情報の非対称性を解消するシステムについて2001/07/18

本田整形外科クリニック 本田忠


医療の質の評価の現状は以下のご意見が最大公約数でしょうか。情報の非対称 が解消されるわけではないでしょうが、少なくとも格差は下げないといけない。
 医療評価機構の実際の審査は、書面と丸1日のサーベヤーによる実地審査のようです。第3者評価機構がどの程度のランニングコストがかかりるのかはわか りませんが、結構高くつくようですね。また定期的に改定も行われるようです。
ISO9000とどちらが有用か。評価の内容は若干異なるか。
費用は同程度でしょうか。ISOの方が細かく規定されているから高くつく?

厚労省の意見
医療サービスの質の評価について
現在、第三者機関である財団法人日本医療機能評価機構において実施されてお り、安全対策の評価についてもより充実するよう依頼しているところ。 さらに今回の医療法改正案では同機構の認定を受けた旨を広告できるようにす ることとしており、これにより受審が促進されることを強く期待している。
医療の質を支えるシステムについてであるが、EBMについては、基本的に 医療を制限するものではなく、医療の質を向上させるものと理解しており、こ れを推進していきたい。
医療の質の監視について、現在の監視制度は、全国最低限の基準の遵守を監 督するものであり、医療の質を高める手段ではない。従って第三者評価制度、 つまり現行の日本医療機能評価機構の制度を大いに普及することで質の向上を 図るとともに、医療従事者の質の向上のため、今回の法案に入れさせていただ いたが、医師等の臨床研修の必修化、医療現場におけるEBMの推進、治療計 画のより合理的な推進など、幅広い観点から進めていくべきと考える。
 医療機関や保険者の選択を可能とするシステムの構築について
医療機関へのフリーアクセスを確保している。保険者による医療機関の選択や 被保険者が保険者を選択することには、種々の問題がある。保険者が医療機関 を選択する仕組みを構築すると、保険者が一部の医療機関とのみ契約を結び、 全国に居住する被保険者やその家族が保険診療を受けることができなくなり、 フリーアクセスの保障、公平な医療の保障に反しないかという問題がある。
【厚生省 角田課長】政策評価は確かに大事だと思うが、医療法はそもそも衛生 規制であり最低基準を決めるものである。それはどこに住んでいても必要な医 師・看護婦がいるということは、守るべきものであると考えている。(医療機 関の)結果評価については、行政が取り組むことには疑問がある。
【日本医師会 櫻井常任理事】ごもっともである。医師の選択という場合、医師 個人の情報についてどのような情報が必要なのか。具体的に挙げて欲しい。私 に言わせれば、医師を選ぶのは情報ではなく、実際にその人に接触してみるこ とである。人間対人間の関係と考えている。私は、かかりつけ医を見つけるま で、いろんな医師に接してウマが合う医師を探してくださいと言っている。ウ マが合うかどうかの情報はあり得ないので、接触してみるしかない。次の二段 階目の医療に関する情報については、知識の差という情報の格差が消せないの で、掛かりつけ医が埋めればよいというのが我々の考えである。医師の出身大 学の名前が必要との意見もあるがそれでいいのか。〔チラシを提示して〕こう いうことは言いたくないが、ここにバイアグラの専門医こと東京大学医学部卒 の大先生が「バイアグラを購入するにはこうすればよい」というタクシーで配 られていた広告がある。今では、厚生省から指導を受けないように作り直して、 本の広告になっている。「バイアグラを購入できるという新しい本が絶賛発売 中、著者は東大医学部卒・・」となっている。その下に何故か診療所の名前が 書いてある。こういうことが行われること自体、国民に対して間違った医療を 提供することに通じる。また、インターネットは野放しのひどい状態になって いる。規制がないから、嘘有り、何でも有り。そこでめちゃくちゃなことが行 われて国民が迷惑している。
第12回規制改革委員会議事概要
(公開討論(その3)「優れた医療を提供する者が報われる医療システムの在り方について」 患者の立場に立った競争政策とは----)

isoと評価機構の比較
第12回福祉サービスの質に関する検討会説明資料
ISO9000
判定委員会があることが、審査登録機関としての要件
委員は、学者、研修機関、業界及び消費者代表等10人程度で構成
判定までの手順
・有資格者からなる審査チームが文書審査、現場審査、客観的な証拠を積み 上げて不適合を指摘し、是正改善を要求
