医療機関の保険外負担をめぐる通達

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1)保険医療機関等において患者から求めることができる実費:保医発第0901002号 平成17年9月1日(一部改正 平成17年10月1日
2)保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について:(平成六年三月一六日)(保険発第二六号)
3)保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について:(平成四年四月八日)(老健第七九号)
4)東京保険医協会の混合診療に関する見解
5)糖尿病における保険外負担をめぐる話題

医療機関における収益事業について

1)医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について(平成五年二月三日)(総第五号・指第九号)
2)厚生労働大臣の定める医療法人が行うことができる収益業務(平成十年三月二十七日)(厚生省告示第百八号)
3)特別医療法人について(平成10年7月6日)(健政発第802号)(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長)


薬の適応外処方について
薬の適応外処方は合理的であれば医師の裁量である

1)保険医療機関等において患者から求めることができる実費保医発第0901002号 平成17年9月1日

保医発第0901002号 平成17年9月1日(一部改正 平成17年10月1日)
療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/171017-a.pdf

1.実費徴収に関する手続きについて
(1)保険医療機関内の見やすい場所,例えば,受付窓口,待合室等に実費徴収に係るサービス等の内容及び料金について患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。なお,掲示の方法については,「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」第3の1(2)エに示す掲示例による。
(2)患者からの実費徴収が必要となる場合には,患者に対し,徴収に係るサービスの内容や料金等について明確かつ懇切に説明し,同意を確認の上徴収する。この同意の確認は,徴収に係るサービスの内容及び料金を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行う。ただし,この同意書による確認は,実費徴収の必要が生じるごとに逐次行う必要はなく,入院に係る説明等の際に具体的な内容及び料金を明示した同意書により包括的に確認する方法で差し支えない。なお,このような場合でも,以後別途実費徴収する事項が生じたときは,その都度,同意書により確認する。
(3)患者から実費徴収した場合は,他の費用と区別した内容の分かる領収証を発行する。
(4)なお.「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」及び「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」に示したとおり,「お世話料」「施設管理料」「雑費」等の曖昧な名目での実費徴収は認められないので,改めて留意されたい。

●療養の給付と直接関係ないサービス等
療養の給付と直接関係ないサービス等の具体例としては、次に掲げるものが挙げられること。
(1)日常生活上必要なサービスにかかる費用
ア.おむつ代、尿とりパット代、腹帯代、T字帯代
イ.病衣貸与料(手術、検査等を行なう場合の病衣貸与を除く)
ウ.テレビ代
エ.理髪代
オ.クリーニング代
カ.ゲーム機、パソコン(インターネットの利用等)の貸出し
キ.MD、CD、DVD各プレイヤーの貸出し及びそのソフトの貸出し
ク.患者図書館の利用料等
(2)公的保険給付とは関係のない文書の発行に係る費用
ア.証明書代
イ.診療録の開示手数料(閲覧、写しの交付等に係る手数料)等
ウ.外国人患者が自国の保険請求等に必要な診断書等の翻訳料等
(3)診療報酬点数上実費徴収が可能なものとして明記されている費用
ア.在宅医療に係る交通費
イ.薬剤の容器代
ただし、原則として保険医療機関等から患者へ貸与するものとする。
(4)医療行為ではあるが、治療中の疾病または負傷に対するものではないものに係る費用
ア.インフルエンザ等の予防接種
イ.美容形成(しみとり等)
ウ.ニコチン貼付剤の処方等
(5)その他
ア保険薬局における患家への調剤した医薬品の持参料
イ日本語を理解できない患者に対する通訳料
ウ他院より借りたフィルムの返却時の郵送代
エ院内併設プールで行なうマタニティースイミングに係る費用
オ患者の自己利用目的によるレントゲンのコピー代等
3 療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないもの

療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないものとしては、具体的には次に掲げるものが挙げられること
(1)手技料等に包括されている材料やサービスに係る費用
ア 入院環境等に係るもの
(例)シーツ代、冷暖房代、電気代(ヘッドホンステレオ等を使用した際の充電に係るもの等)、清拭用タオル代、おむつの処理費用、電気アンカ・電気毛布の使用料、在宅療養者の電話診療、医療相談、血液検査など検査結果の印刷費用代等
イ 材料に係るもの
(例)衛生材料代(ガーゼ代、絆創膏代等)、おむつ交換や吸引などの処置時に使用する手袋代、手術に通常使用する材料代(縫合糸代等)、ウロバッグ代、皮膚過敏症に対するカブレ防止テープの提供、骨折や捻挫などの際に使用するサポーターや三角巾、医療機関が提供する在宅医療で使用する衛生材料等、医師の指示によるスポイト代、散剤のカプセル充填のカプセル代、一包化した場合の分包紙代及びユニパック代等
ウ サービスに係るもの
(例)手術前の剃毛代、医療法等において設置が義務付けられている相談窓口での相談、車椅子用座布団等の消毒洗浄費用、インターネット等より取得した診療情報の提供、食事時のとろみ剤やフレーバーの費用等
(2)診療報酬の算定上、回数制限のある検査等を規定回数以上に行った場合の費用
(費用を徴収できるものとして、別に厚生労働大臣の定めるものを除く。)
(3)新薬、新医療機器、先進医療等に係る費用
ア 薬事法上の承認前の医薬品・医療機器(治験に係るものを除く。)
イ 適応外使用の医薬品(選定療養を除く。)
ウ 保険適用となっていない治療方法(高度先進医療及び先進医療を除く)等

4その他
上記1から3までに掲げる事項のほか、費用徴収する場合の具体的取扱いについては、「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」及び「『療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等』及び『選定療養及び特定療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等』の制定に伴う実施上の留意事項について」を参考にされたい。
なお、上記に関連するものとして、入院時や松葉杖等の貸与の際に事前に患者から預託される金銭(いわゆる「預り金」)については、その取扱いが明確になっていなかったところであるが、将来的に発生することが予想される債権を適正に管理する観点から、保険医療機関が患者から「預り金」を求める場合にあっては、当該保険医療機関は、患者側への十分な情報提供、同意の確認や内容、金額、精算方法等の明示などの適正な手続を確保すること。

 上記の通知のうち、平成18年3月31日付の一部改正通知において、「療養の給付と直接関係のないサービス等の具体例」として記載されていた「患者の自己利用目的によるレントゲンのコピー代」が削除されました。
 但し、厚生労働省疑義解釈によれば、「セカンド・オピニオン以外の利用目的(例えば、裁判や保険会社への提出物として利用する場合など)である場合には、従来どおり患者から費用を徴収してよい」となっています。
平成18年3月31日付の一部改正通知
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/dl/tp0314-1b27.pdf

2)保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について:(平成四年四月八日)(老健第七九号)
(各都道府県老人医療主管部(局)老人医療主管課(部)長あて厚生省大臣官房老人保健福祉部老人保健課長通知)

保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正については、昭和六○年七月八日付健医老計第一○号通知及び健医老老第二五号通知並びに昭和六二年二月一八日付健医老老第八号通知(以下「昭和六二年通知」という。)によりこれが是正につきご努力願っているところであるが、先の第一二一国会で成立した老人保健法等の一部を改正する法律の法律案審議の過程において、保険外負担の是正についてその徹底を強く求められたところである。さらに参議院の当該法律案に対する附帯決議においてもそのことが謳われていることにかんがみ、今般、昭和六二年通知の全部を改正し、次のとおり取り扱うこととしたので、医療保険主管課と十分連絡をとりこれが徹底につき御配意願いたい。なお、下記事項については、保険局とも協議済みであるので念のため申し添える。


