厚労省案に対する意見2001/10/08

本田忠


「制度」
1.医療保険制度全体の給付の見直し(平成14年度実施)
給付率の一元化
○給付率を7割に統一  
○老人医療の対象者 9割
○70〜74歳の者 8割
○3歳未満の乳幼児 8割

「意見」
医療制度間の格差を是正し一本化するのは賛成。
 患者負担をあげて財源確保するだけの案であり、医療費をその内部だけで 解消しようとする案である。総合的な国家予算のなかで、どのように医療財 源を作るのかという観点が全くない。医療の質の確保をどうするのか?
 またこの案は価格弾力性のある軽医療を直撃する案である。しかもメインター ゲットである急性期医療と高齢者医療の抑制策としてキャップ制を提唱している。 著しくバランスの悪いかついささか乱暴な案である。
医療費抑制論について
自己負担増について
医療の無駄って何?

「制度案」
○一般制度に係る外来薬剤一部負担金制度を廃止。
○205円ルールの見直しなど医療事務の透明化
○包括払いの拡大等支払い方式の見直し

「意見」
205点ルールの廃止が不正の防止なら包括化の欠点をいっているわけである。 出来高にしないと透明性は確保できないと思われる。 急性期医療の包括化の拡大では医療の質の改善は望みがたい また医療費の抑制にもならない。
医療費の支払い制度
出来高制を
総枠予算制について

「制度案」
○特定療養費制度の拡大

「意見」
皆保険制度(薄利多売の医療)は維持すべきである。混合診療は容認すべきではない
混合診療を導入すれば、民間保険が受け皿となる
1) 保険料が上昇し、患者さんの負担が増大する。
2)患者の保護(適正な保険金支払)が大幅に後退する。
3) 保険金支払の公平性が崩れる。
4) 無保険者が増大する。
5)保険会社破綻時に、患者(保険契約者)の保護に支障が生じる。
○医療機関に対して
・保険料負担増による受診抑制が起こる
・保険会社の値切り交渉が起こる。不払いもある。訴訟も増加する。
混合診療批判

「制度案」
○総報酬制の導入
○経済の動向と大きく乖離しないよう老人医療費の伸び率目標を設定し、
その範囲に抑制する枠組みを構築する。

「意見」
 総枠予算制は、基本的には極端な医療費抑制策であり、先進医療の導入を制限する ことになる。また定額制と同じく、過少診療になりやすい制度である。医療の質の 低下が起こる可能性が高い。ドイツですでに失敗して撤回した制度ではある。 医療費抑制効果もさほどない。
総枠予算制
医療費抑制論について

「制度案」
保険者による直接審査等
○保険者自らが審査支払を行うこと及びその民間 委託を可能とする。(平成13年度)
○社会保険診療報酬支払基金の審査業務の在り方の見直し。
(平成13年度より順次実施)
3.徴収の一元化とレセプト審査の改革
○ 年金、医療、労働等の保険料徴収の一元化の準備を開始するとともに、レ セプト審査の効率化等を進める。

「意見」
 ここのところは意味が良くわからない。審査の外注化はすでにしている 基金を使わずに、直接審査するなら公平性は担保されない 医療機関としては保険者ごとにレセプトをおくる必要がある。 事務処理が大変である。また訴訟が多発することになろう。
保険者機能の強化

「制度案」
レセプト電算処理の推進

「意見」
レセプトの電子化
1)電子化について
 妥当ではあるが、現実的な案ではない。レセコンの無償配布などの経済的イ ンセンティブをつけるべき。また審査委員会を通さないと、経済的査定が優先 され、必要な医療まで削減され、医療の公平性が担保されないのではないか。
厚労省
システムの導入コストがかさみ、中小医療機関の経営を圧迫(厚生労働省)。現 在、全レセプトに占める磁気レセプトの割合が0.4%にとどまっている現状で、 一挙に普及を図ることは実際上困難。原則電子化したとしても、例外的な紙に よる請求が残り、実態上は改善しない。レセプト電算処理のメリットを示すこ と等により医療機関の自発的な参加を促すことやより使いやすいシステムに改 善してしていくことが先決。

「制度案」
保険者と医療機関の契約
○診療報酬に係る個別の契約を締結することを可能とする。(平成14年度)

「意見」
平等に医療を受ける機会を阻害
保険者との直接契約について
保険者機能の強化について
日本医師会
保険者が医療機関を指定してということであるが、格付けの問題をどうするの か。これも非常に評価システムが難しいところであり、一番問題なのは、指定 をすることによって患者のフリーアクセスがなくなってくるということである。
厚労省
 医療機関や保険者の選択を可能とするシステムの構築についてであるが、現 行の医療保険制度は個人のリスクに関係なく、一定の負担で必要な医療を受け ることができることを特徴とするもので、医療機関へのフリーアクセスを確保 している。保険者による医療機関の選択や被保険者が保険者を選択することに は、種々の問題がある。保険者が医療機関を選択する仕組みを構築すると、保 険者が一部の医療機関とのみ契約を結び、全国に居住する被保険者やその家族 が保険診療を受けることができなくなり、フリーアクセスの保障、公平な医療 の保障に反しないかという問題がある。他方、被保険者が保険者を選ぶという ことについては、公的医療保険制度は、保険料をリスクに応じて決める私保険 のような考えは採られていない。その中で、被保険者が保険者を選び、それを 保険者は拒否できないとなると、賃金の低い人、年齢の高い人が集中した保険 者の財政は、成り立たなくなる。従って、被保険者が保険者を選択するドイツ の仕組みと同様に、年齢・賃金の違いについて保険者間の財政調整の仕組みが 必要になる。その問題点を克服するためには、国民的な合意が必要であり、現 時点では慎重な検討が必要と考える。

○全文
医療制度改革試案
厚生労働省平成13年9月25日