医師会の現状と今後の展望 2003年4月25日


Nova Development Art Explosion

はじめに
医師会の組織率と組織拡大の問題
医師会は学術団体なのか
医療の質を高める:専門性をたかめる
組織自体の問題
医師会事業について
政治連盟について

自浄作用について
広報の問題
今後の展望(IT化に絡めて)
まとめ
最後に
参加者
参考文献

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はじめに

本田:司会の本田です。青森県八戸市で無床の整形外科をやっております。よろしくお願い致します。では早速討論に入らせていただきます。医師会の現状と今後の展望というタイトルですので、まずは現状分析とその後展望について語るという形になると思います。
 種々の社会的状況の変化、特に高齢化社会の進展や不況、小泉内閣の一連の医療制度改革。株式会社参入問題、混合診療、あるいは一連のマスコミによる、医師会は抵抗勢力であるというレッテル。医師の政治とのかかわりや、対外的広報の在り方がとわれています。また医療事故の増加や医師の不正もあり、医療の質の向上、情報公開、医師会の自浄作用も問われております。会員各位の意識や、一連の医師会の対応を見ても、必ずしも時代の先取りをしているとはいいがたい面もある。確かに医師会の構造改革が必要な状況になってきているという感じも持っております。医療は大変厳しい状況におかれている。

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医師会の組織率と組織拡大の問題

本田:医師会の定義:医師会は戦前の大政翼賛会への協力を反省として戦後新たに立ち上げたわけで、あくまで任意加入団体であるわけですが、良くネット等でも、新規開業医による、医師会への入会のメリットとデメリットというのが、話題になっております。医師会を定義すれば、学術団体であり、かつ事業者団体であるということかと思います。医師会の学術部分は、医療を担当する専門家集団であるから、当然として、事業者団体的性格とは、つまり医師の同業者組合としての権益保護団体でしょうか。
データ的なことをまとめれば
●組織率の問題
平成12年医師数調査によれば、医師数は25万人で、診療所の医師は88613人です。毎年8000人弱増えている。全体で30代の医師が増えてきている。勤務医がなかなか罷めないため徐々に平均年齢が上がってきている。開業医の平均年齢は現在58歳ですがこれも下がってきている。女性の割合も増えてきている。組織率は上がってきている。しかし大都市の組織率低下はある。
●無床診療所の増加:会員の零細化。
医療施設動態調査(平成15年)によれば、病院数は9000件。診療所は9万5千。有床は1万6千件です。病院数と、有床は減ってきている。無床が増えてきている。
●開業医の団体ではない
日医の会員数は平成14年度で157,826人です。いわゆるA1会員、開業医が82,403人で52.2%を占める。ほとんど勤務医と拮抗している。日医の組織率はよって、157,826/255,792=61.7%ですね。勤務医の組織率は公的病院の補助がでなくなったのでもう少し下がるでしょう。いずれにしても医師会は開業医の団体ではないとはいえる。
●過当競争がはじまる。
 人口10万あたりの医師数も201人を越しました。30代の医師が多くなってきている。都市部の過当競争も問題になるところです。女性も増えてきて医師会もソフトな感じになってくるのかとも思います。
●入会金が高すぎる
 入会金が500万前後のところもある。開業医は零細化してきている。この現状でよいのか。これは医師会財政の問題もからみますが。

片山:現状の課題分析こそ重要と思います。展望は最重要で、地域医師会単位の認識を揃えることが重要と思います。日医は、最高決定機関ではあり、関係省庁との折衝は大きな業務ですが、武見時代の「医療」を扱う巨大下請け専門団体、としての位置付けが徐々に変化して来ている(内容はいろいろ)現状の整理、認識が統一されないまま、今日の形になってしまったことには、執行部の反省材料はなきにしもあらずでしょう。

安藤:確かに都心の組織率は低いみたいですが、下がってきているか、と言えばそうでもなくて、理事会の度に新入のA会員が紹介されています。ウチも会館管理費と合わせて100万掛かるのですが、よく入会してくるなあというのが実感。
●開業医の団体ではない
まあ、人数的にみればそうでしょうけど、地域での地区医師会活動を支えているのはウチの場合、殆ど開業医。
●過当競争がはじまる。
女性が増えてソフトになるか、と言えば、女医会なんて年功序列がとっても大変、理屈が無くて感情で人物評価、などという厳しい声もチラホラ。
●入会金が高すぎる
お金は足りてるから入会金を下げよう、という声もありますが、現状でも入会希望があるので、ま、いいんじゃない、になってます。

川内:
●組織率の問題
 以前に調べた当区付近1100名の調査で、最多は70歳代、次は40歳代でした。しかしここ4-5年の入会者をみると、殆どが40歳代でした。上記の1100名の統計では平均は62.8歳でした。この事から、急激に医師会の主流の年齢が若くなってくるのでしょうね。勿論、医師会に未加入の方もかなりおられます。当然ですが、かなり若い年齢ですね。しかし未加入の方がどの位いらっしゃるか? etc.の数は把握出来て無いと云うのが事実です。女性の割合は把握していませんが、高齢の方が殆どですね。当区でも毎年20-30名の新規加入者があります。医師会をより魅力的なものにするには、本来では敷居を低くしてと思うのですが、実際には、このH15年の4月から入会金を値上げしました。この辺はどうでしょうかね。私としては、入りたくなる組織であると思うので、入会の敷居は出来る限り低くするべきでは無いか?と思うのですが、この決定に関してもあまり反対の声は 無かった様です。
●開業医の団体ではない
 私も、この日医は開業医が支えていると思っていますし、今でもそう思っています。勤務医で有った頃、自身もかなりの期間そうでしたが、医師会活動とか医師会を意識していませんでしたね。経験的に、でも実際に開業医となるとかなり身近な組織とおもいますが。
●過当競争がはじまる。
どうでしょうか?はたしてソフトなのか?これは女性でも男性でも同様では無いかと思いますね。各自のキャラクターの問題の様な気がしますね。但し、相対的に若い先生の方が、患者さんに親切の様に思います。高齢の方の中には「お医者さんは偉い!」と云う感覚が染みついている方もおられるかも知れませんから
●入会金が高すぎる
これは当地区でも同様の様です。新入会が少なければでしょうけど、これだけ入ってくる。即ち医師会に入りたいニーズが有ると思っておられるのか?ですね。特に新規開業の方など、資金的にきついのに、ここで多額の入会金を支払って入会してもと思うのが当然では無いかとおもいます。さる若い先生に以前に云われた事があります。「でも先生!そんな多額を払って医師会に入る価値があります?私は無いと思います。別に入らなくても困らないじゃないですか?妙な仕事を押しつけられても面倒ですよね。」こんな声が大多数になったら結果的に残るのは、高齢の先生方?なんて状態になってしまうかも知れませんね。

片山:組織拡大よりも、実質組織率が重要。組織が構成員になにをしてあげれるか。構成員が組織に貢献することを均等な価値と認識するかどうか。組織に入っている満足度?自身の貢献度、貢献意欲。

本田;医療は地域密着産業である。二次医療圏内で患者の移動の8割はカバーしている。よくできた区分である。二次医療圏でこそ、病診連携は意味が出る。二次医療圏を越すと患者の移動は極端に減る。患者の利便性も低下する。あくまで二次医療圏を単位に医療は考える。よって医師会の広域化も視野に入れる必要がある。過疎地は当然区割りを考え直さないといけない。

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医師会は学術団体なのか

渡辺:本田先生は医師会を医療現場の”学術”と、医師という資格者の”同業者組合”(ギルド)と前置きしましたが、学術の言葉の定義かもしれませんが学問・研究としては専門科目別の学会があり、医師会は各種診療科目の集合体(口が悪ければたまたまの寄せ集め)ですから分科会での勉強会があったり、その時々のトピックスの全体講演会はあっても、やはり”学術”という表現には懸念があります。確かに地区医師会にも学術担当理事がいますが、専務する業務が何か。各分科会に下請けされた学術でしょうか。

朝比奈:医師会が学術団体であるとすると、違和感を感じます。医師会というのは臨床医の団体ですから、医師会として必要なのは学問の成果であり、学問を行うこと自体ではないと思います。ただ、学問の成果は学問自体が発展しないと得られないので、それを側面から支援する必要はあるでしょう。ですから、あえていえば学術支援団体ということでしょうか。医師会の一つの役割は、学問の成果を実社会に還元するに当たり、最適の 方法やシステムを構築することじゃないかと思うのですが。

本田:これは科によって違うのかもしれませんが、整形外科は勤務医のころと、同じペースで論文を書いている方も多い。医師会事業展開のあたりのお話にもなるんですが、フェーズ2とか3の治験の請負をする話も出てきている。レベルは高い。また、かかりつけ医。いわゆる家庭医は専門性が低いし、コストが安いから、患者さんからも、医師からも米国では評判が悪い。開業医の専門性の向上、質の向上をうたうなら、そこらの補強をする必要はあると思いますね。生涯教育の在り方のお話になってくる。実技の訓練の拡大。ここらはオープンシステムのお話も絡んできますが。

安藤:医師会って日医、都道府県医師会、そして地区医師会でそれぞれ、ありようが違うかな、と思うのですが、前2つは実感がないので地区医師会について言えば、ウチの医師会の定款には、


 社団法人中央区医師会は、医道を昂揚し、医学・医術の発達普及と、公衆衛生の 向上を図り、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

と書いてあり、これに共感する医師たちの組織なんだから、学会や医会とは違って学術団体ではなく、地域の医療に貢献する実働部隊である、と捉えています。従って、そこで実働しない勤務医会員は数が多くても”幽霊”と一緒。ただ、年配の方には”学術団体”である、という、何と言うか知識偏重みたいな感覚、強いみたいですねぇ。「どうだ!」みたいな・・・。

