整形外科医療の現状

 20091224

改定について

1)配分の見直しで生み出される財源は大きくありません

 総額で34兆円、医科だけでも26兆円にもおよぶ医療費の規模や、慢性期医療の規模からも、見直しで生み出される財源では医療再生には到底足りません。以下は平成20年度の改定ですが、財政中立ではこの程度が限界です。

2)病院も診療所も危機的状況であり、病院のみならず全体的な底上げが必要です。

日本の医療費を先進国並み(OECD平均水準)にするためには、最低でも医療費を約10%引き上げなければなりません。産科・小児科・救急医療の充実、病院勤務医の過重労働緩和は最優先課題であることはいうまでもありませんが、同時に、地域医療全体の底上げが必要です。医療は、病院と診療所の連携の下、切れ目なく提供されなければならない。身近な診療所から病院への紹介、急性期医療、回復期医療、慢性期医療、診療所等への通院、在宅医療、すべてが健全化してこそ、安心の医療がもたらされる。

3)勤務医と開業医の収入を平準化すれば、診療所の経営は維持できない

  開業医は、収入から、借入金返済、設備維持費などを捻出している。よって勤務医と開業医の間で、医師給与を「手取り」で単純に「平準化」した場合、診療所の経営維持は望み難い。

 個人立の病院および診療所では、給与費に院長報酬が含まれてない。個人(いわゆる個人開業医)の場合には、税引前当期利益の中から、事業にかかわる税金を支払い、借入金の返済を行うなどして、その残りが退職金相当額を含む院長所得になる。給与費の意味合いがまったく異なる。なお個人立の診療所は法人に比較して概ね零細な医療機関であると思われる。

4)診療所の再診料が減れば、零細な医療機関ほど経営が立ち行かなくなる

 零細な所ほど検査や処置は少ない。収入にしめる初診料と再診料の比率は上がる。整形外科であれば30%を越します。よって診療所の再診料を下げれば、「零細な医療機関」ほど経営が立ち行かなくなります。

5)再診料が66点に統一されれば診療所の経営は立ち行かない

 診療所の再診料算定回数は病院の4.38倍であるから、66点で統一されれば病院は103億円のアップであり、診療所は375億円と実に3.65倍の削減となる。

 

再診料1点で年間どれくらいの医療費が必要か

病院  14,278,774/*12ヶ月*10円=17

診療所 62,581,252/*12ヶ月*10円=75

因みに厚労省は「診療所の再診料1点は、医療費ベースで100億円弱に相当する。」

社会医療診療行為別調査(各年6月審査分)初・再診料について厚労省中医協2009/11/16

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1106-9c.pdf

 

低医療費政策について

1)我が国の医療費は諸外国に比べ低水準にあります

 我が国の医療費は、国際的にみても低水準(対GDP比はOECD30カ国中21位)で、医療現場の努力により効率的かつ質の高い医療を提供してきました。しかし、高齢化の進展による患者増などにより、医療現場は疲弊しています。

2)長年にわたる低医療費政策

財務省による仕分け会議提出資料2009年11月11日

 

1981年以降の推移をみても一目瞭然ですが、近年のみならず、消費者物価指数、給料費などと比較しても判るように、長年にわたり医療費は抑制されています。医療費削減幅は労働者給与や、物価より削減幅が大きい。

 刷新会議への財務省提出資料はまず、1998年以降の表であり、タイムスパンが短い。以下の表は1981年以降である。これをみれば、近年のみならず長期にわたる、医療費抑制策がより明確になる。また刷新会議提出資料は「公務員給与」を使っている。しかし民間であれば「勤労者給与」を使うべきであろう。過去長期間にわたる、国の過度の医療費削減がより明確になる。また「公務員給与」は最近は下がっているが、公的病院では、いまだに官民格差が大きい。勤務医を除いた医療スタッフの給料は民の2倍近い。いわゆる公的病院の「官の非効率」であろう。

