総合規制改革会議の中間報告重点6分野に関する中間とりまとめ平成13年7月24日

総合規制改革会議


要約

〔具体的施策〕
1.医療に関する徹底的な情報公開とIT化の推進
(1) 原則電子的手法によるレセプトの提出【平成13年度中に実施】
(2) カルテの電子化・EBM・医療の標準化などの推進【段階的に実施】 (3) 複数の医療機関による患者情報(カルテなど)の共有、有効活用の促進
【平成14年度以降逐次実施】
(4) 日本医療機能評価機構を含む第三者機関による医療評価の充実【平成13 年度から段階的に実施】
(5) 医療機関の広告及び情報提供に係る規制の抜本的見直し【平成13年度中 に実施】
2.診療報酬体系の見直し
(1) 定額払い制度の拡大【段階的に実施】
現在、我が国の診療報酬体系は出来高払いが中心となっているが、出来 高払い方式については、コストインセンティブが働きにくく過剰診療を招 きやすいといった弊害が指摘されている。一方、定額払い方式についても、 コストインセンティブは働くが粗診粗療を招きやすいといった弊害が指摘 されている。こうした点に留意しつつ、先に述べたEBMや医療の標準化及 び情報公開の推進により、後者の弊害を排除することによって、定額払い 方式(診断群別定額報酬支払い方式など)の拡大を進めるべきである。
(2) 公民ミックスによる医療サービスの提供など公的医療保険の対象範囲の 見直し【平成14年度から逐次実施】
当面、特定療養費制度の積極的な拡充など公民ミックスの医療サービスの規制緩和など、公的医療保険の対象となる範囲を見直すべきである。また、公民ミックスの医療サービスの拡充は、情報開示、イ ンフォームドコンセントの推進にも資すると考えられる。
(3) 診療報酬、薬価、医療材料価格の決定方法などの見直し【平成14年度中 に実施】
診療報酬、薬価、医療材料価格は、中央社会保険医療協議会で決定され ているが、価格の根拠、決定プロセスなど、決定方法について問題点が指 摘されている。中央社会保険医療協議会の委員構成の見直しも含め価格決 定方法の見直しが必要である。
また、現在、薬価205円以下(内服1日分、頓服1回分など)の薬剤に 関しては、薬剤名等の内訳を省略して薬剤費請求ができる「205円ルール」 については廃止し、内訳を明示した請求とするべきである。
なお、新規性の乏しい新薬(いわゆる.「ゾロ新」)の薬価の在り方な ど薬価算定ルールについては、今後とも抜本的な改革を検討することが必 要である。
(4) 医療機関の経営情報の開示【平成14年度中に実施】
医療機関の経営情報を開示し、医療機関の収益構造、業務内容を明らか にすることにより、医療機関の透明度を高め、医療の改善を図るべきであ る。
3.保険者機能の強化【平成13年度検討、結論】
上記通達を廃止し、制度の本来の趣旨に沿って、レセプトの審査・支払を 保険者が直接行えるようにするべきである。このことによって保険者にとっ ては医療機関ごとのパフォーマンスの比較や問題となる医療機関のチェック が行いやすくなる。また、被保険者への健康指導などを通じた医療費の抑制 が可能となる。この場合、審査・支払事務の効率化・高度化を図る見地から、 保険者が当該事務を支払基金以外の民間へ委託をすることを可能とするべき である。
また、保険者と医療機関で契約による診療報酬の引下げや同一報酬で追加 的サービスを行えるようにするべきである。
4.医療分野における競争の導入と効率化
(1) 医療機関の経営形態の多様化、理事長要件の見直し
医療機関の経営形態に関する規制の根拠は、医療法人の経営者の善意・ 倫理性に依存し、営利主体の参入を抑制することにより、情報の非対称性 が大きい医療サービスの質を維持するためと考えられてきた。しかし、利 用者本位の医療サービスの観点からは、更に経営の近代化、効率化を進 めることが必要であり、このことが医療の質、結果を担保しつつ効率的な 医療サービスの提供を可能とする。したがって、株式会社方式による経営 などを含めた経営に関する規制の見直しを検討するべきである。
また、医療機関の理事長は医師でなければならないという人的な側面か らの規制があるが、その合理性には疑問がある。病院経営と医療管理との 分離により、医療機関の運営の効率化を促進するため、病院運営について も、法人運営のマネジメントを導入するため、平成13年度中に理事長要件 を廃止するべきである。
(2) 医療資機材の内外価格差の是正【平成14年度中に検討し措置】
5.その他
(1) 医療分野の労働者派遣について【平成14年度中に実施】
(2) 医療従事者の質の確保【平成14年度までに実施】
(3) 医師の教育改革【平成14年度までに検討】
(4) 医薬品販売における範囲の見直し【平成14年度中に実施】