一保険外負担の取扱いについて
(一)一部負担金(特定療養費に係るものを含む。)を除く患者負担のうち保険(医療)給付と重複する「サービス」又は「物」については、その名目の如何を問わず患者から費用を徴収することは認められないこと。この場合において保険(医療)給付と重複する「サービス」又は「物」とは、原則として治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」又は「物」をいうものであること。したがって、「介護料」、「衛生材料費」等の費用徴収は認められないこと。
(二)前記(一)以外で家庭においても日常生活上の利便として必要な治療(看護)とは直接関連のない「サービス」又は「物」について、その実費を徴収することは原則として差し支えないこと。ただし、当該実費の額は、社会常識上妥当適正な額でなければならないものであること。なお、この場合、保険医療機関はその病院又は診療所の見やすい場所に当該実費に係る費用の内容及び金額等に関する事項を掲示するとともに、当該実費の徴収に当たってはあらかじめ患者又はその家族等に対してそれらの実費に関して十分説明を行い承諾を得ること。
(三)前記(二)の場合であっても、曖昧な名目(例えば「お世話料」、「管理協力費」、「雑費」等)での費用徴収は行ってはならないものであること。また、当該実費を徴収した場合には、医療費控除の適用等の趣旨に鑑み、それぞれ個別の費用ごとに名称及び金額を区分して記載した領収書を交付すること。
二保険医療機関等の指導について患者から徴収する費用には、雑多な名目が付されているので必ずしも名目にとらわれることなく関係者から費用の内容を聴取したうえ、保険(医療)給付と重複する費用を徴収していることが判明した場合には、ただちに是正するよう指示すること。

3)保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について
(平成六年三月一六日)(保険発第二六号)(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長、国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局医療課長・厚生省保険局歯科医療管理官通知)

保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等については、本日付け保発第一七号をもって厚生省保険局長から都道府県知事あて通知されたところであるが、これが実施に伴う留意事項は、次のとおりであるので、その取扱に遺憾のないよう、関係者に対し周知徹底を図られたい。なお、この通知は、平成六年四月一日(第四の三については同年六月一日)から適用する。記第一保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一五号。以下単に「療養担当規則」という。)の一部改正に関する事項

一適正な手続の確保(第二条の二)関係保険医療機関が行うこととされている厚生大臣又は都道府県知事に対する各種の申請、届出等に係る手続あるいは診療報酬請求事務については、これを適正に行わなければならないことは改めて言及するまでもないところであるが、今回の診療報酬改定に伴い、許認可事項の簡素化が行われ、新規の制度は原則として届出事項として創設されるとともに、ほとんどの承認事項が平成六年一〇月一日から届出事項とされること等に伴い、こうした手続を適正に行わなければならない旨、再度確認する観点から、本条を設けることとしたものであること。
二健康保険事業の健全な運営の確保(第二条の三及び第一九条の二)関係
(一)保険医療機関及び保険医は、健康保険事業の健全な運営を損なうようなことは厳に慎むべきものであること。
(二)具体的には、例えば、特定の保険医療機関と保険薬局が経済的に結びつくこと等は、医薬分業の趣旨、保険診療の経済的な評価等の観点からして問題であるほか、診療行為に付随して保険医等がリベート、バックマージン等を受け取る等の行為は保険財源の効率的な使用を害し、保険診療に対する国民の信頼を揺るがしかねない由々しい行為であり、このようなことのないよう明らかにしたものであること。
三収容(第一一条)関係今回の診療報酬改定により、従前の基準寝具設備を室料と合わせて入院環境料として評価することとしたことに伴い、療養環境の確保を図るための当然の条件として、療養担当規則上明示的に位置づけたものであること。
四特定の保険薬局への誘導の禁止(第一九条の三)関係
(一)今回、「調剤薬局の取扱いについて」(昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号、保発第三四号)に基づき行われている保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化するとともに、適正な医薬分業の推進を図る観点から、保険医が、処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行ってはならないとする規定を新設したものであること。
(二)具体的には、(一)に記した事項のほか、例えば以下のような行為を行ってはならないこと。
ア保険医療機関内において、患者サービスの目的で、近隣の保険薬局の所在地を表した地図を配布する際に、特定の保険薬局についてのみを記載すること。
イ処方せんの処方欄に、保険医療機関と保険薬局との間で約束されたいわゆる約束処方による医薬品名の省略、記号等による記載を行うこと。
五投薬(第二〇条第二号及び第二一条第二号)関係
(一)今回、在宅医療の進展及び投薬の実状を勘案し、内服薬及び外用薬の投与期間を適正化したこと。
(二)具体的には、以下のように定めたこと。
ア内服薬については、厚生大臣の定めるものにつき、厚生大臣の定める疾患に罹患している者に対する場合及びウの場合を除き、一回一四日分を限度として投与することとしたこと。
イ外用薬については、厚生大臣の定めるものにつき、厚生大臣の定める疾患に罹患している者に対する場合及びウの場合を除き、一回七日分を限度として投与することとしたこと。
ウ長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認められるときは、必要最小限の範囲において、一回三〇日分を限度として投与できることとしたこと。この場合において、必要があると認められるときとは、海外への渡航、年末・年始及び連休に係るもの等に限られるものであること。また、単に保険医療機関への通院が困難又は保険医療機関が遠隔地にある等の理由で、内服薬については一四日、外用薬については七日を超えて投与することは認められないものであること。
エなお、ウの場合、診療報酬明細書の摘要欄及び院外処方せんの備考欄に、内服薬については一四日を超えて投与した理由、外用薬については七日を超えて投与した理由を記載しなければならないこと、調剤報酬明細書の適用欄に当該理由を転記すべきことを別途通知するものであること。
六処方せんの交付(第二三条第二項)関係医薬分業の進展に伴い、保険薬剤師からの、処方せんを発行した保険医に対する疑義照会が円滑に行われるよう、保険医の疑義照会に対する応答義務に関する規定を置いたものであること。
七適正な費用の請求の確保(第二三条の二)関係
(一)健康保険制度においては、保険医療機関が療養の給付を担当し、当該給付に係る費用の請求を自らの責任のもとに行うこととされており、一方で保険医は、直接的には診療行為に責任を持つものであるが、自ら行った診療に対する情報の提供等により保険医療機関が行う療養の給付に関する費用の請求が適正なものとなるよう努めることが保険医に求められているため、これを明示的に規定したものであること。
(二)保険医がその行った診療に関して、保険医療機関の不正請求を助長するような専門的助言等を行うこと、例えば、ある疾患の患者に対して通常であれば行われるような検査、投薬等を実際には行わなかったにもかかわらず、教示し、不正な診療報酬請求をなさしめるような行為は厳に慎むべきものであること。
八診療録、歯科診療録(様式第一号)関係
用紙の大きさが従前はB列5番とされていたが、今後は、特に大きさを定めないこととしたこと。なお、この場合において行政文書のA判化等を踏まえ、今後はA列四番としていく方向が望ましいことを別途通知するものであること。
九処方せん(様式第二号)関係
(一)今回、医薬分業の進展に伴い、処方せんの様式をより適切なものに改めたこと。
(二)具体的には、以下のとおり改めたこと。
ア用紙の大きさを、最近のA判化の動向、諸外国の状況等にかんがみ、従来のB列五番からA列五番に改めたこと。
イ今回の改正に係る療養担当規則第一九条の二において規定された、特定の保険薬局への患者誘導の禁止を徹底するために、様式中に「この処方せんは、どの保険薬局でも有効である。」旨を追加したこと。
ウ医薬分業の進展に伴い増加している疑義照会に対して、回答の内容を記載するのに必要な備考欄を大きくしたこと。
エ薬剤師法(昭和三五年法律第一四六号)第二六条及び同法施行規則(昭和三六年厚生省令第五号)第一五条の規定により、処方せんに記載することが義務づけられている調剤済みの旨、調剤年月日、薬剤師氏名、薬局の所在地及び名称を記載する欄を設けたこと。
オその他所要の改正を行ったこと。なお、今回の改正前の様式による処方せんの用紙については、当分の間これを使用することができるものであること。
一〇その他
今回の改正に関連して、保険医療機関において療養の給付の担当に関する帳簿等を整備しておくことの必要性が従来にも増して高まるが、療養担当規則第九条の規定に基づき、こうした記録の整備を一層徹底し、データ管理に努めるべきものであること。

第二保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一六号)の一部改正に関する事項
一健康保険事業の健全な運営の確保(第二条の三)関係
(一)今回、「調剤薬局の取扱いについて」(昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号、保発第三四号)に基づき行われている保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化する観点から、保険薬局は、療養の給付の担当に関し、保険医療機関と一体とみられるような運営を行ってはならない旨を特に定めたこと。
(二)その他については第一と同様であること。