200910月全国保険医団体連合会作製資料)

3)近年は特に顕著で、すでに累計で7.7%の削減をされています

  小泉内閣の「基本方針2001」以降、特に医療費は厳しく抑制されてきました。診療報酬は2002年度以降、改定のたびに引き下げられ、2002年度から2008年度の間に引き下げ率は累計7.7%である。各医療機関では大幅なリストラを行っていますが、それ以前よりの抑制策もあり、医療機関の経営健全性は大きく損なわれています。その結果、医療現場が疲弊しただけでなく、安全で質の高い医療の提供が難しくなりました。損益分岐点は病院は元より、診療所も、のきなみ95%をこしています。倒産寸前です。

)2010年の改定率

2010年度の診療報酬を0・19%引き上げ2009/12/24

薬価を1・36%下げる。

本体を1・55%上げ。

5)理念なき削減;財務省の論理

とにかく減らす

医療予算について財務省平成211119

http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h22/iryo.pdf

 

6)医療機関の倒産件数は、過去最高を更新中。特に診療所が増加してきている。

 2009年10月の産業全体での倒産件数は、前年同月比 13.1%減。一方医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産件数は、2002年度以降、特に2006年度以降は増加している。帝国データバンクの「全国企業倒産集計」(200910月報)によると今年110月の累計は46件で、これは昨年同期27件の1.7倍に当たる。病院は、倒産件数は2006 年度(12 件)をピークに減少傾向をみせている。一方、「診療所」は倒産件数は増加しつづけている。競争激化の要因が大きい。

7)不況の為か患者さんの受診抑制が明確にでてきています。(厚労省平成21年12月)

 自己負担がほぼ3割となり、不況とあいまり、患者さんの受診抑制が顕著です。

8)診療所は過当競争である。

 受診抑制がでています。それに病院数は減少してきている。よって病院集中は改善してきている。診療所数は増加しているため過当競争である。

9)診療報酬削減は限界

 医療機関の経営状態は、収支差益のみならず、各種経営指標、特に経営安全率と損益分岐点でみるべきである。整形外科は経営安全率が他科より低く、また損益分岐点は最新のM-BASTでは無床院外の一般診療所では、対前年比で101.9であり、整形外科では102.2であり、いずれも悪化しています。ちなみに病院は対前年比95%です。

 

医療費の動向平成20年度「医療費の動向」平成21年6月より

医療費全体では

病院と診療所の外来医療の比較

1)外来医療費は大学病院の伸びが著しい。診療所は低く押さえられている。

 平成19年度の医療費の構造では、診療所の医療費は全体の23%にすぎません。入院は1.4%です。ちなみに薬局は15%であり伸びています。

2)病院集中は改善してきている。

3)大学は規模が大きい為、患者数、受診日数は診療所より大きい。

整形外科の医療費

医療費全体で整形外科が占める割合は0.8兆円で4.3%にすぎません。

 

整形外科診療所の特徴

整形外科は、リハビリのために他科より、スタッフ数が多く、診療所面積が大きくなる。内科などに比較すれば、規模が大きい。粗収入は多いが、人件費と借入金が他科より多いために、経営安全率は低い。手取り収入も低い。また診療単価が安いために、患者数減が経営に直結する。不況による受診抑制、過当競争もあり、一施設あたりの患者数は減ってきている。諸経費増、診療報酬抑制もあり、損益分岐点も悪化して、内科等に比べればハイリスクハイリターンからハイリスクローリターンの業種になりつつある。

1)整形外科の診療所数は、平成17年で13205件で増加してきている。ただし内科の1/5であり少ない。

2)整形外科の患者数は内科より著しく少ない

 高齢化社会を反映して、整形外科全体では患者数は増えているが微増で、極端に増えているわけではない。また患者数は、全体では内科よりは著しく少ない。一施設あたりでは内科よりは多いが、診療所あたりでは、整形外科診療所数が増えているために減ってきている。過当競争となっている。

