当院のIT事情


本田整形外科クリニック
本田忠
2010年8月23日


雑誌掲載PDF


はじめに

 医療における「ITの利用方法」は多種多様です。自院の患者さんへの情報提供サービス、広く整形外科の宣伝、院内での情報の共有、地域の医師会での情報の共有、全国の学会等の医療従事者間での情報の共有。対マスコミなどいろいろ切り口は有ります。


私のPCとの関わり
 昭和54年ごろからPCを始めました。インターネットは1996年ごろから開始しています。専門医として日本臨床整形外科学会などと、あるいは地域医療という視点からは、日本医師会、青森県医師会、八戸市医師会などの情報伝達網構築に関わっています。

院内はほぼペーパーレスとなっています。
 平成6年開業、整形外科無床診療所です。(fig1:医院外観)カルテ以外はすべてデジタル化されています。患者さんは受付すると紙カルテが診察室に回ってきます。カルテは萬年筆を愛用しています。レントゲン指示をかけば、レントゲンは診察室の液晶TVに入ってきます。マウスやキーボードは、コードレスにして、邪魔にならないようにしています。診察が終わればORCAで会計をする。オンライン請求もしています。血液検査は医師会立検査センターに外注しています。結果は毎朝、CSV形式でネットで直接きます。エクセル等でレントゲン室にある専用ノートPCで読取ります。必要なら時系列でグラフ化も出来ます。(fig2;診察室の風景)

書類書きは文字ピタ
 整形外科医ですので、交通事故関係や身体障害者の書類が大変多いわけですが、すべて文字ピタ(発売中止)で書いています。このソフトは多種多様な書類をスキャナーで読取り、文字入力部部分にテキストをかけるようにするソフトです。よって、どんな書式でもずれることがありません。書類サーバに全て保存して、月単位で保存しています。毎月、前回の書込がそのまま参照できます、よって1-2行くわえるだけで完成します。

院内の情報共有はメーリングリスト
 院長からの指示や情報は、院内メーリングリストで配信します。各部門にデスクトップをおいて、読めるようにしています。双方向ですからスタッフからも書き込まれます。スタッフ全員メールにはそれなりに習熟はしています。

電子カルテを何故導入しないのか
 私はブラインドタッチです。事務もブラインドタッチです。キーボードは苦にはなりません。導入していないのは、これは特段理由はありませんが、しいて言えばまだまだソフトが高すぎると感じています。韓国の様に10万円台のソフトがでれば購入するかもしれません。また現在の電子カルテの欠点は印刷機能がプアです。カルテ内容を全て印刷しようとすると、紙カルテだと数mmですむ物が10cm近い厚さになってしまう。またいわゆる3号紙(日計表)がついていません。この2つは個別指導時に大変困ります。個別指導では4日前と前日に具体的な患者さんを指定されるわけですが。印刷するだけで徹夜になりかねません。印刷機能の充実が望まれます。


対外広報
 自前のサーバをもっています。独自ドメインももっています。当院のHPは全て小生の自作です。1996年以来コツコツと作り上げてきました。通常のhtml以外に、予約システム、各種データベースやBBSを稼動させています。ロコモティブ症候群とか、骨粗鬆に関する広報や医療制度に関する主張など、一般向けに限らず医療関係者向けにもBBS等で行っています。医療従事者との情報の共有は主に、メーリングリストで行っています。メーリングリストは個人では全国の医療関係者向けに150個くらいを管理しています。参加しているMLも200くらい有ります。メール数は毎日300通程度です。

本田整形外科クリニックホームページ
http://www.orth.or.jp/


ネット上の健康相談
 当院HP上では無料の健康相談を受け付けています。BBS形式とメール形式の2つが有ります。BBS形式は完全に公開されるもの。メール形式のは匿名を希望する場合となります。匿名のはHP上に書き込まれると自動的に小生へメールがきます。

