有床診は生き残れるか(日医総研報告2004年3月29日)

診療所の機能

1)経済性について
最近の診療報酬改定でいまだに2ケタ減が続いているところも多いようです。


2)家庭医機能と患者満足度

患者の求めるサービス


医業収入と患者満足度


患者満足度と従業員の質の評価


診療所を訪れる患者数は年々へってきている。過当競争もある。
有床診に対する患者満足度は高い
患者満足度と医業収入の間には負の相関がある。これは診療報酬制度の問題で時間を加味していないということか。高い質、満足度と利益率の関係が明確でない傾向は、よい医療の提供を行った施設が必ず報われるという状況でないことを示すものでしょうか。経済性や成長性などの要因と患者満足度の関係は認められず、逆に、売上高の高い有床診療所の患者満足度が低いというデータもあります。患者数が多すぎると不満がでる。


3)地域連携、地域貢献

他院へ紹介した患者数(年間)


紹介された患者数(年間)


1)2人主治医制
2)患者紹介率
紹介率ははなはだ低い。患者さんの移動が少ないのではなく、フリーアクセスの存在下で、患者さんが医療機関をダイナミックに選択移動している
患者さんの大病院志向には歯止めはかかっておりません。大病院の在院日数が減ってくれば流動性は増す可能性はある。
熊本のデータでは、他院より紹介される入院患者は年間平均13人、他院に紹介する入院患者は27人であった。紹介される入院患者数が10件未満の施設が全体の52%、紹介した患者数が10件未満の施設が62%。
診療科目別にみると、整形外科は他の科に比較して紹介件数が高い傾向がみられた。これはバックベットの機能を有している。
熊本県のアンケートでは、活発に夜間・休日診療や校医活動、夜間休日当番に参加されて地域貢献度が高いとの報告があった。

4)成長性(専門医)、利便性(情報開示)
熊本県のデータでは、医師の受けている生涯教育は、年間平均回数で15.4回であるが、5~9回という医師が全体の25.4%を占める。学会への参加は年間平均3.9回で、6回以上が18.9%を占める。
またメーリングリストの参加も5.8時間/月(n=85)となっている。医学専門誌の定期購読数5.8誌/年とかなり多い。

5)従業員満足度

科別の従業員満足度


質の高い医療を提供しているか

全国平均で従業員数は平均13人です。16床以上では20.2人の職員を雇用しています。熊本の従業員調査では、自分の診療所で働き続けたくない人が31%を占めた。診療所では特に高い質の医療を提供していないと考える従業員が39%であった。厳しいデータです。しかも患者満足度と従業員満足度の間には弱い相関関係がみられた。従業員の満足度が向上すると患者の満足度も上がるが、規模を拡大すると患者満足度は下がる、という状況であった。要求は給与アップと休暇の充実のようです。


参考文献
有床診療所の実態調査−将来戦略に向けての第一ステップ−日医総研ワーキングペーパー