3)整形外科診療所の一日あたりの医療費は最低である。

 他科、特に内科と比較しても平均単価は低いために、一日あたりの医療費は最低である。以下の表24−1で3452円は無床整形外科単価にしては高い。いささか疑問であるが入院外であり母集団も異なるし、平均と中央値の差かと思われる。(平成20年度国民医医療費の動向より)

4)整形外科は他科に比し受診日数が多い。

 規模が大きいために内科等より、患者数が多い。再診回数が多いことによると思われる。しかし一施設あたりは整形外科診療所数増加もあり減少してきている。(平成20年度医療費の動向より)

5)初診料と再診料の収入にしめる割合

 診療所は、病院と比べ「初・再診」「医学管理等」「処置」の割合が高く、「検査」「画像診断」の割合は低くなっています。平成20年度では一般診療所では、初診料と再診料の収入にしめる割合は、病院では10.5%。診療所では18.7%です。これは科によっても違います。投薬や処置の少ない科では、初診料と再診料で収入の3割を越します。

整形外科医療機関の初再診料比率(2008年10−12月)日本臨床整形外科学会

 整形外科では処置や検査が少ないので収入の30%を越します。初診料と再診料、特に再診料への経営依存が高いといえます。また規模では、零細な所ほど検査や処置は少ないわけで、収入にしめる初診料と再診料の比率は上がります。

整形外科医療機関での初再診料の占める割合(2008年10月-12月平均)

 

 

日本臨床整形外科学会

 医業収益/月

500万以下

500万ー1000万

1000万以上

診療所(無床)

32%

32%

28%

診療所(有床)

31%

31%

29%

病院(200床未満)

21%

31%

17%

病院(200床以上)

0%

0%

20%

 

6)整形外科は他科に比し外傷患者が多く地域の救急医療を担っている。

日本臨床整形外科学会調査:平成1911

a)診療時間が長い;多くの会員は19時近くまで診療している。

b)時間外対応も55%はしている。

c)現在の会員の勤務時間(N=708))は平均47.7時間/週と長い。

 なおこの勤務時間は、休憩時間や緊急等による時間外はいれていない。

 他資料では厚労省「医師需給に係る医師の勤務状況調査」平成18年3月では、病院常勤医師の平均勤務時間は平均で週48時間、診療所の常勤医師の平均勤務時間は週40時間とされている。一方日本医師会の2007年の調査では、1週間の勤務時間の比較(男性医師の場合)50歳代で診療所医師は54.2時間、病院勤務医師は43.7とされている。計算方法の違いはあるが厚労省の週40時間というのは、通常の標榜診療時間のみで、その前後をいれていないと思われる。著しく妥当性にかけるといわざるを得ない。

d)整形外科は外傷が多い

平成19年の救急自動車による事故種別出場件数によれば急病の60%以外は大部分整形外科対象疾患である。

交通事故11.4%

一般負傷13.3%

 過去10年間の救急搬送人員の変化(年齢・重症度別)救急搬送件数の伸びは、年齢別では小児より、高齢者が多く、重症度別では軽症・中等症が多い。

夜間診療に関するアンケート報告書 日本臨床整形外科学会 平成1911

http://www.jcoa.gr.jp/gozonzi/2007/zikangai/yakan2007.pdf

救急医療等の医療体制に係る現状と課題について

http://www.mhlw.go.jp/za/0731/c23/c23-06.pdf

平成20年版 救急・救助の現況:総務省消防庁:平成21122

http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/2101/210122-2houdou_h.pdf

 

7)整形外科は訴訟も多い

 日本医療機能評価機構の調査では、内科694(18.9) *、外科442(12.1) *、整形外科409(11.2)、小児科187(5.1)、精神科175(4.8)、産婦人科128(3.5)と続いた。