・要求事項のフォローアップのため、再度現場審査
・簡潔に報告書をまとめ、判定委員会により最終判定(有効期間は3年間) ・判定委員会は独立性・中立性が最重要(対評価受審企業、対認証機関
(財)日本医療機能評価機構
評価委員会について、法人の寄附行為に規定(運営は内規による)
委員は、大学教授、医療関連団体関係者、保険団体関係者、学会関係者、法 律関係者等10数人で構成
判定までの手順
・研修を受けたサーベイヤーが訪問審査・訪問審査結果を評価部会で詳細に検討
・評価委員会で審査し、認定証の発行
・留保を承認・発行(有効期間は5年間)
・留保を書面で通知・留保の場合、病院は改善要望事項への対応、その後、 再審査(再審査請求期限は1年)

ISO9000
ISO9000の基礎知識
JQA日本品質保証機構
JACO
国際環境審査基準に基づいた環境管理および品質管理に関する監査の受託を行 う、株式会社日本環境認証機構(JACO)のサイト。
レポート 6
日欧における地方自治体等のISO14000への取り組みに関する調査
  医療・福祉事業経営においても品質マネジメントシステムのグローバルスタ ンダードとしてISO9000が各国で注目され、又導入が始まっている。従来の公的 監査や第三者評価が医療・福祉事業経営のスナップショット的(特定時点での) 評価であるのに対し、ISO9000は安定的で信頼される医療・介護サービスを生み 出す基となる継続的な経営のシステムを構築し、このシステムが確かにビルト インされていることを第三者が審査・認証するものである。
 国際競争の時代に入ると、各国別の公的評価制度などだけでは不十分で、世 界が理解し、世界から信頼されるグローバルスタンダード(世界標準)に基づ く経営が求められるのは必然と考えられる。ISO9000は既にマネジメントシステ ムのグローバルスタンダードとしての地位をほぼ確立しており、各国でその導 入が進んできたのもこのような事情によると思われる。
 弊社では今回この医療・福祉分野について先進地域であり、又ISO9000導入で 先行している英国、ドイツ、米国の3ヶ国においてISO9000認証取得の背景、取 得状況及び認証取得の効果などについて調査を実施した。
大病院にこそ、ISO9000を!!
週刊 医学 界 新聞
医療の質を保証する国際標準を議論 ――医療版 ISO の国際ワークショップ

日本 医療 機能 評価 機構 について
財団法人 日本医療機能評価機構 ホームページ
日本医療機能評価機構基礎知識 ver1.0
病院 の 機能 評価 の 視点
週刊 医学 界 新聞
週刊医学界新聞 第2267号 1997年12月1日 聖ルカ・ライフサイエンス研究所公開シンポジウム 今後の医療機能評価のあり方を探る
ここ数年,米国のJCAHO(医療機関認定合同委員会)では「組織運営の改善」に 注目し,評価体系を再構築している。特に「組織のパフォーマンスの改善」と 「情報のマネージメント」の評価に力を注いでおり,一方,日本における病院 評価ではこの視点が欠けていることを指摘した。さらに,これら一連の考え方 の基本となる「トータル・クオリティ・マネージメント(TQM)」を紹介。TQM とは組織のパフォーマンスを向上させることで経営基盤を強化しようとする考 え方で,現在,欧米での病院機能評価に反映されている。また,ミシガン大学 のTQMプログラム導入により得た経済的利益が支出の3倍となるデータを披露し た。
日本の医療評価の問題点
 続いて,岩崎栄氏(日医大)を司会に,シンポジウムが企画された。  1937年から病院評価が開始されたアメリカでは,評価者が450名と,日本の2 0名のスタッフに比べて人材が充実している
週刊 医学 界 新聞
第2436号 2001年5月14日 インタビュー 大道 久氏(日本医療機能評価機構・評価委員長)に聞く
「患者の安全」をいかに確保するか
日本医療機能評価機構が果たす役割
第2436号 2001年5月14日
米国ではJCAHO(医療施設評価合同委員会)という第三者機関が,各医療施設 の評価を行ない,医療の質の確保に実効をあげている。日本でも,「医療事故 防止」が国民の大きな関心事となる中,日本医療機能評価機構の果たす役割が 注目されるようになった。同機構で評価委員長を務める大道久氏(日本大学医 学部教授・医療管理学)に,特に「患者の安全確保」の観点から,病院機能評 価事業の現在と今後の展望について話をうかがった。
医療事故を防止するための評価
―――医療事故防止のために評価機構が行なう評価とは?
