政府案が実現しようとしている医療の世界2001/07/25
本田整形外科クリニック 本田忠
○政府案に見られるような医療の世界はすでに整形外科医は、経験しています。
結局政府案は、DRGで疾患をパターン別に分け、それにより点数を丸めに(PPS)して、それを保険者の直接審査にする。また混合診療を増やす。ちょうど今の任意の交通事故診療で行われているような保険会社に、より権限を持たして、医療機関を逆選別して、指定する。査定権も与える世界です。
○アナロジイとしての交通事故任意保険の世界は以下のようです。
整形外科では(婦人科もある)すでに、自由診療なるものは、交通事故診療で
制度的に行われております。整形外科医が一番味わっている任意保険診療
が、より厳密になって出現すると考えればよいようです。
点数は日医基準ですと一点12円ですが、任意ですと20円、30円で行われて
いるところも多い。保険会社による、不払い、苦情。さくらんぼつみ(健保を使用するように誘導)。
保険者による患者への介入は日常的です。電話や調査員の医院訪問による調査も行われる。
保険会社のもっているような詳細な事故査定マニュアルに似た療養担当規則
もできる。しかも直接審査が制度化されて、保険会社により現状の行われているような値切り交渉ではなく、今後は一方的に削られる。査定の公平性は担保されない。また御存知のごとく、高い保険料のために、特に若年者は任意保険には入っていない方も多い。必然的にトラブルは急増する。医療機関への未収金が多くなる。まさしく同じ世界が全科に広がるわけです。
パイが拡がる拡がらないのお話ではないですね。交通事故では患者さんの保険会社とのトラブルは多いのは御承知のごとくです。保険者と患者さんのトラブルも増える。日本版患者残酷物語の出現。
かくて現実のタフな保険者の介入。保険者、患者双方からの不払いに悩む医療機関。一方患者さんは自己責任の原則で、高額の保険料を払わなければ医療は受けられない。保険者からの患者さんへの不払いもありえる。
不確定性原理は隅々まで浸透する世界。確かに護送船団ではなくなる。しかしこの医療の世界は、患者さん初め、誰にとってもあまり魅力的な世界とはいえないのではないでしょうか。
ここまでする目的はただひとつ医療費を安くする?
しかし、この予定された世界はかなり高コストですね。訴訟も増える。患者さんから、医師から、保険者からも。。。。
市場開放論者が、なにを考えているのか良くわからない。競争原理をもってきたら良貨が悪貨を駆逐すると本気で考えているのでしょうか。患者負担は際限なく、高くなるだけで、タイトになり、かつ誰にとっても、メリットは何もない。医療費も高騰する。
「市場の失敗」ならぬ「医療の失敗」により「失われた10年」が出現しそうですね。