いつまで医療費が伸びるのか |
2014/2/11 |
人口減少社会では医療費が永遠に増えることはあり得ない 八戸市は現在237,615人です。2040年には172,744人になる。 2040年には1800ある市町村の523市町村が人口1万人未満になるようです これだけ減れば当然医療費も減ります。 地方都市はここ数年が医療需要のピークと思われます。 医療費は2040年ごろから減少に転ずる可能性が高い 人口は2010年から減少している 老年人口は2040年から減少する 団塊の世代(昭和22年―25年生)は現在65-68歳。あと20年は影響を与え続ける |
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医療費が伸びる原因 1)医療の進歩 2)高齢化 医療費の決定要因は医療費の重回帰式からは、70歳以上の老年人口の係数が一番大きい。従って老年人口がピークを過ぎれば医療費は減る可能性が高いということになります。 医療費の重回帰式(日医総研) 総医療費=37.5(世帯当たり可処分所得)+1804.6(医師数)+2473.6(70歳以上人口)−2.0(老人入院外自己負担)+4.9(老人入院自己負担)−1541.1(被用者本人自己負担)+387.9(医科診療報酬)+582.1(薬価基準:医療費ベース) 老齢人口と医師数が2大要因です。医師数は増えていますが人口要因よりは影響は低い。薬価や診療報酬の影響はかなり低い。 |
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医療費の重回帰式。 |
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高齢者人口の流れは 人口動態から見てみると、高齢者人口は2020年にはプラトーとなる。そう増えない。2040年ごろがピーク 団塊の世代はあと20−25年は社会に様々な影響を与え続ける。 老年人口は2040年から減少に転ずる 人口は2010年から減少している 出生数は減少 老年人口は2020年にはプラトーに達して、2040年ごろがピークである。 その後は減少に転ずる。 団塊の世代(昭和22年―25年生)は現在65-68歳。あと20年は影響を与え続ける 平均寿命は延伸し続けている 乳児死亡率は先進国で最低 死亡人数は急上昇 がんの死亡率が急上昇 |
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http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/z1_3.html |
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医療需要のピークがいつ来るのか 2025年問題がささやかれています。高齢化により医療需要は伸びるわけですが、人口減少も同時に始まっている。では医療需要のピークはいつ来るのか。 二次医療圏は3パターンに分けられる 大都市型;53個 若年人口の減少率は低い。高齢者が大幅に増える 地方都市型;163個 若年人口率の減少も、高齢者の増加もマイルド 過疎地域型;127個 若年人口は大幅に減少する。高齢者はほとんど増えない ピークは大都市は2040年ころ 地域によって異なる。2010年にすでにピークを迎えているところも多い。 大都市は概ね2040年ごろに迎える。人口動態からは地域差が非常に大きい。まだらに伸びるということになります。高齢化問題は過疎地ではなく大都市の問題ともいいかえることができそうです。 日本地図で黒いところはすでに2010年に医療需要のピークは過ぎた。思ったより多いですね。。2025年問題になるのは白いところで、ごくごく一部。マスでは赤いところの2040年問題が大きいということになります。それも大都市に限られる。 各地で需要のピークが異る 青森県であれば津軽圏は2015年がピーク。青森圏は2020年がピーク。八戸圏は2025年がピークです。それに合わせて政策のピークを持っていく必要があります。そのあとは人口が大きい大都市にひきづられるではあろうが、基本的に2030年から40年までには医療費は減少に転ずるであろうし、徐々に淘汰が始まる。これはベビーブーマー対策ですね。 |
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医療需要ピークや医療福祉資源レベルの地域差を考慮した医療福祉提供体制の再構築 |
