発熱外来での新型インフルエンザ(A/H1N1)診断の流れ

ver:2009/9/6
since2009/5/18


はじめに
情勢の変化等にあわせて適宜改変しています。


定義
○発熱外来
 新型インフルエンザに係る診療を効率化し混乱を最小限にするために設置される外来専門の医療施設のことです。第三段階の感染拡大期までの発熱外来は、新型インフルエンザの患者とそれ以外の疾患の患者とを振り分けることで両者の接触を最小限にし、感染拡大の防止を図ることを目的としています。第三段階のまん延期以降における発熱外来は、感染防止策を徹底した上、新型インフルエンザの患者の外来集中に対応することに加え、軽症者と重症者のトリアージにより入院治療の必要性を判断することを目的としています。

○感染症指定医療機関
 感染症法に規定する特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関及び結核指定医療機関のことです。
*特定感染症指定医療機関:新感染症の所見がある者又は一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院。
*第一種感染症指定医療機関:一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院。
*第二種感染症指定医療機関:二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院。
*結核指定医療機関:結核患者に対する適正な医療を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)又は薬局。

○発熱相談センター
 都道府県及び市区町村が保健所等に設置する電話対応専門の施設。新型インフルエンザの患者の早期発見、当該者が事前連絡せずに直接医療機関を受診することによるそれ以外の疾患の患者への感染の防止、地域住民への心理的サポート及び特定の医療機関に集中しがちな負担の軽減等を目的としています。

大原則
 分離する;院内での二次感染を防ぐために「発熱外来」と「一般外来」はわける必要があります。分離するための方法は、大きく分けて「地域内」で分ける。「各医院内」で分ける方法があります。なお現場での「実際の運用」に当たっては、ウイルスの基本的性質等に鑑み、各位の「総合的なご判断」で対処ください。

具体的な発熱外来設置した医療機関名の公表
段階2(国内発生早期):「非公開」で保健所がトリアージを行う。
段階3(まんえん期)以降:原則「公開」され、患者さんが各発熱外来を直接受診する。

蔓延期発熱外来
 設置時期;まんえん期に設置する。この「まんえん期」の定義は国のガイドラインにのっとるわけではなく、地域内で発生して既存の感染症指定病院の機能がパンクしそうになった時期に、その支援のために、医師会等で設置する場合の想定です

既存の感染症指定病院等による発熱外来がパンクした場合の具体的対策
a)発熱外来の設置数を増やす:地域で分ける
医師会等で行う発熱外来
  医師会の急病診療所の分院形式のまんえん期発熱外来を設置する。熱発者は自院では見ない。会員各位へ発熱外来への出動を交代でお願いする。各地でいろいろなやり方が試みられています。地域の実情にあわせて行う。
1)独立型;医師会主体で公民館などの公共施設などで独立して行う。実例、八戸市医師会など
2)集中型;地域の中核病院に医師会として参加する。実例、奈良市医師会など
3)各自型;センター化せずに各医療機関で手上げ式で行う。実例、仙台市医師会など
b)自院で発熱者を診察する:院内で分ける
時間的もしくは空間的に一般患者と分離する(実際は、はなはだ困難である):最後に詳記しています。

新型インフルエンザへのまんえん期以降の対策の基本的考え方
まんえん期になれば
1)インフルエンザ患者数の増加
2)地域の医療機関の減少(従事者の罹患等による休診)
3)物資不足(ヒト、モノ)

具体的対策
 既存の発熱外来の機能がパンクすれば、できるだけ早期に地域で発熱外来(分離できる必要がある)の数を増やす必要がある。
1)既存の医療機関(発熱外来、一般診療所)では対応困難
 手上げ式で自院で発熱外来を分離して行える所は行う。しかし構造上分離できるところは地域で少ない。かつスタッフの罹患等による休診も増える。よって地域全体では現状より診療機能が低下すると予想される。自院で行うのみでは到底患者数増に対応できないと思われる。
2)医師会等で新たに地域に発熱外来センターを立ちあげる。
a)地域で多発する患者の受け皿となる
 まんえん期になればなるほど、地域の個々の医療機関の機能は低下する。地域で増大する患者の受け皿が必要。かつ完全分離により患者の院内での二次感染を減らすことが可能となる。
b)効率化;医療資源の集中を図る
 センター化により、乏しくなる医療資源の集中を図る事で効率化が可能となる。個々で分離して行うより、人的資源の無駄、物資のデッドストックなどを減らせる。
c)個々の診療所の本来機能の維持をはかれる
 センター化により各位が自院で診る熱発者数をできるだけ減らし、(ゼロにはならない)個々の医療機関での感染リスク等をできるだけ減らすことで、本来の診療機能の維持をできるだけ図る。よってインフルエンザ以外の患者の診療を行えるようにする。
3)パンデミックになればセンターの分離よりも機能をアップすることを優先する。
 パンデミックになればより一層個々の医療機関は機能低下が予想され、よりセンターの数を増やす必要がある。ただし複数立ち上げは人的物的資源の乏しい中では大変困難である。数を増やすよりセンターの機能の向上をはかるべきか。可能な限り、複数診療体制、時間延長などで対処する。