本田:一応組織のなりたちの整理をしてみます。
日本医師会の学術団体としての性格
 当然医師としては生涯教育、耐えざる自己訓練が大切なのはいうまでもないわけですが、たとえば我々の日整会は、日本医学会の分科会であるわけですが、その日本医学会は、昭和23年に日本医師会と合体したわけですね。日本医師会定款第10章第40条に「日本医師会に日本医学会を置く」とされております。日本医学会は,日本医師会と密接な連携の下に,「医学に関する科学および技術の研究促進を図り,医学および医療の水準の向上に寄与する」ことを目的としているとなっております。活動は,あくまで学問中心で,その会員制度は学会単位の加盟である.現在,95分科会を擁している。
また日医内には学術関係の委員会は、「インターネット生涯教育講座」委員会、学術企画委員会、生涯教育推進委員会、学術推進会議、生涯教育推進委員会がありますね。制度としては整備はされている。内実を伴うようにしなければいけないわけですが、零細な開業医が多くなってきているわけですから、1人で医業をしている場合、学会にはなかなかでづらい。また各大学には研修登録医制度というのがあって、レカレント教育ができるようにはなっている。これも診療を休んでいくのは大変です。ここらの一人診療体制が障壁として厳然としてある。実技を含んで、月額数百円で契約できる安価なbrobaなどのテレビ会議が、これからかならずサビスとして学会から提供されるようになればよいですね。ただ我々の日整会もそうですが、まだそこらのIT化が遅れているところが課題でしょうか。

片山:医師会の一つの役割は、学問の成果を実社会に還元するに当たり、最適の方法やシステムを構築することじゃないかと思うのですが。

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医療の質を高める:専門性をたかめる

本田:患者さんの大病院志向がよりはっきりしてきております。開業医の受診者は減る一方です。ここらのかかりつけ医の機能アップの具体的方策がとわれる。しかし低医療費政策でフリーアクセスの制限を行うかどうかも難しい問題です。私はしても良いのではないかと思い出してきております。家庭医の法制化は反対です。それは、開業医の機能を限定する方向にしかいかないと思っています。多様性を維持すべきか。
専門医制度の細分化の問題
本田:整形外科では、整形外科専門医のほかに、より細かいスポーツ認定医、リウマチ認定医、そのうち脊椎外科認定医というのまで作る動きがあります。医療の質の向上の美名の元に細分化していく。これは維持コストがかかりすぎるわけですね。あまりの細分化は意味がないのではないかという気はしますが、ここらはいかがでしょう。 参考として平成15年4月4日の日本医学会総会で開催されたシンポジウム「医療の質の改善に向けて」で高柳先生から学会の在り方を問う発言がありました。
医療の質の改善に向けて
 日本の学会は、その姿を考えるべき時期にきている:日本医科大学医療管理学の高柳和江氏
 国内の学会の第一の目的は「学術の発展(93.5%)」、続いての目的は「会員相互・関連学会などとの連携(32.3%)」であることが判明。一方、英米の内科、外科などの主要な学会では、学術の発展は目的として挙げられておらず、主目的は「患者に最高の医療を提供・保証」することだった。

片山:学術レベルによる医療の質の改善のように見えますが、現場の医療は相関するのでしょうか。大学レベル(勤務医時代)で、ああだこうだは、経験しましたが。開業医になって、認定医など次々と更新を放棄する医師は多いです。休診にしてまで、認定を保持してイイコトがあるかどうか、認定医は果たして真の医療の質を担保しているといえるのでしょうか? そこまで、現場が機能分担しているか?むしろ、整形外科でも在宅分野に熱心に来てくれる、リハビリテーションの相談に乗ってくれるフレキシブルな医師が当地では、価値があります。細目にわたって専門医師が看板を連ねて、整然と患者が選択して、受診する風景など全国的に不可能ではないでしょうか。高齢者医療などは、専門家はどこにいるのでしょう。あらゆる複合的な多疾病を有する患者はどこをメインに受診するのでしょうか。 所詮「看板」ほどのことを全部できる「専門家」が、ゴマンといるようには思えません。これ、混合診療へのアプローチでしょうかね。

安藤:英米は多分、患者に医療を提供・保障すること、であり、日本は、そしてこの高柳氏も、最高の、なんですよねぇ。形骸化を批判しているようでいて、同じ穴のムジナ、という読後感でした。高度専門医、医療における知的所有権、なんてのは、正直な処、オヨヨ以外のなにものでもないですね。
医療の専門性ってナンダロ、と考えてみるに、それは医療を専門にしていない人たちに比較して私たちは医療を専門にしているということだと、内科開業の個人としては思っています。人間は常に様々な病気に晒されており、気付かぬうちに防御機構が働いて健康を維持している訳ですが、その防御機構の破綻を予防する、破綻を回復する、そうした手伝いができるのは、医療を専門とする私たちしかない。だからこそ、幅広く知識を見聞し、取捨選択し、幅広く良い情報を公開していくことが、最前線医療を専門とする私たちの役割だと個人的には思っています。私も勤務医時代には研究をしていましたし、学会発表も論文投稿もしましたが、医学の進歩はそうした狭いが深い研究が無ければあり得ないと思っています。又、お互いに切磋琢磨する場である学会はあるべきだと思っています。
しかし、内科開業の個人としては、そういう学会は学会レポート程度で結構、参加する気も更々ありません。大体、私たちの医療の現場で直ぐ役立つような発表をやっているようじゃ、と思いますし。で、その為に本来、日臨内など、もっと臨床の現場からの様々な報告がなされ、それらをBROBAやMedics TVなどをフルに活用して、全国の実地医家に広報する活動をすべきだ、専門性を認定する作業よりも、もっと前にやるべきことがアルダロと思っています。
そういう意味では、日医HPの生涯教育のページに注目はしていますが、会員しか利用できぬページに置く狭いココロが、今の医師会不信を招いた、と思っています。専門性とは何か、リーダシップとは何か、それを今、医師たちが考えないと、商人だけでなく役人の手先としてしか生きる場が無くなってしまうと危惧しています。

渡辺:開業した先生も、元はどれか専門をお持ちだったわけですから、それを生かしてGENERALな診療と組み合わせることができればメリットでしょう。オープンは補い合う現実的な方法ではありますね。最近の大学病院医師は専門分化しすぎて、悪くいうなら潰しがきかない。循環器が専門なのでお腹はどうも。こうした方が開業すると、どうなるか。看板は内科・循環器科? それとも循環器科・内科?特化すべきか否かが、採算でいくのか、地域需要でいくのか。我々整形外科も手術しなくなったら整形内科と標榜しますか。かかりつけ医という言葉と、それを育てサポートするビジョンが間に合ってませんね。医学教育システムの話になりますか。大卒から医学部へ、そこから専門コースと一般コースへ?何年かかって、どう評価してくれるんでしょう。

本田;地域需要をみながら、選択できる多様性を維持すればよいわけでしょうが、少なくとも専門性をあげる方向性は、より一層はっきりさせないと生き残れない。エンドユーザーからの納得が得られない。一方制度化された、家庭医制度は極く限られた医師にしか受け入れられない。なぜなら収入が減るわけであろうから。

朝比奈:私は、現在のような専門性も一般性も無視した家庭医(かかりつけ医)制度は有害無益と思っているのですが。それこそ、患者さんが求める医療レベルをクリアできないのではという危惧があります。本当に日本で家庭医が必要というのなら、専門医をジェネラリストに再教育するようなシステムを持つ必要がありますよね。医師会がかかりつけ医と言いはじめたときに、そういう看板だけで受診者のニーズに応えられるのかなと思いました。特化すべきか否かが、採算でいくのか、地域需要でいくのかは個々人のレベルでは、ご自分のバックグラウンドを考えて選択すれば良いだけじゃないかと思うのですが。参考までに、私の診療所の入っている同じビルで眼科の先生が開業されているのですが、白内障のDay Surgeryで関東一円から患者さんが来ています。それに比べて、内科一般の私の診療所は、ビル内企業の患者さんとごく近隣にお住まいの方だけですね。ですから、同じ所で開業していても診療圏が全く異なります。専門性を高めるというのは自分の診療圏を広く設定する必要があるでしょう。

本田;患者さんに支持されるかどうか以前に、医療の効率化の問題がありますね。逓減制問題、整形外科医は今消炎鎮痛処置は医療ではないという某厚労省官僚に言われたように、効率化の名の元に医療でない部分をどんどん削られる可能性が高い。整形外科のアイディンティがとわれだしている。初診料再診料が収入の3割を占める院外無床整形外科が、どの様に専門性を出していくのか、非常に難しいところにきている。日医も外来基本料。厚労省は時間加味する。ということは1日30人しか見れない?きわめて効率が悪い医療。よって3ちゃん医療にしないと残れない。検査機器も置かない。レントゲンさえあぶない。開業医機能の低下?患者さんにとっては選択肢の幅が狭くなる。しっかり教育したジェネラリストの報酬は、専門性が低いということで安くされる可能性が高い。患者からも支持されない。なんでも屋さんに行くなら、安心できる専門科の所へというのがアメリカのトレンド。家庭医になり手がいなくなってくる。収入も低い。低医療政策のなかで選択肢は極めて限られるであろうと思いますね。

片山:地域医療においては、地域特性にをにらんだ、医療配置、というものが、成立するはずです。家庭医、という範疇を制度化、出来ていない日本では、全科の医師が(特に主治医機能を発揮する医師)が、長期フォローアップを行うノウハウをかかりつけの内科医や整形外科医、外科医が地域に即した機能を持つことが、地域に おける受診効率を担保するのではないでしょうか。尾道市医師会は、現在、高齢化率25%に近い医療圏として、94年よりいわゆる、かかりつけ医機能を、整理・推進しています。
日本は、医療アクセスがアメリカのように階層化していないので、専門領域へいくと安心、というレベルは、全国標準、とはなっていないのではないですか?どこが、専門領域の医療資源か、という判断を、患者の状態に応じて、かかりつけ医が行うことが、アクセスの手順ではないでしょうか?