第三厚生大臣の定める掲示事項、特定承認保険医療機関に係る厚生大臣の定める療養及び厚生大臣の定める報告事項(平成六年三月厚生省告示第五六号)に関する事項
一厚生大臣の定める掲示事項関係
(一)保険医療機関が提供する医療サービスの内容及び費用に関する事項について、患者に対する情報の提供の促進を図る観点から、療養担当規則上院内掲示が義務付けられている特定療養費に係るものを除き、届出事項等を院内掲示の対象としたこと。なお、本年一〇月一日から届出制となるものの取扱いについては、基本的に届出事項を掲示することとなるものであるが、詳細については別途通知する。
(二)具体的には、従来からの院内掲示とされていたものを含め、以下の四つの事項を院内掲示事項として定めたこと。
ア入院基本料に関する事項保険医療機関は、入院基本料に係る届出内容の概要(看護要員の対患者割合、看護要員の構成)を掲示するものとすること。
(掲示例)
(ア)一般病棟入院基本料二、一〇対一看護補助加算を実施している病院の例「当病院は、(日勤・夜勤あわせて)入院患者二・五人に対して一人以上の看護職員と入院患者一〇人に対して一人以上の看護補助者がいます。」
(イ)有床診療所T群入院基本料二の例「当診療所には、看護職員が五名以上勤務しています。」
イかかりつけ歯科医初診料に関する事項保険医療機関は、かかりつけ歯科医初診料に係る届出を行った場合は、当該届出により患者が受けられるサービス等(治療内容等に関する治療計画の策定、口腔の状況の説明、治療計画に関する文書による情報提供等)をわかりやすく掲示するものとすること。
ウ保険医療機関の従業員以外の者による看護(付添看護)に関する事項
(ア)付添看護制度は、医療保険制度の改正により、平成六年一〇月一日から厚生大臣の定める病院又は診療所を除いて禁止されることとなったところであるが、これらの点を踏まえ、その周知徹底と運用の適正化を図る観点から院内掲示事項としたものであること。
(イ)保険医療機関(無床診療所を除く。)は、次に掲げる事項を掲示する。
a医療保険制度の改正に伴う経過措置により、例外的に付添看護が認められる保険医療機関にあっては、例えば、「当病院は基準看護ではなく、やむを得ない場合には患者の負担による付添看護を求めることがありうる」旨の掲示を行うこと。なお、例外的に付添看護が認められる保険医療機関については、追って関係告示が公布された時点で別途通知するものであること。
ba以外の保険医療機関にあっては、例えば、「当病院においては、患者の負担による付添看護を行っていません」という旨の掲示を行うこと。
エ地方社会保険事務局長への届出事項に関する事項
(ア)健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年三月厚生省告示第五四号)及び入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年八月厚生省告示第二三七号)に基づき、医療機関が診療報酬上地方社会保険事務局長へ届け出ることとされている事項を届け出た場合は、当該届け出た事項を掲示するものとすること。
(イ)具体的には、病衣加算の届出、各種施設基準に適合している旨の届出、入院時食事療養(T)及び特別管理の届出等に使用した届出書の内容のうち、届出を行ったことにより患者が受けられるサービス等をわかりやすく掲示するものであること。
(掲示例)入院時食事療養に係る特別管理を実施している病院の例「入院時食事療養に関する特別管理の届出に係る食事を提供していること。特別管理による食事の提供では、管理栄養士によって管理された食事が適時(夕食については午後六時以降)、適温で提供されること。」

エ保険外負担に関する事項(ア)今回、いわゆる保険外負担について、その適切な運用を期するため、院内掲示の対象とすることとしたものであること。なお、保険外負担のあり方については、平成四年四月八日付老健第七九号「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」を参考にされたいこと。
(イ)具体的には、次に掲げる事項を掲示するものとすること。
a,法令の規定に基づかず、患者から費用の支払を受けている個々の「サービス」又は「物」について、その項目とそれに要する実費
b,「介護料」「衛生材料費」等の、治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」又は「物」については、患者から費用を徴収することは認められていないこと。また、「施設管理費」「雑費」等曖昧な名目での費用徴収は認められていないこと。
(掲示例)
「当院では、以下の項目について、その使用量、利用回数に応じた実費の負担をお願いしています。
紙おむつ代1枚につき〇〇円
理髪代1回につき〇〇〇〇円
なお、衛生材料等の治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」や「物」について費用の徴収や、「施設管理費」等の曖昧な名目での費用の徴収は、一切認められていません。」
(三)なお、特定療養費に係る事項については、従前より、療養担当規則第五条の四第二項に基づきその内容及び費用につき院内掲示を行う旨定められているところであるが、今後とも当該事項を院内の見やすい場所に掲示することの徹底が図られるべきものであること。

二特定承認保険医療機関に係る厚生大臣の定める療養関係
療養担当規則第五条の二第二項の規定に基づき、特定承認保険医療機関が患者の選択により提供する厚生大臣の定める療養は、健康保険法第四三条第二項の規定に基づき厚生大臣の定める療養(平成六年八月厚生省告示第二三六号)の各号に定める療養と同様であること。
三厚生大臣の定める報告事項関係
(一)今回、従来から、報告を義務付けている事項にあわせ、現行上通知に基づき報告を求めている一定の事項等について療養担当規則上の位置づけを明確にする観点から、告示に明記することとしたものであること。これらの報告事項の詳細については、必要に応じ別途通知する予定であるが、基本的には従来から通知等により定時の報告を求めてきたものが該当するものであること。
(二)具体的には、現行上明記されているものを含め、以下の五つの事項を報告事項として定めたこと。
ア付添看護に関する事項毎年七月一日現在で、医療保険制度の改正に伴う経過措置により、付添看護を行うことが例外的に認められた保険医療機関に、直近一年間(前年の七月一日から当該年の六月末日)における付添看護の状況(患者の負担による付添看護を受けた患者の日毎の数)を報告させる。
イ健康保険法第四三条第二項に規定する選定療養に関する事項
ウ入院時医学管理加算に関する事項
エ酸素及び窒素の購入価格に関する事項
オ歯科口腔衛生指導料及び歯周疾患指導管理料に係る歯科衛生士の実施指導加算に関する事項
カ健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年三月厚生省告示第五四号)及び入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年八月厚生省告示第二三七号)に基づき、地方社会保険事務局長に届け出た事項に関する事項
(ア)保険医療機関が都道府県知事に届け出た事項については、毎年七月一日現在の届出事項に係る状況等を地方社会保険事務局長に報告するものであること。
(イ)この中には、「基本診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第六七号)及び特掲診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第六八号)に係る届出に関する事項が含まれるものであること。第四特定療養費に係る療養の基準(昭和六三年三月厚生省告示五三号。以下「特定療養費基準」という。)に関する事項)

