|
米国医師会が国民の信頼を失う過程
アメリカ医療の光と影(李啓充著医学書院)
◆P.81
米国の公的老人保険メディケアは、1965年にジョンソン政権のもとで創設されたが、米国医師会(AMA)はメディケア設立に反対した。当時のAMA会長ノドバン・ワードは「政府が税金で運営するような医療保険は止めどなく支出が増え、いずれ財政的に破綻する。財政的破綻を取り繕うためには、サービス制限か増税か政府による医療内容への介入かの選択しか残らない」と議会で証言しているが、AMAはメディケア創設は政府による医療介入・医療の「社会主義化」を招くと強硬に反対したのである。
国民の圧倒的な支持を受けていたメディケア創設にAMAが頑なに反対したことは、AMAに対する国民のイメージを回復しがたいほどに悪化させたといわれている。国家権力が医師の「オートノミー(自律性・裁量権)」に介入することを防がなければならないというAMAの主張は、国民には医師の「収入」を守るためとしか受け取られなかったからである。
◆P.116
一方、「医師・病院は出来高払い制のもとで不必要な医療サービスを提供して不当な利益を上げているのではないか」という不振を抱く患者=消費者も、マネジドケアが登場した時、マネジドケアは消費者の味方になると大きな支持を与えたのであった。マネジドケアは、患者・支払い者双方の医療に対する不信の強さゆえに登場したと言っても言い過ぎではないのである。
|