日本臨床整形外科医会の情報化について  2002年8月30日

                   本田整形外科クリニック 本田忠


○はじめに
 学会のIT化の例として、日本臨床整形外科医会(JCOA)のIT化の現状について述べてみます。2002年8月の時点で、純粋に医師のみで構成されているメーリングリストとしては、構成員の数からいけば、医療系では日本最大と思われます。末端までの「情報の共有」と「意志決定のスピードアップ」が肝要かと思われます。そのためには会において、IT化により「毎日会議状態」を作る必要があるわけです。年にたった数回の会議では、現在の厳しい医療情勢に十分対処できないのは明白です。

○日本臨床整形外科医会について
 日本臨床整形外科医会(JCOA)は昭和49年(1974)に発足しました。日本全国で、医療の第1線で整形外科診療に携わっている、主として開業医と私的病院の勤務医で構成している団体です。平成14年8月現在会員数は5300名を数えます。

○会のIT化の歴史
はじめに本会のIT化の歴史を経年的におってみます。
1997年(平成9年)4月1日、日本臨床整形外科医会ホームページをIIJ上で公開しました。
1997年5月21日インターネット委員会メーリングリスト(ML)をIIJで立ち上げました。
1997年7月16日一般会員用として日本臨床整形外科医会ML(JCOA−frontメーリングリスト)を立ち上げました。
1999年4月1日JCOA独自サーバを立ち上げました。NTサーバです。
1999年5月7日健康相談専用メーリングリスト立ち上げました。
2000年10月30日メーリングリスト会員数が500人を突破しました。
2000年年11月28日理学療法検討委員会のメーリングリストが立ち上がりました。インターネット委員会について、2つめのバーチャル委員会になります。
2001年10月10日メンバーメーリングリストの累積発言数1万件となりました(1999年5月2日より)
2001年10月10日メーリングリスト会員が800人になりました。
2002年2月13日新サーバ2台目立ち上がりました。
2002年2月13日新メーリングリストletter立ち上がりました。
2002年3月28日メンバーメーリングリストが1000人となりました。
2002年8月28日現在メーリングリストには1310人参加しております。現在も日々会員数は増加しておりますが、平成14年4月の保険改定に際して、危機感の元に爆発的にネット会員数が増えました。

○ネット上のシステムの概略

●ホームページ
公開の部屋(図1)
図1:日本臨床整形外科医会のホームページ
http://www.jcoa.gr.jp/index.html
1)会員外の方からの質問
ホームページ上では一般の方の書き込みも受け付けています。一般の方からは
1)ゲストブックguestbook
ここでは健康相談は受け付けません。誤って書かれた場合はお断りしています。ただし先生方のご好意で返事を書くのを妨げはしません。
2)健康相談掲示板healthbbs
3)健康相談メールhealthmail
4)事務への直接連絡
の4つのルートよりなされます
 上記のホームページでの書き込みは、自動的にメーリングリストへ流れます。部外者への発言は不用意な言動はしないようにしてください。医師の倫理と患者保護を強調してください。
2)整形外科医の視点
 最近の医療の各種問題に対する、マスコミの取り上げ方には、若干違和感を感ずる先生が多いと思われます。それで、会員の意見を述べるための部屋を作成しました。マスコミの報道に対する反論のみならず、賛成、異論の原稿を歓迎します。これは、一般の方に、どんな意見を持った整形外科医師がいるのかを、広く知ってもらう為の部屋です。テーマはメーリングリスト上で募ります。会員は、あらゆるメディアで話題性のあるテーマを積極的にあげていただきたい。

会員の部屋(図2)
図2:会員の部屋
 会員リストやJCOAーNEWS、JCOAだよりは書き込めば自動的にメーリングリストに流れます。学会風景はどなたでも画像を載せることができる画像掲示板です。
○アンケート
 アンケートを積極的にネット上で行っております。ホームページ上にフォームを組んで行います。ネット上でアンケートを行えば、郵送代も要らない。事務を使わないですむ。またデータ解析も格段に楽になります。データは、csvファイルで各実施主体委員会へ差し上げます。又実施に当たっては、調整用に主催委員会とIT戦略委員会の合同MLを構築します。
○ML同時配信:自動定型投稿文とは?
 ホームページ上の掲示板やデータベースに書かれた内容は、自動的にメーリングリストに流れます。自動投稿文の場合、その掲示板やデータベース独自のタイトルが自動的に件名に付け加わっています。原文はホームページに投稿されたものです。
○管理
 IT戦略委員会で事務の協力の下、設計その他すべて医師のみで行っております。業者はサーバ管理のみに入れております。
○自己責任の原則
 ホームページ上の記載事項は、すべて各位がご自分で変更できます。
○引用規定
 メーリングリストやホームページの、会内のご使用時は発言者に断る必要はありません。会外でご使用時はオリジナルな文を引用する際は、発言者にお断りください。なお単なる「リンクとその引用が大部分の文」は断る必要はございません。
○情報を利用する場合、ニュースソースの先生を守ってください
 メーリングリストは同業者としてお互いの信頼関係でなりたつものです。何でも流せるという安心感がなければ、有用なものにはなりません。あぶないメーリングリストとなれば、誰も重要な情報は流していただけないことになります。