以下は全文 総合規制改革会議の中間報告
重点6分野に関する中間とりまとめ平成13年7月24日
総合規制改革会議
2.各論:検討分野における規制改革の進め方
1)医療
〔問題意識〕
我が国の医療は、国民皆保険制度を前提とした政府の様々な規制により医療 サービスを一定の質とコストで全ての国民に提供することに成功してきた。こ の点で我が国の医療制度は戦後の国民のニーズに応えた制度であったと言える。 元来、医療分野のサービスは、次の理由から通常のサービスと同様の市場原 理が働かないという考え方がなされてきている。第一は、情報の非対称性であ る。医師と患者とでは持っている情報量に大きな格差があり、患者は自らサー ビスを選択するというよりは、医師から一方的にサービス提供を受ける存在と みなされている。第二は、需要構造の特殊性である。人の生命・健康に直接的 に結びつくサービスであり、基本的に公的保険によってカバーされ、利用者に とって一定の給付が保証されることから需要が価格によって左右される要素が 低い。第三は、医療における平等原則である。基本となる医療サービスは貧富 の差に関係なく、一律・平等に提供されるべきと考えられている。第四は、一 般の経済原則だけでは処理できない問題があるということである。稀にしか発 生しない疾病のためにも設備や人材の確保が必要だというのがその例である。 このような医療サービスの特殊性に対応するため、政府は、供給主体・供給 量の制限、価格の公定・医療費の公的扶助など、様々な施策を行いこれまでに 一定の成果を収めてきた。
一方、近年、世界に類例を見ない急速な少子高齢化の進展、情報技術の進歩 や医療技術の高度化・先進化、感染症の減少と生活習慣病の増加、社会意識 (患者の知る権利)の向上や医療サービスに対する個々人のニーズ・価値観の 多様化など、経済社会の大きな変化に伴い、医療サービスの提供に非効率や不 合理が生じやすくなっており、また、国民の期待にも十分応えているとは言い 難い。
例えば、供給主体・供給量の制限と医療サービスに関する情報の制限により、 多様な主体が競争を通じて生み出す効率的なサービスの創出が妨げられ、利用 者にとってのサービスの質が向上する仕組みが十分に機能していない。また、 価格の公定・保険制度のために供給者、利用者ともにコスト意識が希薄となり、 高齢化の進行とあいまって医療費負担の増加を招いている。
さらに、高齢化に伴う医療費の急激な増大により、このまま放置すれば、我 が国の現在の医療保険制度自体がその存続さえ危ぶまれる状況にある。一方、 医療の量的拡大を図った結果、人的資源などが分散してしまい、特に、診療ご との人員配置は極めて手薄になっているのが現状である。

〔検討の方向性〕
このような状況の下、医療改革の検討に当たって最も重要な視点は、国民皆 保険体制と医療機関へのフリーアクセスの下で、「真に国民の求める医療制度 とは何か」という点の追求にある。これまで医療分野については、供給面での 規制により医療費の増大を抑制するとともに、無駄な医療需要を引き起こしや すい仕組みの是正に努力してきたが、問題は解決されていない。今後は、過剰 な医療需要を防ぐとともに、供給面の抜本的な規制改革により、更に医療サー ビスの質を確保し、効率化を図り、真に国民が求める医療を提供することが必 要である。
検討の基本的な方向性の第一は、利用者本位のサービスに向けた医療の効率 化を目指すこと、つまり利用者にとって満足度の高い医療サービスをできる限 り低いコストで提供できるようにすることである。第二は、国民の安心と生活 の安定を支えるセーフティネットとして、安心感があり、効率性、透明性、公 平性が確保された制度を構築することである。第三は、サービスの質を維持し つつコストを削減し、医療費の増加が経済と両立可能なものとなるようにする ことである。第四は、医療を利用者の選択に基づいたサービス産業の一つと考 え、民間活力の拡充、新たな雇用の創出など、経済活性化の原動力とすること である。
このような検討の方向性に基づき、当会議として特に緊急に改革を行うべき と考える事項は以下のとおりである。