一特別の療養環境の提供に係る基準関係
(一)診療報酬において、室料が療養環境に着目したより広い概念である入院環境料に改編されたことに伴い、従来の「特別の病室の提供」と「療養型病床群に係る特別の療養環境の提供」を「特別の療養環境の提供」として一本化したものであること。
(二)具体的には、療養環境の向上に対するニーズが高まりつつあることに対応して、患者の選択の機会を広げるために、より一層良好な療養環境を提供する以下の要件を満たす病床について保険医療機関(特定承認保険医療機関を含む。以下同じ。)の病床数の五割まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
(三)(二)に加えて、厚生大臣が次に掲げる要件を満たすものとして承認した保険医療機関にあっては、当該承認に係る病床割合まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
ア当該保険医療機関の属する地域の病床の整備状況からみて、特別の療養環境に係る病床数の当該保険医療機関の病床数に対する割合を増加しても患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないこと。この場合においては、医療法(昭和二三年法律第二〇五号)に基づく医療計画に定める必要病床数と既存病床数との関係を勘案するとともに、当該保険医療機関におけるこれまでの特別の病室の稼働の状況、特別の病室の申し込みの状況等を併せて勘案し、当該保険医療機関の特定の病室を増加しても、患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないかどうか判断するものとすること。
イ経験を有する常勤の相談員により、特別の療養環境の提供に係る病室への入退室及び特別の料金等に関する相談体制が常時とられていること。
ウ新看護等の基準(平成六年三月厚生省告示第六三号)の新看護等の基準の項に規定する二対一看護であって、当該基準における看護婦及び准看護婦の最少必要数の七割以上が看護婦であるものにより看護を行う保険医療機関であること。
エ医療法施行規則(昭和二三年厚生省令第五〇号)第一九条第一項第一号及び第二号に定める医師及び歯科医師の員数を満たしていること。
オ厚生大臣から当該承認を受ける前六月間において特定療養費に係る療養の基準(昭和六三年三月厚生省告示第五三号)に違反したことがなく、かつ現に違反していないこと。
(四)ただし、特定機能病院以外の保険医療機関であって、国又は地方公共団体が開設するものにあっては、その公的性格等にかんがみ、国が開設するものにあっては病床数の二割以下、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の三割以下としたこと。
(五)療養環境については、患者が特別の負担をする上でふさわしい療養環境である必要があり、次のアからエの要件を充足するものでなければならないこと。
ア特別の療養環境に係る一の病室の病床数は四床以下であること。
イ病室の面積は一人当たり六・四平方メートル以上であること。
ウ病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。
エ少なくとも下記の設備を有すること。
(ア)個人用の私物の収納設備(イ)個人用の照明(ウ)小机等及び椅子
(六)特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。
(七)したがって、特別療養環境室へ入院させ、患者に特別の料金を求めることができるのは、患者側の希望がある場合に限られるものであり、救急患者、術後患者等、治療上の必要から特別療養環境室へ入院させたような場合には、患者負担を求めてはならず、患者の病状の経過を観察しつつ、一般病床が空床となるのを待って、当該病床に移す等適切な措置を講ずるものであること。
(八)特別療養環境室へ入院させた場合においては、次の事項を履行するものであること。
ア保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数及び料金を掲示しておくこと。
イ特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。
ウこの同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるようにしておくこと。
(九)患者が事実上特別の負担なしでは入院できないような運営を行う保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられる恐れがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は更新による再指定に当たっては、十分改善がなされた上で、これを行う等の措置も考慮すること。
(一○)国又は地方公共団体が開設する保険医療機関が、平成六年三月三一日現在、従来の特別の病室として厚生大臣又は都道府県知事による承認を受け、現に国が開設するものにあっては病床数の二割、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の三割を超えて特別の料金の徴収を行っている場合には、当分の間、当該病床割合に基づき特別の料金の徴収を行っても差し支えないものであるが、今後、できるだけ早く、二割以下又は三割以下とするよう努力するものであること。
(一一)平成六年三月三一日現在、従来の特別の病室として特別の料金を徴収している病室が(四)のイに掲げる要件を満たしていない場合は、当該病床を含む病棟の改築又は建替までは経過的に当該要件を課さないこととするが、早急に改善されるべきものであること。
(一二)保険医療機関は、特別の療養環境の提供に係る病床数、特別の料金等を定期的に都道府県知事に報告するとともに、当該事項を定め又は変更しようとする場合には、別紙様式により都道府県知事にその都度報告するものであること。

二紹介外来型病院における初診に関する基準関係
(一)直接紹介外来型病院を受診した患者については、自己の選択に係るものとして初診料に相当する療養部分について、その費用を患者から徴収することができるが、当該費用の徴収の取扱いは、初診料の取扱いに準じるものであること。したがって当該費用は、初診料に相当する療養に要するものとして妥当と認められるものであるほか、以下の取扱いとすること。
ア患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった場合に徴収できるものであり、自ら学校検診を行った患者に診療を開始した場合等には、徴収できないこと。
イ同時に二以上の傷病について初診を行った場合においても、一回しか徴収できないこと。
ウ一傷病の診療継続中に他の傷病が発生して初診を行った場合においても、第一回の初診時にしか徴収できないこと。
エ医科・歯科併設の病院においては、互いに関連のある傷病の場合を除き、医科及び歯科において別にそれぞれ徴収できること。
オ初診料の各種加算点数に相当する費用を徴収できること。
(二)紹介外来型病院においては、「他の保険医療機関からの紹介によらず、当該病院に直接来院した患者については初診に係る費用として〇〇〇円を徴収する。ただし、緊急やむを得ない事情により、他の保険医療機関からの紹介によらずに来院した場合にあっては、この限りでない。」旨を病院内の見やすい場所に明示すること。
(三)紹介外来型病院は特別の料金等の内容を定め又は変更しようとする場合は、都道府県知事にその都度報告するものであること。
三金属床による総義歯の提供に関する基準関係
(一)今回、有床義歯に係る患者のニーズの動向等を踏まえ、金属床総義歯に係る特定療養費制度を創設したものであること。
(二)金属床総義歯とは、義歯床粘膜面の大部分が金属で構成されていて顎粘膜面にその金属が直接接触する形態で、なおかつ金属部分で咬合・咀嚼力の大部分を負担できる構造の総義歯をいうものであること。
(三)本制度が適用されるのは、患者に対して総義歯に関する十分な情報提供がなされ、医療機関との関係において患者の自由な選択と同意があった場合に限られるものであること。
(四)金属床総義歯を提供する場合はスルフォン樹脂を用いたものとみなして特定療養費を支給するが、その費用は患者に対し実際に行った再診、補綴関連検査、補綴時診断、印象採得、仮床試適、義歯製作(材料料を含む。)、装着及び新製義歯調整指導(一回のみ)に係る所定点数を合計して算出すること。
(五)保険医療機関が、特定療養費及び特別の料金からなる金属床義歯に係る費用等を定めた場合又は変更しようとする場合は別紙様式により都道府県知事にその都度報告するものであること。
(六)本制度に基づき、金属床総義歯に係る費用を徴収する保険医療機関は、金属床総義歯の概要及び金属床総義歯に係る費用について、あらかじめ院内の見やすい場所に掲示しておかなければならないこと。
(七)金属床総義歯に係る費用については、社会的にみて妥当適切なものでなければならないこと。
(八)患者から金属床総義歯に係る費用徴収を行った保険医療機関は、患者に対し、特定療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該費用徴収に係る受領証を交付するものであること。
(九)本制度に基づき、金属床総義歯の提供を行った保険医療機関は、毎年定期的に金属床総義歯に係る費用を含めた金属床総義歯の実施状況について、都道府県知事に対し、報告を行うものであること。
(一○)なお、(四)に係る報告については、本制度の実施を控え、平成六年五月一日から受け付けるものであり、(八)に係る報告については、本年に限り不要とすること。
四その他
(一)特定療養費に係る前記以外の療養に関しても、共通的に患者への情報提供と患者の自由な選択と同意を条件としたほか、当該サービス内容を定め、又は変更する場合に都道府県知事に報告しなければならないこととしたものであること。なお、この報告については、新設された上記一又は三に係る療養を提供する場合、又は既存の特定療養費に係る療養を新たに提供しようとする場合の他は不要とするが、報告の際には全ての特定療養費に係る療養を一括して別紙様式により報告することとすること。
(二)予約に基づく診察については、大臣承認制を廃止するほか、看護類別、加算入院時医学管理料の要件を廃止(診療所も可)するとともに、予約診察の時間を診療科ごとに延べ診療時間の一/二程度(特定機能病院以外の国公立は一/三のままとし、特定機能病院は二/三とする。)まで拡大して認めるものであること。(平成六年三月一六日保険発第二九号通知参照)
(別紙様式)
特定療養費か係る療養の提供の実施(変更)報告書

4)東京保険医協会の保険外負担、混合診療に関する見解

この保険診療の規則とその規則違反について具体的に詳しく解説します。
以下は混合診療に関しての東京都の判断を東京保険医協会がまとめています。


表2、混合診療に該当するケース・しないケース
ケース適否解説

1通常の保険診療で血液検査を実施した際に、患者から併せて血液型も調べてほしいと依頼され、血液型の検査費用を実費徴収する。
○混合診療の禁止には該当しない。保険診療の対象疾患と関係のない検査であれば、その検査費用を徴収することは差し支えない。