複数診療体制への対処
 患者数の急激な増加も予想される。当日あふれた時のサブの応援医師等の順番も必要か。

発熱外来センターへの出動に当たっての考え方
1)あくまで手上げ式が原則であろう。
 ボランティアの強要ではご協力いただけない。
2)ご協力を得られやすくするために出来うる限りリスクと、ご負担を減らす
a)出勤しやすい時間設定。例えば夜間を優先する。
b)機材を出来るだけ備蓄する。不足が予想されるマスク等の確保を図り感染リスクを減らす
3)各種補償をする
 金銭的補償(出動の手当てアップ)、労災補償などを考慮する。

公的補助
 公共施設等を利用した発熱外来は「保険診療」です。運営上は県や市による機材等の赤字補填が必須。
発熱外来センターへの支援のお願い
1)人的支援
 スタッフ不足が予想される。対応はしたが、もし不足してくれば事務員や看護師の支援をお願いしたい
2)金銭的支援
   発熱外来にかかる費用は原則「保険診療でまかなう」が、立ち上げ及び維持費などで赤字になることも予想はされる。もし赤字になればその補填をお願いしたい。
3)物的支援
 あらかじめ迅速診断キット、マスクなどの個人防護具の備蓄をお願いしたい。個々の医療機関での備蓄では経費の観点からも限界がある。直ぐ枯渇する。神戸においてはマスクさえ地域で払底した。マスクや診断キットがなければ診療できない。

財源
「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」等が望まれる。

具体的な支援策例(厚労省及び首相官邸)
○算定対象経費になりうるもの
1)非常勤職員の人件費
 a)発熱外来に従事する医師等の確保に関する人件費
2)発熱外来
 a)発熱外来開設に必要な施設等の改修費、屋外テント等経費
 b)個人防護具(PPE)の配備
3)協力医療機関
 a)個人防護具(PPE)や人工呼吸器の配備
4)補償制度
 a)診療に当たる医師等が感染した場合の補償
 b)医師等が感染した場合に医療機関が被る損失に対する補償
11.新型インフルエンザ対策事業
 新型インフルエンザ対策の強化のため、マスク、防護具・感染防止衣、噴霧器など新型インフルエンザの感染拡大を抑制するための資機材の購入に要する費用に交付金を充当する。マスクについては、市が200,000セットを購入し、新型インフルエンザの感染拡大抑制が必要な場合に児童生徒等に配布する。【神奈川県座間市】【事業費:1.0千万円】
72.新型インフルエンザ対策用資機材整備事業
新型インフルエンザが国内流行した場合においても治安の確保に必要な各種警察活動を維持するため、新型インフルエンザ感染者に対応する可能性の高い、現場初動措置等に従事する警察官の感染防止に資する感染防護キットを整備する。

参考文献
「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の新型インフルエンザ対策への活用について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0602-01.pdf
県レベル
平成20年度11月補正予算案について - 青森県庁ホームページ
http://www.pref.aomori.lg.jp/message/kaiken/kaiken20081113r.html
まず、健康福祉部9,994万5千円。これは、新型インフルエンザ患者入院医療機関設備整備費補助であります。人工呼吸器とか個人防護具を医療機関が備える場合に補助するものであります。
市レベル
地域活性化統合本部会合
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/
平成21年4月28日地域活性化・経済危機対策臨時交付金活用事例集を地方公共団体に公表しました
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/siryou/pdf/090428jireisyu.pdf
平成21年4月27日平成21年度補正予算(第1号)の政府案における地域活性化・公共投資臨時交付金及び地域活性化・経済危機対策臨時交付金の予算計上について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/siryou/pdf/090427koufukin.pdf