〔具体的施策〕
1.医療に関する徹底的な情報公開とIT化の推進
良質で低コストかつ国民に分かりやすい医療サービスの提供を確保するた めに、徹底的な情報公開、医療情報(カルテ、レセプト)の電子化の推進、 医療の標準化の推進、第三者による評価の充実が必要である。
(1) 原則電子的手法によるレセプトの提出【平成13年度中に実施】
医療サービスのIT化の促進は、医療機関を含めた医療システム全体の運 営コストの削減のみならず、体系的な医療情報の処理など、医療サービス 向上のための基本的なインフラ整備として必要不可欠である。そのために 現実的にすぐにでも実行が可能な問題として、まずはレセプトの電子的手 法による提出を原則とする制度にするべきである。この関係で、平成3年 9月27日厚生省令第51号の附則第2条に定める「磁気テープ等を用いた費 用請求の特例」では電子的請求を極めて限定しているため、これを直ちに 廃止するべきである。
(2) カルテの電子化・EBM・医療の標準化などの推進【段階的に実施】 現在、医療機関や医師ごとに診療内容にばらつきがあり、それが医療費 の格差にもつながっている。安心できる医療サービスを確保するためには、 医療の標準化を推進するべきである。このためEBM(根拠に基づく医療) を推進するべきである。その際、診療ガイドラインの作成やデータベース の整備が重要であるが、これは、公正で中立な第三者機関が行うべきであ り、政府はそのための環境整備を行うべきである。また、カルテの電子化 及びレセプトへの主病名の記載は体系的な医療情報の処理・分析のために 必要不可欠である。こうした体制を平成14年度までに整備し、平成16年度 を目途にEBMの樹立を図るべきである。
(3) 複数の医療機関による患者情報(カルテなど)の共有、有効活用の促進
【平成14年度以降逐次実施】
患者が複数の医療機関にかかった場合、患者情報はそれぞれの病院が管 理している。個人情報の保護など一定の条件を備えた上で、患者情報を複 数の医療機関で共有し有効活用ができるようにすることは、医療サービス の効率化に向けた有効な手段であり、これを推進するべきである。
(4) 日本医療機能評価機構を含む第三者機関による医療評価の充実【平成13 年度から段階的に実施】
現在、日本医療機能評価機構による評価が行われているが、その評価内 容は主に医療機関の組織システムに関するものであり、真に利用者が知り たい医療サービスのメニューなどの情報は含まれていないとも言われる。 医療情報に関するインフラが整備され、適切な第三者評価方式による医療 機関の質の評価が充実すれば、利用者自身による医療機関の比較、評価が 容易になる。そのためには利用者の視点に立った評価、及びその評価結果 の公開を行うことが期待される。また、このような評価機関として多彩な 主体が出現することが望まれる。
(5) 医療機関の広告及び情報提供に係る規制の抜本的見直し【平成13年度中 に実施】
医療分野においては厳しい広告規制が行われている。情報の非対称性が 大きい医療サービスの特殊性を考えれば、誇大広告など不適切な広告など から利用者を守ることは重要であるが、逆に過度な規制により利用者が真 に求めている情報まで入手できない状況は、利用者本位の医療サービスを 阻害することになる。そこで、例えば客観的事実に裏付けられた診療実績 情報の提供などが可能となるよう、広告規制について、将来のネガティプ リスト化を視野に入れつつ、ポジティプリストの積極的な拡充を図るなど、 広告や情報提供に係る規制の抜本的な見直しや規制の運用についての明確 化が必要である。また、関係者の要望にもかかわらず、ポジティブリスト への掲載が困難であるとするものについては、その理由を明らかにするべ きである。