2通常の保険診療で治療中の患者から、次回受診時に公的な健康診査を併せて実施してほしいと依頼され、保険診療と健康診査を同時に行い、保険診療の一部負担金と検診の自己負担金を徴収する。
○混合診療の禁止には該当しない。患者の自発的な意志で健康診査を希望したものであれば差し支えない。

3高血圧で定期的に受診している患者から、受診時に「インフルエンザ・ワクチンを接種してほしい」と依頼され、保険診療の一部負担金とは別に接種の費用を徴収する。
○混合診療の禁止には該当しない。なお、予防接種ガイドラインで「予防接種時間または場所を一般が依頼とは分けて実施し、一般の受診者から接種対象者が感染を受けないよう十分配慮しなければならない」ことが示されているので、その点を配慮すること。

4予防接種時に、湿疹をみとめ、外用薬を保険で投与する。
○混合診療の禁止には該当しない。ただし、公的な予防接種等で、予防接種の費用に診察料が考慮されている場合、接種時の診察料は保険請求できない。

5健康診断の結果、治療が必要となり、引き続き保険診療扱いで投薬する。
○混合診療の禁止には該当しない。健康診断の結果を出した後に治療の必要ありと判断した場合、以後の診療を保険扱いとすることは差し支えない。

6自費による検診の際、内視鏡検査でポリープが見つかり、悪性腫瘍を疑って組織採取・病理組織顕微鏡検査を実施する。
×この場合、内視鏡検査と、それに続く組織採取・病理組織顕微鏡検査は検診の一連の行為と判断され、保険扱いはできない。
○追加訂正;これは平成15年7月30日に厚生労働省保険局医療課よりの事務連絡で、内視鏡検査・組織採取・病理組織顕微鏡検査に関しては保険適応されることになりました。
http://www.kokuhoren-chiba.or.jp/news/142.pdf
1.健康診断時の内視鏡検査により病変を発見し、引き続き、その内視鏡を使用して治療を開始した場合においては、その治療は療養の給付として行われるものであるため、保険医療機関は内視鏡下生検法、病理組織顕微鏡検査、内視鏡を使用した手術など治療の費用を保険請求することができる。
 なお、内視鏡を使用した手術の所定点数には内視鏡検査の費用が含まれていることから、内視鏡を使用した手術の費用を保険請求する場合には、健康診断としての内視鏡検査の費用の支払を受けることはできない。

7保険診療で治療中、治療目的で使用する保険適用外の薬剤・検査のみを自費徴収する。
×混合診療に該当し、認められない。

8保険診療で治療中、バイアグラ錠の処方依頼を受け、保険診療と併せてバイアグラ錠の処方に関連した費用を自費徴収する。
○混合診療の禁止には該当しない。同様のケースで、ニコレット、ピルを処方した場合も混合診療には該当しない。ただし、バイアグラ錠等の処方のための検査・調剤等の費用も保険診療の対象とはならない。保険診療外の診療・調剤行為は、保険診療に係る診療録とは明確に区別する必要がある。

9継続療養で高血圧を治療中に、新たに腰痛の治療も行ったが、新しい保険にはまだ加入していなかったため、高血圧の治療は保険扱いし、腰痛の治療は自費徴収する。
○認められる。また、A病は自賠、B病は保険診療という組み合わせも可。

10,A病を4月1日保険診療、同月3日に保険適用外の特殊療法を施行し診察料も含めすべて自費診療。5日に再び保険診療。このように同一月に同一疾病に対する保険と自費が混在する。
×混合診療に該当し認められない。A病に係る保険適用外の特殊療法を行っている。保険と自費の日を変えても一連の治療と判断され不可。

11,丸山ワクチンの注射を依頼され、診察料のみを保険請求し、注射料を自費徴収する。
×丸山ワクチンは保険未収載の薬剤のため、診察料・注射料等ワクチン注射に係るすべてが自費徴収となる。

糖尿病における保険外負担をめぐる話題

IDDM-Mailnet
http://www.joho-kyoto.or.jp/~iddm-net/HTML/iryohi2.htm


医療機関における収益事業について


○医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について(平成五年二月三日)(総第五号・指第九号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省健康政策局総務・指導課長連名通知)
医療法第七条及び第八条の規定に基づく医療機関の開設手続きについては、特に、開設者が実質的に医療機関の運営の責任主体たり得ること及び営利を目的とするものでないことを十分確認する必要があり、これまでも昭和六二年六月二六日総第二六号指第二〇号健康政策局総務課長・指導課長連名通知(以下「昭和六二年通知」という。)により、ご配意いただいているところであるが、今般、医療法に基づく病院の開設・経営に当たって、開設者が実質的に病院の開設・経営の責任主体でなくなっていたにもかかわらず病院の廃止届を提出せず、当該病院が開設者以外の者により開設・経営されていたという事例が明らかになった。
これは医療法の根幹に関わることであり、これらの事態は、開設許可時においても十分な審査と適切な指導を行うことにより、未然に防止できる事例も少なくないと考えられるので、今後かかることのないよう、開設許可時の審査に当たって、開設申請者が実質的に開設・経営等の責任主体たり得ないおそれがある場合及び非営利性につき疑義が生じた場合の確認事項、または、開設後に開設・経営等につき同様の疑義が生じ、特別な検査を必要とする場合の検査内容を、左記のとおり定めたので、開設許可の審査及び開設後の医療機関に対する検査にあたり十分留意の上厳正に対処されたい。
なお、昭和六二年通知は廃止する。


第一 開設許可の審査に当たっての確認事項
医療機関の開設許可の審査に際し、開設申請者が実質的に医療機関の開設・経営の責任主体たり得るか及び営利を目的とするものでないか否かを審査するに当たっては、開設主体、設立目的、運営方針、資金計画等を総合的に勘案するとともに、以下の事項を十分に確認した上で判断すること。
なお、審査に当たっては、開設申請者からの説明聴取だけでなく、事実が判断できる資料の収集に努めること。
1 医療機関の開設者に関する確認事項
(1) 医療法第七条に定める開設者とは、医療機関の開設・経営の責任主体であり、原則として営利を目的としない法人又は医師(歯科医業にあっては歯科医師。以下同じ。)である個人であること。
(2) 開設・経営の責任主体とは次の内容を包括的に具備するものであること。
(1) 開設者が、当該医療機関を開設・経営する意思を有していること。
(2) 開設者が、他の第三者を雇用主とする雇用関係(雇用契約の有無に関わらず実質的に同様な状態にあることが明らかなものを含む。)にないこと。
(3) 開設者である個人及び当該医療機関の管理者については、当該医療機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等の役職員と兼務している場合は、医療機関の開設・経営に影響を与えることがないものであること。
(4) 開設者である法人の役員が、当該医療機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等の役職員と兼務している場合は、医療機関の開設・経営に影響を与えることがないものであること。
(5) 開設者が、当該医療機関の人事権(職員の任免権)及び職員の基本的な労働条件の決定権などの権限を掌握していること。
ただし、当該医療機関の幹部職員に定款、内部規程等の規定により権限を委任している場合はこの限りではない。
(6) 開設者が、当該医療機関の収益・資産・資本の帰属主体及び損失・負債の責任主体であること。
なお、医療機関が必要とする土地、建物又は設備を他の第三者から借りる場合においては、
ア 当該土地及び建物については、賃貸借登記をすることが望ましい(病院に限る。また、設備は除く。以下同じ。)。
イ 貸借契約書は適正になされ、借料の額、契約期間等の契約内容(建物が未完成等の理由で契約未締結の場合は、契約予定の内容)が適正であること。
ウ 借料が医療機関の収入の一定割合とするものでないこと。
(3) 開設・経営に関する資金計画については、次の内容を審査すること。
なお、資金計画は、医療法施行規則第一条第一項第五号の「維持の方法」を確認するものであり、「開設後2年間の収支見込」等の資料とする。
また、医師が病院を開設する場合においても同資料の提出を求めることが望ましい。
なお、開設者が医療法人の場合にあっては、同規則第三一条第七号をもって代替することができるものであること。
(1) 収入見込の根拠となる患者数等の見込は過大でないこと。
(2) 支出見込の根拠となる人件費等の見積りは適正であること。
(3) 必要な自己資本が確保されていることを金融機関等の残高証明で確認できること。
(4) 借入金がある場合は、その借入が確実なものであることを金融機関等の融資証明等によって確認できること。
(5) 第三者から資金の提供がある場合は、医療機関の開設・経営に関与するおそれがないこと。
(4) 開設申請者が名義上の開設者で第三者が医療機関の開設・経営を実質的に左右するおそれがあるとの指摘、情報等がある場合には、その指摘等の内容も含め申請書類のみならず実態面の各種事情を十分精査の上判断すること。
(5) 医療法第一〇条に規定する管理者とは、開設者の任命を受けて医療機関の管理・運営について責任を持つ者で医師に限定されていること。
また、病院の管理者は常勤であること。
2 非営利性に関する確認事項等
(1) 医療機関の開設主体が営利を目的とする法人でないこと。
ただし、専ら当該法人の職員の福利厚生を目的とする場合はこの限りでないこと。
(2) 医療機関の運営上生じる剰余金を役職員や第三者に配分しないこと。
(3) 医療法人の場合は、法令により認められているものを除き、収益事業を経営していないこと。
(4) 営利法人が福利厚生を目的とする病院の開設許可を行う場合及び医師でない個人に対し病院の開設許可を行う場合は、事前に当職まで協議すること。
第二 特別な検査を必要とする場合の検査内容
1 開設者が実質的に医療機関の開設・経営の責任主体たり得ること及び営利を目的とするものでないことにつき疑義が呈された病院で貴職が必要と認めた場合については、立入検査の際、前記第一に記載された事項(貴職が検査を不要と判断した事項を除く。)について検査すること。
なお、この検査権限は開設主体に係るものであることに留意するとともに、立入検査を実施する場合は、事前に当職まで対象病院について報告すること。
2 医療法人が病院の開設者であることにつき疑義が呈され、貴職が必要と認めた場合は、その疑義の内容を特定し、遅滞なく医療法第六三条に基づく立入検査を実施すべきものであることを付記する。

