|
||
札幌市2006/3/11 |
||
国の現状 小さな政府 1)国家予算の縮小:使える予算の縮小 2)予算の重点配備:減り張りある予算配分 3)社会保障などは絞る必要がある。 小さな政府 1)官民癒着を排しましょう 2)民活を利用しましょう 3)自己責任の原則で行いましょう。 ものはいいよう がんばるものは報われる社会 官は面倒を見ない がんばらないものは報われない社会 弱肉強食の社会 高齢化社会 急激な高齢化 高齢者はお金持ち 平均のウソ 平均をとれば、勤労者と老人の所得は差はない 平均のばらつきが多い 高齢になればなるほど、所得格差は広がる。 4割が年収200万未満 高齢者の労働 65-75歳;3割弱が働いている 75歳以上;働いている方は10%未満 社会保障 平成17年度一般会計予算82兆円 社会保障費が25% 国債元利払い20% 財務省 高齢化の進展に伴い、年金や医療などの給付は急速に増加しています。 社会保障費86兆円の内訳(2004年) 年金:医療:福祉(介護) 46兆円:26兆円14兆円(5兆円) 5:3:2 社会保障費152兆円(2025年) 年金:医療:福祉(介護) 64兆円:59兆円30兆円(19兆円) 4:4:2 社会保障費の国際比較(社会保障費/国内総生産) 日本の社会保障は先進国中では低い 医療の現状 -日本の医療費の伸び 国民所得をうわまり伸びている 特に老人医療費の伸びが著しい 既に国民医療費の3分の1を越えています だから大変だ 日本の医療費投資は少ない 日本の医療費30兆円 先進国との国際比較(医療費/国内総生産GDP) 先進国中18位(1998年) 医療費の伸び率の国際比較 ○医療費の伸び率は低い 現在先進国で最低である。 ○医療費抑制は世界で一番成功している。 伸び率はイギリスよりも低い。 今後はもっと差が広がる。 国民医療費の構造 医療費の構造 保険給付は85%で患者負担は15% 国が負担しているのは25%。 事業主負担は20% 医療においては 病院:一般診療所=7:3 医療費の半分は人件費 医薬品は2割。6兆円前後で横這い 医療材料は6% 医療費の階級別割合 医療費の内訳 上位1%で2割(50万以上) 上位6%で6割 財源別医療費の推移 保険制度開闢以来、財源調整は患者負担で行ってきた 事業主負担は増えていない。 国庫負担も増えていない 実に安上がりな制度である。 医療費の増加要因 主要因:老人医療費の増加 一人あたり若年者の5倍 地域格差福岡90万円>長野県60万円 一人あたりの入院医療費の格差7割 病床数の格差(平均在院日数) 在宅療養率の低さ 一人あたりの外来医療費の格差3割 生活習慣病を中心とする外来患者増 地域差 人口千人あたりの病床数と平均在院日数は相関ある 県別一人あたりの国民医療費と平均在院日数は相関あり 医師数とも相関あり 老人医療費の構造 老人の入院医療費 受診率は年齢とともに上がる 一件当たりの日数も弱冠増加する 一日あたりの医療費はむしろ減少する 老人が高いというのは誤りである。 ただ数が多いだけである。 終末医療費が問題というのはウソ。 少子高齢化の影響 高齢者保険制度 高額医療 1000万以上は100件である=1000億円(2000年) 医療従事者数 ベット数の推移 受診回数 保険者財政 1)健保が赤字になった主因 企業のリストラや賃金すえ置による保険収入減である 2)国保組合は現在166あり、400万人いる。 1組合平均25万前後である。零細な所が多い。 3)広域化 市町村合併で平成17年度で市町村数は1800に減少 3000人未満の市町村は1100から320となる 医療構造改革 過去においては 2002年度は3000億円 2004年度は2200億円 2006年度は3800億円(−1.36%)医療本体 引き下げ:−5990億円(−1.8%) 重点項目:+1475億円(+0.44%) うちわけ「5990億円削減」 初診料:100億円 再診料;600億円 DPC:150億円 コンタクトレンズ1000億円 検査700億円 指導管理等、画像診断、リハ、手術、放射線治療900億円 慢性期医療1,200億円 入院時食事療養費700億円 医療の質の低下 これでは医療の質は維持できない。また医療機関は苦しい経営となる。 