朝比奈:おそらく、無床診療所でも専門性の追求は、さらに高度になっていくのは時代の趨勢でしょうし、また消費者のニーズでもあるでしょう。しかし、いままで日医も学会も専門性を臨床面より研究に重点を追いているように思います。しかし、世の中は「専門」という以上、質的担保を求め始めています。それが、今回の保険点数改訂にあらわれた手術件数による点数の違いであると理解しています。
消費者としては、どの医師が結果を出せるのか、事前にはっきり知りたいということが、ますます前面に出てきているのではないでしょうか。そうすると、医師会としてこのニーズにどう答えていくかが問われていると思います。いままでの日医の生涯教育のポイントにしても、学会の認定医、専門医にしても努力の評価であり、決して臨床的な結果を評価する方法ではありません。内輪の理屈としては、いろいろあるのはわかりますが、それでいつまでも消費者のニーズに応えていると思っていると、ちとまずいんじゃないかと思います。
しかし、このような臨床的な専門性の追求がはじまると、症例の取り合いがおこり、脱落する専門医も出現することになるでしょう。のこりは、特に多くの内科医はGeneral Physicianとしてしかやっていけなくなるので はないかと思うのです。そうなると、アメリカの二の舞ですが、そうではなく、本当の振り分け能力の持ったGeneral Physicianを育てて、その価値を日本の医療システムとして定着させることが日医に求められているのじゃ ないかと勝手に思っている次第です。

渡辺:質を高める、専門性を保つ、担保できない部門は診ませんと言わざるをえないですね。「”ついでに”カゼのクスリを」の利便と、SARSの予見性と。振り分けるからには、振り分ける判断ができないと不可能。もてあました患者さん、休診の都合での紹介、クリームスキミングしたあげくの名刺1枚、いまだにあります。 大衆食堂(今風にはファミレス、居酒屋)料金で専門店の★の数を求めても。これを言うと、混合診療論に入ってしまいますか。
東京都患者憲章。患者さんは不明を質問する権利と義務がある。義務を始めて謳いました。自己責任。情報の非対称は対称がゴールのわけがない。対称なら医師も患者さんも専門家? 自分の関連する医療についての理解が必須となる。
医療費の削減をいうなら、保険者も教育啓蒙の発想がないとならない、という場面で、健保連からの医療機関検索DBの登録開始がきました。患者さんが疾患別、治療法別に検索できる。セカンド・オピニオンの可能な疾患群まで登録するシステム。

安藤:先ほど下記のメールを文殊MLへ発信したんですが、個人的には市民の医療相談は保健所ではなくて医師会がキチンと対応する、じゃないと、医療現場のプロとしての信用を失うなぁ、という気が。どうなんでしょうねぇ。
安藤@荒川医院です。今、4日前にスペインから帰国した息子が世田谷で熱を出したんだけど、何処に相談したら良いのでしょう、という電話が、何と、鹿児島の女性から掛かってきました。ウチの医師会HPからもリンクしてある「SARS情報」を御覧になったんだそうです。おっ、世田谷なら神津先生だ、と思ったんですが、先ずは東京都SARS対策本部のサイトに書いてあるように、各区の保健所に電話で相談されるのが良いのでは、とお話しました。
SARS情報
日頃、国の対応は遅い、と仰る石原知事も大勝したことだし、きっと素早く?対応してくれることでしょう。

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組織自体の問題

本田:医療は地域密着産業である
 二次医療圏内で患者の移動の8割はカバーしている。よくできた区分である。二次医療圏でこそ、病診連携は意味が出る。二次医療圏を越すと患者の移動は極端に減る。患者の利便性も低下する。あくまで二次医療圏を単位に医療は考える。医師会もそれに会わせて広域化する必要がある。過疎地は当然区割りを考え直さないといけない。

片山:医療界は、地域医師会をはじめ、危機管理が不足し、組織原理の近代化が出来ていなかった。地域医師会も県医師会も日医も等しく、責任がある。現状の体制を大幅に近代化せねば、というか「上下関係」が成立する部分(中央ゆえ)、共同政策部分、基本的体制部分(学術など)など、全国の情報収集とともに一元化された機構が理想ではある。組織構成員への説明責任。会員を庇護する、地域医療面でサポートする体制、システムがあるか?構成員にとって魅力ある組織であるかどうか。自分を生かせる組織であるかどうか。組織原理の柔軟性、先見性、確固たる会員への保証の姿勢があるか。執行部や長老の品性に大きく左右される現状をみる事が多い。

本田:医師会が地域における唯一の受け皿であることは事実。それをいかに活性化するかという問題。経済的自立も課題である。お金があってはじめて活動できるわけだから。日医の未来ビジョン委員会はそこらを以下のごとくまとめている。
(1) 会員の声が日本医師会へ伝わりにくい。
(2) 日本医師会代議員会が形骸化している。
(3) 日本医師会執行部が孤立しがちで全国の医師会の総力を結集しにくい。
(4) 会員とくに勤務医の日本医師会への帰属意識が薄い。
(5) 開業医・診療所中心の発想になりがちである。
(6) 日本医師会代議員の世代交代が進みにくい。
(7) 日本医師会内部とくに各種委員会が効率的に機能していない。
(8) 国民から専門家集団・学術団体として評価されにくい。
3.問題の背景
(1) 会員が日本医師会代議員選出に直接関与できない。
(4) 次世代への人材育成システムが整備されていない。
地域医師会における権力争い、確執、行政との関係といった様々な事情から後継者の育成や世代交代を進めることに心を砕くという余裕を持ちにくい。新人の登場は、個人的な人脈や縁故といったものに左右されやすい。

川内:読むと非常に良い所を指摘している。何とか、これをもっと実現の方向に行けば宜しいのですがね。確かに新人は、いわゆる1本釣りと云う方法を取らざるを得ないですね。それ以前に、医師会の委員、役員をやっても損ばかり。対価もかなり少ないので、なおさらやりたくないと云うのが現状でしょうか?要するに、「心意気」に期待せざるを得ない現状もあるのですね。

片山:理事は無給、2年間つとめて退職慰労金5万円、のみです。しかし、理事報酬で以前に「ヒマダルマ」での全国の状況を聞きましたが、給与を払っていては、医師会会計は持ちません。御意。心意気!です。しかし、プロジェクトなど皆で頑張ったら、楽しく、ワインを飲みますよ。「新人は、いわゆる1本釣りと云う方法を取らざるを得てないですね。」これも、御意。嫌がる人は、今のところいませんが、親の介護などある先生、持病などある人は、本人との話し合いで、無理はいいません。

安藤:組織の問題となると、これは日医、都道府県医師会、そして地区医師会でかなり、違うんでしょうねぇ。

本田:もともと医師会に対する期待が少ない。ゆるい組織。低調な組織という感覚はすこしありますね。

片山:小生も尾道に戻って、20年目に突入ですが、会長が若返り、理事も若返り、91年以降は、別の医師会の如く、活性化しました。 91年、尾道市医師会救急蘇生委員会をスタート。
組織と年齢構成
尾道市医師会としては、長老方はいいサポートを発揮してくれます。地域医師会組織としては、長老あっての医師会、といういい形が残っています。(医師会創設97年?)いい形、とは、世代交代を率先して提言した経緯も一例。前々会長は52歳で、前会長は54歳で、小生は50歳で。医師会事業(共同利用施設)の連続的整備に伴なう費用負担などのノウハウ、施設長人事、裁定委員会等、長老の出番(期待される出番)はあります。

安藤:尾道市医師会の纏まり・パワーはホント、凄いですねぇ。この辺りにそのヒケツ、ありそうですね。

川内:執行部のトップである会長の年齢(一概に年齢だけとは言えませんが)が若い方の地区は、それなりに良い方向に回転している様な気がします。反面、旧態然としている年功序列社会の地区もありますね。これらは2極化している。また概ね、都市部以外の地区にこれらの若年化が進んでいるのかも知れません。これはそれだけ、現状に対する危機感をお持ちなのかも知れないですね。

渡辺:地域医師会としては地域住民への医療健康サービスの提供につきると思います。医学的なレベルの向上、診療連携のために診療科目ごと、あるいは全体で”勉強会”を行う。ゲノム医療シリーズという最先端の勉強会も結構な人気でした。で、地域住民の利便でいくとインフルエンザ接種の相互乗り入れという革命的な手法が実現しましたね。健診も特定の区の間は乗り入れますが、隣接であってもお断りの自治体もあります。二次医療圏という新たな地域割りも、別の二次医療圏との境界線住民がいることで、不合理が見えます。
また、自治体の健診サービスや予防接種などを実施するための窓口でもあります。この場合に、医師会に加入していない医療機関にも住民サービスとしての”事業”を”許可する”とか”締め出す”という現実は何でダロ、と疑問に思うわけで。健診のレベルの維持とか、予防接種事故の取り扱いについて問題がでないとも限らない、という消極的な言い訳は伺いました。でも住民のための事業でしょう?パスポートなら、世界中どこに行っても、所持者の保護をお願いする旨の記載です。問題がでないとも限らない、という消極的な言い訳は伺いました。

本田:これは医師会事業の分野でしょうが、事故が起こったらその責任問題は結構大きい問題でしょうか。自治体との契約だから事故が起こると困る。郡市医師会の地域医療のためにということもまことにごもっともである。ただし実行できるかどうかは別である.人的資源は限られる。時間制約がきつい。各自の仕事を行いながら、どこまでその理念を支えきれるかということになってしまっている。つまり攻めの姿勢ではなく受身である。モチベーションが全然あがらない構造はある。積極的な意味づけの問題。理念だけで引っ張れるのかということですね。

片山:出務可能な時間設定をして、医療機関の犠牲?を最小限にすることは質+モチベーションの面でも重要です。小生も委員会など木曜日午後しか出ません。これは、こっちが、強く出ました。前出の「行政との連携は 基本的には Give and take」まで、攻めきることが重要と思います。

渡辺:うまく方向転換できた例をご紹介して誘導すべく提案するための手段を1会員がもつ「すべ」がなかったこと。その医師会では連綿とそれでいいのだ、という口出し無用の聞く耳もたず、YESマンで禅定して10年後の会長が見えるような無難安定化、まかせろ体制はそろそろ当事者も気にはなってきたでしょう。
医師会員ML、医師会投稿掲示板など、”末端”「個」の意見が表明可能になったことで、変わる素地はできてくるであろうという段階。BROBAを含めて世の中の座標を見せましたね。井戸の中でコトが済まない世界を呈示した。終身雇用の医師会キャビネットではなく、個別プロジェクトと人材ということであれば、それなりの人物を登場させることは容易ですね。(国会じゃないけれど、分野の違う大臣をいくつ巡ったらTOPに行くポイントがもらえる発想ではスペシャリストが不利となる)

