日本の医療の現状2001/07/23初出、2001/08/06改変

本田整形外科クリニック 本田忠


2001/6/14国立社会保障、人口問題研究所で「医療保険制度の抜本改革は本当に 必要か?」をテーマにミシガン大学のジョン・C・キャンベル教授が講演した
医療制度に関する以下の常識は間違っている
1.医療費の増加は経済成長を上回っているから大変だ.
2.高齢人口が一番重要な原因だ.
3.医療保険制度が破綻しつつある.
4.今後、状態は一層悪くなる
5.老人医療費を抑制するためには抜本改革が必要だ.例えば、老人医療と介護の統合
6.日本の医療保険制度は全体として失敗であり、危機的な状況にある.

▼同教授は、マスコミなどで常識と考えられていることの多くは間違いだと喝破 する。たとえば、「医療費の伸びが経済成長 を上回っているからたいへんだ」といわれるが、60〜70年代の医療費の伸びは 今よりもはるかに高かった。最近の医療費の伸びは落ち着いていて米国に比べ ても低い。「したがって問題は医療費ではなく、経済なのだ」とキャンベル氏 はいう
▼「医療保険は破綻寸前」というのもオーバーだ。破綻ではなく赤字というべ きで、収入が不足するときは保険料を上げるのが常識。それに日本の保険料は 高くないと同氏はいう
▼小泉政権の登場で既存の制度はなんでも失敗であり、構造改革が必要といわ れるが、日本の医療保険制度は効率的だし、WHOからも高い評価を受けてい る
▼「日本人は健康で、国民は平等に医療にかかれる。これは戦後日本の成功例」 とキャンベル氏は述べ、医療保険は構造改革の対象にすべきではないとアドバ イスした。海外の研究者の客観的な見方は傾聴に値する。
参考文献
社会保険旬報No2102(2001.7.1)p18-19
病院会ニュースより *<無影灯>

医療費総支出のGDP費
1970年から'97年までのGDPに対する医療費の割合をみると,日本はイギリスと並んでもっとも低い割合で経過している。ちょうどアメリカの値の半分である。アメリカはいろいろな医療政策によってinnovativeな改革をおこなってきたが,医療費は急速にのびてきている。このような諸外国に比較して、低い持続的な低医療費政策のために、いままで十分な投資がなされていない。日本の医療は現在でも貧困のままである。そのために医療スタッフの劣悪な労働条件。入院環境その他、勤務医の低給与など多くの矛盾が噴出してきている。医療者のボランティア精神で何とか質を保っているというのが現状であろう。

 病院や診療所の医業経営の実態を示す「医療経済実態調査(平成7年)」によれば、医療機関の医業収入から医業費用を控除した収支差額は、それぞれの医業収入を100とした場合、一般病院は1.1、一般診療所は17.3(有床)と25.1(無床)であり、病院の収益率が極端に低いことが分かる。その理由は病院の給与負担が5割も占めていることや(診療所は3割弱)、賃貸料・福利厚生などの経費や診療材料費、医療消耗器具備品費などの負担比率が高いことである。また診療報酬体系は病院の設備拡大投資費用などの間接費用までは十分考慮されていない。単に直接経費(人件費、特定医療材料など)を考慮して作成しているものである。そこらが劣悪な入院設備環境の原因である。

あるべき診療報酬体系とは
医療技術の進歩はめざましく、高度医療を扱う病院が増大する一方で、慢性疾患や老人の在宅医療などの地域 医療の中心となる病院や診療所の強化も進んでいる。こうした、ますます多様化していく国民のニーズに応えるためには、まず医療原価をきちんと把握すべきであり、またそれぞれの医療機関の担うべき役割や機能をより明確にする必要がある。
 医療機関の合理化。国立病院、大学、自治体病院などの統廃合がはじまりつつある。医療機関の機能に応じて、病院と診療所を別の診療報酬体系にすることが必要である。さらに、診療報酬が医療にかかるすべての費用を補填するという考え方にこだわらず、施設や機器設備等の資本関連コストに対して、補助金や税金といった他の政策手段を積極的に活用することによって、病院機能の一層の充実を図るべきである
また健保や国保等の弱小の保険者の財政基盤が危うい現在、制度間の不均衡の是正。保険者の統廃合や事務の合理化は必要である
医療費の支払い制度について


参考文献
日本の医療費が低い理由