ない袖は触れない:財務省 医療費削減の根拠 1)医業経済実態調査 2)労働経済指標 - 医療費抑制策 短期的対策 保険給付範囲の見直し 患者の自己負担増 埋葬料などの現金給付の圧縮 薬剤費の抑制3000億円 療養病床の食住費の患者負担 中期的対策 医療計画の見直し 病院機能分化;重複受診抑制 長期的対策 在宅へのシフト 生活習慣病対策 医療費の重回帰式(日医総研) 総医療費=37.5(世帯当たり可処分所得)+1804.6(医師数)+2473.6(70歳以上人口)−2.0(老人入院外自己負担)+4.9(老人入院自己負担)−1541.1(被用者本人自己負担)+387.9(医科診療報酬)+582.1(薬価基準:医療費ベース) 医療費適正効果 ○小泉政権はリストラ酷薄内閣 リストラは酷薄そのもの 改革幻想:自民党をぶっ壊す、癒着の防止 財務省の論理 高齢化で、今後急増する社会保障費に、歯止めをかけなくてはいけない。 経済が破綻している現状で、過大な要望は、あきらかなモラルハザードである。 「等しく」歳出カットすべきである。 弱者切捨て、姥捨て山的発言 1)医療は美味しいマーケット。 医療に払うお金がなければ家を売って払いなさい。宮内さん規制改革推進会議議長 八代さんも同様な発言。 2)終末期医療は保険からはずすべき 財務省主計局の向井治紀法規課長 3)必要なら患者からお金をとれば良い。 厚労省麦谷課長 4)透析は保険からはずすべきだ 自民党財務族議員。テレビでの対談での発言。 財源論 1)消費税 環境税、相続税 2)右から左論 2−1)日医案:2017年で71兆円必要: 自立投資12兆円、米国債売却50兆円。景気回復による税収増、一般、特別会計の改革、 2−2)見返り率案 3)財源縮小 規制会議案:アメリカ型。保険縮小、混合診療。株式会社参入 低医療費政策:イギリスやカナダ型 3つのシナリオ 1)イギリス型医療 低医療費政策で、医療に投資をしなければ、医療の質が下がり、医療事故が増大する。患者さんは、安心して医療を受けれない。 医療に投資をしないで、資格やEBM、その他第3者評価機関、種々の規制によって質の向上を果たそうというのはかなり無理がある。 EBMひとつ作るにもコストはかかるわけです。 2)アメリカ型医療 市場原理の医療にして、混合診療にすれば、お金持ちしか医療を受けることができない。 3)医療への公的投資をはかる 医療の質の向上をと言うなら、まずは財源と、よい人材の確保をはかるべきである。 なによりも事故防止には、医療労働者の働き安い環境づくりが、肝要である。 医療にコストをかけないでよい人材は集まらないし、質の向上も果たせない。 医療の財源確保が最優先課題である。 患者負担は3割負担が「限界」 長瀬効果について Y=1−1.6X+0.8X2 (Y:医療費の逓減率、X:患者の負担率)で算出されます。 負担率逓減率 無料1.000 3割負担0.592 4割負担0.488 10割負担0.200 3割では医療需要の6割が確保されるにすぎず、4割負担だと需要の5割未満となり、公的保険の意味をなさなくなる。 1)自己負担増の医療制度改革は限界 2)公費負担増以外に国民の医療は守れない 医療費はどの程度必要なのか 平成16年度の社会保障費の「自然増」は9,100億円 老人医療費:6割として4千億円ー6千億円。消費税0.3%相当。 高額医療費:4割として3千億円。消費税0.17%相当。 内容は主に白血病などの血液疾患。臓器移植、遺伝子治療など 現在の伸び率:1兆円として最盛期でも20-30兆円であるから 消費税10-15%相当となる。 ○消費税1%で1.8兆円である。 なぜ日本の医療費は安いのか (1)国民皆保険制度 (2)診療報酬の国家統制制度 (3)混合診療の禁止 以上により医療費を、政府が自由にコントロールできるシステムだからである。 医療の基本的性質 1)医療は社会構造そのもの 高齢化と技術の進歩により医療費は自然に増加する。技術の進歩は医療費の抑制になる場合もある。 2)医療は常に最高の質を要求される 医療への投資がなければ、医療の質の低下が起こる。国民各位のニーズに答えられなくなる。 3)医療は社会のセーフテイネットである 健康は国民の基本的人権である。医療がしっかりしないと安心して働けない。皆保険制度を堅持して、医療は国が支えるべきである。 病気は早期発見早期治療が原則である。医療の範囲を縮小すれば、重症化してからあるいは、お金持ちしか、十分な医療を受けれなくなる。かえって高くつく。 1)国民負担増、高福祉国家が必ずしも経済の活性化を阻害しない 2)高齢化社会と医療の進歩の財源はそう巨額ではない 3)財源は多様なアイディアがでてきている。消費税の増税のコンセンサスもえられつつある。 4)皆保険制度と混合診療禁止を守れば医療費は押さえることが可能である 1)国の形をきめるためには、きちんと優先順位を明確にすべき。 公共事業や郵政あるいは年金との優先順位は? 2)国民の生活への影響は。 セーフテイネットとは不用不急のものに張るからこその、安全ネットであろう。 老後の準備(年金)は等しく皆が行うものである。