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高齢化問題は大都市の問題である 大都市の施設が圧倒的に不足する 地方は過剰設備となる 高齢者の大都市から地方への移動が始まる 在宅は増えてせいぜい1.5倍 終末期における療養の場所 現実は厳しい 患者さんは希望は自宅が6割。しかし現実は6%とあきらめている。 一方医療従事者は若干楽観的 実際は2-3割が戻っている 終末期の療養場所に関する希望 自宅で療養して、必要になれば医療機関等を利用したいと回答した者の割合を合わせると、60%以上の国民が「自宅で療養したい」と回答した。 自宅での療養:60%以上の国民が、最期まで自宅での療養は困難と考えている。実現可能である」と回答した者の割合は一般国民(6%)よりも医療福祉従事者が上回った(医師26%、看護師37%、介護士19%) 実績 地域一般病棟 自宅通院や介護施設の入所を合わせた在宅復帰率が90.1% 介護療養病床は、退院先では死亡看取りが4割強で最も多かった。 3割弱が病院・診療所に戻っていた。 療養型老健は、退所先でも病院・診療所が最も多く4割強が戻っていた。 死亡看取りが2割弱、在宅は1割強。 従来型老健は、退所先も病院・診療所が4割強で、在宅にも3割弱が戻っていた。 今後も死に場所の中心は病院で、老人施設等が補完(二木立先生) 私は「地域包括ケアシステム」の推進には賛成ですが、それにより在宅ケアを拡充しても、今後の死亡急増時代に「自宅死亡割合」を大幅に高めることは困難であると考えています。この根拠については、本連載109「21世紀初頭の都道府県・大都市の『自宅死亡割合』の推移」(本誌2013年2月号)で、詳しく述べました。 今後の死に場所に関して誤解を与えかねないのが、2030年には、医療機関、介護施設(特別養護老人ホーム等の老人施設と老人保健施設)、自宅での死亡を除いた「その他」が約47万人(約3割)に達するとする厚生労働省「死亡場所別、死亡者数の年次推移と将来推計」(図。略)です。この推計には、次の3つの仮定が置かれています。 a 今後病床数の増加はないので、医療機関での死亡数は現在と同じ。 b 介護施設は今後2倍に整備されるので、そこでの死亡も2倍になる、 c 在宅ケア施策の強化により、自宅死亡は1.5倍に増加する (ただし自宅死亡割合は12%で一定)。 私は、仮説c はそれほど無理がないと考えますが、仮説a とb は、過去10〜20年の趨勢に反し、大幅な過少推計だと判断しています。まず仮説a は、過去20年間(1990〜2010年)に病院病床数が167.7万床から159.3万床へと8.3万床(5.0%)減少したにもかかわらず、同じ期間に平均在院日数が50.5日から32.5日へと35.6%も短縮したため、病院内での死亡者数は58.7万人から93.2万人へと34.4万人(58.6%)も増加した事実と矛盾します(「今後の死亡急増で『死亡場所』はどう変わるか」『日本医事新報』2012年12月22日号)。私は、今後、一般病床(急性期)病床の平均在院日数の低下は多くは望めないが、慢性期病床(療養病床)の平均在院日数は相当短縮可能であると判断しています。 次に、仮説b は、過去10年間(1999〜2009年)に特別養護老人ホームの死亡数は1.7万人から3.6万人へと2.2倍も増加し、この増加の半分が定員の増加であり、残りの半分が定員に占める死亡割合の増加である事実と矛盾します(池崎澄江・池上直己「特別養護老人ホームにおける特養内死亡の推移と関連要因の分析」『厚生の指標』2012年1月号)。2012年の診療報酬・介護報酬改定で鮮明になったように、今後も特別養護老人ホームや老人保健施設等(介護施設)での看取りを促進するための経済的誘導が図られることは確実です。それに対 応して、介護施設では今後、定員増を上回る看取りの増加が期待できます。 そのために、私は、今後の死亡急増時代にも、死亡場所の中心は病院であり、それを介護施設や、医療機能のバックアップのあるサービス付き高齢者向け住宅が補完するようになると予測しています。[「地域包括ケアシステムと医療・医療機関の関係を考える」(『日本医事新報』2013年1月19日号(第4630号):30-31頁)に、第184回東海病院管理学研究会(2013年1月26日)等での報告と質疑を踏まえて加筆しました)]。 |
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第1回終末期医療に関する意識調査等検討会 |
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