大道 まず,現行の評価活動の中から説明いたしますと,直接的に事故防止に ついての取り組みを評価するのは,先ほど触れた「患者の満足と安心」という 領域です。その中で,医療事故が起こってしまった時に,その状況をしっかり と把握して,院内レベルでの報告を行ない,事故の原因やプロセスをしっかり 検討して,これを2度と起こさないための事故防止対策や対応がとられているか を評価します。つまり,起きた事故の把握と,院内の組織的な報告の流れに乗 って報告をして,事故防止に向けた,より具体的な対応をとれるかということ が,まず問われるということです。
 さらに,これを徹底させるためには,医療事故までには至らなかったけれど も,事故を起こしかねないニアミスないしはインシデントと言われるようなも のについても組織的な場(事故防止委員会やリスクマネジメント委員会などと 呼ばれる場合が多い)を設定して,そこで報告することが大切です。収集した 情報については共有しつつ,分析することです。事故防止に結びつけられるよ うな方策というものが出てくるはずですから,それを組織的に行なうべきです。 また,「リスクマネジャー」と呼ばれる事故防止管理責任者を配置することな どについても問いかけをしています。
 これらのことについては,すでに病院機能評価の項目体系の中に入っていま す。これが,不十分であれば,これについて特段の配慮を促がすという仕組み でなされています。 どのような組織的取り組みが必要か大道 医療事故を起こ す直接的なきっかけを,「ヒューマンエラー」か「システムエラー」かと捉え ることがあります。これは,起こした人間個人の直接的な過誤,あるいはエラー によって医療事故につながるものと,病院という組織が持っている仕組みや対 応が不備だったために生じてしまうものとに分かれるということです。
 病院機能評価事業では,「システムエラー」がまず対象となります。そこで 問われる組織的取り組みで重要なのは,やはり教育研修です。インシデント・ リポート,場合によっては起こってしまった医療事故を教訓にして,何に配慮 すべきか,何を重視すべきか,というようなことを,繰り返し病院内に徹底さ せる機会を持つことです。医療事故にかかわる教育研修を行なっているのか, いないのか。それはどのようなものか。いつ,何回,何を行なったかなどを見 せてもらうことになります。
 そしてもう1つ,診療の責任体制はどうなっているか。例えば,担当医が明確 になっているのは当たり前のことですが,病院の実情をみると,複数の医師が 入れ替わり立ち替わり患者の受け持ちになっていることはあり得る話です。ま た,医師がその場を離れる時に代替医がいるのかどうか,医師の所在は明確か どうか。即刻駆けつけるべきところ,3分,5分はおろか,15分,1時間かかって しまったというようなことがよく報道されます。緊急時に主治医への連絡が本 当に把握できていて,指示がしっかり出るのかどうかということは,責任体制 の中で非常に重要です。また,それと裏腹に,医療事故は医療を提供する側と 受ける側とのコミュニケーションが不十分だと非常に深刻になります。医療側 としては一生懸命やっているつもりでも,患者側がそうは受け止めていない場 合はよくあります。それがいわゆる医療過誤訴訟などにつながるのです。
 これは,事故の後のさまざまな経緯,推移の状況によりますが,これらにつ いても適切に対応することが,組織医療の中で大変重要です。病状,そしてこ れからしようとしている治療の方法,その選択肢等々のいわゆるインフォーム ド・コンセントをしっかり行なうことは,適切な医療を提供する上で,医療事 故防止を含めてきわめて重要であり,これについてもしっかり評価させていた だきます。
 また,組織医療として重要なのは,残念ながら医療事故を起こしてしまった 時の対応です。これは,いま言ったことと大いに関係するのですが,事故を起 こしてしまった時に,特に要請しているのは,まずは患者さんに十分に説明を して,状況を曖昧にしないことです。もちろん隠蔽をするということは,きわ めて不適切であるという受け止め方をします。したがって,事故を起こした時 の患者さん・家族への対応には,特段の配慮・留意をして評価・審査をしてい ます。 準備進む新評価体系大道 評価機構が行なっている「医療事故防止」の ための評価活動について,主なポイントをお話してきましたが,来年度からの 実施に向けて現在,評価項目の改定作業を行なっているところです。現在の「患 者の満足と安心」という領域は「患者の権利と安全の確保」(新第2領域)と施 設・設備管理やアメニティ等を含む療養環境を対象とした「療養環境と患者サー ビス」(新第3領域)に再構成される予定です。このうち新第2領域では,イン フォームド・コンセントを定着させるための体制整備や患者への心理的支援を 重視することになります。また,この1-2年の深刻な事態を受け,「患者の安全 確保」という言葉を初めて盛りこみ,より一層,医療事故防止に関わる評価・ 審査を強化する方向で検討を進めています。
病院機能評価の意味―――評価機構の課題と今後の展望は?