片山:地域医師会の「組織」としての存在意義は、地域医師会が「よく見える動き(政策、説明責任)が正しく(妥当性)、継続的(事業継続)に進化(健全運営)していることに、会員の努力(参画・意見)が反映(共通認識)されていること」概ね、公共的理性を発揮している原則は必要。(まだ、精神論のようで、最後の砦?)小生が、「金看板」というのは、一本、筋の通った流れ(文化)が成立していて、これをよりどころ、としうる組織で、大儀、が存在し、構成員(会員)をあらゆる状況から、組織が守るからです。これが、可能であれば、会員への不利益は最小限。会員が精鋭(組織にとっても)であれば、あらゆる企画、政策が可能です。

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医師会事業について

本田:医師会の経済基盤の話になるわけであるけれども、医師会事業は、検査、予防接種、共同購入、准看養成、訪問看護センタ、医師会立病院などがある。地域医療というのは自治体とペアの事業であることが多い。自治体からの委託それと補助金がペア。あくまで自治体単位で、残念ながら二次医療圏とは一致しない。検査事業はどこでも健診とあわせてドル箱。私立の病院とかが健診センターとか作ってきて競争は激化はしている。黒字事業は少ない。会員も、医師会事業を行うと、時間を取られるから収入は減るか。「やりがい」だけだとやはり特殊な方しか引っ張れない。悪口的にいえば会員は勲章の欲しい方ばかりではない。それでは若い活力ある方のご協力は到底得られない。医師会の経済基盤の話になるわけだけれども、医師会事業の報酬をもっと診療を休んでもペイするくらいにすべきであろう。そういう事業体系とする。

片山:地域ではまだ、医療の下請け総元締め団体が地域医師会として位置付けられていますよね。毎年、健診単価、とか、予防接種の料金とか、全部、自治体との契約更新をしていますね。地域自治体は医療〜保健部分を地域医師会にアウトソーシングすればいい、と思います。尾道では、健康おのみち21策定について、医師会へ丸投げです。で、尾道市医師会は県立保健福祉大学の学長と合議して、尾道市医師会+保健福祉大学連合軍で委員会+4部会設定、というわけですが、これは、市も県も喜んでいます。地域に根ざした仕事をシステム化していくことこそ、医師会の仕事(行政との共同作業)と思います。ここでのシステムは、学校保健、予防接種あり、あらゆる検診業務、健康管理業務(産業医なども)地域での小講演や、健康教室、市の委員会などへの参加、老人会、老人大学、各種市民の会(ぼけ老人を支える家族の会、生と死を考える市民の会)などでの講演、など多方面にわたります。地域医師会の存在意義=医師会員の地域への貢献(責任)へのモチベーションを担保。担当行政職員との、連続的な意見交換で、共同プロジェクト的意識を継続していくことは重要と思います。地域医師会のなかに、「地域貢献の文化」を醸成することは、地域住民にプラスになることでしょう。行政との連携は 基本的には Give and take.ですが。

本田:ボランティア精神で公益の名の元に非常に安くこき使われる。医師会事業のコストパフォーマンスを考えるべきであろう。契約金を上げる。一方自治体のほうは不況で税収が減ってきた。よって補助金を打ち切りだしてきている。財政的に立ち行かないところがでてきている。特に零細な医師会。医師会事業を十分展開できていない医師会は非常に困っている。それで新規入会の会費をどんどんあげざるを得ない。悪循環。まだ開業する方がいる都市部の医師会は良い。

川内:同様の事を以前に述べた事あり。曰く「君らが急にそんなことを言っても、昔っから先人達が一種のボランティアで我が医師会を作って来た訳だ、だから今更そんな事ををしなくても大丈夫。第一にそんな金を出しだしたら大変だよキミ!瞬く間に医師会の金庫は空になる」今迄はそれでも景気が良かったから、過ぎて来たのでしょうけど、今後はこの手では無理でしょうね。そうなると、当然の様に生活に追われてる若手は参画しなくなる。結果的に、時間のある高齢者、ある意味では名誉職に魅力を感じている層が舵取りをする事になる。
現状現実との乖離が起こる。この結果、医師会自体の魅力が下がる。入会も減る。新旧交代が起こりにくい状態となる。沈滞化陳腐化が起こる。この自転車操業かもしれません。そうなると益々、民意?を理解しにくくなる。更に事態は悪化し、入会の価値が問われるし、仮に入会していても幽霊会員が増える。これが現状では無いでしょうか

安藤:この医師会事業って何を指しているんでしょう。診療を休む、というのは、大半が所謂、会議やイベントへの参加であって、総務を除けば各担当理事でも、現状でも左程、負担にはなっていません。介護認定審査や休日応急診療所の当番はそもそも診療外の時間ですし、そこそこの報酬が出てるので、余り不平不満は聞かない・・・。ま、会員の大半が関与する医師会事業って広く薄く手分けしているので、現時点での入会のメリット程度でも、ま、会費くらいは払って参加しとこ、という方がまだまだ多いし、現に入会希望は一向に減らない。 個人的には医師会員のなり手が減る、というよりも、総務のなり手が、というか、医療の独立性(尊厳?)を維持できる有能な総務のなり手が出てこなくなるんじゃないか、と危惧しています。そこを担保する為の組織作 り。でも、実際のところ、やる奴はやるし、やらない奴はやらないどうも人間社会、個人の持つパワーに依存するところが大だなあ、と思ったりもするですが。

本田:出張は、具体的には、夜間急病診療所、各種健診(股関節健診、側弯症健診:無償)准看学校の講義。学校保健、予防接種、あらゆる検診業務、健康管理業務、地域での小講演や、健康教室、市の委員会への参加などですね。

片山:医師会事業は地域特性や会内の事情により必要度、構成が異なる。医師会病院が隆盛の時代に「これが医師会のあり方!」と結果的に、近隣の病診連携を遅らせた医療圏はある。一方、「競争社会から協力社会」への選択が、医師会の経済的負担を軽減して、次なるシステム化への自己戦力の養成に移るとこができてきたのではないか。

渡辺:私は民間病院勤務医です。私にとって医師会はなくてはならないか、というと印象が薄いですね。一応、院長=管理者ですからA会員ではありますが、では当院の他の勤務医を医師会に勧誘するか? なぜ勧誘が必要かがありません。
私が整形で診察している患者さんがご町内で内科など他のDrに受診して場合に、ちょっとメモしてあげるから読んでもらってね、とか検査結果を貰っておいで、という際に人となりが判り、顔が浮かぶのはいいことですが、その顔合わせ町内会レベルで済むことです。
地域の医療や保健のプランが明確なら、医師会員であろうとなかろうと、それに参画することができれば住民の不便はないことです。逆に医師会員でないと住民健診の対象医療機関にならない差別化は先にデメリットとして浮かびます。
診療科目や診療形態、病診較差、病診連携、といった目先を越えた目標が乏しいのでしょう。医師にとっては目前の患者さんが第一で最善をつくしますが、それが可能な医療制度ほか”環境を整える”ことが前面にでていないように思えます。
なんとなく社会奉仕団体? 身銭をきってサービスしてあげている旧来の感覚。サービスと対価を明らかにして、嘱託医師や校医など廉価に奉仕ではなく、折り合わなければ医師を雇用する行政というのもあっていいかな。
ちなみに、警察嘱託医の報酬は公務員予算の都合とかで半額になりました。辞令交付の後で通知されました。これもお役所。校医や修学旅行添乗、施設嘱託も軒並み下がっています。必要なものは供給する、断るべきは断る、がないと昨年通りに頭数がそろうだけで、次には質が下がったとか、高齢者はレベルがなどという不評もきかれます。若い先生方の”サービスする満足”というのも整備が必要でしょう。同時にサービスされる側の価値と一致しないと不毛ですね。

片山:「取り込める組織」=「声を反映できる組織」でなくてはならないでしょう。日常、いろんなチャンネルを使って、地域医療の一体感を連続的に「協議」しながら、行政にもちゃんと言うことは100%いうことで、お役所仕事を改善する方向へ向けれます。(待遇面はいきなり良くはなりませんが)出務する会員へのマナーとして大幅に改善させることは可能です。いろんな委員会において、一緒に議論することは当たり前ですが、遊びも、一緒に、というか、対外試合で「尾道市医師会チーム」の感覚。野球(対高松市医師会)、ソフトボル(東部地区9医師会)主戦力は、若手勤務医。テニス(全県)、囲碁、将棋(東部地区8医師会)、ゴルフ(全県、 東部地区8医師会)など、これはスポーツバージョン。毎月、20日前後、廿日会は尾道一の料亭「竹村家」での80名〜100名の月例大宴会は数十年続く病診連携飲み会。全病院長、部長もでます。若手、勤務医と開業医が半々。また、シンポジウムや勉強会の共同開催、いくつかの懇話会での共同運営、喘息学級など小児科勤務医の先生が頑張ってくれます。

安藤:本来、医者は医療のプロなんだから、国でも都道府県でも各地域でも医療の分野ではリーダーシップを発揮すべきなんですが、そういう方面の教育を受けてこなかった、知識も経験もない、社会の中でどうやってリーダシップを発揮したら良いのかワカンナイ、が多いんじゃないですかねぇ。ウチの医師会で見ていると、そういうリーダーシップを発揮できる理事が居れば、結構、地域の中で行政を動かし、自分たちが地域の医療を支えてるんだ、という実感が得られ、そうなると、ま、お金にはならないけど、人生、先も見えたし、自分のヤリガイが得られればイイジャン、という気にも・・・。群れ社会である日本の場合、やっぱ、有能なスタッフを周りに 備えた”カルロス・ゴーン”の存在が必要みたい、という気がします。それがあれば、殆どの皆さん、勤勉な羊さんだし、地区医師会も活性化。

