混合診療について

2010年11月30日
本田忠 本田整形外科クリニック


混合診療とは
「自由診療」と「保険診療」の「費用の混在」を認める事です。

混合診療を解禁すればどうなるか
1)保険財源が持ちません
 費用が混在してもよいことになりますから、「自由診療(エセ医療)」のために、「保険医療財源」が使われてしまうことになります。それでは、ただでさえ乏しい「医療保険財源」が「エセ医療」のために食いつぶされることになりかねません。

2)自由診療は一切制限されていません
 「エセ医療」を含み、治療でどれを行うかはあくまで「個人の自由」です。ただし「エセ医療」を行うのに、貴重な「保険医療」財源を使うべきではないでしょう。そのためには「混合診療は原則禁止」となっています。


保険医療の大原則
 「効果のある治療」は「医療保険」で行えばよい。エセ医療を含んだ、「効果の定まらない治療」は「自由診療」で行えば良いわけですが、その「枠に収まらない実験的治療」も確かに有ります。その場合は「エセ医療の排除」のためには一定のルールが必要です。


自由診療のうちエセ医療の排除のために
 「混合診療を部分解禁」するにしても、問題は「乏しい保険財源」が「自由診療に無制限に使用される」ことは防ぐ手立ては必要です。自由診療のうち「エセ医療を排除」できなければ、到底保険財源はもちません。よって険しい制限がついています。

先進医療とは
 平成22年11月1日現在で88種類(第3項先進医療技術として規定されている31種類を除く)の先進医療について、当該技術の施設の要件が設定されています。

先進医療に係る費用については全額自己負担
1.「先進医療に係る費用」は、患者が全額自己負担することになります。
「先進医療に係る費用」は、医療の種類や病院によって異なります。
2.「先進医療に係る費用」以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。
 つまり、一般保険診療と共通する部分は保険給付されるため、各健康保険制度における一部負担金を支払うこととなります。
《例》
 総医療費が100万円、うち先進医療に係る費用が20万円だったケース
1.  先進医療に係る費用20万円は、全額を患者が負担します。
2.  通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料*)は、保険として給付される部分になります。
保険給付分*=80万円(10割) 7割にあたる56万円が各健康保険制度から給付。 3割にあたる24万円が患者の一部負担金。
※保険給付に係る一部負担については、高額療養費制度が適用されます。


「評価療養」(先進医療)は届出が必要です
 有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることとしたものです。また実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています。
「評価療養」については、次のような取扱いが定められています。
1.医療機関における掲示
この制度を取扱う医療機関は、院内の患者の見やすい場所に、評価療養又は選定療養の内容と費用等について掲示をし、患者が選択しやすいようにすることとなっています。
2.患者の同意
 医療機関は、事前に治療内容や負担金額等を患者に説明をし、同意を得ることになっている。患者側でも、評価療養又は選定療養についての説明をよく聞くなどして、内容について納得したうえで同意することが必要です。
3.領収書の発行
 評価療養又は選定療養を受けた際の各費用については、領収書を発行することとなっています。


先進医療の概要について
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/index.html