一方、司法統計として公表されている医事関係訴訟既済件数をみると平成20年は内科228*、外科180*、整形外科108件、産婦人科99件の順であった。 

  診療科別医師数は平成18年厚労省調査で内科96,399*、外科32,316*、整形外科18,870人、小児科14,700人、精神科12,829人、眼科12,362人、産婦人科11,783人である。平成18年〜20年までの各科既済件数の平均を平成18年の医師数で割り診療科別年間訴訟発生率を概算すると、医師100人あたり(1)産婦人科1.04件、(2)形成外科0.83件、(3)整形外科0.61件、(4)外科0.55件、以下内科0.25件である。

医療事故情報収集等事業:平成20年年報:日本医療機能評価機構平成21825

http://www.med-safe.jp/pdf/year_report_2008.pdf

 

整形外科診療所の経営状態

 経営状態の把握には、単に収支差益を比較するだけではなく、各種経営指標、特に損益分岐点と、経営安全率をみるべきです。整形外科は他科よりも、経営安全率は低く、損益分岐点は100を越していて、赤字であり、危機的状況である。

1)整形外科は借入金が多い

 M-BAST平成21年版によれば、無床個人診療所、院外処方では、長期借入金が他科よりも多く、47376千円で負債の43.2%を占めます。短期借入金は他科とは変りませんが、資金繰りが悪化しているため対前年比で増加しています。その結果借入金対月額医業収益高倍率(借入金/月額医業収益高)が他科より5.6と高くなっています。

 

2)整形外科は経営安全率が低い。

 これはリハビリの存在で他科より人件費率が高く借入金が多いためです。

 

損益差益について(税引前当期利益):医業経営実態調査

 個人開業医の場合には、税引前当期利益(医療経済実態調査の損益差額に相当)の中から、事業にかかわる税金(所得税、地方税)を支払い、借入金の返済を行うなどして、その残りが退職金相当額を含む院長所得になる。手取りではないから勤務医の収入との単純比較は出来ない。

1)医業経営実態調査は信頼性が低い

 例数が整形外科では42例と少ないために、整形外科診療所のデータの経年変動が大きすぎる。

2)調査が単月であり季節変動の影響を考えていない

 整形外科は6月が一番レセプト件数が多い。6月の調査では、整形外科に不利になる。皮膚科、眼科も6月に多い。

3)収入は中央値のほうが実態を反映する

 医業経営実態調査では整形外科(個人、入院なし)は医業収益では10791千円/月だが、中央値では8441千円に、損益差益は3622千円/月が中央値では2521千円/となる。かなり低くなります。

4)整形外科では税引前当期利益は悪化している

 実調の損益差額は、TKCの税引前当期利益とほぼ一致するのでこれで比較する。また、TKCは一般的に規模の大きい診療所のデータである。無床診療所で院内処方では整形外科は2195万円であり、内科、小児科と同程度(図2.5.9)。むしろ低いほうである。また無床診療所で院外処方では整形外科は3357万円である。しかし、眼科より低く、小児科と同程度であり、突出はしていない(図2.5.10)。

 

5)JCOA調査によれば、整形外科の無床診療所の損益差額は実調よりかなり低い

 損益差額差額(税引前当期純利益)のJCOA調査と実調の平均値の比較(平成21年6月)では、厚労省の医療経済実態調査より、JCOA調査の方が例数が多い。平成21年12月3日施行の「日本臨床整形外科学会医療経済実態調査」JCOAによれば、個人無床診療所と法人の無床診療所の平均値では個人無床の平均値の乖離が著しい。150万/月近い差である。JCOA調査では平均値でも204万円/月である。なお、法人の場合は実調より若干高いが、差は約20万/月である。

 

損益差額差額(税引前当期純利益)のJCOAと実調の比較(平成21年6月)

 

 

 

 

(円)

 

個人

 

法人

 

 

無床

有床

無床

有床

実調施設数

40

2

30

7

JCOA施設数

42

4

60

21

実調平均

3,622,000

1,080,000

586,000

3,660,000

実調中央値

2,521,000

 