片山:介護老人保健施設、訪問看護ステーション、24時間ヘルパーステーション、ケアマネジメントセンター、尾道市医師会看護専門学校、尾道准看護学院、医師会運営、ともに、順調経営、看護専門学校にも、ほとんど 繰り入れはありません。尾道准看護学院も黒字。医師会共同利用施設のスタッフは、連続的研修で優秀な戦力です。尾道市医師会ケアマネジメントセンターで介護保険以前に、圏域の全部の団体の研修を行ったので、2000年5月の調査で、ケアカンファレンスは96.7%実施。ここで、会員の事業体のスタッフも全員研修で共通のレベル、認識を醸成しています。この数は医師会員数の約8倍。尾道市医師会は会員数286名、1市2町人口12万人。 准看廃止論を逆手にとり、事業体の介護職の准看免許取得を勧め、複合資格者を多数養成する指針です。 (午前中は所属で仕事ができるので、半、奨学生的身分)社会人入学者が60%を越えました。実に、合同入学式で、両方を見比べていると、平均年齢は、准看の方が上!しっかりしています。授業中も、うるさい生徒がいると、お母さん世代?が「静かにしなさい!!」と、やってくれます。
介護事業部門を昨年、事業力のある尾道市社会福祉協議会と合体(尾道市社医連協:2002.4.16)したので、圏域での最大の介護サービス事業体が誕生!会員の諸事業も連携がやりやすくなっています。(介護保険事業+地域医療+地域福祉)
医師会介護老人保健施設も医師会ヘルパーステーションと経営統合、施設介護と訪問介護、リハビリテーション施設に変身。会員の全施設も健全運営です。
(2)行政などからの存在意義
医師会との共同プロジェクト(学校医、検診、予防接種、関係委員会、健康教室、地区講演等)で、自治体の保健医療福祉、関係、部、課、(福祉保健部、健康推進課、介護保険課、学校教育課など)が恩恵を受けていること。(保健所も)
結構、医師会が圏域をコントロールできる部分は大きいのです。

本田;黒字部門が大部分というのは驚異的です。ここ数年は准看学校で悩んでいる。経営がきつい。存続問題が出ている。介護部門はまだ赤字か。検査配信は情報ネットの核とはなってはいるわけですが、検査配信だけが稼動していて情報交換の方がなかなか稼動していない。活性化されない。いずれにしても医師会にお金がないと医師会自体が活性化されない。今後は仙台のように医療協同組合の株式会社化。名古屋のような治験の請負など別な分野の活性化も諮る必要がある。自治体以外の活動がトレンドとなりつつある。松山氏のIHDN構想をうまく医師会に取り込めれば、かなり体質改善が諮れると思いますね。医師会のNPO法人化。より地域に積極的に関与できる。

安藤;地域医療を考える時、地区医師会の存在意義はここにあるべきと思っています。役人主導ではない、実際に地域医療の現場で物事を見ている実地医家が主導する地域医療。勿論、地域で地区医師会に替わるような医師主導の組織ができて、それが行政と丁々発止の交渉が出来る立場を築けるなら、別に地区医師会じゃなくても良いんですけどねぇ。

片山:なにかと、行政の委託事業ということで医師会との契約という役所感覚、でいまのところは行っていますね。介護予防、生活習慣病関連等に関しては、アイデア募集でいいのがあれば、2次医療圏に全県設置されている、地域保健対策協議会が補助を出すようにしています。これも、保健所仕事で終っていましたが、医師会の提案で、4年前から企画部会を設置して、圏域の実効的な継続プロジェクトを実施しています。郡部の精神保健の取り組みなど、形になってきました。保健所も、変わります。今年度は、MC(メディカルコントロール体制整備:全国同じでしょう)、介護予防が中心です。ここでも、中核に4地区医師会より委員が入り、実質、医師会の意見と保健所とうまく合って来ています。広島県立保健福祉大学の土肥学長も委員です。やはり、学術団体的な位置付けはありますね。それと、地域ケアシステムの運営の中核に地域医師会が、ドンと座っていることは大きいです。

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政治連盟について
 本田:日医はよく強大な政治力があるといわれます。また政治献金額も多いとよくマスコミさんに言われますね。しかし、実態はお寒い限りで、この前の参議院選で、日医が押した議員が22万票しかとれなかったということが、よく議員の間でも話題になっております。よって、政治家における、現在の日医の評価は、日医は政治家を当選させることは出来ないが、落選させることはできると言うことになっているようですね。今回の3割負担問題でも政調会長との念書問題や、自民党が気を使って、ワーキンググループで医療問題の答申を出した。統一地方選前ですからかなり危機感を持ってはいたようです。しかし省庁改正により行政府特に政府の政策立案能力の向上がある。よって政策の意思決定手法が変ってしまった。族議員の力が相対的に落ちたといえる。勢力地図が変った。より議員の政策立案能力がとわれ出している。
政党支持の自由
歯科医師の政治連盟訴訟問題があり、日医連盟も政党支持の自由化を去年打ち出した。退会も自由である。坪井会長自身は、自分は自民党支持ではない。政権与党を支持している。政策が最も近いのは共産党であると仰しゃられましたね。
若手の政治離れ ある医師会の会合に出たら若手医師の政治離れが問題になっておりました。政治というと毛嫌いする。集会にも出ないと古株の先生が嘆いておりました。
2)マスコミ
 日医は圧力団体。抵抗勢力。記事は量がかけない。とりあげられない。ニュース性がないとダメ。
━ Jmapress.net ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【解説】医師会は圧力団体なのか −構造改革特区−
2003-03-05 11:23:21
 政府の構造改革特別区域推進本部(本部長=小泉首相)は、自由診療の先端医療に限るという条件付きで特定の地域における株式会社の病院経営参入解禁を決めた。日本医師会と厚生労働省の強い反対を押し切っての首相の決断−。マスコミ報道で小泉首相や規制改革推進派の面々は国民の味方、医師会は既得権益を守ろうとする圧力団体という構図がすっかり定着してしまったが、本当にそうなのだろうか。
 小泉首相直属の総合規制改革会議や経済財政諮問会議は、株式会社の病院経営参入だけでなく、(1)自由診療と保険診療の併用を認める「混合診療」の導入(2)公的医療保険の対象範囲見直しと民間保険の利用−などについても検討を進めてきた。これらの検討課題の根底にあるのは、公的医療保険でカバする医療の範囲をできるだけ小さくしていくという考え方だ。
 高齢者の増加によって医療費は増加の一途を辿り、今の制度のままでは高齢者の医療費を賄うことが近い将来困難になる。そのため政府はこれまで数度にわたって制度の見直しを行ってきた。
 平成9年にはサラリーマン本人の医療費自己負担を1割から2割に引き上げるのと同時に、医療機関で受け取った薬剤の種類数に応じて自己負担を取る仕組みを導入。最近では昨年10月に高齢者の医療費負担を上限つきの定率1割から完全定率1割制へ変更、一定以上の所得がある高齢者は2割負担となった。一見して分かる通り、これまで政府が打ち出してきた政策はいずれも国民の負担増に特化した内容といえる。
 医療費は、国と地方の負担(税収などの公費)、企業の負担(従業員の保険料の半分を負担)、国民の負担(保険料と患者の自己負担)の3つの財源で支えられている。国民の負担が増えれば当然残りの2つのシェアは小さくなる。つまり、政府は自己負担引き上げという手法を使って医療費のなかの国や企業が負担していた部分をせっせと国民につけかえてきたのだ。
 実は株式会社の病院経営参入解禁も、こうした考えの延長線上にある。今回、参入が認められようとしているのは先にも述べたように自由診療の先端医療の部分。この「先端医療」の定義は現時点では明らかになっていないが、非常に高価な医療であることは間違いない。そして次に登場する一手が医療の「保険外し」だ。先端医療に限らず、株式会社病院が提供できる自由診療の範囲を広げ、公的医療保険でみる範囲を狭くしていけば、医療費の国庫負担分が次第に国民に転化されていくことになる。
 国民に負担を強いるという点だけでなく、金銭的余裕のある人は先端医療を受けることができ、余裕のない人は受けることができないという格差が生じることも大変な問題だ。日本医師会のシンクタンクである日医総研が実施した「医療に関する国民意識調査」によると、国民の7割が「お金を払える人は追加料金を払えば保険で給付される以上の医療サビスを受けることができる仕組み」よりも、「所得の高い、低いに関係なく皆が同じレベルの医療を受けることができる仕組み」の方が望ましいと答えている。政府は株式会社が参入すれば国民の選択肢が広がるというが、それは金銭的余裕のある人に限った話で、そうでない人は逆に選択肢が限られることになってしまう。このようなことが、本当に国民のためになること、国民が望んでいることなのだろうか、医師会が反対する理由はここにある。
 株式会社が医療に参入してくれば太刀打ちできないから医師会は反対している、と世間では理解されている。現在の医療法人制度は「医療で金儲けをするべきではない」という非営利原則を守るために、さまざまな規制がかけられ、医師は非常に窮屈な環境で日常の診療にあたっている。「株式会社になって金儲けをしてもよい」となった場合、一番得をするのは実は医師であるかもしれないのだ。自分の得になるわけでもないのに、なぜ医師会が株式会社参入にここまで反対しているのか。ジャナリストの方々には「医師会=圧力団体」という既成概念に捉われず、社会の木鐸として冷静な判断をしてもらいたいものである。

川内:若手の政治離れ
これは明らかにアレルギーがありますね。確かに本田先生の云われるとおり、何を云っても政治力、具体的には票を集められなければ、議員への陳情も無駄になる。この論理はわかりますので、地区医師会などの役員は必死になる。ある種、圧力をかけたくなるまで、必死になる。こうなると若手、特に開業したての様な新入会員は、嫌気がさす。そんな事より日々の生活に追われているのに、そこまで命令されるのは。こんな声になります。この結果、更に医師会離れの要因となるのでは無いでしょうか?
○医師会は圧力団体か?
川内:これに関して、圧力団体と云われる事に、非常に抵抗感があるのは、我々自身かも知れないと思っています。 例えばある業界の親睦なり、組織があった場合、その組織は政治家にお願いをし業界にとって良い方向に運動をします。これらは別に何も言われないのですが、こと医療となると違います。後で出て来ますがマスコミは医師を(医師会)を叩けば正義の味方的な発想があるのではないでしょうか?H15年4月からの3割負担でも、あたかも3割になったら医療機関の収入が増える様に思っている患者さんの多い事に驚きますが。これらを積極的にマスコミが報道しない事も問題かも知れません。
個人的には、「圧力団体」と云われても良いのではないか?事実そうであると思っていますがこの辺は、皆さんにご批判を受けるかも知れませんね。

本田;政治に顔を向けるかどうかは、結局問題意識の有無の問題だとは思うわけです。たとえば3割負担増、外総診がなくなれば内科なんかは収入ががた減りになる。開業医の3割は内科ですね。ところが今回もその内科医さんから組織立った反発が出てこない。整形外科なんか逓減制で大騒ぎしているわけです。
これは
1)内科医が性格的にまとまらない。大人しい。
2)組織化されていない。個別散発的にしかならない。
3)志向が違う
たとえば臨床内科医会などは、医師が政治の話などまかりならん。もっと学問にせいを出せという雰囲気とかうかがったことがある。そこらへんはどうなんでしょうか。安藤先生そこらはいかがですか?