○厚生労働大臣の定める医療法人が行うことができる収益業務(平成十年三月二十七日)(厚生省告示第百八号)
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四十二条第二項の規定に基づき、厚生大臣の定める医療法人が行うことができる収益業務を次のように定め、平成十年四月一日から適用する。
厚生労働大臣の定める医療法人が行うことができる収益業務
(平一二厚告四五八・改称)
(法第四十二条第二項に規定する厚生労働大臣が定める業務)
第一条 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四十二条第二項に規定する厚生労働大臣が定める業務は、次条各号に掲げる収益業務であって、次の要件に該当するものとする。

一 一定の計画の下に収益を得ることを目的として反復継続して行われる行為であって、社会通念上業務と認められる程度のものであること。
二 医療法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるものでないこと。
三 経営が投機的に行われるものでないこと。
四 当該業務を行うことにより、当該医療法人の開設する病院、診療所又は介護老人保健施設(以下「病院等」という。)の業務の円滑な遂行を妨げるおそれがないこと。
五 当該医療法人以外の者に対する名義の貸与その他不当な方法で経営されるものでないこと。
(平一二厚告一〇七・平一二厚告四五八・一部改正)
(収益業務の種類)
第二条 収益業務の種類は、日本標準産業分類(平成十四年総務省告示第百三十九号)に定めるもののうち、次の各号に掲げるものとする。
一 農業
二 林業
三 漁業
四 製造業
五 情報通信業
六 運輸業
七 卸売・小売業
八 不動産業(「建物売買業、土地売買業」を除く。)
九 飲食店、宿泊業
十 医療、福祉(病院、診療所又は介護老人保健施設に係るもの及び医療法第四十二条各号に掲げるものを除く。)
十一 教育、学習支援業
十二 複合サービス事業
十三 サービス業
(平一五厚労告三六一・全改)
(収益業務の範囲)
第三条 前条各号に掲げる業務には、当該医療法人の開設する病院等の業務の一部として又はこれ附随して行われるものを含まないものとする。

改正文 (平成一二年三月三〇日厚生省告示第一〇七号) 抄
平成十二年四月一日から適用する。
改正文 (平成一二年一二月二八日厚生省告示第四五八号) 抄
平成十三年一月六日から適用する。

○特別医療法人について(平成10年7月6日)(健政発第802号)(各都道府県知事あて厚生省健康政策局長)
平成9年12月17日付けで公布された医療法の一部を改正する法律(平成9年法律第125号)のうち、特別医療法人に関する規定については、本年3月20日付けで公布された医療法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成10年政令第45号。別添1参照)により、本年4月1日から施行されることとなった。
これに伴い、医療法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成10年政令第46号。別添2参照)が本年3月20日付けで、医療法施行規則等の一部を改正する省令(平成10年厚生省令第35号。別添3参照)が本年3月27日付けでそれぞれ公布され、本年4月1日より施行されたところである。併せて、厚生大臣の定める医療法人が行うことができる収益業務(平成10年厚生省告示第108号。別添4参照)が本年3月27日付けで告示され、本年4月1日から施行されたところである。
特別医療法人制度の創設に係るこれらの措置の内容及びこれらに関連して都道府県において扱うこととなる事務の処理については左記のとおりであるので、御了知の上、適正なる実施を期するとともに、貴管下の医療法人については、今回の趣旨に鑑み、その指導監督により一層の御配慮を願いたい。


第1 特別医療法人制度の趣旨
医療法人制度は、医療機関の開設主体を法人化することにより、医療の永続性及び継続性並びに資金の集積性を確保し、もって私人による医療機関の経営を容易にすることを目的として、昭和25年に創設され、現在、医療法人は、我が国の医療の最も有力な提供主体となっている。
近年、地域における民間医療機関の重要性の増大、医療機関の経営の悪化等医療を取り巻く環境が変化している中で、地域において重要な役割を果たしている民間医療機関の経営の安定性の確保等が求められている。
このため、一定の要件を満たし公的な運営が確保されている医療法人を特別医療法人として位置づけ、その収益を医業経営に充てることを目的とした収益業務を実施することができるものとし、地域における医療の安定的な提供体制を整備するものである。

第2 特別医療法人の要件
医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第44条又は第50条の規定により、医療法人の設立認可又は寄附行為若しくは定款の変更認可を行うにあたり、当該医療法人が、法第42条第2項に規定する特別医療法人に該当する場合又は特別医療法人に該当することとなる場合にあっては、次に掲げる要件に該当するか否かについて審査を行うものとすること。
また、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「規則」という。)第30条の36第1項の規定により、社団である医療法人で持分の定めのあるものが、定款を変更して、社団である医療法人で持分の定めのないものに移行する場合にあっては、当該法人の社員総会において、定款の変更認可がなされた日をもって持分請求権の放棄の効力が生ずるものとする決議を行うものであることにつき、留意するものであること。
1 法人の種別について(規則第30条の35第1項第1号)
財団である医療法人又は社団である医療法人で持分の定めのないものであること。
2 医療施設について(規則第30条の35第1項第2号)
当該医療法人が開設する病院又は診療所のうち、一以上のものが、(1)及び(2)に該当するものであること。
(1) @に掲げる病床のいずれかを含み、又はAに掲げる病院又は診療所であること。 @ 次に掲げる病床のいずれかを含む病院又は診療所であること。
ア 専らがんその他の悪性新生物、小児疾患若しくは周産期疾患又は循環器疾患に関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院又は診療所並びにこれらに準ずる機能及び性格を有する病院又は診療所の病床
イ 専らリハビリテーションに関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院又は診療所並びにこれに準ずる機能及び性格を有する病院又は診療所の病床
ウ 救急医療体制において不可欠な診療機能を有する病院又は診療所の当該機能に係る病床
エ 精神病質、アルコールその他の薬物による中毒性精神疾患、老人性精神疾患、小児精神疾患、頭部外傷による精神疾患又は合併症を伴う精神疾患に関し、特殊の診断機能を有する病院又は診療所の当該機能に係る病床
オ 治療方法の確立していない疾病にり患している者を入院させ、当該疾病に関し、診断及び治療並びに調査研究を行う病院又は診療所の当該機能に係る病床
カ 小児慢性疾患に関し、診断及び治療を行う病院であつて、療養中の児童又は生徒に対して学校教育を行う施設が設置されているものの当該機能に係る病床
キ 専ら末期のがんその他の悪性新生物の患者を入院させ、緩和ケアを行う病院又は診療所の当該機能に係る病床
ク 専ら結核後遺症に起因する慢性呼吸不全の患者を入院させ、診断及び治療を行う病院又は診療所の当該機能に係る病床
ケ 病院又は診療所の建物の全部又は一部、設備、器械及び器具を当該病院又は診療所に勤務しない医師又は歯科医師の診療、研究又は研修のために利用させる病院又は診療所の当該機能に係る病床
省略
6 医療法人の組織及び運営について
省略