2.診療報酬体系の見直し
(1) 定額払い制度の拡大【段階的に実施】
現在、我が国の診療報酬体系は出来高払いが中心となっているが、出来 高払い方式については、コストインセンティブが働きにくく過剰診療を招 きやすいといった弊害が指摘されている。一方、定額払い方式についても、 コストインセンティブは働くが粗診粗療を招きやすいといった弊害が指摘 されている。こうした点に留意しつつ、先に述べたEBMや医療の標準化及 び情報公開の推進により、後者の弊害を排除することによって、定額払い 方式(診断群別定額報酬支払い方式など)の拡大を進めるべきである。
(2) 公民ミックスによる医療サービスの提供など公的医療保険の対象範囲の 見直し【平成14年度から逐次実施】
国民の生活水準の向上やニーズの多様化の中で、診療内容についても多 様なメニューの下で、公的保険による診療と公的保険によらない診療との 併用(公民ミックスの医療サービス)により、利用者による診療方法の自 由な選択を可能とすることは、利用者本位の医療サービスの観点から望ま しい。このため、当面、特定療養費制度の積極的な拡充など公民ミックス の医療サービスの規制緩和など、公的医療保険の対象となる範囲を見直す べきである。また、公民ミックスの医療サービスの拡充は、情報開示、イ ンフォームドコンセントの推進にも資すると考えられる。
(3) 診療報酬、薬価、医療材料価格の決定方法などの見直し【平成14年度中 に実施】
診療報酬、薬価、医療材料価格は、中央社会保険医療協議会で決定され ているが、価格の根拠、決定プロセスなど、決定方法について問題点が指 摘されている。中央社会保険医療協議会の委員構成の見直しも含め価格決 定方法の見直しが必要である。
また、現在、薬価205円以下(内服1日分、頓服1回分など)の薬剤に 関しては、薬剤名等の内訳を省略して薬剤費請求ができる「205円ルール」 については廃止し、内訳を明示した請求とするべきである。
なお、新規性の乏しい新薬(いわゆる.「ゾロ新」)の薬価の在り方な ど薬価算定ルールについては、今後とも抜本的な改革を検討することが必 要である。
(4) 医療機関の経営情報の開示【平成14年度中に実施】
医療機関の経営情報を開示し、医療機関の収益構造、業務内容を明らか にすることにより、医療機関の透明度を高め、医療の改善を図るべきであ る。

3.保険者機能の強化【平成13年度検討、結論】
保険者を被保険者のエージェントとして医療の効率化や質の向上を促す機 関として真に機能させるために、保険者機能を強化することが必要である。 本来、レセプト審査・支払は保険者の権限であるが、現状では、社会保険 診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に一次審査・支払事務を委託 することが事実上強制されている(厚生労働省保険局長通達)。これらの審 査・支払機関による一次審査についての問題点は、第一に審査が特定の医師 による「身内の審査」になりがちなこと、第二に保険者の審査手数料の負担 が大きいこと、第三に支払基金に蓄積された医療情報は保険者には開示され ないことである。
上記通達を廃止し、制度の本来の趣旨に沿って、レセプトの審査・支払を 保険者が直接行えるようにするべきである。このことによって保険者にとっ ては医療機関ごとのパフォーマンスの比較や問題となる医療機関のチェック が行いやすくなる。また、被保険者への健康指導などを通じた医療費の抑制 が可能となる。この場合、審査・支払事務の効率化・高度化を図る見地から、 保険者が当該事務を支払基金以外の民間へ委託をすることを可能とするべき である。
また、保険者と医療機関で契約による診療報酬の引下げや同一報酬で追加 的サービスを行えるようにするべきである。

4.医療分野における競争の導入と効率化
(1) 医療機関の経営形態の多様化、理事長要件の見直し
医療機関の経営形態に関する規制の根拠は、医療法人の経営者の善意・ 倫理性に依存し、営利主体の参入を抑制することにより、情報の非対称性 が大きい医療サービスの質を維持するためと考えられてきた。しかし、利 用者本位の医療サービスの観点からは、更に経営の近代化、効率化を進 めることが必要であり、このことが医療の質、結果を担保しつつ効率的な 医療サービスの提供を可能とする。したがって、株式会社方式による経営 などを含めた経営に関する規制の見直しを検討するべきである。
また、医療機関の理事長は医師でなければならないという人的な側面か らの規制があるが、その合理性には疑問がある。病院経営と医療管理との 分離により、医療機関の運営の効率化を促進するため、病院運営について も、法人運営のマネジメントを導入するため、平成13年度中に理事長要件 を廃止するべきである。
(2) 医療資機材の内外価格差の是正【平成14年度中に検討し措置】
医療資機材については、大きな内外価格差が存在しており、結果として 我が国の医療は高コスト構造となっている。それらの是正のためには医療 資機材の流通全体を通じた抜本的な改革が必要であるが、それらを促進す るための競争政策の徹底など所要の措置を講ずるべきである。

