医療費はどの程度必要なのか

平成16年度単年度の社会保障費の「自然増」は9,100億円です
・年金=====2,100億円
・医療=====3,900億円
・介護その他==3,100億円
・合計=====9,100億円
これはあくまで予算ベースですから医療関係で7千億ー1兆円増加している。
13年度の国民医療費は31兆円対前年比伸びは「3.2%」。2025年度には50ー80兆円まで様々な予想があります。


老人医療費について
 医療費は、年約30兆円。うち老人医療費が約10兆円を占める。25年度には医療費は81兆円に増え、なかでも老人医療費は45兆円に上ると試算されている。過去10年の平均では、国民全体の医療費が5%の伸びだったのに対し、老人医療費は8%。そのうち4%は高齢化に伴う自然増分である。
○医療費の自然増
 医療費の自然増は7千億円ー1兆円である。
老人医療費はその6割として4千億円ー6千億円である。この財源は消費税1%で1兆8千億円相当であるから、消費税0.3%分に過ぎない

高額医療費について
 高額医療の定義を、仮に月に1千万以上とすれば、平成14年度で月1000万を越えるレセプトは81+9914件=9995件=約1千億円です。
内容は主に白血病などの血液疾患。臓器移植、遺伝子治療などです。血液疾患や、臓器移植は今後そう極端に症例数は増えません。遺伝子治療は大きくはいってくると思われますが、この分野はコストダウンが激しいと予想されます。現在のところは1兆円程度と予想はされています。
○医療費の自然増
 医療費の自然増は来年は7千億円程度(予算ベースだと3900億円)です。半分強は高齢者の人口増加によるもので、その他は医療の進歩分と、考えれば4割として
高額医療は現時点で3000億円程度です。これがいわば高額医療分と考えてよいと思われます。よってその財源は、消費税の0.17%相当でしかない
高齢化社会と医療の進歩の予算規模
 医療費の増加は,主に「高齢化の進行」と「医学の進歩(高度先進医療)」によりもたらされる。その金額は(その他の要因はあるにしても)自然増に含まれる。
 よって自然増分でそれらの予算規模は予想できることになります。大体7千億円に過ぎない。財源としてそれほど捻出するのに困難な額ではないであろう。高額医療も、老人医療もそう極端には伸びない。自立投資もあまり必要なさそうではある。直ちに民間保険導入までは考えなくてすみそうです。
また物価上昇率や賃銀上昇分を入れたのが、本来は診療報酬改定の増分であるはずである。しかるに現在の改定は、はじめから自然増のマイナスシーリングにしかしていない。よって医療機関は低医療費政策による資金不足にあえぐことになる。これでは医療の質は維持できない。

医療費の増加の財源確保
自然増だけなら毎年7千億円として10年で、7兆円。37兆円前後になる。物価上昇などをいれて、診療報酬改定が合ったとして、それを入れて10年後で50兆円前後の財源確保をすればよい。プラス20兆円である。一方消費税は1%で1兆8千億円となる。一年分なら0.5%で足りる金額である。
最盛期でも20-30兆円であるから消費税10-15%相当となる。
 仮に消費税を財源に当てるとして、これは当然増税ですから、国民のコンセンサスが必要ではあろう。増税しないでセーフテイネットを薄くする、自己責任を原則としたアメリカ型も選択肢ではある。いずれにしてもこの国の形をきめるのは国民各位である。しかしそう極端な負担増ではないと思われるがいかがなものか。また財源の効果的配分をすれば全部消費税でなくても十分まかなえる規模ではあろう。いずれにしてもそう非常識に高い金額ではないと思われる。

参考
○消費税について
消費税1%で2.6兆円換算である。そのうち地方交付税交付金8000億円引かれますから、国の収入となるのは1.8兆円である。
○自然増とは何?
 診療報酬改定しなくても伸びる額。診療報酬改定という医療費の「人為増」に対する意味で、診療報酬改定以外のすべての要因を合わせて「自然増」と呼ぶ。
自然増原因
1)人口の高齢化:半分以上ははこれが原因
2)人口の伸び:2005年から減少に転ずる。
3)医療などの高度化:半分弱
具体的には(1)臓器移植技術、(2)エイズ、(3)終末期医療、(4)遺伝子治療、(5)革新的医薬品、診療内容やパターンの変化、過剰診療(例えば投薬や検査の乱用等)無駄も含まれる。
○医療費増加の最大の要因となっているのが
「入院」、「看護料、室料、給食料、入院時医学管理料」である。これらは、いずれも「技術」というよりも「マンパワー(人件費)及び資本関連コスト」的な性格のものである。原因として慢性疾患への疾病構造の変化や老人医療のシェアの急速な高まりなどに伴い、「ケア」的な医療の比重が大きくなっているという事実がある。
今後の日本における医療費の増加は、老人医療や介護サービスを含め、「マンパワー及び資本関連部分」をいかに評価し、それがどう推移していくかにかかっている。マンパワーは当然変動はしずらい。よって、今後の医療費の増加は診療報酬改定に依存する比重を相対的に高めることになる
●現在の改定はこの自然増をマイナスシーリングにすることで行っている
よって、医療費の特に人件費をまかないきれない可能性が高い。
また今後は人件費という不動部分に経営が依存してきたため、今後は医業経営は診療報酬改定に大きく左右されることになる。