医療は命をあつかう分野である 医療は、市場経済の補完装置 医療や介護は、長寿社会のリスクを分散するための装置です。 リスク分散の意味で、医療保険を公的資金で支えることに意義がある。 低医療費政策で医療の質の低下したり、あるいは混合診療で、患者負担が上がるような政策を行えば、万が一の不安に対処するために貯蓄をします。これでは、消費不足になります。 構造改革そのものがなりたたなくなるおそれがあります。 社会保障は、比較的社会的コストが低く、人々に安心感を与えられます。 しかも医療は成長産業であり、雇用効果もある。費用対効果は高いと思われます ●医療において実現すべき政策目標 低医療費政策により、医療の原資が確保出来なければ、医療の質が低下すること。 日本の質の良い、安い医療は皆保険制度と混合診療禁止により守られてきたこと。 医療本体を縮小して混合診療と株式会社を導入すれば、際限のない患者負担増を招くこと。 結局中産階級以下が、医療を受けれなくなること。 米国や、イギリス、カナダの失敗に学ぶべきであろう。 皆保険制度を維持して、混合診療と株式会社の参入を禁止して、医療にもっと投資をして、医療の質の向上を図り、国民の皆さんが安心して働けるようなセーフテイネットを作りましょう。 アメリカ医師会の失敗 現在の状況は医療費急増のマネジドケアの導入直前のアメリカと酷似。 その時のアメリカ医師会AMAの戦略ミスは? ●医師会のダーテイイメージ 1)横暴な医師会。 2)乱診乱療。 3)医療費の高騰 ●結果としての 1)市場原理の導入 2)保険者機能の強化 3)EBM、包括制度 4)訴訟の増加 多党化あるいは2党化時代の支持の在り方を考える 1)日医連盟は政党支持は各支部の自由に任されている 2)日医連盟は参加自由である。 3)多党時代である。特に2大政党時代である。 医療者が政治運動する目的を明確にする あくまで医療政策を実現するためのロビー活動である。 政策が決まるまでの実際の流れ 医療制度改革2002年度 経済財政諮問会議、総合規制改革会議の基本的な方向が参議院選挙前に相次いで公表され、2001年9月になって厚生労働省が医療制度改革試案を発表した。 厚労省試案はある意味で前二者、つまり、小泉内閣の「聖域なき構造改革」の基本方針に対する反論ともいえた この厚労省試案に対し、財務省がこれでは甘すぎるとばかり「財務省見解」を公表。さらにまた、小泉総理は与党社会保障改革協議会を立ち上げ改革案の検討を開始した。 これらの政府、行政の考え方に対して、日医等医療関係者、そして自民党の厚生労働族が猛反発、日医は独自の「医療保険財政再建の道筋」なる案を発表して対抗した。また、自民党の厚生労働部会・医療基本問題調査会合同部会は頻繁に会合を開催、医療改革の中心は与党協議会ではなく自分たちだとばかり息巻いた。与党協議会、厚労部会・医療基本合同部会はそれぞれ別個に、三師会、健保・国保代表等を呼んでヒアリングを行い意見を聞いた。こうして医療改革議論は、01年末の02年度国家予算政府案の決定を前に激しさを増していった 医療法案が決まるまでの流れ 法案は内閣と政権党のみで決まる 1)閣法:内閣府が84%作る。 2)議員立法16% 3)野党は1件も通っていない 4)党議拘束 国会の場でのみの問題であり、政権党内ですでに決定されたことにかける。 だれが敵でだれが味方か 政府は一枚岩ではない。味方は何時も味方ではない。敵も同様。是々非々である。 内閣:小泉総理 経済財政諮問会議、総合規制改革会議 厚生労働省 財務省 自民党:与党社会保障改革協議会、厚生労働部会、医療基本問題調査会 日医:各学会 健保・国保代表 マスコミ 国民 ロビー活動のありかたについて 圧力団体の役割 ○利害団体が政府の意思決定に影響を与えるルート 1)利害団体の代表を議会に送り込む方法 2)日常の政府・官僚との接触を通じて意思疎通を図ること 3)諸種の手段を用いて世論を形成すること 圧力団体の影響力 団体の組織力、活動能力(情報収集力、伝達力、資金力)や人脈に依存する。 医療政策の実現のための論理式 医療政策の実現性は以下の一次式で表現される。 Y=PX-Q Y:医療政策の実現性 P:政権党:政権党以外は政策はとおらない。定数である。1かゼロ. X:医療にご理解のある議員の数 Q:内閣府と財務省をはじめとする官僚群 議員制民主主義においては国会議員は内閣の対立物である。 政権党支持路線 効率を考える キーパースンは比較的少数である。 実際に政策に関わる、かつ医療にご理解がある方を応援するのが大原則。 最後に いずれにしても医療は成長産業である。どういう形態であれ、医療がなくなることはないわけです。できれば合理的な制度とならんことを。 |
||
この全文はインターネットで以下で見ることができます。 |
||