公共施設での発熱外来
 運営主体が自治体で、診療所医師が「嘱託」などで、市や県などと雇用関係を結べば労災適応となります。

2009年5月1日新型インフルエンザの国内発生に伴う発熱外来の設置のために診療所を開設する場合の保険医療機関の指定に関する取扱いについて(平成21年5月1日保医発第0430002号厚生労働省医療課長通知)
http://www-bm.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-01a.pdf

備蓄における問題点;有効期限
1)インフルエンザ迅速診断キットは有効期限が1-2年と短い
2)タミフルとリレンザは7年に延長された。
インフルエンザウイルス抗原迅速検出キット一覧
http://210.233.67.206/kit2.php
タミフルとリレンザ
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090605-OYT8T00238.htm


・新型インフルエンザ(H1N1)の今後の対応2009年8月27日
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=142603



医療機関における感染対策
外来での感染対策
すべての医療機関において、外来患者を含むすべての来訪者に対して、発熱や咳、くしゃみなどのインフルエンザ様症状を指標としたスクリーニングを行う。医療機関の入り口に近いところでチェックする。 インフルエンザ様症状があればサージカルマスク等を使用して咳エチケットを行ってもらう。 インフルエンザ様症状を呈している患者と、そうでない患者を別の区域に誘導するか、時間的な分離を行うことが望ましい。難しい場合でも、有症状者にはサージカルマスクを渡す等して咳エチケットを励行する。 これらの業務に従事するスタッフは、常時サージカルマスクを着用していることが望ましい。適切な着用で感染予防効果が高くなることが期待される。 患者に対して迅速診断キットやウイルス分離・RT-PCR検査のための検体を採取する場合は、それに加えて眼の防護(ゴーグルまたはフェイスシールド)と手袋を着用することが望ましい。この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行うようにする
標準予防策:すべての患者に対して適用される感染対策。汗を除くすべての体液・分泌液・排泄物、健常でない皮膚、粘膜に触れる可能性がある場合には、直接触れることのないよう、程度に応じて手袋、サージカルマスク、ガウン(エプロン)、目の防護(ゴーグル、フェイスシールド)を使用する。また、その前後で手指衛生を行う。
飛沫予防策:インフルエンザを含め飛沫感染する病原体に対して行う感染予防策。飛沫は1m程度飛散すると考えられるため、この程度の距離に近づく医療従事者はサージカルマスクを着用する。また、患者同士の距離も1m以上あけるようにする。カーテンなどの障壁も有用である。
咳エチケット:咳やくしゃみをハンカチや上腕、マスクなどで飛び散らないようにし、さらに適宜手指衛生を行う方法。標準予防策の一部に位置づけられる。呼吸器感染症患者から周囲への感染を防ぐのに有効
参考文献
医療機関での新型インフルエンザ感染対策 −改訂版2009年8月25日改定
医療機関における新型インフルエンザ感染対策について(旧バージョン)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/info0602-01.html
・新型インフルエンザ対策本部による「基本的対処方針」に関するQ&A(平成21年7月23日改訂)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/c=141369

1)医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/0619-01.html
2)新旧対照表(PDF:125KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/dl/0619-01a.pdf
3)医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)概要平成21年6月19日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/dl/0619-01b.pdf
4)大臣説明:上記概要図の説明:厚生労働省動画チャンネル「YouTube」(舛添大臣会見〜新型インフルエンザ対策の運用指針改定について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140329
5)事務局説明
2009/06/19運用指針改定についての事務局説明
http://bousai.jiji.com/info/swine_flu/090619_01.html
2009/06/19【会見詳報】厚生労働省新型インフルエンザ定例レク
http://bousai.jiji.com/info/swine_flu/090619_02.html

新型インフルエンザ対策担当課長会議資料平成21年6月26日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/index.html

問2 すべての医療機関で発熱患者の診療を行うとされたが、発熱外来を設置していない医療機関については、動線の分離などの時間的・空間的分離の対応を行わなければならないのか。
(答)当該医療機関に発熱外来が設置されているかどうかに関わらず、原則として、全ての医療機関において、院内での感染予防のために時間的または空間的に発熱患者の分離に努めていただくことが重要になる。
一般内科外来の動線分離に関する実例については別添5に示すが、感染対策の形態は各々の医療機関の診療体制や受診患者の特性により異なるため、その程度については、医療機関が対応可能な範囲で判断することとなる。たとえば、小規模の診療所においては、つい立てにより受診待ちの区域を分ける等の工夫が限度であると判断することも考えられるが、発熱患者に対してマスク着用の徹底を行うことや、医療従事者も可能な限り常時サージカルマスクを着用していただくなどの対応をお願いしたい。