第3 収益業務の実施
1 収益業務の範囲等
(1) 特別医療法人が行う収益業務については、次に掲げる要件を満たすものに限られるものであり、その規模、内容等についても、規則第30条の35第1項第3号の要件を満たすものであるほか、法の規定により設立された法人の行う業務として社会的に許容される範囲内のものであることに十分留意するものであること。
@ 一定の計画の下に収益を得ることを目的として反復継続して行われる行為であって、社会通念上事業と認められる程度のものであること。
A 医療法人の社会的信用を傷つけるおそれがないものであること。
B 経営が投機的に行われるものでないこと。
C 当該業務を行うことにより、当該医療法人が開設する病院等の業務の円滑な遂行を妨げるおそれがないものであること。
D 当該医療法人以外の者に対する名義の貸与その他不当な方法で経営されるものでないこと。
(2) 告示第2条各号に掲げる収益業務の範囲は、日本標準産業分類(平成14年3月7日総務省告示第139号)を参照されたいこと。
(3) (2)に掲げる業務には、当該医療法人の開設する病院等の業務の一部として又はこれに附随して行われるものは含まれないものとし、特段の定款変更等は要しないものとすること。

この場合、附随して行われる業務とは、次に掲げる業務であること。
@ 病院等の施設内で当該病院等に入院若しくは通院する患者及びその家族を対象として行われる業務又は病院等の職員の福利厚生のために行われる業務であって、医療提供又は療養の向上の一環として行われるものであること。
したがって、病院等の建物内で行われる売店、敷地内で行われる駐車場業等は、病院等の業務に附随して行われるもの
とされ、敷地外に有する法人所有の遊休資産を用いて行われる駐車場業は附随する業務に含まれないものとして取り扱うものとすること。
A 病院等の施設外で当該病院に通院する患者を対象として行われる業務であって、当該病院等において提供される医療又は療養に連続して行われるものであること。
したがって、当該病院等への、又は、当該病院等からの患者搬送は、病院等の業務に附随して行われるものとされ、当該病院等以外の病院から同じく当該病院等以外の病院への患者搬送は収益業務とされること。
B @及びAにおいて、当該法人が自らの事業として行わず、当該法人以外の者に委託して行う場合にあっては、当該法人以外の者が行う事業内容が、@又はAの前段に該当するものであるときは、当該法人以外の者への委託は附随する業務とみなし、@又はAの前段に該当しないものであるときは、附随する業務に含まれないものとして取り扱うものとすること。
2 関係法令の遵守
収益業務の実施に当たっては、医療法の規定に基づく定款変更等のみではなく、それぞれの行う業務に係る関係諸法令を遵守し、許可、届出等の手続きに遺漏がないように留意するものであること。
また、収益業務を定款等に記載する場合には、具体的に記載するものとすること。
3 区分経理
特別医療法人が収益業務を行う場合にあっては、収益業務から生ずる所得に関する経理と収益業務以外の業務から生ずる所得に関する経理とをそれぞれ区分して行わなければならないものとすること。
この場合の「所得に関する経理」とは、単に収益及び費用に関する経理だけではなく、資産、負債及び資本に関する経理についても同様にその区分経理が行わなければならないものとすること。
4 定款等の変更等
(1) 特別医療法人が新たに収益業務を行う場合にあっては、医療法第42条第2項の規定に基づき、当該医療法人の定款又は寄附行為の変更が必要であること。
(2) 定款又は寄附行為の変更認可の申請は、規則第32条第4項の規定により行うものとすること。
5 収益業務の実施に当たっての留意事項
収益業務の実施に当たっては、収益業務に多額の投資を行うことによって法人の経営状態が悪化したり、医療業務に必要な範囲を超えて収益業務の収入が確保されているなど法人の収益業務の継続が法人本来の業務である病院、診療所又は老人保健施設の経営に支障が生ずることのないよう、また、不公正取引を禁じる経済法規等に違反しているおそれがあるなどの社会的批判が惹起されないよう留意するものであること。例えば、収益業務の開始後概ね2年間を経過した後に、収益業務を行う特別医療法人の収益が、収益業務を行う前に比較し悪化した場合において、その収益悪化について、収益業務の開始以外の特段の理由が存在しない場合は、必要に応じ、法第64条第1項及び第2項、法第64条の2並びに法第66条の規定を適用することができるものであること。

薬の適応外処方
薬の適応外処方は合理的であれば医師の裁量である
159-参-厚生労働委員会-2号平成16年03月18日
○武見敬三君
さて、まず最初にお尋ねをさせていただきたいことは、これはやはり、医療というものを考えたときに、医師は患者に対して最善の治療を行うということがやはり大原則でなければいけない。そして、その最善の原則ということを考えたときに、医師と患者との間において人間関係に基づく信頼関係というものがまずその根底になければならないし、その信頼関係に基づいて医師及び患者側にそれぞれ選択の自由というものがきちんと確保され、それが常に医学、医療の進歩と、この我が国における公的医療保険を通じ、現物給付という形で行われる治療の内容というものを結合させて、そして常にその時代、状況の中で最善の治療が行えるように常に努力をする、これは私は厚生行政の中の基本でなければいけないと思います。
そして、そのことを考えたときに、言わば象徴的な課題と思われるものが適応外処方の問題であります
既に、この参議院厚生労働委員会の中で私、大臣に、これは二〇〇二年の十一月十四日、この委員会で私、実は既に質問をさせていただいております。これは、昭和五十五年に支払基金の理事長あてに当時の保険局長の通達がなされておりまして、そこで、こうした適応外処方について、画一的にこれを審査するような形はあってはならないということについての確認を当時の真野保険局長にしていただいたものであります。
坂口大臣からも、こうした適応外処方については、これレセプトで保険請求をするときに、その内容について一文、説明書きを書いておいてほしいということをそのとき私は言われました。それは誠にもっともなことだろうと思います。
そこで、改めて今、今日の時点において、この適応外処方の問題について、厚生労働大臣のこうした御認識は全く変わっていないのか、あるいは変わられたのか、改めてその点についての御質問をまずさせていただきたいと思います。
○国務大臣(坂口力君)
たしか、以前に御質問を受けたことがあったというふうに今ふと思い出しているわけでございますが、医師の裁量権というものは認められなければならないというふうに思っておりますし、考え方は変わっておりません。裁量権を認めた上でルールを作っていくということだと思っております。
○武見敬三君
その具体的中身について、画一的な審査は行うことがないという点、これ当時の真野保険局長の答弁の内容があるわけでありまして、現保険局長の辻さんも、その点はよく真野局長の当時の答弁の内容は御理解されていると思いますが、あの真野保険局長の答弁の内容はそのまま今の保険局長の御認識と同じというふうに考えてよろしいですか。
○政府参考人(辻哲夫君)
御指摘のとおり、同じでございます。

