医師の収入2001/06/30初出。2001/08/26改訂

本田整形外科クリニック 本田忠


チーム内医療従事者の低コスト業種へのシフト(コスト削減)
 管理EBMなどの、マニュアル医療の進行と、低医療費政策で、現場では同時にコスト削減圧力がかかるわけで、専門家のコスト削減を行うことになる。マニュアルさえきちんとすれば、コストのかかる高度の専門家の必要性は薄い。代替医療従事者の権限の強化。医師ができることは看護婦さんへ、看護婦さんができることは看護助手へ。医療がカバーすることは予防医学へ、あるいは民間医療を積極的に導入する。より安く、当然質の低下も否めない。

人件費の高騰
 一方チーム内では、病院の効率化のために、各業種はより専門化していく。たとえば医師は、より狭い分野のスペシャリストとならざるをえない(たえざる研修。生涯教育の重要性があがる。より高度化する)。当然各専門家の給料も上がるということになります。今の特に日本の勤務医の給料は安い。人件費の負荷は医療費に跳ね返る。医療費の高騰となる。これは医師にとっては歓迎すべきことではあるが、同時にスペシャリストとしての専門性をあげなければ生き残れないということにもなる。コスト削減圧力は常にかかる。

医療費の構造
 日本の医療費は大部分、入院医療費により占められている。開業医の外来診療費は問題にならないくらい少ない。
レセプトから見た医療費の使われ方
病院経営は赤字が多い。特に公的病院はきつい。
法人では2割赤字病院。公的病院はもっとである。青森県では黒字はゼロ経費率も9割5分と特に人件費が重くのしかかっている。

勤務医の収入
 若い医者は大部分は大学に残る。大学では助手以下は非常勤だから、日傭です。日給で7000円程度でしょうか。ボーナスは当然でない。妻子がいたら飯は食えない。
 大学は教授で64万、助手で40万程度でしょう。医師は公的病院のかなり高いところで40歳で82万。大学人はかなり低賃金だと断言できる。医学部は6年間だが,ふつう卒業時点では常勤・長期雇用の職はないから,大学院博士修了と状況はよく似ている。医師・医科長の方がかなり高い給与水準にあるが,この格差を勤務医の勤務時間の長さと夜勤等のシフトといった肉体的苦痛に対する金銭的補償と考えられるが、意識も実態も悲しいことに日傭労働者です。また医師所得と一般労働者所得の格差は、大きい順にアメリカ、ドイツ、日本の順である。すなわち、アメリカが最も医師所得が相対的に高く、日本は第3位である。医師所得と一般労働者所得の格差は、どの国も縮小傾向にあるが、アメリカのみ逆傾向を示している。日本の場合についてみると、医師所得と一般労働者所得の格差はデータのある70年代半ば以降縮小している。低医療費政策のなかでかなり押さえられている。
研修医は「労働者」厚労省が労基法適用へ
データを探しに 2001/01/25人事院給与局,『民間給与の実態』,大蔵省印刷局,
医療保険の現状と改革
医師の所得水準
医師の平均給与前年比6.5%減 平成13年民間給与実態調査
 2001年3月時点で、民間医療機関の医師の平均給与は前年比6.5%の大幅減、初任給も1.6%減っていたことが、人事院が8日に公表した「平成13年職種別民間給与実態調査」で明らかになった。
 調査は、国家公務員の給与勧告を決定するための資料として、全国の7546事業所の44万1971人を対象に実施したもの。
 そのうち医療や教育、研究関係の職種について、今年4月分給与の平均支給額(給与から時間外手当を除いた額)をみると、医師は76万8380円(平均年齢38.4歳)で、前年の82万1726円(同38.6歳)と比べ、5万3346円、6.5%の大幅減となった。(4034号掲載)[日本医事新報]

参考文献
病院経営
日医調査(アカウント必要)
第24回医療経済実態調査集計結果の概要(PDF)
有効回答施設の経営状況(損益計算書の分析)
1)経常利益の状況
1)赤字施設の割合
@一般病院で個人立の赤字施設の割合は9.2%(前回8.3%)、法人立の赤字施設は22.2%(前回18.0%)
2)経常利益の分布
経常利益を累積施設数の分布でみると以下の通りである。
@一般病院で個人立は5千万円未満までに54.9%(図8-1)
一般病院で個人立は5千万円未満までに54.9%の施設が分布して、その後なだらかに上昇している。
A一般病院の法人立は3千万円未満までに50.6%(図8-2)
一般病院の法人立は3千万円未満までに50.6%の施設が、6千万円未満では69.1%の施設が分布している。
(3)平均値による医業収益と費用の状況
1)一般病院<個人>の医業収益と費用(表2)
@平均医業収益は627,198千円(前回680,001千円)
A経費率(院長給与は含まず)は89.2%(前回89.3%)
B医業収支差額は67,567千円(前回72,628千円)
2)一般病院<医療法人>の医業収益と費用(表3)
@平均医業収益は1,196,672千円(前回1,114,762千円)
A経費率(院長給与は含む)は95.9%で(前回95.1%)
B医業収支差額は49,644千円(前回54,866千円)
日本病院会ニュース598号(平成12年12月20日)
来年4月の診療報酬改定の基礎資料となる厚生省の平成11年度医療経済実態調査(平成11年6月時点での医療機関等の収支状況)の速報値が12月1日の中央社会保険医療協議会(工藤敦夫会長)の調査小委員会及び総会で報告され、一般病院(977件)の一施設当たりの医業収支差額(構成比率)はマイナス1.8%と依然マイナス収支を余儀なくされている実態が明らかになった。