医療費が低い理由
目前に迫っている少子型の超高齢社会。保健医療は、人々の暮らしになくてはならないガス・水道・電気などと同じような、社会のライフラインの一つになっているのではないでしょうか。 日本の医療費は、対GDP比でみると先進国に比べてまだまだ低い。 なぜ低いのかというと、医療保険がサラリーマン対象の健康保険、自営業者や年金生活者などを対象とした国民健康保険など、多くの制度に分断されているからである。そして一番負担能力のない人が、市町村国保に沈殿している。医療の価格は全国一律であるために、負担能力に格差があるにも関わらず、最も負担能力の低い制度に合わせて価格が決められる。結果として、市町村国保が日本の医療の価格、医療費のパイを低レベルに押し下げている形になるのである。例えば、ある時点で私が11大都市における単身者の保険料を一定条件のもとに比較調査したところ、年額で5万7千円から35万円と、約6倍も負担の差があることが判った。地域によって老人や病人の比率など、加入者構成の違いがあることはやむを得ないにしても、計算方法自体もバラバラであるのには驚いた。
医療政策が医療経済と医学研究に与える影響
池上 直己
医療費総支出のGDP費
1970年から'97年までのGDPに対する医療費の割合をみると,日本はイギリス と並んでもっとも低い割合で経過している。ちょうどアメリカの値の半分であ る。アメリカはいろいろな医療政策によってinnovativeな改革をおこなってき たが,医療費は急速にのびてきている。
日本の医療におけるお金の流れ
日本の医療費の割合は確かに経済の落ち込みによって変わってきているが低 い数値にある。その理由を考えてみる。
日本の医療保険の特徴は,イギリス,カナダなどのように国が一貫して管理 しているのではなく,それぞれ職場に保険者がいて5000以上の保険組合に分か れている。それを大きく3つに分けてみると大企業従事者保険,中企業従事者保 険,自営業者および年金生活者ということになる。これらの保険制度に加入さ れている方の所得水準,あるいは病気になる率はそれぞれ異なっている。
医療保険制度の財政調整
どのようにして保険が医療費抑制に役立つのかというと,この3分類の保険料 は,中小企業の場合は税金で約14%補てんされているし、国民健康保険の場合 は税金で50%補てんされている。税金と社会保険の両方の混在した形態が日本 の医療保険の特徴である。
老人保険制度の場合、老人がそれぞれの保険に加盟している割合が違う。そ れを調整するために、各保険組合が高齢者に拠出金を出している。このように 高齢者の加入割合を調整することによって,5000もの保険組合が成り立ってい るわけである。
端的にいえば,保険料も上げたくない,税金も上げてほしくないというこの 2つの抑制力が働いているため、医療費の抑制に成功している。
具体的には,医療機関に流れるお金は,すべて診療報酬体系というパイプを 通じて流れているのである。診療報酬体系といういわば公定料金を上げ下げす ることによって医療費全体、そしに医療サービスの内容も調整しているのであ る。
診療報酬の構造
いわばこの医療機関に流れるお金に診療報酬という大きなバルブがあって, バルブを非常にタイトにしめてきたので医療費の抑制が可能であった。診療報 酬の体系の特徴について述べてみよう。
診療報酬の構造は昭和の初めに骨格ができた。開業医による医療が大半を占 めていたため診療報酬という名称になった。また,診療報酬と名付けたのはそ れが開業医の延長線上にあったからである。
医師報酬も病院報酬も同じ体系上で規定されている国は日本以外にはない。 料金の設定が細かく診療報酬によって規定されていて,その設定いかんによっ ては、診療行為である医療サービスが不採算になるか、利益がでるかが決まる。 全ての医療機関はこの料金設定の影響を受ける。
また,2年おきに政治的な交渉により改定されている。中央社会保険医療協議 会という場で、コストデータなども提供されるが,基本的には政治的な交渉に よって改定がおこなわれる。改定がおこなわれるには2つのステージがあり,診 療報酬1%値上げなどの総枠については直接反映されている。
日本の保険による医療費の4分の1は税金でまかなわれている。その税金は一 般会計からでている。そこで一般会計にどれだけ医療保険に対する助成をする かということを予算編成前に決めなければいけないので,年内に改定の総枠が 決まる。