安藤:
1)内科医が性格的にまとまらない。大人しい。
外科と比べると内科って、クラブと同好会、職人と作家、みたいな違いがあるような気がします。仲間との協調、というよりも、個性の発揮、を図って生き抜くことを考える傾向にある?。加えて内科は医療全般を見渡して病態を考えるのが本業、という意識があり(ホントに内科を志した方であれば、ですけど)、マジメに取り組めば取り組むほど、他のことには手が廻らなくなる・・・(ということは、私はフマジメである、と言っているのと同じか。
2)組織化されていない。個別散発的にしかならない。
内科は数が多い。しかも、上記のようなことですからねぇ。
3)志向が違う
 罷りならん、という話は聞いたことがありませんが、政治の話はあまり出ませんねぇ。外科のように目に見える技で競うことが出来ない内科では、どうしても知識の多寡で競うような傾向がある、という気がします。医師会でも学術部とか学術講演会なんぞがデカイ顔をしている。ま、医は算術にまっしぐら、という輩よりもずっとマシですけど。

片山:いわゆる医師連盟(医連)は、2年前?医師会と同一の起源で運営されてはならない、と旧厚生省の担当局長から、日医が指摘されたことがありましたね。これは、全国の都道府県医連を通じて特別会費なるものを全会員より徴収しようとした目論見でしたがが、全国の足並みが揃わず、国会で共産党議員が糾弾したことで、日医は大失態を演じてしまった。医政、というのであれば、医療政策や医療制度、医療経済、このような分野における正当な意見を出せる医師会にすべきで、支持政党を誘導するような活動は地域医師会活動の本筋ではないと言う意見を2年前に出しました。

朝比奈@:医連について、経緯はよく知らなかったのですが、先生のご説明でスッキリしました。政治の世界では裏で取引をすると、非常に高いものにつくと思っておりまして、医政については直接議員を味方につけるのではなく、消費者を味方に持ちその結果として議員が味方になるというのが宜しいのじゃないかと思います。

渡辺:政治献金は個人でするものと考えますので趣旨や目的と関わり無く、団体献金は否定します。どうしても同職種として政治連盟を作りたければ任意にどうぞですが、その結果、見えないところで何かが決まるような結果があるなら、嫌悪します。一切献金をせず、裏金も動かず、すべてキャンペーン費用とすることも面白かろうと思います。これなら”圧力団体”ではないでしょう。医療のあるべき姿の提言を示すのが医師会の本来であってその裏付けとしてシンクタンク総研を置いたのではなかったのでしょうか。総研活動に費用がかかるのを補うために会費を払うことはかまいません。総研が、結果として現状を否定したら皆で変わればいいのですから。

本田:
○政治あるいは組織
 政治とは人間が2人いればはじまるというのが政治学の教科書の最初に書いておりますね。人間が他人との関係のかかわりのなかで政治が生まれる。同様に人間が集まり集団化すればそこに組織が生まれる。約束事も出てくる。それほど組織、あるいは政治は、特別な言葉ではないとは思っております。より発展して、医療を守る。生活を守る、政治活動をする。それはそれで各位の自由ではある。まあ積極性があって建設的な運動なら、より意義深くはなる?
○組織化する。運動
 人間が自由意志で、一定の理念のもとで集まり、自由な発想のもとで討論して、そこでまとまり、ご同意を得た方たちが、何らかの一定の目標を定めて何事か済そうとすれば、それは運動になる。いろんな運動をするのには、何をするにしても、人がいっぱいいたほうが良いわけです。
○政治活動とは何か:各方面にご理解を得ること。
政治連盟は、ロビ活動は正当な政治活動?
政策は夜作られる?宴会政治?
政治献金は悪である?
じゅうたん爆撃に尽きる。
コストパフォーマンスは?
政治は日常活動に優るものなし。議員MLなど。。。
○政治と理念
ご理解を得る有効な方法とは?政治が、政党間の利害調整の場であり、理念は取引材料とされること。理念のありようを交換材料として良いのか悪いか。交渉が下手?政治的交渉とは何か。昔1点10円が決まったころに医療は政争の道具とされたと仰しゃった方がいたとか。硬直性???
○政治のありよう
医師会が自分たちの
1)主張をまとめ
2)国民各位へ提示する。
3)同士を募り、政治的にも一定の社会的影響を出す
これは政治の基本でありますね。非難されるべきことではない。内部のまとまりの問題はいささかありますが。
○主張の妥当性を問う
そこで問われるのは医師会の主張が「妥当」なのかどうか。これは国民各位の判断である。あくまで情報開示の問題ではある。医師会として国民各位へきちんと信を問う。ご理解をえるような、ビジョンを常に出している。
○政党支持するということ
確かに医師というのはあまり政党支持を出すと地域で仕事がしずらいわけですね。患者さんが敵味方に分かれる。 福祉政策というのは、幸いのところ本来は弱者保護ですから、あんまり党派性はない所ではあると思いますね。よって自民党であろうと共産党であろうと、あまり関係はなさそうと思っております。要は医療に対する理解者が増えればよい。
 福祉は票にならない
党派性が薄い話題であるということは逆にいえば、積極的に取り上げても票にならない。国民の飯のタネにもならない。よって医系議員以外はあまりまじめに考えていない。口当たりの良いところだけ各党とも列べる経済が逼迫してくれば削る部門の第一にもなる。シルバー産業が儲かるかもとなれば、すぐ参入しようとする。しかし介護はきついというのは浸透してきたようで、オリックスは、医用機材に侵入してきた。
どの党も所詮いっしょ
 この構造はどの党も一緒である。有権者が元気になるようなあるいは票になるようなことしか言わない。増税なんてとんでもないという理念なき政策となる。経済第一である。飯を食わせることが第一の任務と考えている。厄介なことにこれは間違いでもない。
対策は従って
1)票に結びつくことを日常的に見せる。あるいは評価になる
集票能力は残念ながら20万票しかない。話にならない。医療政策に反対、賛成したかどうかを常にチェックして、いつも評価批判を伝えるあたりから、全議員に日医という単一組織からでなく、全国各地からばらばらに、しかも多様な層から言わせる必要がある。これが世論であろう。自民党を第一に考えるが当然どの党でも良い。とにかく意思表示を「全」議員に日常的に行うこと。各議員が選挙という洗礼はあるわけですから選挙民が一番怖い。各地の選出議員を説得する形が望ましい。あるいはどうだったか常に訴える手段ですね。健保改悪に反対しましたねとか賛成しましたねとちくちくやることでしょう。党派性を明らかにする必要性は薄い。。。。
○広報の問題
マスコミはどちらの主張が正しいか伝える義務はある。限られた紙面のなかで。某公共放送のディレクターのように、たった一行で医師会は抵抗勢力であるというステレオタイプの御意見だけは納得は出来ないということでしょうか。医師会が直接国民各位へ語りかける手段が出てきている。組織化するってのは政治そのものですね。至難。政治家さんがいつも苦労している。
○従来の意思決定システム
 医師会の総会はあらかじめ決まった案件の説明と若干の意見開示のみ。総会は若干もめる場合もあるが、結語は原案通り可決されたでチョン。あるいは理事会クラスになっても、あらかじめかかれた執行部による案件を踏襲するだけ。国会も同様。族議員による立案と根回し、委員会前にすでに決まっている。要するにどんな大きなシステムでも動かしているのはきわめて少数である。
○決議事項
組織防衛としては、決まったことは粛々と実行する。体制側は一枚岩を求められる。反対は厳しく潰される。ここは日本はじつにしっかりしている。だから賛成も反対も強直化するし、反発も強い。内部でも外部でも鋭い対立を生む。結局「意思決定前」にどの様に介入するかということになる。
○政治は夜作られる:料亭政治。ご理解を得る。
決定前に介入する方法。いわゆる「根回し」の方法としてはいろいろある。官僚さんはこれが大変お上手である。自ら政策を立案。方々へもっていく。政治家も基本的には同様。民からは陳情。料亭政治ということにある。これらは短時間すぎるし、コストがかかりすぎる。みのりも少ない。腐敗も生じやすい。政治家は足元をすくわれる。医師会などは総会、代議員制度、委員会制度だが、これらも空間時間コストがかかりすぎるし、参加人数が少なすぎる、回数も開けない。合意形成にはできるだけ人をからませるに限る。スピードが遅すぎる。政治あるいは、政治家は、あるいは会の運営はヒトとのネットワークつくりが商売であるが、このシステムはコストがかかりすぎる。非効率すぎる。なお悪いことに時間はかかるし危ない。塀のなかに落ちる。
 カウンター文化を育てないと自らの政治活動、あるいは会自体を維持できないいずれも、これは効率の悪い情報伝達システムに乗っかった意思決定システムの形骸化そのもの。民主主義の形骸化や危機といってよいとは思うんです。あるいはもともと日本にはなかった?和(輪でもある?)をもって尊しとなす。
○カウンター文化を作る:ネットワークつくり
政治家に学ぼう。小さな輪をいっぱい作り、大きな輪にしよう。ここらは毎日悩んでいるところです。。協力いただけない。基本は人をいかに集めて、集めた方に各々の組織のあるいは個人の思いを伝えるシステムつくりですね。政治運動そのもの。政治家さんがやっているどぶいた選挙。日常活動が大切。政治家さんの強調するところ。多くの方が「日常的」に無理なく会える環境を作る。結果「濃厚な」人間関係ができればよい。しかし我々は、政治家みたいに、これが商売ではないわけですから,効率化させる必要がある。政党や日医はメルマガを使い出した。
○具体策
 議員個人のメーリングリストを作る動きもある。政策立案の手助けをする無償の個人シンクタンクを作る。これはキーパースンを支えるシステムつくり。