問4 6月25日付け事務連絡(「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定について)では、「自宅療養の期間は、発症した日の翌日から7日を経過するまで又は解熱した日の翌々日までとする。」とあるが、新型インフルエンザと診断されている患者であっても解熱後2日を経過すれば、発症した翌日から7日以内であっても外出することが認められるのか。
(答)通常、インフルエンザの軽症患者であれば、解熱後2日を経過すれば、その多くは咳などの症状についても消失していると考えられ、自宅療養を終了することが可能であると考えられる。 ただし、新型インフルエンザについては、発熱等の症状がなくなってからも、しばらく感染力がつづく可能性があることが明らかになっている。よって、新型インフルエンザに感染していると診断されている場合や、周囲で新型インフルエンザが流行している場合には、解熱後2日間が経過していたとしても、発症した日の翌日から7日を経過するまでは、周囲への感染拡大を抑止するため、できるだけ外出を自粛していただきたい。
なお、重症化する兆候を認めた際には、躊躇せず医療機関又は発熱相談センターに電話で相談することが重要である。

問5 今回の運用指針見直しに際して、入院措置を行っていた新型インフルエンザ患者の退院基準はどのように変更となるのか。
(答)今回の運用指針の見直しにより、新型インフルエンザ患者については、原則として入院措置を実施せず、自宅における療養が基本となる。ただし、感染拡大のおそれがある場合などについては、引き続き必要に応じて入院措置を行うことも可能としている。
今まで入院させていた者が、自宅療養によって対応可能な者であるか、あるいは感染拡大のおそれがある者として引き続き入院措置を要する者であるかを判断し、前者に該当すると判断した者については、その段階で退院させて差し支えない。一方、後者に該当すると判断した者については、平成21 年5 月27 日付結核感染症課長通知に示した「まん延を防止するため必要があると認めるとき」に該当しなくなったことをもって退院させることができる。なお、今後、入院措置を実施した者の退院に関する基準の考え方についても、当該課長通知を参照して判断されたい。

問6 今後、患者の診療費用はどうなるのか。公費負担となるのか。
(答)患者の外来診療については、通常の診療と同様に扱う。なお、予防投与については保険診療の対象外となる。患者の入院診療については、入院措置を行わなければ公費負担の対象とならず、通常の診療と同様に扱う。

問7 重症または重症化の恐れがあるとして入院した患者の退院は、医師の判断で行うことでよいか。PCR検査が必要となるか。
(答)入院措置によらず、重症または重症化の恐れがあるとして入院した患者の退院については、症状の改善等に基づく医師の判断による。この場合、退院に際してPCR検査を行う必要はない。

問8 濃厚接触者に対する予防投与は、原則、基礎疾患を有する者等とされているが、医療従事者や水際対策関係者(以下、「医療従事者等」という。)に対して、公費負担で予防投与を行うことは可能か。
(答)医療従事者等のうち、基礎疾患を有する者等がウイルスに曝露された場合には予防投与を行う。原則、自費負担となるが、その一部もしくは全額を公費負担とすることも各自治体の判断で可能である。

問9 濃厚接触者であるが基礎疾患等を有しない者に予防投与を行うことは可能か。
(答)個々の事情に応じて、医師の判断により予防投与は可能である。

問10 今後、県が備蓄している抗インフルエンザウイルス薬を、予防投与に使用した場合、国からの補充はあるのか。
(答)今回の運用指針では、濃厚接触者に対する予防投与は、基礎疾患を有する者等を対象としている。これは、個人の重症化防止の観点から行われるものであり、感染拡大防止の観点から行われるものではないことから、原則として、国からの補充は行わないが、必要に応じて、ご相談いただきたい。
・政府において備蓄した抗インフルエンザウイルス薬の都道府県への放出手順について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/07/dl/h0710-01.pdf

問11 予防投与の対象者として示された基礎疾患を有する者等の範囲には「幼児」が含まれているが、4歳以下の幼児に対する予防投与に関し、安全性が確立したとされる医薬品が日本にない。この場合、幼児に対する予防投与はどうすべきか。
(答)4歳以下の基礎疾患を有する幼児への予防投与については、適応の有無にかかわらず、かかりつけの医師の判断に基づき、タミフルドライシロップ等を処方することが可能である。その際には、禁忌等の使用上の注意に十分留意すること。なお、処方に際しては、国立感染症研究所のホームページのガイドラインなどを参考にされたい。
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/antiviral2.html

