整形外科の医療とIT化


1)BROBA広域講習会:

2)山形県整形外科開業医会春季総会
会場:山形県上山市にある日本の宿“古窯”
 BROBA映像会議システムで全国へ中継予定(30箇所まで)
日時:平成15年3月15日(土) 午後6時半〜7時半
特別講演:「整形外科の医療とIT化」
パワーポイントスライド講演原稿(32M)
講師:本田整形外科クリニック 院長 本田 忠先生


スライド原稿原文は以下です

「整形外科の医療とIT化」
本田整形外科クリニック 本田忠
山形県上山市平成15年3月15日(土) 

会のIT化の歴史
1997年(平成9年)4月1日、日本臨床整形外科医会ホームページを公開。
1997年5月21日インターネット委員会メーリングリスト(ML)を立ち上げ。
1997年7月16日一般会員用のメーリングリストを立ち上げ。
1999年4月1日JCOA独自サーバを立ち上げ。
2000年10月30日メーリングリスト会員数が500人突破。
2002年2月13日新サーバ2台目立ち上げ。

●ホームページ
公開の部屋
日本臨床整形外科医会のホームページ
ホームページ

会員の部屋
アンケートはネット上で行っております。
ML同時配信:自動定型投稿文とは? HPとMLの有機的結合

管理
IT戦略委員会で、設計その他すべて医師のみで行っております。
自己責任の原則
 ホームページ上の記載事項は、すべて各位がご自分で変更できます。
引用規定
 メーリングリストやホームページの、会内のご使用時は発言者に断る必要はありません。会外でご使用時はオリジナルな文を引用する際は、発言者にお断りください。なお単なる「リンクとその引用が大部分の文」は断る必要はございません。

○情報を利用する場合、ニュースソースの先生を守ってください
 メーリングリストは同業者としてお互いの信頼関係でなりたつものです。

メーリングリスト
 主なメーリングリストは3つあります。
1)JCOAメンバーメーリングリスト1997年7月16日立ち上げ
 バーチャル医局です。気楽な談話室です。毎日30―50通流れております。
2)健康相談メーリングリスト1999年5月7日立ち上げ
 健康相談専用メーリングリストです。
3)連絡専用メーリングリスト2002年2月13日立ち上げ
 会からのおしらせ、一般会員は原則書込み禁止です。

メーリングリスト会員数2003年1月
メーリングリスト参加人数   1394人
参加率  1394/5323人=26%

ML会員の伸び
     年間 月平均(人)
2000年  353  29.4
2001年  290  24.2
2002年  580  48.3

2002年 月別会員の伸び
1月 22 ★★
2月 42 ★★★★
3月 121 ★★★★★★★★★★★★
4月 157 ★★★★★★★★★★★★★★★
5月 63 ★★★★★★
6月 34 ★★★
7月 35 ★★★
8月 32 ★★★
9月 25 ★★
10月 21 ★★
11月 10 ★
12月 18 ★

診療に直接役立つ楽しいメーリングリスト
平成14年4月の保険改定に際して、危機感の元に爆発的にネット会員数が増えました。

委員会メーリングリスト
 バーチャル理事会、バーチャル委員会。会議はネット上ですべて済ます事ができます。
IT戦略委員会メーリングリスト(旧インターネット委員会):1997年5月21日
設置済み:16/17委員会(2003年2月)
未設置:骨と関節委員会と裁定委員会のみです。
全委員会のバーチャル化までもう一歩です。

○メーリングリスト運営上の注意
 今後も会員にとって有意義なメーリングリストになるためには以下のことを宜しくお願い致します。
1)発言数が多すぎるとか、つまらない話題が多いとはいわないでいただきたい
2)とにかく発言すること。参加すること

メール数の増大に対する対策としては
1)とにかく毎日瀕回に読む。
2)メールの振り分けをきちんとする。
3)各位のPCの機能のアップ、回線線スピードのアップ。

県別会員数。発言数
データ
県別では群馬県、長野県、徳島県、高知県、宮崎県の参加が少ない。最近3年間のメンバーメーリングリストの発数の推移では総発言数、発言者の数が順調に増えている。

情報の共有の効果
整形外科医政協議会
ホームページ
整医協参加率は、ML会員32%、非ML会員14%で、ML会員は倍以上参加率が高い

ML会員と非ML会員の整医協参加率の違い
東北地区(青森、秋田、岩手、宮城、山形 、福島、新潟の7県)
東北地区   ML会員 非ML会員 合計
JCOA会員数  194   368   562
整医協会員   62   53    115
整医協参加率 32.0%  14.4%  20.5%