596,000

 

JCOA平均

2,041,461

819,187

812,031

2,663,034

JCOA中央値

1,764,063

1,223,817

796,539

1,544,439

 

 

 

 

 

第17回医療経済実態調査平成21年6月号

 

JCOA:日本臨床整形外科学会医療経営実態調査平成21年6月

日本臨床整形外科学会医療経済実態調査2009年12月2日より引用

6)TKCのデータは規模の大きい医療機関のデータである。

aJCOATKCの従業員数の比較

 概ねTKCのほうが従業員数が多い。TKCは規模の大きい診療所の数値であるといえる。

日本臨床整形外科学会医療経済実態調査2009年12月2日より引用

bJCOATKCの税引前当期純利益の比較

 TKCのデータは規模が大きく赤字決算施設を除いた黒字医療機関のデータであり、個人無床院外、法人無床院外など、いずれもJCOA調査より多い。

日本臨床整形外科学会医療経済実態調査2009年12月2日より引用

7)整形外科は人件費などリハに関する経費が多いために損益差額率が低い

 損益差額率では整形外科は平成21年で31.6%であり眼科や皮膚科よりかなり低い。リハに関わる人件費などが多いためである。(健保連資料より2009年11月18日)

8)整形外科は内科や皮膚科より院内・院外ともに経常利益率が低い。

2.3. 法人の経常利益率(TKC医業経営指標に基づく動態分析の概要:日本医師会20091118日)無床診療所の院内・院外処方の比較(図 2.3.6)。

9)整形外科は減収が続いている。特に有床で顕著である。

10)損益分岐点では整形外科は悪化している。TKC医業経営指標に基づく動態分析の概要:日本医師会20091118日)

整形外科では最近5年間「損益分岐点医業収益高」が趨勢的に増加傾向にあります。主として限界利益率が減少しています。即ち、変動費である薬品、材料、委託費などの経費が増加傾向にあります。損益分岐点はTKCM-BAST最新版平成21年指標版によれば、整形外科の個人無床院外処方では対前年比102.2であり悪化しています。ちなみに個人、無床、院外処方の全診療所でも対前年比101.9で悪化しています。

 実調においては、損益分岐点比率は一般病院105.2%(医療法人は96.6%)、一般診療所(医療法人)93.8%です。一方、以下の「TKC医業経営指標」では、病院では95ですが、整形外科診療所無床院外では95.5です。整形外科診療所の方が厳しい。

 国公立病院は赤字ですが、勤務医の給料は低い。一方で、公務員の給料は下げられてきていますが、いまだ官民格差は大きい。たとえば国公立病院の看護職員の給与は民間個人病院の1.21.4倍、事務職員の給与は1.82.0倍です。また勤務医の給料比率は病院全体の給与費の10%にすぎません。

11)損益分岐点の限界

損益計算書上の利益が実際の現金増減と異なるように、損益分岐点を超えている事と十分な収入が確保できていることとはイコールではありません。あくまで損益分岐点は事業継続にあたり「自腹を切っていないかどうか」の基準点になります。

12)他業種との損益分岐点比率

 財務省の「法人企業統計」から計算すると、損益分岐点比率は、大企業で75.1%、中小企業で91.1%である(図3-1)。また産業別では、ライフライン産業である電気業が70.8%、ガス・熱供給・水道業が89.1%であるが、医療・福祉は95.9%である。

開業医と勤務医

勤務医の開業志向は必ずしも明確ではない

 年齢階級別にみると、医師数総数では「30歳〜39歳」が最も多くなっています。勤務医の増加が著しいが、勤務医師数の増加率は、近年少なくなっています。

 平均年齢をみると、「病院(医育機関付属の病院を除く)」では42.8歳、「医育機関付属の病院」36.3歳、「診療所」58.3歳となっています。

 平成10年では「病院」が64.6%、医育機関付属の病院、17.3%、診療所35.4%となっています。開業医の平均年齢は、平成8年から下降しています。ただし開業した年齢は平均41.3歳ですが、最近は開業年齢が高まってきております。