問12 濃厚接触者について、外出自粛の協力を求めることとしているが、職務の継続可否についてはどのように判断すればよいか。
(答)職務の必要性や職務の内容に応じて、可否を判断する。たとえば、他者と接触する機会がほとんどないような職務内容となるよう工夫すれば、職務の継続が可能となると考えられる。

問13 医療従事者等について、ウイルスへの曝露があったとしても、感染した可能性が高くない場合には職務継続できるとあるが、それは具体的にどのような場合か。
(答)患者との距離が2メートル以内に接触する機会があり、ウイルスに曝露した可能性がある場合であっても、適切な感染防御(マスクの着用等)ができていた場合などが考えられる。

問14 基礎疾患を有する者等について、重症化のおそれがある場合に優先的にPCR検査を行うとあるが、具体的にどのような場合に、どのような手続きで検査を行うのか。
(答)基礎疾患を有する者等のうち、呼吸困難等の症状を認めたり、病状の管理が十分でなく状態が増悪しているなどの場合は、重症化のおそれがあると判断できる。このような場合にPCR検査を行い新型インフルエンザの診断を行う意義は、新型インフルエンザに感染していることが確認できれば、以後の適切な治療方針の決定に寄与すると考えられるためであり、優先的にPCR検査を行うこととしているものである。なお、実施に際しては、医療機関より最寄りの保健所に連絡し、検体の受け渡し等に関する具体的な手順について調整されたい。
参考文献:2009年7月9日
平成21年6月19日の「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)」及び平成21年6月25日事務連絡「「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定について」に係る医療の確保に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/07/dl/h0709-01.pdf

表 濃厚接触者(高危険接触者)について(抄)
ア.世帯内居住者
患者と同一住所に居住する者。
イ.医療関係者
個人防護具(PPE)を装着しなかったかあるいは正しく着用せずに、患者の診察、処置、搬送等に直接携わり曝露の可能性のある医療関係者や搬送担当者。
ウ.汚染物質への接触者
患者由来の血液、体液、分泌物(汗を除く。)、排泄物などに、防護装備なしで接触した者。具体的には手袋、マスク、手洗い等の防護対策なしで患者由来検体を取り扱った検査従事者、患者の使用したトイレ、洗面所、寝具等の清掃を行った者等。
エ.直接対面接触者
手で触れること、会話することが可能な距離で、サージカルマスクを装着しなかったかあるいは正しく着用せずに、上記患者と対面で会話や挨拶等の接触のあった者。接触時間は問わない。勤務先、学校、医療機関の待合室、会食やパーティー、カラオケボックス、乗用車の同乗等での近距離接触者等が該当する。
オ.蔓延地域滞在者
新型インフルエンザがヒト−ヒト感染し、蔓延しているとされている地域(または国)に滞在または旅行していた者。当該地域(または国)での接触歴の有無は原則として問わない。蔓延地域(または国)については、別途指定するものとする。
(出典 新型インフルエンザ積極的疫学調査実施要項(暫定版)一部改変)

第4回 青森県新型インフルエンザ対策本部会議(6月24日開催)
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/pandemic_flu_action.html
(3)医療体制
現行どおり、保健所に相談があった場合には、新型インフルエンザを疑う患者には、新型インフルエンザ外来を紹介し、一般医療機関でも対応可能と判断した場合には、かかりつけ医等への受診を勧める。よって、保健所における電話相談体制は継続する。また、県民に対しては、インフルエンザ様症状により、医療機関を受診する場合には、まず、電話を行ってから来院するよう周知を図る。


推奨する感染対策(PPEなど)
1)すべての医療機関において、すべての外来患者を含む来訪者に対する発熱や咳、くしゃみなどのインフルエンザ様症状を指標としたスクリーニングを行う。医療機関の入り口に近いところでその有無をチェックする
2)インフルエンザ様症状を呈している患者と、そうでない患者を別の領域に誘導する
これらの業務に従事するスタッフは、常時サージカルマスクを着用していることが望ましい
3)インフルエンザ様症状を呈している患者に対して迅速診断キットやウイルス分離・PCR検査のための検体を採取する場合は、それに加えて眼の防護(ゴーグルまたはフェイスシールド)と手袋を着用する。この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行うようにする
4)インフルエンザ様疾患の患者の部屋に入室するスタッフは、サージカルマスクを着用する。手指衛生の励行に努める
5)インフルエンザ様疾患の患者に対する気管支鏡、気管内挿管などのエアロゾルを産生するリスクのある手技は、個室で行い、スタッフはサージカルマスクに代えてN95マスクまたはそれ以上の性能の呼吸器防護具、眼の防護(ゴーグルまたはフェイスシールド)、手袋を着用することが望ましい
常に、標準予防策や手指衛生も忘れずに行う