それにより全体の大きさが決まる。個別の医療行為,この検査をいくら下げ るかはこれも基本的にはバランス感覚を重視する。診療科によるバランスがと れない場合は次の年の改定で調整される。同じように入院と外来,あるいは病 院と診療所それぞれが毎回勝者?になるのではなく,改定の度にバランスにし たがって,調整される。政治的な判断に従ってなにをバランスされるかを決め る。そうなると前年度の実績ということが基本となるので,高度医療もそのな かに入ってくる。
大分類の価格指数の変動
高度医療に対する設定は低い点数にならざるを得ないという状況におかれて いる。診療行為の大分類にしたがって単価がどう変わっているかということを 研究してみた。この10年間,検査の内容を高度化しても基本的に単価は変わら ない。個別の検査についていえば検査の単価は下がっているともいえる。 手術や診察料は,けっして上がり方は大きくはない。入院時の単価はそう変 わっていない。なかでも薬剤の公定価格は大幅に下がっている。公定価格とい うのは通常は上がっていくわけであるが,下げることによって医療費の抑制が 可能になる。
薬剤を除いた毎年の増加率は年間2.8%である。賃金の上昇率よりも低い数字 になっている。
手術率の日米比較
一部眼科などの手術を除いて,基本的には不採算の構造になっている。その 端的な現れが日米の侵襲的な手技に対する価値観の相違である。日本人は内科 的治療を好む。84年では,日本の手術数はアメリカの3分の1である。この間、 アメリカはDRGの影響を受けて,入院で手術するよりも外来で手術する傾向にあ ったので,DRGが導入される前の日米の手術の件数の違いのほうが適切であろう。 アメリカの手術統計は入院手術だけなので,実際には3倍の格差があるであろう。 このように手術が全体的に少ない上に、どこでそれらの手術がおこなわれて いるかというと,大学病院つまり公的病院でその4分の3がおこなわれている。 ベット数でいえば,私的病院は6割を占めているが,手術数では4分の1にすぎ ないのである。その理由は診療報酬とはべつに政府から補助金という制度があって,直接病院にお金がながれている。
その99%が公的病院にながれている。そこに大きな問題がある。
医療制度改革の実現へ向けて
─病院と診療所の新たな時代─ 佐々木 麗
PHP研究本部ジャーナル 1997年6月発行
病院(ホスピタル)と診療所(クリニック)
医療費格差の現状とその要因
日本では白内障手術についでポピュラーな手術である虫垂切除術(いわゆる 盲腸炎)について、その平均的な入院医療費を大病院と診療所で比較したもの が次の図である。盲腸炎の場合、非常に重症で治療が難しいというケースはほ とんどないので、多くの医療機関で実際に手術が行われている。言い換えれば、 どこで手術を受けても治療内容にそんなに違いはないはずの病気である。とこ ろが実際は、同じ盲腸炎の手術でも、ベッドが200床以上ある大病院と診療所と では、約10万円の差が開いている。内訳によれば、手術費用は変わりなく、入 院費(室料、看護料等)、検査費、薬剤費(注射・投薬)が大病院ほど高額にな っていることが分かる。同様の結果は、鼠形ヘルニア手術の入院費を比較し た場合にも見られる。誰でもどこでも同じ医療を受けられるように同一の診療 報酬となっていたはずが、価格だけを同一にしたことによって、どうやら新し い相違を生じさせているようである。
他国に例を見ない診療報酬の特徴は先に述べた通りである。諸外国には「病 院=入院」、「診療所=外来」という機能上の線引きがあり、病院と診療所の 診療報酬体系はその機能評価の対象が違うように別の形態がとられている。ち なみにアメリカにおける入院費は疾病別の定額払い制であり、開業医は出来高 払い制である。ドイツやフランスでは病院が一日当たりの定額払い制で、開業 医は出来高払い制である。しかも出来高制といっても、総枠規制などによる上 限を伴ったものである。