  JCOA  ML会員か否か  整医協会員 そのうち
  会員数 会員 非会員   合計  ML会員 非ML会員
青森 57   24  33      8   6   2
岩手 57   18  39     12   9   3
宮城 128   46  82     15   10   5
秋田 51   17  34      5   4   1
山形 62   15  47     16   7   9
福島 93   23  70     16   3   13
新潟 114   51  63     43   23   20
合計 562   194  368     115   62   53

会のIT化の目的
会の活性化のためである。会員各位が意欲を持って仕事に打ち込める。

よい組織
伝達:正確、豊富、双方向、低コスト
討論:十分なる時間と参加者、低コスト
決定:迅速性、バランス
スピードがすべて

良い構成員
参加意識:組織内のコミュニケーションを密にする
相互理解:仲間意識の醸成
教育:個々の能力の向上
モチベーションを高める

従来の組織
1)情報伝達が十分でない
コストがかかりすぎる。
2)会議に出れない;十分討議されない
3)決定まで時間がかかりすぎる。

結果
1)密室政治
組織はかぎられた人間だけで運営される。多くの会議に出席できるのは特殊な人間だけ。その方々だけ多くの情報に晒され、鍛えられる。
2)会員は参加意欲が湧きづらい
忙しく、孤独である。切磋琢磨されない。情報耐性もない。モチベーションが低くなる。
3)会の運営の齟齬を来す
無関心層の拡大。あるいは趣旨説明が不徹底で、常に反発を受ける。会員のご協力を得られない。争いが内部で多発する。
4)動員力が低い
 ご理解がえられず、まとまりのない組織。いわゆる政治力が低くなる。

従来の会議
会議は数を開けない
 その場で与えられた資料を、斜め読みして結論を出さざるを得なかった。討議時間は足りない。その会議は、多くてたった年数回でしかない。
蓄積がされない
数年その任にあって、会議に出て、ごく限られた資料を読んで、やっと専門家になれる。十分過去の蓄積も生かされない
非専門家集団
医療と自分の商売以外は、片手間の雑用としか認識できない。
もまれていない硬直した生産性の低い高コストの組織が出来上がる。

目標
1)Digital Nervous System
情報が、人間の思考と同じくらいの速さで、組織のなかを流れる
できるだけ早く周囲の状況を把握して、即時的に反応できる組織。
2)組織のIQを高める:Institututional intelligence
組織の効率と生産性を上げる。
日常的にデータを入手できて、知識と情報を広く共有する。
お互いのアイディアを踏まえて討論する
過去の蓄積や経験から学ぶことができる
えられた知識は誰でも利用できるように

組織の活性化の評価
1)組織の情報公開が十分なされている
2)発言が多様な方から数多くなされている
活性化すればするほど、発言数が増える。
3)十分ニーズが把握でき決定に反映する
4)決定スピードが早い
多様なニーズに、迅速に答える

○知の管理技術
組織全体の情報伝達用のメーリングリストをもっているか
情報公開と蓄積するための、WEBをもっているか

1)全員参加:組織内部の情報は全員に電子メールで流す。
2)組織のデジタル化;委員会はすべてメーリングリスト化されている
3)委員会横断的な仮想チーム
4)すべての情報はデジタル化して単純化する
5)一般の方や、会員各位の意見が日常的に伝わるようにする。
6)日常的に討論できる場の提供

1)対面会議は多くても年に1ー2回とするように努力すること
2)できるだけメーリングリストによるネット会議で済ますこと

会議の決議方法
1)全員がMLへ意見を書く:48時間ルール
2)持ち回り理事会形式とする。
 ただしファックスとメールの返事はいずれかとする

情報の共有と双方向性について
末端から中枢まで情報を共有することで会の活性化をはかる。
メーリングリストとは
時間空間関係なく関係者に日常的に「会話する場」を提供するもの。情報を選別して与える場ではない。対話と討論が前提である。

1)会員に対しての場の提供
 日常的に、自分の意見が組織の中枢に伝わることで、会の決定事項に参加出来ることを、「実感」いただけるような場を提供する。
2)理事各位への場の提供
 日常的に会員各位の御意見を聞ける、あるいは意見開示の場の提供。
 理事と会員双方が「直接」日常的に討論できる場の創設。問題意識を共有。会全体が仲間意識を育てる。会の活性化。きちんと読む。反応することが前提。