以下、医療施設の場所ごとの感染対策について簡単に述べる。
【A】症例に対して医療従事者が最初に接する場所での感染対策
 海外渡航などの疫学的リンクを疑わせる要因だけでは患者のリスク別振り分けができなくなってきた現状では、来院患者のインフルエンザ様症状に対するスクリーニングが重要となってくる。患者同士が待合室でうつしあったり、医療従事者が患者から伝播を受けたりするなどの事象を防ぐことが大切である。
CDCもWHOも、患者同士の間隔を確保する、咳エチケットを実施するなど、来院患者に関して新型インフルエンザA(H1N1)感染を明確に疑う前の予防策を強調している。各医療機関の状況に応じて、咳エチケットを実施するための資材(サージカルマスク、擦式手指消毒剤、ごみ箱など)を準備しておくことが望ましい。
 これらの病院区域において、常時サージカルマスクを着用することに関しては、エビデンスがないという指摘もある。しかしながら、新型インフルエンザA(H1N1)の主な感染経路である飛沫感染を防ぎ、また医療従事者自身が発症前日(=感染源となりうる)である可能性もふまえ、特に人と人が大勢出会う区域においてサージカルマスクをスタッフが常時着用することは意味があると考える。季節性インフルエンザの流行シーズンに、外来スタッフがサージカルマスクを着用し、手指衛生を頻回に行うなどの留意を行っている医療機関が多いが、それと同様の考え方で対処するのが適切であろう。
 その他の病院区域においても、季節性インフルエンザの流行シーズンに、スタッフがサージカルマスクを着用して勤務することもしばしば行われており、これも参考になろう。
なお、サージカルマスクを適切に着用する必要性は言うまでもない。マスクをかけていても鼻や口が出ているようであれば、感染予防効果は下がってくる。適切に着用することで予防効果が高くなることが期待できる。
 患者同士の距離があまり取れない場合、屋外に一時的に待合い施設を設けるのも一つの案である。屋外で過ごすのが不快でない季節であれば、屋外のオープンスペースを有効に活用する待合い場所も一案と考えられる。
これまでに述べてきたように、主たる感染経路は飛沫感染と考えられるが、とくに多くの患者が接触する部位では接触感染の要素が大きくなる可能性が考えられる。ドアノブ等の高頻度接触部位については、アルコール等を用いて適宜清拭を行うことで接触感染の機会を減らすことが期待できる。
医療機関での新型インフルエンザ感染対策 −改訂版2009年8月25日改定

PPEの交換
(問4)個人防護具(マスク、手袋、ゴーグル等)はどのように扱えばよいか。
(答)
新型インフルエンザの感染防止策として使用する、マスク、手袋、ゴーグル、フェイスマスクの取り扱いについては、以下に留意すること。
1.マスク
○ 症状のある人がマスクを着用することによって、咳やくしゃみによる飛沫の拡散を防ぎ、感染拡大を防止できる。ただし、健康な人が日常生活においてマスクを着用することによる効果は現時点では十分な科学的根拠が得られていない。そのため、マスクによる防御効果を過信せず、お互いに距離をとるなど他の感染防止策を重視することが必要となること。
○ マスクの装着に当たっては説明書をよく読み、正しく着用すること。特に、顔の形に合っているかについて注意すること。
○ マスクは表面に病原体が付着する可能性があるため、表面に触れないよう取り扱うとともに、原則使い捨てとし(1日1枚程度)、捨てる場所や捨て方にも注意して、他の人が触れないようにすること。
○ なお、家庭用の不織布製マスクは、新型インフルエンザ流行時の日常生活における使用において、医療用の不織布製マスク(サージカルマスク)とほぼ同様の効果があると考えられること。

2.手袋
○ 新型インフルエンザウイルスは、手から直接感染するのではなく、手についたウイルスが口や鼻に触れることで感染する。つまり、手袋をしていても、手袋を着用した手で鼻や口を触っては感染対策にはならないこと。
○ 手袋着用の目的は、自分の手が汚れるのを防ぐためである。したがって、滅菌されている必要はなく、ゴム製の使い捨て手袋の使用が考えられる。手袋を外した後は、直ちに流水や消毒用アルコール製剤で手を洗うこと。
○ 手袋を介して感染が広がらないよう、少なくとも感染者、濃厚接触者及びその他の者に接する場合は、手袋を交換すること。