参考文献
■ 04年度厚労省予算概算要求額は20兆円突破 ― 義務的経費は引き続き検討
 ― 厚生労働省は8月27日の自民党厚生労働部会(中島眞人部会長)に、2004年度予算概算要求の主要事項を提示した。一般会計の要求額は03年度予算額に比べ4.3%増となる20兆2154億円で、初めて20兆円の大台に乗った。医療、年金、介護などの社会保障関係費を含む義務的経費は19兆1298億円(3.4%増)。社会保障関係費は概算要求基準(シーリング)の段階で見込まれた自然増9100億円を2200億円程度圧縮し、最終的には6871億円で決着した。義務的経費は、「概算要求基準額の範囲内に収めるための方策について、予算編成過程において引き続き検討する」としている。国立病院等の独立行政法人化に伴う人件費等(522億円)は、義務的経費から裁量的経費に移して要望した。医療関係の重点施策では、医師臨床研修の推進で212億円、医療事故に関する情報の収集・分析・提供事業の実施に1.6億円などを計上した。 
自然増とは
医療の経済学批判
 「高齢化+高度化」で毎年6%増
国民医療費は年々増大し、1995年度には約27兆円となっています(図表1)。これは、国民1人当たり年間21万円に相当します。
 毎年の医療費の増加傾向は、約1兆円ずつ、対前年度比率で6%前後となっています。医療費増加の要因の半分位が、老人医療費の増加によるものであることがグラフを見てわかります。あとの半分は、医療の高度化によると思われます。
医療経済研究機構
医療費の自己負担増に伴う医療需要の価格弾力性に関する研究
 平成10年度 調査・研究実績
平成13年8月10日付厚生労働大臣会見概要
医療費の都道府県格差分析


○老人医療費の伸び
 医療費は、年約30兆円。うち老人医療費が約10兆円を占める。25年度には医療費は81兆円に増え、なかでも老人医療費は45兆円に上ると試算されている。過去10年の平均では、国民全体の医療費が5%の伸びだったのに対し、老人医療費は8%。そのうち4%は高齢化に伴う自然増分である。
○自然増:老人医療費の財源
 若干老人医療費の伸びが高い。医療費の自然増は7千億円ー1兆円である。老人医療費の伸びは6割として4千億円ー6千億円である。この財源は消費税1%で1兆8千億円であるから、消費税0.3%分に過ぎない。
老人医療費の参考文献---------かかりつけ医通信
 ●老人医療費の現状○ かかりつけ医通信     第16号   2001年12月26日発行
 国民健康保険の崩壊
●国民皆保険制度とは
●保険制度について 保険の種類 
●医療保険は公平なのか
●各種保険の保険料率について
●各種保険の給付率について
●国民健康保険の危機
●資格証明書とは
○かかりつけ医通信     第18号   2002年1月11日発行
老人医療について-1-
 老人医療費と一般医療費の違い
●包括化医療費
●外来の包括化医療費
  老人慢性疾患外来総合診療料(外総診)とは
●入院の包括化医療費
  一般病棟の老人長期入院患者の取り扱い
   なぜ老人は一般病棟をすぐに追い出されるのか
  老人の療養型病床入院費用
○かかりつけ医通信     第19号   2002年1月18日発行
2)老人医療について -2-
 老人医療費は本当に高いのか
●はじめに
●国民一人当たり医療費
●本当に老人医療費は高いのでしょうか。
 ●1件あたりの医療費
 ●1日当たりの医療費
○かかりつけ医通信     第20号   2002年1月25日発行
2)老人医療費について -3-
●老人の「終末期医療」について
 ●ピンピンコロリ(PPK)
●終末期医療の定義
●終末期医療は高額になるのか
医療費の都道府県格差分析
●医療費高騰の原因
 厚生省によれば年率5%を越える国民医療費増加要因のうち、人口要因はほぼ1〜2%。それ以外の要因として通常指摘されているのは、以下のもの。
【需要面】
・自己負担の低い保険制度に伴うモラルハザード
【供給面】
・医学技術の進歩
・高額医療機器の普及
・診療報酬のゆがみ
・医薬品の多用