5.その他
(1) 医療分野の労働者派遣について【平成14年度中に実施】
医療分野に従事する専門的な人材の最適配置を可能とするため、現在、 政令で特に禁じられている医師・看護婦などの医療関連の業務の派遣に関 する規制を撤廃するべきである。
(2) 医療従事者の質の確保【平成14年度までに実施】
医療の技術の著しい進歩のなか、安全で良質な医療を確保するため、医 師・看護婦などの質を確保していくことが重要である。このため生涯教育 の充実や研究の推進とその成果の普及などにより、免許取得後の医療従事 者の質の確保を図ることが必要である。
(3) 医師の教育改革【平成14年度までに検討】
最先端の医療を提供できる体制を整備することが必要であり、そのため には医師の教育制度改革による人的資源の充実が不可欠である。現在、我 が国では、出身大学による閉鎖的なネットワーク(医局制度)により、医 師の自由な競争と正当な評価がなされていないと言われる。このような状 況は即時改革し、出身大学(医局)にとらわれない広域での医師と病院を マッチングさせることを可能とする方策の検討が必要である。
(4) 医薬品販売における範囲の見直し【平成14年度中に実施】
医薬品の範囲について、平成11年3月31日に行った15製品群の医薬部外 品への移行の実施状況を踏まえつつ、一般小売店でも医師の処方箋などを 必要とする一部の分野を除いて、医薬品の販売を可能とするための制度の 整備を実施するべきである。

補足資料

今回の構造改革の種子の議論は以下あたり
制度改革・歳出合理化特別部会及び|財政構造改革特別部会合同部会(第5回)
平成12年 11月17日
〔田中主計官〕
まず、最初の話は保険者機能の強化と言うけれども具体的にどういう方法で やるのかというお話だと思います。
これは確かになかなか難しゅうございますけれども、基本的に、レセプトの チェックについては、何も保険者自身が自分の職員を使ってやるというわけで はなくて、レセプトのチェックをするような会社みたいな、アウトソーシング のようなものができるようにならないかという話てございます。その意味で、 だから、保険者自身が合併をしなくても、レセプトのチェックをして、そのチ ェック料で生きていくという会社ができるようになるのではないかという話で す。
ただ、現在、ちょっと1つだけ問題なのは、レセプトにつきましては、サラ リーマンの被用者保険につきましては、社会保険診療報酬支払基金にすべてと りあえず集まります。そこでチェックをして、それから今度、保険者のチェッ クを経て、最後にお金が払われるわけですけれども、その社会保険診療報酬支 払基金でのチェックのほかに、保険者はここに手数料を払ってやっているわけ ですが、そのほかに改めて別の手数料を払ってやるほどのメリットがあると保 険者が考えるかどうかという問題があって、それは社会保険診療報酬支払基金 のシステムそのものに手をつける必要があるかないかということになろうかと 思います。国保でいいますと、国保連というのが各県にございまして、ここで 同様の作業をやっていますが、これも同様の議論ということだろうと思います。
すなわち、その保険者がレセプトをチェックしてもらって、例えば医療費が 1カ月、自分のところの被保険者の医療費が100万円安くなった、100万円助か ったと。100万円助かったらば、あなたの企業に10万円渡しますよというような 仕組みが動くようになるのかどうかというのが1つあろうかと思います。
それから、先ほど言いましたように、そういうことをやる過程で、この医療 機関はどうもおかしいと、保険者が思う医療機関が出てきたときに、それを、 法律ではできないんですけれども保険者が被保険者に呼びかけて、この医療機 関には行かないでくれという呼びかけはできるんじゃないかという話でござい ます。


診療報酬体型(医科・歯科・調剤)のあり方に関する中間整理(案)
平成11年11月17日
丸め丸めのオンパレード。包括化してすべての医療行為にキャップがつく。
やればやるだけ赤字になる世界。