新型インフルエンザで自宅療養する患者さんへ

ver2009/6/27


自宅療養を行う際の留意点
感染拡大を防ぐために必要なことなど
はじめに
今回流行している新型インフルエンザは、もともと健康な方の大多数は比較的軽症のまま回復しているので、基本的には、あなたご自身はあまり不安を感じる必要はありません。その一方、社会には何らかの理由により感染すると危険性が高くなる方々(例;妊婦、喘息や糖尿病などの基礎疾患を持つ人)が存在しますので、罹った方は、なるべく他の人にうつさないため、ご自身の努力とご家族の協力をお願い致します。
・ 自宅療養する期間について
発熱、咳、のどの痛み、鼻水・鼻づまりなどの症状が続いている間はできるだけ外出しないで下さい。
症状が始まった日から5日以内に症状が無くなった場合は、症状が始まった日から7日目まで又は熱が下がった日から2日を経過するまでは、できるだけ自宅に待機して下さい。
症状が始まった日から6日以上症状が続く場合は、熱が下がった日から2日を経過するまでは、できるだけ自宅に待機して下さい。
・ 咳エチケットを守りましょう。
咳が続いている間はマスクをしましょう。
マスクが無く、咳やくしゃみをする時は、ティッシュなどで口と鼻を覆いましょう。
使ったティッシュはすぐにゴミ箱に捨てましょう。
咳をする時は顔を他の人に向けず、できれば1メートル以上離れましょう。
・ 手をこまめに洗いましょう。
特に咳、くしゃみをした後には手を洗うことを心がけましょう。
石けんと水道水(温水)で、15〜20秒間は洗いましょう。
水が使えない場所では、アルコール手指消毒剤(ジェルなど)も効果的です。
スーパー、薬局で買い求めることができます。
もし、アルコール手指消毒剤を使うなら、手が乾くまで擦りあわせてください。
・ その他
家族への感染を防ぐため、個室での療養に努めてください。
お茶、スポーツ飲料、スープなどで水分補給をこまめにしましょう。
毎日1回は体温を測り、記録しておきましょう。
栄養をとり、安静にして十分な睡眠を心がけましょう。
部屋の湿度を高めにしましょう。
定期的に部屋の換気をしましょう。
病院からもらったお薬は、症状が無くなっても必ず最後まで飲みきりましょう。

次の様な症状が現れた際には、入院治療が必要になる場合がありますので、速やかにかかりつけ医に電話で相談し、指示を仰いでください。
・ 子供
呼吸が速くなる、あるいは息苦しい等の訴えがある
顔色が悪い(青白い、ないし土気色)
水分摂取が十分できない
ひどい、あるいは持続する嘔吐
意識がない、あるいは意思疎通ができない
いらいらする、怒りっぽいなどで、安静が保てない
インフルエンザ症状(発熱、咳、のどの痛み、鼻水・鼻づまりなど)が一旦軽くなったあとで、再び発熱や咳がひどくなった
・ 大人
呼吸困難または息切れ
胸部または腹部の痛み、圧迫感
突然のめまい
意識混濁、錯乱(うわごとをいう)
ひどい、あるいは持続する嘔吐
インフルエンザ症状(発熱、咳、関節の痛み、鼻水・鼻づまりなど)が一旦軽くなったあと、再び発熱や咳がひどくなった

新型インフルエンザ対策担当課長会議資料3
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0626-05.pdf


 まんえん期は、症状の軽い方は「自宅で療養する」事になります。
通常のインフルエンザとの違い
 新型のインフルエンザは誰も免疫をもっていないため、通常のインフルエンザに比べると、感染が拡大しやすく、多くの人がインフルエンザになることが考えられます。そのため、感染の拡大を防ぐために、以下のような十分な対策が必要となります。

治療方法は?
安静と睡眠を充分にとり、発汗等で脱水になり安いので水分補給を充分にしてください。
主な治療法は抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザ)の投与です。
医療機関を受診する時はマスクを着用します。マスクがない場合は「咳エチケット」を心がけ、周囲に感染させないよう注意してください。

健康観察とは
 患者さん本人と、感染している可能性が高い「同居者」などは、「外出を自粛」し、「保健所へ健康状態を報告する」ことが、法律で定められています。また、状況に応じて抗インフルエンザ薬(タミフルなど)が配布されることがあるので、保健所からよく説明を聞きましょう。

具体的な健康管理は
外出を自粛し、他の人との接触を極力控えるとともに、
*一日朝夕2回の検温と体調変化を本人が毎日記録する
*発熱や呼吸器症状が現れたときは直ちに保健所に連絡する
*保健所が定期的に行う健康状態確認の問い合わせに応じる
ということをお願いしています。

自宅療養中の注意事項
*患者はなるべく家族とは別の個室で静養し、マスクを着用し、咳エチケットを心がけます。適宜換気も行ってください。
*患者及び同居者は、うがい、手洗い、手指消毒を励行する。特に患者に接触した場合などには徹底する。
*自宅においてもマスク着用や、咳エチケット(※)を徹底する。
*食事は、同居者と一緒にせず、時間を変えるか自室でとる。

家族などの同居者は
*必要のない外出は控えてください(特に人が集まる場所)。
*マスクだけでは感染を完全に防ぐことはできませんので、お互いに距離をとるなど、他の感染防止の方法も行いましょう。
*家族はなるべく接触をさけ、手洗い、うがいを徹底し、マスクを着用します。
*患者の看護や介護をした後は、必ず水と石鹸による手洗い、またはアルコール製剤による消毒をします。
*衣類やタオルなどのリネン類は、患者と同居者で共有しない。
*患者が使った食器や衣類は、通常の洗剤によって消毒することができます。
*ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、テーブル等の人がよく触れるところは1日1回拭き取り清掃することが望ましい。
*トイレ、洗面所、浴室などの共有空間についても、患者が使用した後にはできるだけ清拭する。
*自宅への訪問者はできる限り避けるようにする。
*公共の交通機関(電車、バスなど)の利用は避け、できる限り自家用車などを利用してください

直ったかどうかの判断は
 職場等に復帰する場合は、必ず医師の判断を仰いでからにしてください。完全に治癒していなければ感染が拡大します。


※咳エチケット
*周囲の人から1m以上離れる。
〔咳やくしゃみのしぶき(飛沫)は約2mとびます〕
*マスクを着用する。
*ティッシュで口を覆い、顔をそらせる。
*マスクがない場合は、ティッシュなどで口と鼻を覆い、他の人から顔をそらして、1m以上離れる。
*口を覆ったティッシュなどはゴミ箱へ捨てる。
*咳やくしゃみを抑えた手はただちに洗う。
*咳やくしゃみを手で覆ったら、手を石鹸で丁寧に洗う。


以下なども参考にしてください 。
1)新型インフルを知るために
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_what.html#inful_07
2)新型インフルエンザ患者の入院等の取扱いについて平成21年5月22日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-06.pdf
3)新型インフルエンザに関するQandA
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=139287

発熱外来での新型インフルエンザ(A/H1N1)診断の流れ