◆外来再診料逓減制廃止と外来包括払い制◆
国立長野病院 副院長 武 藤 正 樹


 昨年4月の診療報酬改定で導入された再診料の逓減制が,施行より1年あまりで異例の廃止となった。再診料逓減制の廃止は日本医師会が求めていたものではあるが,その理由としては,逓減制では月の最初の外来診療を評価したというが,その評価の根拠が不明確なこと,月をまたいで受診する患者に,医療内容がまったく変わらないのになぜ月初めは自己負担分が高いのかを説明できないこと,逓減制を導入しても受診回数の抑制傾向は結局のところみられなかったし,また逓減制導入でかえって月内2回目からは自己負担分も安くなるので患者の受診手控えも起きなかったこと,また逓減制導入でも医師の診療パターンに変化はなかったことなどがあげられる。
 さて,逓減制は撤回されたが,外来診療に対するあの手この手の受診回数の抑制と診療報酬の切り下げをねらった診療報酬改定策は今後とも医療制度改革のなかで続くだろう。こうした背景には,国際的にみても多い日本の外来受診回数と高い外来医療費問題が横たわっている。

図1
 図1でみるように日本の外来と他の先進国の外来とを蛇較してみると際立った特徽がある。それは受診回数の多さだ。日本では外来の年間受診回数は16回近く,アメリカやヨーロッパ先進国の2倍以上にも達している。もっとも,この受診回数も2002年4月診療報酬改定で内服・外用薬の14日投与制限撤廃に伴う長期投与のおかげで減少する兆しもみえている。また,同時に外来医療費の国民医療費に占める割合も日本は41.2%ととびぬけて高い。
 つまり日本は国際的にみても外来受診回数,外来診療費割合ともに飛び離れて高い国なのだ。この理由は明らかである。大病院の外来と診療所の外来の明確な機能分化ができていないからである。つまり医療機関へのフリーアクセスのもと,診療所のプライマリケア外来で済む患者が病院外来へなだれこんで.つまり大病院外来への患者集中が起こっていて,しかもそこで高額な病院の外来医療がなんの歯止めもなく提供されている現実の結果ということができる。
 さて,こうした事態に対応するには,今後とも診療所と病院の外来診療機能の明確な役割分担と連携,つまり病診間における紹介・逆紹介の連携が強く求められている。特に今後は逆紹介に対して診療報酬上の誘導策がよりいっそう強くなるとみていい。そしてもうひとつは入院診療において特定機能病院で導入されたDPC(診断群別日額包括払い制)の病院外来医療への応用検討である。

図2
 実際にアメリカでは2000年の夏より病院外来における包括払い制,つまり診断群部類別包括払い(APC:AmbulatoryPaymentClassification)がメデイケイドの患者を中心として実施しされている。APCの場合においても,DRGと同様,外来疾患をその隠床像や資源消費パターンやコスト構造の類似性に着目して再分類した疾病群(AmbulatoryPatientGroupAPG)を開発するところからスタートしている。APGの場合,基礎となるコードはICD−CMやCPT(CurrentProcedureTerminology)などの処置コードを用い,これらを再分類する。分類ルールは図2に示すとおり。資源消費のパターンで多量の資源を消費する外来手術,放射線治療,化学療法などの主要な処置を含むかどうかで分類したのち,最終的には約400近くの診断グループをつくる。こうしてできあがったAPGのそれぞれのグループは臨床像も似ているし,コスト構造が似ているので,これらにAPC係数という相対係数を付ける。あとは1点の基礎償還額(ベースレイト)を決めて,それにAPC係数を掛ければ,APG各群の包括価格が決定するというわけだ。
 このようにして始まったアメリカのAPCであるが,今のところの評価はいかがだろう。一説によると,主要な処置を含むAPCが特殊治療材料の使用においてDRG/PPSとの比較においてさらにいっそうの原価割れを起こして,入院治療へこれらの処置が回帰していくのではないかとの予測もある。入院治療と外来治療の間を保険支払いにおける包括価格設定によって患者が振り子のように揺れ動くというこうしたアメリカの外来包括払い制度の行方については,国内での病院外来包括化の流れのなかで,今後とも十分フォローしていく必要があると考えている。
月刊保険診療58巻8号P72.2003