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自浄作用について
本田:マスコミなどでは、医師の不正問題がよく取り上げられております。国会等でもこの前某議員との討論では、往々にして不正があると過大に取り上げられ合理性があってもきられてしまう。205円ルールが典型であるとなっておりました。冷静な判断ではなく制度がいじられる。老人負担増も政策的に一貫性がなく負担増になっているとの日医総研の分析がありました。医師の不正問題は問題になりやすいわけですが、国から大体処分を受けるのは年間数十人である。医師は22万人いるわけですからそれなりに倫理性は保たれていると思っております。 一方医師会はあくまで任意参加団体です。医師会に捜査権があるわけではない。よって捜査権もないのに会員を罰するわけにはいかないわけです。司法の裁定結果を待って処分をきめるしかない。日医でも参考文献に挙げたごとく手を拱いているわけではないわけですが、そこら辺をどう考えますか。

安藤:医師会の自浄作用ですが、その対象って、地区医師会だと、1)医師会、2)会員。
1)の場合には、まあ、こりゃ、アカンのじゃないのぉ、ということがあれば、総務連絡会や理事会で異論あり、と発言して、ワイワイやれば、まともな地区医師会であれば何とかなりそうです。まぁ、あくまでも、まともな会員が過半数を占めるまともな医師会ならば、ですけど。
2)となると、ちと、これは、余程のことがないと難しいんじゃないでしょうか。会員って別に地区医師会に雇われている訳でもありませんし、一応、裁定委員会とかいうのもあるみたいですけど、そもそも非会員の都市部だと、それなら医師会なんてヤ〜メタ、となり兼ねず、これでは”野獣”を野に放つ、になってしまう。
医師会で会員に対して自浄作用を、というのであれば、それは会員同士の交流を活発化して、その中で、やっぱ、こういうのはマズイよなぁ、こうして行けばみんなハッピーかもねぇ、という雰囲気を盛り上げていくことかなぁ、と思います。丁度、片山先生のところでバリバリ、やっておられるように・・・。
で、私のような末端医師会員には良くワカリマセンが、都医とか日医ともなると、例えば補助金事業の振り分けとか、なんだかもっと自らの行いを自浄すべき問題が山積しているんじゃないでしょうか。ORCAの件でも、数人殺せば殺人者、何万人殺せば英雄、というオカシナ話、あるような気がしますぅ。どうなんでしょ。

片山:自浄作用が必要なのは医療界に限ったことではないですが、果たして、「自浄」ということが、外部(社会保険庁など)の介入がないように内部でコントロール、処理します、というニュアンスを感じます。政策というのは、時にヒステリックな動きを見せますが、一貫して医療側に負い目を意識させる効果が出てしまっているようで、情けないですね。
診療報酬という単価設定を国が決定して、それで生きている医療機関ですので、いつも言うように、完全統制経済下の医療が日本の医療ですよね。ここで、マイナスイメージを押し付けながら、政府は切り込んでくる。ここを、マスコミが世論を刺激する。このパターンが、出来てしまっている。
国会議員の自浄作用はどうなっている?最も低モラルの業界で、北海道のS議員、まだ、バッチつけていますよね。「個別指導」の立会いを職務上しますが、些細なことで、言われていますよ。気の毒。
各医師会には裁定委員会があるはずです。これは、会員に対してのもので、「会員であって本会の定款もしくは議決に違反し、又は会員たる名誉を毀損したと認めるものに対して裁定し、また、会員の紛議の調停、会員の身分ならびに業務についての審議を行う。」(尾道市医師会裁定委員会規則第3条)
日本医師会の裁定委員会(うちの3代前の会長が委員)に出てくる事案も、けっこうひどいものがあるようで、先輩は心を痛めておいででした。医道審議会の処分内容も、ひどくなっていますね。これは、なんとかせねば。「悪徳は悪徳」で、たまたま、その人間が医師で医療を手立てに使っただけと考えます。個人資質の問題で、医療者全体が質が悪いことではありませんよね。

朝比奈:なぜ自浄作用が問われるかということです。
1)消費者からの信頼の獲得
2)プロフェッショナルフリーダムの堅持
3)プロフェッショナルとしての誇りの維持
ではないかと思います。
このうち、1)についてはマスコミが事の軽重や医療制度の不備を十分考察しないで喧伝するため、全て医師が悪意を持って不正をはたらいているような誤解を与えており、こういう点に関しては誤解を解き、解決策を提示する努力を続けていく必要があります。時には誤解された医師や医療機関をかばうことも必要でしょう。しかし、我々の中には確信犯がいることも確かです。現状では「医師会に捜査権がない」ということから、司法の判断が出てから内部処分を果たすのが精一杯ということなのでしょうが、告発なら誰でもできるはずです。
その点、山口県医師会でレセプトを元に内部チェックをしているというのは、すごいですね。どこまで指導されているのでしょうか。やはりそういうことを積み重ね、さらには公表して透明性を高めないと消費者の信頼に応えられないのではないかと思います。できる、できないというのはあとから考えるとして、まずは消費者の信頼に応えるための自浄レベルはどこかということを明らかにすることが必要じゃないでしょうか。

本田:構造的な問題が多いと思っております。
1)現在の点数が、出来高にはなっていない
明細書をなかなか出せないこと。出しても理解していただけない可能性がある。
2)保険外負担のあたりも結構不明確な理解のまま行っているところもある。
3)傾向診療
医療はあくまで医師の裁量権の因でケースバイケースで行われるわけであり、ある意味標準化されていないため、一概に高額=悪とは言い切れない。
4)自営業
 他の医療機関の内部事情はよくわからない。審査部分の問題であろう。
なかなかこのような構造的な問題があり一律には出来ないと思われます。

渡辺:保険のレセプトは旧来のルートは習慣として医師会を経由し、点検と称して総括表などの資料は医師会の目に入ります。受診傾向や個別医療機関の性格が現れていることでしょう。同じ内科でどうしてこんなに違うのか、とか、CTがあると撮影が増える(当然か)なア、とか。「一律傾向的な診療はご遠慮ください」というお手紙が届いたらどう考えるか。糖尿病専門、喘息専門、リウマチ専門、治療パターンがでてくることですね。
治療ガイドラインにそって行うと、皆さん同じパターンに落ち着きます、とお答えしましょうか。窓口負担金会計の「明細書」。理学療法は「その他」に入っていますので、明細書項目もその他。この内訳を示せというなら毎日のレセプトを発行するのが会計になりますね。

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広報の問題

本田:日常的に、医療に対するご理解を得ることは非常に大切と思います。特にこのような医療情勢が、厳しいときは特にそれを感じます。一方日医は広報が下手だ、マスコミの無理解という話もよく聞きます。日医も現在朝日新聞に質問状をだしている。最近日医も専門委員会を作って、一般の方への広報を考えております。整備はされてきております。ある開業医の先生が、一時期3000票をもっていたという話をお聞きしたことがあります。本来かかりつけ医が地域で長年医療をして、そこでいろんなことを患者さんへお伝えする。医療の広報マンとしての役割を十分果たせば非常な力となると思っております。しかしなかなか雑談をする暇もない。実行は意外と難しいものであるとも感じます。また我々はグループで一般向けにメールマガジンでかかりつけ医通信を月2回発行しております。大体5000人くらいには読まれているようです。このような不特定多数の方に普段メディアが流していただけないわけですから、多様な安価な独自ルートを開発する必要性を痛感しております。そこらのアイディアがございましたら。

渡辺正紀:医療制度が変化したなら、現場も患者さんに周知をはかりますが”患者さん”は受診した一部の被保険者でしかない限定の方。受診していない大方の被保険者に周知するのは、制度改定した公的な機関(お役所、国)が皆保険の被保険者=国民に周知すべきことが軽んぜられてます。ギリギリ時期の官報だけでは。
保険者が自分の所帯の被保険者に周知することは当然です。が、これも、どうもですね。保険証の回収すらおぼつかない不安定な関係。医療費通知には熱心でも、3割負担の事前周知は十分だったのでしょうか。これは受診抑制だから話が早い例外かも。

片山:ここは、一般市民(患者さんを含む)向けの広報としての話しですね。これは、大変に重要である。
順序として
(でも、どうしても、発信元の医師会員のレべルは問題になります、トンチンカンを言う奴がいると、ああ、医者って、こんなことも知らないのかとか、信用できんな、とか)
1)医師会員の知識、制度理解が正確であること
正確でなければ、市民の知識に劣っているようでは、逆効果。
対策:医師会MLが有効。ROM 連も充分に知識注入効果あり。今回のSARSなど、大変、早く、ML発信しました。講演会・勉強会・シンポジウム(タイムリな企画)地区医師会広報誌、飲み会の会話。
2)市民、患者さんの「知りたいこと」に対応できるフィールドを持つ(本来業務+広報)
 小生など、介護保険、介護技術、栄養、痴呆の相談を多くうけますが、これは、仕事の範囲内、であり、医療制度も絡めての広報の側面もあります。
3)メルマガ(オープン)をセットする。
→かかりつけ医通信を全国ネットに配信するとか。レベル統一+会員教育
4)定期、イベント、外部講演
例)ジョンQプロジェクト2003 In ONOMICHIは、DVDを購入する会員や市民も多く、結構、継続性がありましたね。福山市医師会では学生、市民も含め1500人動員。尾道と合計、約2000人。老人大学の講座、尾道、約1500人。ぼけ老人を支える家族の会、150人。生と死を考える市民の会、200人。 この辺、医療の重要さや国策のことに触れることもあります。
5)伝えるより、先に、患者さんたちがなにを思っているか?聴き取れることが重要ではないですか?
リスニングスキル、を磨き、現場のニーズを反映することで、土台が出来ていくと考えます。

