こ
れを参考にしたいものです。すなわち、
第1度:小児がスポーツや練習中に軽い痛みを訴えるもの。運動後しばらく持続す
ることもある。X線写真には異常はない。診察で痛みを誘発させることができる場合
もときどきある。
第2度:運動中に痛みが生じて早く切り上げざるをえなくなり、その後も痛みが持
続するもの。
第3度:痛みが運動中もその後も強いもの。それが長時間続くこともある。障害部
位が腫れる。X線写真によって変化を確認することができる。
第4度:恒常的な痛みのために、長時間運動することができなくなるもの。練習や
スポーツをしたあと、24時間以上も痛みが続く。X線写真には、変化がはっきりと写
る。受傷部位を診察すると、強い痛みと腫れがある。この最終段階にまで達してしま
うと、患者は大変厄介な状態に巻き込まれる。
使い過ぎ症候群の状態を続けると、疲労骨折や骨端線損傷などを引き起こす恐れが
あるので注意が必要です。一方、小児期の成長を考慮してトレーニングを行う必要が
あります。
小学校の低・中学年までは敏捷性・巧ち性・平衡性など調整力の向上に適した時期
です。また小学校高学年から中学校までは筋が肥大し、呼吸循環機能の発達が著しい
時期です。したがって小学校低学年に筋肉トレーニングをむやみに行うのは謹むべき
です。また単一競技にこだわらず、多種類の基本的運動動作の習得を目的とした方が
よいでしょう。最後に小児期の成長には3年程度の個人差があることに注意し、体格
や学年で画一的に厳しいトレーニングを行うことは避けてほしいと思います。