○組織の情報伝達効率を上げる
根回しの迅速化。情報伝達の効率化。
1)情報のデジタル化
内部で共有される情報をすべてデジタル化する
2)デジタル貯蔵庫
常に過去に蓄積されたデータのもとに行動できる。
3)情報の共有:情報への接続性を良くする。
豊富な情報:情報公開 低コスト
4)教育システムを確立する
 構成員のPCリテラシーの向上

○討論する:「説得と同意」の組織作り
相互理解には瀕回にあう必要がある
時間無制限、空間無制限、全員参加。低コスト
構成員の洞察力と協働性をえる。
共同の行動を1人の人間がしているように

決定する
実務プロセスの短縮
効率的な運営

廃県置藩:全国の自治体の合併。300程度の自治体を作る
1)広域医師会(二次医療圏単位)
一自治体は40万前後。二次医療圏を単位として合併
2)医師会機能のアップ
 地域医療の受け皿としてNPO法人化。地域医療法人を作る。財務部門の独立。医師会事業の強化
3)空間が広がる。IT化のニーズがあがる。

普及の阻害要因
1)対面と非対面にこだわる。ネット会議はしたくない。
大事なのはブレインである。阿吽の呼吸より論理を前面に
2)情報シャワーへの非難:読めない。もっとまとめろ
3)デジタルディバイドの敗者の存在
未使用者は、今までと連続している組織。なんら困らない。使っていないから便利さがわからない。抵抗勢力となる。既使用者は旧来の組織の非効率に耐えられない。争いとなる。

情報が多すぎる:重要な情報だけ流せ
1)情報公開は必然的に大量の情報となる。
情報選別は、情報統制である、各位の自己決定権の侵害である。
2)ネット道場
多くの情報に晒され続けることで、討論により、互いに切磋琢磨できる。
3)情報を探すのが大変
 メーリングリストはデータベースである。メーラの検索機能を使う。
4)話しやすい雰囲気を作る。規則は最小限に
5)匿名性をなくす
レベルの維持には発言者の署名が大切。

○下らない情報が多すぎる。レベルが低い
1)対話の効用;生涯教育の場
 切磋琢磨できる討論の場を提供する。発言することで鍛えられる。
2)ネット居酒屋:インターネットは楽しい
 いわば玉石混交の情報が流れる場づくりが肝要である。楽しみの場であり。同時に教育の場でもある空間の創設。
3)同じ釜の飯を食う場の創設
 整形外科関係者はできるだけ同じ場に放り込むことで、同じ場で、同じ情報で討論し、問題意識を共有すべきである。そうでないと会への参加意識も育たないし、会の活性化にもならない。

○地域でIT化のリーダとなる人材育成
1)問題意識がある。
2)情報をすばやく集めることができる
3)膨大な情報をきちんと読める
4)レポートをきちんと書ける
5)統計分析も詳しい
個人が変わらなければ組織が変わっていかない。
組織がかわらなれば、十分時代に対処できない。

○モチベーションを高める
1)全国区でよいネットモデルを作る
 理解者を全国に作る。実地研修したリーダが地域で頑張る。
2)各地域のネット組織の構築
 教育はマンツーマンで地域社会で行う。宣伝。講習会を開く

○PCリテラシーの向上
PCはあくまでコミュニケーションの手段である。
1)できるだけ単純なシステム:既製品を利用する。コストと複雑さを減らす
2)PCは自分の前に:全員がPCをもつべきである。
3)教育:よいモデルを実地研修する。講演会。講習会
4)会議参加者をメールが使いこなせる方からえらぶ
5)会議参加者の若返りを図る。定年制をひく

地域医師会の活性化:ROMの存在
MLは参加各位の対話によりその質を維持できる。
メーリングリストとROMの関係
200名;1−4名
500名:10%くらいが、発言

対策
1)参加者個人の能力のアップ:リーダの育成 
全国区の利用。フイードバック
2)他地域の積極的な医師を入れる
3)全国区のメーリングリスト
スケールメリット。教育効果
規模;960前後の医師会。2000ー3000名の参加
4)メール数増大
50通/日程度になれば、話題別に分化

まとめ
1)情報の共有
 関係者はできるだけ同じ場に放り込む。整形外科全体がまとまるべきである。
2)情報公開
 情報は大いに越したことはない。情報の性質上当然である。情報シャワーに慣れる。
3)情報の双方向性
 日常的に討論することで、生産性を極限まであげる。
4)バーチャル会議
実際に合う会議は時間空間的コストがかかりすぎる。極力減らす。
5)教育:IT化の目的を、真にご理解いただき、自己訓練をする