勤務医の収入その他
病院経営観測 医師給与 1999/09/08
医療保険審議会建議平成9年改正について
人事院の民間給与調査医師初任給は昨年に比べ20%増〜
週刊医学界新聞

開業医の収入
 個人事業主としての利益は大部分は2千5百万円以下の収入である。経費率は7割5分程度。人件費が重くのしかかる。あとの3割で、事業を行う。 それでも法人の一般企業の社長の平均年収よりかなり低い。実感としては中小企業の親父である。
個人事業主の利益(家計費の内訳
事業所得(利益)に税金がかかるわけですが、そこから税金、社会保険料、借入金の返済、敷金等の事業用預託金、事業主用の保険料、年金積立金などを差し引いたものが家計費となります。個人開業医は、従業員を雇用し、給与を支払い、生活を保障し、かつ借金の返済をしなければならない存在である。上記はあくまで事業経営としての収入である。実感として借金が重い。土地代が高すぎる。

参考資料
○経営実態調査
日医調査(アカウント必要)
第24回医療経済実態調査集計結果の概要(PDF)
V.有効回答施設の経営状況(損益計算書の分析)
(1)経常利益の状況
2)経常利益の累積施設数の分布
@個人立の無床は2千5百万円未満に55.1%の施設
個人立の無床診療所の経常利益累積分布をみると2千5百万円未満に55.1%の施設が分布している。
A無床の一人医師医療法人立(医療法人立含む)は1千万円未満に62.0%の施設
一人医師医療法人立の無床診療所の経常利益累積分布をみると、1千万円未満に急カーブを描いて62.0%が分布している。
B有床の個人立は3千万円未満までに53.0%の施設(図7-3)
有床の個人立診療所の経常利益累積分布をみるとなだらかに分布し、3千万円未満に53.0%が分布している。
(3)平均値による医業収益と医業費用の状況
1)無床診療所<個人>の医業収益と医業費用(表3)
@平均医業収益は86,589千円(前回87,965千円)
A経費率(院長給与は含まず)は67.7%(前回68.1%)
B医業収支差額は27,987千円(前回28,087千円)
2)無床診療所<一人医師医療法人(医療法人含む)>の医業収益と医業費用(表4)
@平均医業収益は132,056千円(前回140,940千円)
A経費率(院長給与は含む)は92.3%(前回91.9%)
B医業収支差額は10,133千円(前回11,420千円)
3)有床診療所<個人>の医業収益と医業費用(表5)
@平均医業収益は162,852千円(前回183,776千円)
A経費率(院長給与は含まず)は78.4%(前回73.9%)
B医業収支差額は35,124千円(前回47,889千円)
4)有床診療所<一人医師医療法人(医療法人含む)>の医業収益と医業費用(表6)
@平均医業収益は267,093千円(前回256,273千円)
A経費率(院長給与は含む)は94.0%(前回92.6%)
B医業収支差額は16,106千円(前回18,934千円)
日医総研ワーキングペーパー32(2000/9/27)
医業再投資の必要性とその規模について-医業の再生産費用と利益の関係
原価にのっとらない医療は潰れる
■ 医療機関の成長には従業員1人当たり130万円 
 医療機関の再生産費用は、医業収入から医薬品費、材料費などの医業原価、人件費、管理費を差し引いたもので、一般企業の経常利益にあたる。WPは(1)国民の生活を支えている(2)価格を決めるのに行政の認可が必要―という点で医療機関と似通った環境にある「ライフライン産業」を参考に、医療機関の再生産費用の目標値設定を試みた。電力9社、ガス4社、JR3社、通信1社のライフライン産業17社の再生産費用に相当する経常利益は、従業員1人あたりで340万円(99年度連結決算ベース)。病院は平均マイナス20万円(99年6月実施の医療経済実態調査)。詳細に分析すると、17社の1人あたり経常利益はGDPの動きに影響されることなく、ほぼ横ばいに推移しているほか、1人あたり経常利益が多い企業ほど1人あたり設備投資額が多い傾向もみられ、各企業とも経営努力を重ねながら毎年一定水準の再生産費用を積みたてている。
●院長の給与は「経営者としてはかなり少ないレベル」
 ライフライン産業は経常利益の中から株主への配当を行う。WPは1人あたり経常利益から1人あたり配当金を差し引いた額を参考に医療機関の再生産費用の目標値を設定した。17社平均の1人あたり再生産費用は98年度決算ベースで170万円。ただ、医療機関が一気にこの水準とするには困難なため、当面はJR3社平均の1人あたり130万円を目標値として提案した。
 医療経済実態調査(99年6月実施)の数値を使って従業員数5人の個人立無床診療所にあてはめると、年間に換算した医業収支差2410万円から再生産費用650万円(130万円×5)を差し引いた院長の年間給与は約1760万円。一般企業の社長の平均年収は約3000万円で、WPは企業の社長と同様の経営責任を負いながら、その給与は「経営者としてはかなり少ないレベル」とし、「儲けすぎ」とする見方に疑問を投げかけた。