3.ゴーグル、フェイスマスク
○ ゴーグルやフェイスマスクは、介護現場において直接に飛沫をあびるような処置が行われる場合に、眼の結膜からの感染を防ぐために着用が考えられる。ゴーグルは、直接的な感染だけでなく、不用意に眼を触ることを防ぐことで感染予防にもつながることが期待される。
○ しかし、ゴーグルは、すぐに曇ったり、長時間着用すると不快である。
購入にあたっては、試着して従業員の意見をよく聞きながら選択すること。

4.個人防護具(マスク、手袋、ゴーグル等)の廃棄
○ 個人防護具の着用時、廃棄や取り替えの時には、自らが感染したり、感染を拡大するおそれがあるため注意が必要であること。
○ 基本的に、個人防護具は使い捨てであり、できる限り1日に1〜2回は交換し、使用済みのものはすぐにゴミ箱に捨てる。ウィルスの付着したゴミは密閉された容器に回収し、廃棄する際は、ゴミ袋に封をした上で、開封する危険性のないように留意すること。
○ しかし、使い捨てはコストがかかる上、場合によっては個人防護具が不足する可能性もある。そのような状況では、使用時間を長くする、繰り返し使用することも検討すること。
○ 全ての個人防護具を外した後には、個人防護具にウイルスがついている可能性もあるのですぐに手洗いや消毒用アルコール製剤による消毒を行う。また、廃棄場所を定め、その処分をする人の感染防止策についても十分に検討しておく必要があること。
新型インフルエンザ対策担当課長会議資料3
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0626-05.pdf

マスク;4時間毎、汚染時等に取り変えるのが望ましい。
手袋;患者毎に交換するのが望ましい。

1)新型インフルエンザパンデミック|MICKS - 院内感染対策
http://www.micks.jp/icstation/column/pandemic_flu.html
個人防護具(PPE)
サージカルFFP1マスク
マスクはシングルユースである。
マスクの着用時間は最大でも4時間であり、その後は交換が必要である。
マスクが湿った場合は、直ちに交換する。
損傷、歪み、体液により汚染された場合は直ちに交換する。
エプロンはシングルユーズであり、使用後は必ず廃棄する。
2)院内感染対策マニュアル
http://www.hgminkanhp.com/pdf/innaikansenmanyuaru.pdf
○使い捨て手袋は再使用せず、患者(処置)ごとに交換しているか。
○やむをえず繰り返し使用する場合には、その都度アルコール清拭をおこなっているか。
3)医療施設等における感染対策ガイドライン
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/c_kenfuku/kikikanri/manyual/manyu0114.pdf
注1:患者に直接触れた場合や検査用検体を採取した場合など、手袋がウイルス汚染される手技を行った後は、直ちに手袋を外し、手洗い・手指消毒を行う。
4)SAFETY DEVICES & PPE
http://jrgoicp.umin.ac.jp/catalog200902.pdf
実際の製品リスト


症例に対して医療従事者が最初に接する場所での感染対策
 海外渡航などの疫学的リンクを疑わせる要因だけでは患者のリスク別振り分けができなくなってきた現状では、来院患者の新型インフルエンザ様症状に対するスクリーニングが重要になってくる。患者同士が待合室でうつしあったり、医療従事者が患者から伝播を受けたりするなどの事象を防ぐことが大切である。CDCもWHOも、患者同士の間隔を確保する、呼吸器衛生・咳エチケットを実施するなど、来院患者に関して新型インフルエンザを明確に疑う前の予防策を強調している。

1)すべての外来患者を含む来訪者に対する発熱や咳、くしゃみなどのインフルエンザ様症状を指標としたスクリーニングを行う。医療機関の入り口に近いところでその有無をチェックする
2)これらの業務に従事するスタッフは、常時サージカルマスクを着用していることが望ましい
3)患者に対して迅速診断キットやウイルス分離・PCR検査のための検体を採取する場合は、それに加えて眼の防護(ゴーグルまたはフェイスシールド)と手袋を着用する。この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行うようにする
4)標準予防策や手指衛生も忘れずに行う
5)新型インフル感染患者は個室に入れ、換気を良くする。