○武見敬三君
そこで伺いたいんでありますが、昨今ですね、こういう資料が出ております。これは千葉社会保険事務局指導医療官の方が配付された資料なんですけれども、「医薬品に係る特定療養費制度の拡充について特定療養費とは」と。そして、「「選定療養及び特定療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の制定に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について」と、こういう文書なんでありますが、その中で、言うなれば、こうした適応外処方というものについて、この「特定療養費(1)」というところで、「厚生労働大臣の定める医薬品(適応外薬剤)」と、こういうふうに書いてありまして、そして改めて、この「選定療養及び特定療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品(1)」として、例えばアスピリン、これは川崎病に対する新たな効能効果というものが今日認められるようになってきているわけでありますけれども、この言うなれば新たな効能効果についてこれを特定療養費化すると、こういうふうに説明がなされているわけであります。
この点について、まず辻保険局長、この内容はそのまま今日の厚生労働省の基本的な見解と同じというふうに理解していいんですか。
○政府参考人(辻哲夫君)
ちょっと私、その文書を直接今承知しておりませんが、少なくともアスピリンといった長期間効能というものが確認されてきたものにつきまして特定療養費扱いすると、適応外処方について特定療養費扱いするという認識は持っておりません。
○武見敬三君
そうすると、誠に、この資料で説明を受けた医師の側は、局長のおっしゃることと実際に現場で説明された内容というものが異なっているということになっちゃいます。これはやはり極めて問題が多い。厚生労働行政の中で私よく経験するんですよ。こうした場所で大臣や局長さんたちから答弁をちょうだいして、政策の方針についての内容を確認する。ところが、それを実施する現場の段階になりますと、そこには様々な新たな現場の解釈が伴ってきて、本来の趣旨と違った形で政策が実施されるということがよくあるんですよ。こういうことは、やはり厚生労働行政の中であってはならないと思います。今お聞きになってお分かりになると思いますけれども、正にこれがその例の一つでもあるんですよ。そこで、私お伺いしたいんでありますけれども、こうした適応外処方について、適応外処方についてこれを特定療養費扱いにするという方針は、これはもう既にこのような形で確定をし、実施されておるんですか、保険局長。
○政府参考人(辻哲夫君)
適応外処方につきまして、一定の新しい判断を行っておることは事実でございます。
これは具体的にはたしか十二月、昨年十二月だったと思いますが、中医協におきましてその点について御了承をいただきまして、その実施につきまして現在様々な更に詳しい中身を御指導させていただくということも検討中のものでございますが、それは既に薬価基準に収載されている医薬品の適応外処方のうち、特に新しい抗がん剤の併用療法等を念頭に置いて導入したものでございます。
具体的には、海外で標準的とされる抗がん剤の併用療法等につきまして、我が国ではその併用療法に用いられる当該医薬品がそのがんに対する薬事承認を受けていないことから、いわゆる混合診療に該当し、全額自己負担となってしまうということが各方面から御批判として出ておりまして、この点につきまして患者負担の軽減を図る観点から、薬事承認に係る新たな仕組みの導入に併せまして、こうした処方について、先ほど申しましたように、中医協において方針を御了承いただいたものでございます。
さらに、この際、今の、当初の御指摘との関係がございますのであえて説明させて、当初の御質問との関係で説明させていただきますが、これによりまして、近年開発されてきた分子標的薬のように、長期的な効果や安全性などが明らかでなく、言わば全く新しいタイプのものとして出てきたと、その前に類似のものがないと。また、我が国におけるその使用に基づく一定のエビデンスもないような新しい抗がん剤を適応外処方する場合について適切な使用が図られると、こういうふうに限定されているものでございまして、今まで確認されてまいりました、具体的には昭和五十五年の局長通知によりまして、再審査期間を終了するなど有効性、安全性が確認されている医薬品について、薬理作用に基づき学術上誤りのない処方を行った場合においては、いわゆる適応外処方についても個別事例に即して審査を行い、保険請求が認められ、患者の薬剤負担が三割とされてきたということにつきましての取扱いを変えるものではないと、こういう整理でこの仕組みを言わば実施させていただこうと考えております。
○武見敬三君
その整理の仕方は、それでは、既存薬の中で、抗がん剤をも含めて新たな効能効果が、科学技術の進歩、医学、医療の進歩を通じて改めて確認されるようになる、それが学会等においても議論をされ、そして確認をされ、文献の中でもそれがきちんと説明されるようになってくる、それを多くの臨床の医師が改めて研究調査をし、それを自ら日常診察する患者に適用していく、こうしたプロセスが現実に起きてくるわけであります。
しかし、実際のところ、ここでよくお考えいただきたいのは、既存薬の中で、それでは、新たにこのプロセスを経て効能効果が新たに確認されるようになる。しかし、そこで、一体、特定療養費化する際に、どの既存薬のどの新たな効能効果については、それを特定療養費化し、そして患者の十割負担にするのか。あるいは、どの既存薬については、新たな効能効果について確認をした上で、これを従来の適応外処方と同様に患者の三割負担でこれを適用するのか、その基準は今の御説明では余り明確じゃありませんですよ。
具体的に、じゃ、これ考えてみてください。先ほど申し上げました資料の中でも、アスピリン、これバイアスピリンで川崎病ですよね。それからそのほかに、これはクエン酸フェンタニル、これフェンタネスト、これバランス麻酔時の鎮静。それからエピネフリン、これはエピネフリンの注射液、これアナフラキシー反応補助薬。いろいろここに十品目ぐらい、既存の医薬品で新たな効能効果というものについてそれを特定療養費化すると、こうざっと書いてありますよ。じゃ、この中のどれが十割負担の特定療養費化される既存薬になるのか、どれが三割負担のそういう既存薬の適応外処方の継続になるのか、それ、局長、説明できますか。
○政府参考人(辻哲夫君)
先ほど申し上げましたような経緯から今回の取扱いを決めましたことから考えまして、もう少し具体的に改めて申し上げますと、近年登場した分子標的薬剤のような新しい抗がん剤等については、その作用も強く、使用に当たっては安全性、有効性を十分確認する必要があるというようなことで、それは裏返して言えば、先ほど申しました五十五年通知に出ておりますような再審査期間を終了するなど、有効性、安全性が確認されている医薬品に該当しないと、こういうことでもございまして、基本的にはそういう認識に基づきまして、その区分につきまして通達で明らかにしてまいりたいと考えております。
○武見敬三君
その安全性の確認、特に副作用についての新たな問題点というものをきちんと通達によって明らかにするということと、それを特定療養費化するということとの関係はどういうふうに整理をされておられるんですか。
○政府参考人(辻哲夫君)
基本的に、様々な薬剤の適応外処方につきましては、第一線で医師の言わば御判断によりまして行われていくということをこれまで申しておるわけでございますが、再三申し上げますように、新しいタイプの抗がん剤等が出てきておると。そして、それにつきましては大変、言わば長期的な安全性の確認もされていないし、通常、非常に恐らく効き目の強いものだろうと思いますが、そういうことにつきましては、やはり現実問題として、一般的に私どもの認識する限りは、処方は、適応外は手控えられておるという現状の下で、一方におきまして、海外において標準化しておるという情報が入る中で、早くそれを用いてほしいという強い要望があると。それが今の仕組みでは、今申しましたように、実績の積み重ねというものができていないという中で、一方において十割負担になってしまうと。
この問題を解決するために今回のような仕組みを私ども導入しようとしているわけでございまして、そういう意味で自ずから、言わば、従来から長期的に言わば現場で確認されてきたというものと全く新しいタイプというところに一つの基準があり、そのような観点から、患者さんの利益を優先してこのような特定療養費を導入することに合理性があると考えております。
○武見敬三君
その整理からいきますと、従来もう既に適応外処方として認められてきたものについては従来どおり三割負担でやりましょうと、そして実際に新たに見付けられた効能効果については、これは特定療養費化しましょうということになりますと、これから発生する適応外処方については、これは全部特定療養費化するということになっちゃいますよ。そういう考え方でいいんですか。
○政府参考人(辻哲夫君)
そこはこれから通知であるいはよく整理をしてまいりたいと思いますけれども、従来の取扱いで実際問題解決できないという事象、これは今の抗がん剤の併用療法が典型でございますが、こういうものに着目した限定的な、具体的には医薬安全局の所管でございますけれども、そういうものについて検討会を行いますといったようなことで取り上げられるといったものについて導入するのでございまして、基本的に、適応外処方一般にという意味でないと理解いたしております。