病院や診療所の医業経営の実態を示す「医療経済実態調査(平成7年)」に よれば、医療機関の医業収入から医業費用を控除した収支差額は、それぞれの 医業収入を100とした場合、一般病院は1.1、一般診療所は17.3(有床)と25.1(無 床)であり、病院の収益率が極端に低いことが分かる。その理由は病院の給与負 担が5割も占めていることや(診療所は3割弱)、賃貸料・福利厚生などの経 費や診療材料費、医療消耗器具備品費などの負担比率が高いことである。
あるべき診療報酬体系とは
日本の場合、病院の発展経過からすると、諸外国のような病院と診療所の明 確な機能区分はしにくいかもしれない。しかし、医療技術の進歩はめざましく、 高度医療を扱う病院が増大する一方で、慢性疾患や老人の在宅医療などの地域 医療の中心となる病院や診療所の強化も進んでいる。こうした、ますます多様 化していく国民のニーズに応えるためには、それぞれの医療機関は自らの担う べき役割や機能を認識し、独自の目的と戦略を持って経営して行かなければな らないだろう。
戦後の厚生行政が奏功し、量的な医療サービスの充足感を得た国民は、いま 医療の質を求め出している。それは昨今、第三者機関による病院の評価機構が できたことにも象徴されている。やればやるだけ費用請求ができる、すなわち 量が評価されるような現在の診療報酬では、何ら質を評価することにはならな い。質の評価といったところで、いわゆる密室状態での医師と患者の個々の診 療を評価することなど不可能であろう。しかし、だからこそ質的な要素を診療 報酬にできる限り盛り込み、医療機関の機能を重視し、質の向上に対する努力 が正当に評価されるような診療報酬体系を構築しなくてはならないのである。
国会での医療改革の議論では、従来の出来高払い制に変わるものとして、定 額払い制が取り沙汰されている。その際にも、医療費抑制という効果を持ち出 すだけでなく、医療機関の機能を重視した、質的評価の実践といった点からも 議論の展開を期待したい。
そのためには、これまでの診療所に手厚い診療報酬を抜本的に改革し、医療 機関の機能に応じて、病院と診療所を別の診療報酬体系にすることが必要であ る。さらに、診療報酬が医療にかかるすべての費用を補填するという考え方に こだわらず、施設や機器設備等の資本関連コストに対して、補助金や税金とい った他の政策手段を積極的に活用することによって、病院機能の一層の充実を 図るべきである。
定額 制 から 見 た 医療 経済
医療効率化のための医療経済 医学部:山上征二
医療には原価の反映を図る必要がある。
日本での医療費の抑制を可能にした構造
日本での医療費の抑制を可能にした構造
北九医ニュース北九州市医師会広報委員会
「高齢化先進国における福祉財政の動向」
社団法人エイジング総合研究センター平成10年度
「ITの視点から 日本の医療を問い直す」
住友生命総合健診システム 岡田武夫
国民皆保険で、医療費のほとんどは保険にまつわる。その割合は、人件費が半分。 材料費が4分の1、その4分の3が薬剤費、残りの4分の1が設備費など。制度 別では老人保険が3分の1。半分以上が保険料、残りの3分の1が国庫と地方の 公費、14%が患者負担。8割以上が、患者さんではなく、患者を通さずに入っ ているのが特徴。患者は自己負担で払うが、それよりも多くが保険者から支払わ れる。出資しているのは一人一人の国民という流れ。
保険料は所得で決定され、実質的な総枠予算制だ。本来的な出来高払いは、医療機関の言い 値で決定されるのが本来。医療機関の言い値が通るわけではない。同一の点数表 を使うのは不思議。複数の点数表があってもいいのか?
14回医療制度研究会講演会
   「日本医師会」が病院医療に求めるもの
日本医師会常任理事 星 北斗 先生
◇医療の仕組み
質問1:Drフィー、ホスピタルフィーについてのお考えは?
回答: 当然分離すべきであると考えている。現行の日本の病院制度の中で実現することは難しいが、医師に、頑張ろうという気を失わせているのも事実である。明確に分離すべきであると考えている。
質問2:もの(医療材料など)の値段が日本では極端に高く資源を無駄に使っている。そのうえ金は周辺産業に流れている。ものの値段が高いことだけでも日総研が情報公開してほしいと思う。ニアミスでもそうだが起きないようなシステムを作ることが必要。それに必要なのは人手だと思うが、こと医療となると簡単にたるんでいるととられてしまう。医療関係者が素直に実体を言えるような情報の資源を作らなければならないと思うがいかがか?