開業医
2000年6月28日医療経済実態調査 
開業医の平均月収は236万9000円中央社会保険医療協議会(厚相の諮問機関)
開業医の所得は高すぎるのか 誤解を招く「開業医の月収」報道
個人と医療法人での事業税の取扱いについて
開業医の実態・意識調査(全国保険医団体連合会)
医業税制の変遷」について 2000/03/19
第5章遠隔地の医療将来どういう医師になればよいのか
従業員を雇うと必要になるもの
<必要経費>
◎給料
◎通勤手当
◎時間外勤務手当
◎社会保険料の負担
<開業後の事業運営に必要な運転資金>
運転資金は、固定費と変動費、それに借入金の返済があります。
◎固定費(売上の増減に関係なく、固定的にかかる経費)
家賃、人件費、水道光熱費、通信費(基本料金)、リース・メンテナンス費、会費、支払保険料など
◎変動費(売上の増減に応じて変動する経費)
仕入の費用、外注費、ガソリン代、旅費交通費、宅配便など
<利益>
売上総利益(粗利)から経費の合計を引いたのが利益です。これがプラスならば黒字、マイナスならば赤字ということになります。この利益が黒字になったといっても安心できません。利益のなかから借入金の返済をしなければなりません。また、事業主の生活費が人件費として計上されていない場合は、利益のなかから生活費を捻出しなければなりません。残った利益から返済金や生活費を支払ったらマイナスになってしまったということでは、経営は苦しくなります。利益のなかから借入金の返済をしなければなりません。
個人事業と法人事業の比較
<個人事業にかかる税金>
個人事業主には、所得税、個人事業税、個人住民税の3種類の税金がかかります。個人住民税は、所得によって税率が変わる所得割と、所得とは関係ない均等割に分かれます。均等割の個人市民税は3,000円、個人県民税は1,000円です。税金の申告には白色申告」と「青色申告」がありますが、「青色申告」は、家族従業員の給与を必要経費として計上できたり、青色申告控除などもあって、税金を納める上で有利になります。
<法人事業にかかる税金>
法人には、法人税、法人県民税、法人市民税がかかります。資本金が1億円未満の会社の法人税の税率は、所得金額が年間800万円までは25%ですが、これを超えると34.5%になります(平成10年4月1日より)。法人県民税と法人市民税は、所得に応じて課税される所得割と、所得の多少にかかわらず一律にかかる均等割があり、均等割の法人市民税は50,000円、法人県民税は20,000円です。
東京都主税局<都税Q&A><【個人事業税】個人事業税とは>
知っておきたいSOHO会計第1回
知っておきたいSOHO会計
個人事業者と法人の税金
ここでは、個人事業税について説明します。
会社経理と個人経理の相違点

一般の方の収入
○法人社長の場合
給与から税金、社会保険料を差し引いたものが家計費である。
社長の年収
民間の労務調査機関、政経研究所(太田貞雄所長)が11日までにまとめた「役員の年収調査」でわかった。月々の報酬は前年比2.3%減にとどまったものの、賞与が13.6%減と大幅に落ち込んでおり、不況などによる業績の悪化が社長の年収にも大きく影を落とした。調査は昨年9月時点での状況を10−12月にかけて、全国の上場企業や中堅・中小企業約3000社を対象に実施(回答数226社)。社長の平均年収は前年比3.5%減の2930万円。前年と比べて年収が「横ばいだった」という回答が最も多く38.6%。「アップした」は、前年は53.1%だったが今年は33.9%まで減った。一部上場の社長の平均年収は3886万円

小規模企業の事業主調査結果経営者の平均年収は1067万円、仕事のやりがいと裁量性の満足高い
アメリカ大手航空会社の賃金
民間給与実態統計調査の概要
民間給与実態調査で厳しい結果
産業別常用労働者1ヶ月当たり現金給与額(30人以上)
オーストラリア人の生涯年収