 

開業医の方が勤務医より特に経営に関するストレスが大きい

 精神的ストレスは、勤務医時代より「強くなった」が54.4%あり、半数以上が開業後の精神的ストレスの増加を感じていた。

開業医の負担

 開業後には、経営負担がのしかかる。最大の課題は「スタッフの採用」である。「経理・会計」および「税務」が負担であるという回答も、それぞれ4割以上、「資金繰り」も3割強あり、勤務医時代には経験のない経営管理業務が大きな負担になっている。

 借入金も約半数の開業医が負っており、特に新規開業で、開業5年以内の開業医では、「借入金あり」は85.8%である。さらに医療法人の場合、「借入金あり」の開業医の約9割が個人保証を行っている。

 

医師の収入について

厚労省の見解

○ 月123万円、月211万円、月205万円という数値自体は、中央社会保険医療協議会が実施した調査の結果(917病院、1047診療所が回答)であるが、病院勤務医の数値が「給与」である一方、開業医(個人)の数値は「給与ではなく収支差額」である。

○ 開業医(個人)の収支差額で賄っている費用としては、院長の報酬相当額のほかに、例えば、診療所を建築するために借り入れた借金(元本)の返済 診療所の老朽化に備えた建て替えや修繕のための準備金 病気やけがにより休業した場合の所得補償のための費用(休業した場合に収入は激減) 老後のための退職金相当の積立て(サラリーマンのような退職金はない) といったものが含まれるものであり、勤務医の「給与」とは内容や性質が異なるものである。

○ また、全国の病院勤務医11万8157人、開業医7万1192人の平均年齢は、病院勤務医が43.4歳(※1)、開業医が59.4歳(※2)となっている。

(出典:「医師・歯科医師・薬剤師調査」(平成181231日現在))

※1 大学附属病院以外の病院における、開設者を除く勤務者の平均年齢である。

※2 診療所の開設者の平均年齢である。

医療費(診療報酬)について(「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について)

http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=146205

 

1)診療所の診療報酬あるいは損益差益=医師の報酬ではありません

 診療報酬は、病院や診療所に対して支払われるものです。診療報酬は、医師や看護師、薬剤師など様々な医療従事者が協働してより良い医療サービスを提供することや、治療に必要な医薬品、医療機器、さらには病院の建物本体などを整備するために使われています。強いて比較するというなら、勤務医師と開業医の収入の比較は、損益差益ではなくあくまで「手取り」で行うべき。給与所得者である勤務医師と事業所得者である個人開業医の所得水準を比較することは、「手取り年収」を用いてはじめて可能となります。

2)収支分岐点が問題である

収支分岐点={固定費-減価償却費+(借入等返済額+生活費)}÷1-変動比率

 勤務医と開業医であれば、給与は減価償却費+(借入等返済額+生活費)が問題となる。収入が、収支分岐点を上まわっていないかぎり生活が出来ない。

 

3)個人立診療所と法人医療機関の違い

 「個人立診療所」の場合には、給与費に院長報酬は含まれない。損益差益(税引前利益)の中から、事業にかかわる税金(所得税、地方税など)や借入金の返済を行い、残りが、退職金相当額を含む院長所得になる。一方「法人」の場合は、院長報酬は給料となる。このように法人と個人では給与費の意味合いがまったく異なる。なお概ね個人立の診療所は法人に比較して零細な医療機関である。

4)開業医が極端に収入が多いわけではない。平均で2百万の差です。零細な医療機関が6割を占める。

 勤務医と個人開業医の「手取り年収」による比較(日医総研)によれば、平均手取り年収は、個人開業医が10,667 千円、勤務医師が8,043 千円であった。最も高い5559歳でも1,469 万円であった。また、全体の57.7%が手取り年収は1,000 万円以下であり、一方、2,000 万円を超える人は13.8%にとどまっていた。設備投資の支出や、もともとの業績不振などで、手取り年収がマイナス(0 以下)の客体が10.6%あったことも見逃せない。また他の業種に比しても多いともいえない。