回答:ものの値段についてはMOS協議で貿易不均衡是正のために政治決着がされており、自動車を売るため、米を輸入しないための交換条件として医療材料は高く買っているといわれている。日医総研では、健保組合は赤字というが計算のやり方で実際は黒字であるとか、医療経済実態調査で10%改善といわれる報告は、増加している診療実日数で是正したらマイナスになっている問題など、いろいろな事実を調べては報告している。われわれが言ってもなかなかマスコミは書かない。これが伝わらない一つの原因である。これからもエビデンスは作らなければならないし、粘り強く続けていきたい。
質問3:再診料に病院と診療所の差をつける、病診連携をやろうと思っても逆の効果になる。政策的に日医と厚生省は似通っていると思ってしまうがいかがか?
回答:今回の改訂で外来患者数は増加すると思っていたらその通りになった。同時に単価は下がって収益は下がった。そもそも細かい診療報酬の操作でことを運ぼうというやり方はナンセンスと思う。これからは病院を入れた全体的なあり方をベースとした議論が出来るようになるのではないかと思う。
質問4:病診連携が進むと大病院の救急外来が増えると思うが、この件に関して考えは?また制度上のバックアップについては?
回答:病診連携をやる病院は2次救急をしっかり受け入れるべきである。救急は小児科にしても、循環器にしても、スタッフ確保が重要だが、応援を大学病院に求めても、大学の教育方針との落差もあり人材の確保が難しいが努力で解決するしかない。救急医療に関する診療報酬の問題を持ち出されるとしんどい。無闇に上げると質の低下や患者の奪い合いが起きてくる、更には24時間診療を掲げて地域医療のバランスを崩す要因となるかもしれない。良い医療のために救急医療を充実しようという前向きの考えが必要と思う。経済誘導は薬価差益解消の問題でも、調剤薬局にかかる費用が多くなり、薬価差をけずって財源を確保しようとした意図とは反対の効果が出てしまっている。診療報酬をいじって経済誘導を行う手法からそろそろ脱却する時期であると思うし、次の知恵を考え出し行動を起こさなければならない。
質問5:材料費が高い、技術料が低いなどといった制度の問題は日医がアピールして、国民を味方にする努力をして欲しいと思う。紹介率の問題は初診が大部分を占める救急をやればやるほど評価が低くなる矛盾を抱えている。
回答:その通りと思う。
質問6:日医は大病院の総枠予算制を打ち出しているがこの件について
回答:日医としてはひとつの選択肢として、主に特定機能病院にコスト意識を喚起する目的でやったらどうかという議論を提供しているという認識である。実際に行うのは難しいと思う。原価をベースにした総枠予算制はならば良いのではないかと思うが、その算定は今のままでは困難である。診療所はそのままで病院のシェアだけを減らそうとして考えたという議論にはしたくない。
質問6:急性期病床を将来的に半分に減らす。これは医療の質を上げるためにも、マクロの経済的にも必要と言われているが、病院の数を少なくして医療の配分をきちっと厚生省や日医が出来るのか、実現すれば将来希望が持てるようになるのかお考えは?
回答:病床数を単純に半分にする事は統制によりやることになるだろうが、無理だと思う。医療はもっと自由で活気があり、かつきちんと責任を果たすという業界であるべきであると思う。これに関連して株式会社の参入問題があるが、儲かることだけをやり、採算のとれない部分を避けるというのも許されないと思う。未来がバラ色ばかりとはならないだろうが悲観はしていない。
問題7:母親がリウマチで入院中に転倒骨折した。動けない病人をどうして骨折させるんだ。と父親に憤慨されたが、看護婦は忙しいからと納得してもらわなければならなかった。土木工事を中心とした社会でなく、安心して医療にかかれる社会システムを考えないとならないと思うがいかがか?
問題8:医師会がひとつの党を応援しないとならないというのは、現在の政治状況を考えると別な党を押すという選択肢はないのか?
 民主党の医療政策を知ると、そんなことはいっていられないと思う。健康な都会のサラリーマンをメインとする政策は、医療の実態とは認識のずれがあることを知ってもらいたい。
○現在の流れ
高齢者医療制度改革の方向を探る
月光 医療経済研究機構のセミナー
三師会が報酬体系の考え方を説明
支払側の共通見解を集約へ
日医総研政策批判