予約システム
 ネット上から直接予約できます。ネット上で書き込まれると自動的に院内メーリングリストに流れます。毎朝、事務のみならずスタッフ全員でチェックできます。HP上に記載すれば以下のような形で院内メーリングリストに流れます。
院内メーリングリストに流れる実例
件名:
以下の予約が入りました。
No:100: カルテ番号:
-------------------------------------------------------------------
[名前]:整形太郎.[年齢]:40-60歳.[性別]:男性
連絡先:hatena@orth.co.jp [tel]:
-------------------------------------------------------------------
8月23日
[時間]:14:00-15:00
-------------------------------------------------------------------
[ご希望]:
ドックで、骨密度減少で要精検になりましたのでよろしくお願いします。
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医療関係者との情報の共有は主にメーリングリストを使用しています。
 全国の医療関係者の横の連携も大変重要です。マスコミ主導で、ソネットとか日経などもありますが、基本はやはり、草の根ネットでしょう。MLやツイッター、ブログなど形態は様々です。しかし自己主張だけではなく、議論する、双方向性を重視するなら、やはり、メーリングリストが基本かと思います。医学関係のメーリングリストは多種多様存在します。医療に興味ある方ならどなたでもということで、一般の方やマスコミや議員が参加しているもの。医療関係者のみのもの。医師会会員のみのものなど。参加資格によって各種有ります。それぞれ1000人から2000人参加しているものも多い。多くはボランティアで運営されています。日本臨床整形外科学会のIT化は大変進んでいます。理事会はじめ全委員会のMLが稼動しています。ネットを利用したアンケートも多数行われています。医師会関係のも県医師会、地域医師会ともMLが多数有ります。
(fig3:院長室のメールの振り分け)

テレビ会議
 個人的にも、学会等の委員会で使われます。使用システムはMeetingPlaza電網会議室サービスです。これはPCを利用して、通常のインターネット回線を利用して自宅等から参加できるシステムです。比較的安価に行えます。


院内のPCの配置
サーバルーム;インターネット用のサーバが2台有ります。当院HPとメールサーバです。(fig4;サーバー)
診察室;机の上にはデジタルレントゲンの液晶TVと机の下にサーバーが有ります。キーボードとマウスは無線としています。レントゲン室とは100baseで結んでいます。
事務室;ORCAは2台構成です。その他PC−fax用のノートPCと書類書き用のノートPC,会計処理用のPC、レセプトオンライン請求用のノートpc、あとは書類サーバをおいています。ノートPCは盗まれることを前提にデータは一切いれていません。すべて据え置き型の書類サーバにいれています。(fig5;事務室の配置)
レントゲン室;医師会立検査センターからの血液検査配信を受けるノートPCが有ります。
処置室;デスクトップが一台。
リハ室;デスクトップが一台。
院長室;デスクトップが一台。
休憩室;デスクトップが一台。

ハード構成
1)レセコン ORCA:サーバ2台構成
2)デジタルレントゲン撮影
 CR装置 REGIUS MODEL190(KONICA MINOLTA)
3)骨塩定量全身型DPX QDR−1000PLUS(HOLOGIC)
4)インターネットサーバー:window2003 2台構成
5)回線;光回線
6)院内LAN:有線(基幹部)、無線LAN
7)PC
 診察室、事務(6台)。処置室、レントゲン室、リハ室、院長室、休憩室など

ソフト構成
1)医師会検査センター配信ソフト
2)書類書きソフト:文字ピタ
3)PC-FAX:マイトーク
4)会計処理ソフト;TKC会計ソフト


組織化が大切
 インターネットを利用すれば、全国、地域、院内でも時間空間関係なしに、「情報の共有」は図れます。ネットワークは、文字どおりヒトとヒトのつながりと思っています。場に参加さえしていただければ、情報の共有は図れるわけです。ネットというのは参加者が増えれば増えるほど有用となります。組織化が大切かと思います。ネット上の場により多くの方の参加が望まれます。


略歴
 1952年福島県生まれ。昭和54年弘前大学医学部卒業。平成6年八戸市で無床診療所開業。現在八戸市医師会理事(保険医療、地域保健、情報システム担当)。日本臨床整形外科学会理事(IT戦略担当)。


医院外観


診察室


院長室のアウトルックの振り分け


サーバー室


事務室のPC


院長写真