5)開業医と勤務医は年齢差が有ります。

 開業医と勤務医の年齢差があります。両者の年齢構成が大きく異なります勤務医の平均年齢41.2 歳に対して個人開業医の平均年齢は63.2 歳です(平成16年調査時)。両者の年齢構成が大きく異なります。実際に、勤務医師の平均年収を引き下げているのは30 歳代の医師であるが、個人開業医の中には30 歳代の医師はほとんどいない。医師のキャリアパスを無視した平均同士の単純な比較には、ほとんど意味がない。

 

6)開業医と勤務医では、年齢階級ごとにわければ、収入にほとんど差はない

 35歳〜64 歳までのいずれの年齢層でも、個人開業医が勤務医師を上回っていた。最も手取り年収が高い5559 歳の平均手取り年収は個人開業医1,469 万円、勤務医師1,204 万円、その差は265 万円であった。次いで手取り年収が高い5054 歳では勤務医師との差は216 万円と縮まり、4549 歳では差は56 万円しかなかった。

 

7)開業後年数とともに収入は落ち込んで行く

 開業後年数別にみると、開業後5年〜9年の手取り年収が約1,600 万円でピークとなり、逆に、開業5 年未満および30 年以上では1,000 万円を割り込んでいる。

8)診療所はリストラをしてかろうじて黒字を出しているが損益分岐点は悪化している

 現状は診療所は、自腹である院長収入を減らしてなんとか黒字を維持している段階である。固定費の大部分を給与費が占めるが、役員報酬はほとんど伸びていない。その一方で、従事者給与賞与の前年比は、病院で+2.5%、診療所でも+2.5%であった。増加傾向にあり、経営を圧迫している。

 

整形外科診療所の収入について

1)整形外科の手取りは低い

 整形外科診療所は規模が大きいため、一施設あたりの収入は多いが、手取り収入では、外科についで最低である。中央値で1,000 万円を上回ったのは精神科と耳鼻咽喉科だけであり、内科、精神科、眼科は、極端に手取り年収の高い一部の客体が平均を押し上げている。

2)整形外科は経営規模の差による変動が大きい

 整形外科は、リハビリの存在のために経営規模の差が大きい。従業員数が数名のところも多いが、30名以上のところも少なくない。サンプル数が少ないと結果に大きな変動が起こりうる。

 

より詳しくは以下を参照ください

1)診療報酬の配分について

http://www.orth.or.jp/seisaku/siryou/kaitei/h21/haibun2010.html

http://www.orth.or.jp/seisaku/siryou/kaitei/h21/haibun2010.doc

2)整形外科の医療の特徴

http://www.orth.or.jp/seisaku/siryou/kaitei/h21/tokutyou2009.html

http://www.orth.or.jp/seisaku/siryou/kaitei/h21/tokutyou2009.doc

3)財政中立について

http://www.orth.or.jp/seisaku/siryou/kaitei/h21/zaisei1.html

http://www.orth.or.jp/seisaku/siryou/kaitei/h21/zaisei1.doc

4)第17回医療経済実態調査(平成21年6月実施)の問題点

http://www.docbj.com/iryohi/2009/

5)各科の季節変動 整形外科は6月に患者が一番多い

http://www.docbj.com/iryohi/2009/kisetu.html

6)開業動機と開業医(開設者)の 実情に関するアンケート調査

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090930_21.pdf

7)病院勤務医の負担に係る問題について厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/dl/s1126-6f_0001.pdf

8)財政制度等審議会建議に対する日本医師会の主張200963日社団法人日本医師会

http://ikonodc.hp.infoseek.co.jp/1077_7_1.pdf

9)診療所開設者の年収に関する調査・分析日医総研(2006 年分)

http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=367