本田:効果的なプロパガンダとは日常的により多くの方に意見を伝えること。しかも低コストにということに尽きる。ネットの有効利用;Jmapress.net、かかりつけ医通信など。
医療関係者向け
 これはネットワークの整理、組織化が必要ですね。ひめや中央などの各メーリングリストに、より人的集積を図る。宣伝するしかない。。全国区が地域を引っ張る形をより明確にする。
一般向け
 まあ各位で日常的に患者さん、地域社会でネットワークがある。あるいは作る。患者さんの囲い込みのネット化も始まっているわけですから、これらをML化して、宣伝して、各位を全国区に放り込む形を明確にしていく。小生は今ライオンズをML化しているわけです。ここでかかりつけ医通信を宣伝する。医療を話題にする。あわよくば中央や、ブラックアウトMLにほうりこむ。地道な日常活動なんでしょうね。ご理解を得ていく人の輪。政治活動そのもの政治ってこういう事からなんでしょう。

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今後の展望(IT化に絡めて)
本田;医師会の活性化について
 いろいろ社会情勢が厳しくなってきている。医師会経営も、開業医の生活もきつい。ますます医師会への期待も多くなるはずであるが必ずしもそうではないところもある。本来の任務を果たしていないともいえる。医師会長から、最近の若手医師は一切会合に出てこない。どうしたらでてくれるんであろうかと相談されました。それは、医師会に魅力ないからでしょうとはしましたが、ではどうすれば魅力が出ますかねえ。対案作りが問われている。至難ではあります。

渡辺正紀:もう一度、医師会ってなんだっけからでしょうか。学術、ギルド、公益奉仕、サービス、政治団体、圧力団体親睦会、医療連携、開業医団体と病院、オーナー医師と勤務医、民間と公的、準公的医療機関 大学は教育研究研修臨床?各診療科事情と医師会構成、専門医、自由標榜、かかりつけ、地区、都道府県、日医のピラミッド、分担。
 若い先生方が楽しめる、心騒ぐ組織になっていないのでしょう。新たなアイデアをもって企画、演出、上演のできる仕事をやりにくい。前職がやっていた業務を同じになぞるのがお仕事?お茶やお花みたいに、伝統ある茶道や華道の家元に入門して修行をつんで免状を貰い、格があがるシステムのように感じてしまう私。先が見えている。一介の末端のお弟子さんには流派の運営とか、誰が宗家を継ぐかなど関係のない隔離された世界が。茶の心、華の心、霞を食っては家族を食わせられない。
**理事、**理事を担当して、副会長**年、会長**年で、上部?組織へ栄転。その間に恙無く担当業務をこなし慣例は遵守する。これでは変化しない。電車はレールを走って、ハンドルがない。
医師会役員の皆さん、いい方です。個人はいい人。でも医師会ってなんだろう、どこを目指しているんだろう。区医師会選出の東京都医代議員、立候補定員ちょうどで決定。この方々が都医師会を動かす。政見は?で、その中から日医代議員がでて日医が動く。誰が、いかに?どこで何が決まる? 
会員=医療機関にはレールがない。何年間同じレールを走れるか、長期の医療ビジョンがない、悪路、泥だらけの道。悪路を抜けて車を下りた方が、ラリ奮戦中のドライバーにもっと心落ち着けて世のため人のための”公益法人”という”スジ論”を話しても、判っているけど、今は手が離せない。チームで参戦中ではラリー途中棄権ということもできない。「おい**K地点無事通過」という無線交信が通じたのですが医師会館まで行かないと、サポートチームにあえない。サポートがヘリでこちらへ向かってはくれないし、非常用発炎筒が燃えても、見張りはしていないのかな。

片山:ここが、重要な点ですね。固いことばかり言ってると、組織が固くなります。プリミティブな手法も取り混ぜながら、とにかく、まとまること、何でもいいから、楽しいこと。が重要です。昨日、尾道市医師会廿日会という伝統的病診連携飲み会(以前紹介)は、中核病院院長以下、勤務医、開業医合わせて、100人以上の参加。ゲストは隣、松永沼隈地区医師会の4月よりの新会長。尾道一番の料亭の2階大広間で、ワイワイやりました。(月例)各病院より、新任の医師の紹介があり、新に19名ほど加入。会員のいろんな先生が来て、居宅介護支援事業所の委譲の相談とか、AED(自動除細動器)の会員への配布計画とか、広域医師会のあり方とか、野球の試合の日程調整、看護学校のあり方検討など、理事以外の論客が次々と議論を持ってきます。不思議に、この会で、ものがまとまることが多く、MLでない、アナログ回線をフル活用しています。
尾道市医師会理事会暗黙の規則、アイデアは24時間受付。担当分野の改善、改革案を、毎月理事会で提示、協議、アイデアの枯渇と意欲後退、体調不良 → 交代 です。

渡辺:東京都23区内でも医師会の規模がいろいろあります。区と関係なく戦前なみの範囲で50人の医師会から島根県医師会を越える千人単位の区医師会まで。世田谷区医師会で千人を越えますか? 杉並でも800名?こうなると”一同に会して”は不可能です。全員一致もなかななか困難。顔も知らない方が多くて億劫に。ご町内医師会の寄せ集めで自治体区分に対応すれば問題ないと思うのですが。さらに、二次医療圏対応の単位も集合体として対応。町内会の集合体が日医であってもおかしくないですよね。

片山;IT化をすすめることは、重要であるが、全国の地区医師会のML組織率は大変低い。まず、執行部、若手会員に集中して横断的な企画が必要。マニアMLの印象は、新規加入に影響。いまだに散見。現状でも、「ひまだるま」や「TFC」など医師会の話しなど真剣に議論する空間あり。学生や研修医が、プリミティブなことを恐れず投稿することを、大事に扱って先輩として教育空間を構築する、「やさしさ」は重要。

渡辺:抱える問題は各様多様。内輪の問題もあれば、システムの問題も。個別局所の問題と全体が抱える問題。目先の問題と、長期将来のビジョンと、視点もいろいろ。価値観もいろいろあって、懐はまさに個別の世界。内部から変える、外圧で変える。非難攻撃して変える、誉めて育てる。手法もいろいろ。誉め殺しは困りますが、世に貢献している点を挙げてみてきちんと誉めたら、その気で頑張る面もあるのが人間でしょうね。現状を全面否定するのではなく、プラスと評価したうえで、プラスを強めることで総合評価を上げる得意種目型とプラスを維持し、マイナス面をなくす平均点上昇指向とどちらでも総合評価は上がります。
既得権益、圧力団体、何と呼ばれても必要である窓口。役立っているのが「医師会」で、別につぶせといわれているわけではないでしょう。その医師会を構成しているのが個人の医師であって診察中には医療のことしか考えない商売下手の専門バカであって、良かったね、というオチでないと救われません。

片山;医師会が医師会として通用する(世間にも、会員にも)ために、その水準をどのように極める努力をしているか、と思います。現状維持は、ダウンヒルです。どの医師会もさまざまな課題をかかえています。

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まとめ
本田:まとめにかえて
●医師会の魅力の向上
 会員各位が意欲を持って仕事に打ち込める環境作りを行う。医師会は学術団体であり、かつ医師の権益保護団体でしょうから、その双方の機能を十分発揮できるようにすれば、おのずと入会のメリットはでてくる。よって医師会と言う組織をIT化推進などを駆使して、より風通しを良くして、より魅力あるものにしていく必要がある。心騒ぐ医師会を作る。
●医師会の生き残り策=地域の医師の生き残り
 医師の経営環境が厳しい。よりサービス機能をアップしないと生き残れない。
1)地域医療の効率化
 病診連携を密にする。医療資源の有効配分。
2)医師会を広域化する
 二次医療圏は50−80万前後となる。この規模で医師会を広域化する。
広域化によるデメリットはIT化でおぎなう。
3)積極的に収益事業を行う
地域医師会は現在社団法人。財務体質の改善を行う必要がある。より収益性をあげる事業の開発。治験等。あるいは審査業務を行う。これは医師会の自浄作用にもなりえる。企業からの寄付を募る。IHNのように事業化する。病院経営情報のデータベース化等の事業。

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最後に
 この原稿は、平成15年4月4日から25日まで、メーリングリスト上で、行った医師会をめぐっての、様々な角度からの討論です。参加者の先生方、まことにご協力ありがとうございました。なおあらかじめ配布した資料も参考文献として、つけておきます。

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出席者

1)渡辺 正紀(わたなべ まさき)医療法人財団小原病院理事・院長。整形外科医、東京都中野区本町3−28−16 
2)片山 壽(かたやま ひさし)片山医院院長 内科医 尾道市医師会会長、尾道市栗原町6456-1
3)川内邦雄(かわうち くにお)川内クリニック院長、整形外科医 東京都杉並区
4)朝比奈 完(あさひな かん)中野サンブライトクリニック院長、内科医、東京都中野区本町2−46−1 3F
5)安藤潔(あんどう きよし)荒川医院院長、内科医、東京都中央区
6)本田 忠(ほんだ ただし)本田整形外科クリニック院長、青森県八戸市小中野2丁目9ー4

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参考文献

平成12年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
医療制度改革の課題と視点
日医ニュース 第993号(平成15年1月20日)
日本医師会会員数調査(平成14年12月1日現在)
平成12・13年度勤務医委員会答申
21世紀における勤務医のあり方:平成14年2月日本医師会勤務医委員会
医師会共同利用施設検討委員会報告書
平成14年3月日本医師会医師会共同利用施設検討委員会
会員の倫理向上委員会答申
平成14年3月日本医師会 会員の倫理向上委員会
平成15年3月自浄作用活性化委員会
平成14年3月 日本医師会未来医師会ビジョン委員会
医師会総合情報ネットワークシステムの推進に関する実態分析と評価−最終報告書−
平成12・13年度医療情報ネットワーク推進委員会報告書
医師会総合情報ネットワークシステムの推進に関する実態分析と評価−最終報告書−
15.3.30 第108回日本医師会定例代議員会・会長所信表明
朝日新聞社掲載記事「私の視点」への質問(4/7 15:10更新)
かかりつけ医通信第52号2003年4月5日発行。医療の給付の現状
整形外科と医療のIT化について
平成13年度 学術推進会議報告書
平成13年度 生涯教育推進委員会答申
日本医学会の概略
日整会は分科会である
日本医学会評議員会
日本医師会とは車の両輪。