大道 当機構がすでに認定した469(2001年4月16日 現在)の病院でも,現実には医療事故は起こります。その時に,機構としてど ういう対応をするかが問われます。「1件でも医療事故が起これば,認定は取り 消すべきだ」,「審査時にかつて医療事故があったということであれば,認定 すべきでない」という考え方もあります。このような考えの整理が,ここ数年, 大きな問題となってきたのです。
 私たちの考え方はこうです。病院機能評価事業というのは,自発的に病院が 審査を受け,それにより病院の問題点を明確にして,病院はその改善に取り組 み,評価機構はそれを支援し,助言を行なう。このような流れで実施され,こ れを契約に基づいて有償で行なっているわけです。
 つまり,病院自身の改善へ向けた取り組みの有効な手法として位置づけられ るものですから,契約する前の段階で起こされた事故,医療過誤訴訟について は,これがあるから,認定証の発効や審査結果内容が変わるとか,審査のプロ セスで何か特別な対応をするということはしません。あくまで,審査が開始さ れた時点以後を問題にします。したがって,「医療事故をこれまでに何件起こ していますか」,「医療過誤訴訟を,いま何件抱えてらっしゃいますか」とい うような評価項目はありません。
 また,評価機構が審査結果を公表しないことについて,ある種の批判を繰り 返し受けていますが,事業の趣旨からすれば,それなりの背景があるのです。 白黒をはっきりさせ,黒となれば社会的な非難を受けて,その病院には社会か ら退場していただくべきだという考えがありますが,もし,それをするならば 行政が行なうべきです。
 医療事故というのは,何も直接的な原因があって起こるばかりではなく,そ の背景にはさまざまな要因があります。医療事故を起こさないように,基本的 にはすべての病院が全体として水準を向上させることが,結果として医療事故 の減少にも寄与するのです。そのためにはまず,多くの病院に「審査・評価」 を受けていただきたい。「ともかく良し悪しをはっきりせい」「悪い病院はご 退場いただこう」というような発想は,理解はできても,現段階では必ずしも 得策ではありません。なぜならば,9千あまりの病院の中で,いま受審の契約が 済んだのは700病院を超える程度です。かなり普及しているとはいっても,全体 で10%まで達していないわけです。
 こういう状況の中で,一生懸命やりたいという意向があって手をあげて,評 価料も支払った病院に,「認定もできないような悪い病院ははっきりさせろ」 ということだけを言っても,これは考え方として不十分です。それでは,まだ 受審もしていない8千の病院はどうするのか,ということです。様子眺めをして いて,受けないで済むなら受けないほうがよいと思っている病院が,まだ多い わけです。 受審数は急増,今後の成果に期待大道 そういう中で,事業は始ま ってまだ4年目とはいいながら,この3月から評価機構の認定を広告できるよう にもなり,「認定を受けないとまずいのではないか」という感覚が医療界に強 くなってきました。受審数は急増しており,去年は概ね当初の倍増です。受審 した病院数の実績を示すと,初年度が125病院,2年目125病院,3年目が130病院 で,2000年度には190病院を超えました。本(2001)年度の予定は250病院以上 です。認定書の期限が5年ですから,2002年には,最初に受けた病院の更新審査 が始まりますから,たいへんな数になります。
 陳腐な言葉ですが,受審すると病院が見違えるようによくなります。問題解 決にはきわめて有効なのです。組織の意欲というものを束ね,示された具体的 な項目の中で,「できていないのはこれこれ」と言われれば,それを何とかし ようというのは,当事者にとって至上命令です。受けた以上は組織のメカニズ ムが働きますから,間違いなく一定の水準に達します。
 そのような意味では,いま,患者の安全確保はもちろん,医療の質の向上へ 向けて,少しずつではあるけれども,動き出しつつあるという手応えを感じ始 めているところです。