●メーリングリスト(図3)
図3:メーリングリスト
 主なメーリングリストは3つあります。
1)JCOAメンバーメーリングリスト[jmem**]1997年7月16日立ち上げ
 バーチャル医局です。話題は健康相談以外は何でもありです。気楽な談話室です。毎日30―50通流れております。
2)健康相談メーリングリスト[jheal**]1999年5月7日立ち上げ
 ホームページ上に書かれた文が自動的にメーリングリストに流れます。健康相談専用メーリングリストです。回答は管理者がまとめて質問者へメールします。別に健康相談掲示板が、ホームページ上の、公開の部屋にもあります。
回答に当たってはかかりつけ医にまず受診させること。専門医の紹介はあくまで開業医を通すことを強調します。自動定型投稿文のマニュアルをよくお読みください。
3)連絡専用メーリングリスト[jlet**]2002年2月13日立ち上げ
 会からのおしらせ、各報告、各県、各委員会からの種々のアンケートなどのお願い、入会のおしらせ、公的なもの。ニュース類はすべて[jlet]メーリングリストで流します。一般会員は原則書込み禁止です。
4)各委員会メーリングリスト
 各委員会で、IT戦略委員会に、申し込まれれば直ちに専用メーリングリストを作成します。バーチャル理事会、バーチャル委員会となります。会議はネット上ですべて済ます事ができます。条件は各構成員が全員ネットにいる事と、メールがかける事だけです。各位の情報リテラシーの向上。自己訓練の問題です。会議が減れば会の合理化、コスト削減となります。同時に意志決定のスピードアップとなります。
各メーリングリストは、平成14年8月29日現在、多数立ち上がっております。
IT戦略委員会メーリングリスト(旧インターネット委員会):1997年5月21日
整形外科医の視点編集用メーリングリスト2000年8月22日
理学療法委員会メーリングリスト:2000年11月28日
EBM用合同委員会メーリングリスト:2001年9月3日
EBM用プロトコル委員会:2001年10月16日
EBM用腰痛プロトコル委員会2001年11月3日
医業経営実態調査アンケート用メーリングリスト;2002年4月30日
福祉委員会メーリングリスト:2002年6月24日
理事会メーリングリスト:2002年7月15日
社保委員会:2002年7月15日
会則委員会:2002年7月22日
日本整形外科学会理事用:2002年7月26日
医業経営委員会:2002年8月5日
倫理委員会:2002年8月5日
全部の委員会のバーチャル化までもう一歩です。
○メーリングリスト運営上の注意
 今後も会員にとって有意義なメーリングリストになるためには以下のことを宜しくお願い致します。
1)発言数が多すぎるとか、つまらない話題が多いとはいわないでいただきたい
2)とにかく発言すること。参加すること
メール数の増大に対する対策としては
1)とにかく毎日瀕回に読む。
2)メールの振り分けをきちんとする。
3)各位のPCの機能のアップ、回線線スピードのアップ。

●まとめ
 1997年にスタートしてから5年の歳月が流れました。会員のネット参加率は25%となりました。また各委員会の委員のネット参加率は70%です。全14委員会のバーチャル委員会も射程距離にはいってきました。各委員会の構成員の情報リテラシー能力を上げないと、当然、各バーチャル委員会は十分機能しません。あらゆる機会をとらえて、教育を行いますが、地域医師会におけるIT教育が最重要課題と思います。地域医師会のITの普及と向上がないと、十分にその実績は上がらないと痛感します。いずれにしても、会のITの向上を図り、会員各位の「情報の共有」と「直接民主主義」による、会の活性化と、徹底した運営の合理化と、「意志決定のスピードアップ」を図らない限り、今後の厳しい医療情勢を乗り切ることができません。全国の整形外科医のみならず、全医療従事者のネット参加が望まれます。またその受け皿を早急に確立すべきと思われます。

月刊カレントテラピー12月号vol20 no12。平成14年11月25日発行
特集企画 医療におけるIT革命 企画委員;秋山昌範先生
4)インターネットによる全国連携掲載