新型インフルエンザを疑う症状を有する患者が発熱外来を受診するまでの流れ
1)新型インフルエンザを疑う症状を有する患者(症例定義参照)から直接、あるいは指定医療機関以外の医療機関から、電話連絡があった場合
a)何時に、どこの入口から受診するか等、受診の方法を指定する。
b)自宅あるいは連絡があった医療機関から指定した医療機関までは、マスクを装着した上で、可能な限り公共交通機関を利用せずに受診するよう指導する。

受付
1)必ず、再度、インフルエンザを疑う症状(発熱、呼吸器症状等)がないかどうか、渡航歴や新型インフルエンザの患者との接触歴がないかどうかを確認する。
2)有症状者に対しては、「咳エチケット」等についての保健指導を行う。
例:咳やくしゃみをするときは袖で覆う。使用したティッシュは注意してゴミ箱に捨てる。手を頻回に洗う。
3)疑いのある患者については、サージカルマスクの装着を指示する。あらかじめウエルパスなどでの手洗いを励行する。

新型インフルエンザを疑う症状を有する患者への医療スタッフの対応
1)感染予防可能な部屋への誘導および問診・診察
a)待合室で患者間は原則1mあける。
b)問診表にチェックいただく。
c)他の患者と接触がないように十分注意して、診察室に誘導する。
d)感染予防
 診療に従事する医療スタッフは、個人予防衣(PPE)【国内患者発生がないあるいは少数時点では、N95 マスク・ゴーグルあるいはフェースシールド・ガウン・手袋を装着するが、国内発生が多くなってきた時点で、PPE の内容は変更することになる】を装着の上、新型インフルエンザを疑う症状を有する患者にサージカルマスクを装着するよう促し、他の患者と接触がないように、感染予防可能な部屋に誘導し、問診・診察を行う。
d-1)通常の接触感染、飛沫感染対策(患者への接触については、念のためN95マスクを使用する。)を実施する。
d-2)患者に使用した食器や消毒機器については、石けんでの洗浄で再使用可能である。
d-3)環境管理については、通常のインフルエンザシーズンにおける通常の清掃、消毒(70v/v%イソプロパノールもしくは消毒用エタノール)で対応が可能である。
d-4)感染防御具等の使用については、現時点では新型インフルエンザの情報が不足していることから、当面厳しい基準に従う。すなわち、診療にあたっては、ガウン、未滅菌の手袋、フェイスシールドとともに、N95マスク(サージカルマスクではない)を装着することとし、追加情報が入り次第、可能な範囲で簡素化する。特に、フェイスシールドやゴーグルは目からの感染が不明であるため装着することが望ましい。
d-5))N95マスクが望ましい場合
・確定例や疑い例に対して直接的なケアを行うとき
・気管支鏡検査などエアロゾルが発生する手技を行うとき
・蘇生術を行うとき
d-6)その他の感染予防の工夫
・検体を採取するスタッフは、必ず、N95マスク、未滅菌の手袋、ガウン、フェイスシールド等を装着すること。
・診療にあたったスタッフについては、上記の基準に合致する防御をとらなかった場合には、予防内服の実施を検討する。
・職員の健康状態については、毎日確認し、発熱性疾患に罹患している恐れがある場合は休職とすること。その期間は、7日間または症状消失時までの長い方とする。

2)問診・診察の結果、新型インフルエンザを疑った場合(症例定義参照)は、最寄りの保健所に直ちに連絡するとともに、インフルエンザ迅速診断キットを用いて検査を実施する。
注:発病初期(発病半日以内)および発病後日数が経過してしまっている場合は、インフルエンザであっても陽性にならない場合があること、鼻腔ぬぐい液(吸引液)の方が咽頭ぬぐい液より感度が高いこと、抗ウイルス薬を使用すると陽性にならない場合があること、検体を適切に採取しないと陰性になってしまう場合があること、キットの種類によって感度等に違いがあること等、様々な理由でインフルエンザであっても陽性にならない場合があることを十分考慮した上で、適切な検体を適切な時期に採取するよう十分に考慮する。
 これらのことを総合的に判断して、迅速診断キットで陽性の結果が出た場合は、疑似症として、確定検査に移行するが、たとえ迅速診断キットで陰性の結果が出たとしても、その結果の解釈には、十分な注意が必要であり、症状・所見から新型インフルエンザを疑っている場合は、必ず時間をあけて再検査する、検体の採取をやり直す等の判断が必要である。


診断

潜伏期間
 潜伏期はおそらく1〜4日、最大7日程度(CDC、WHO)
感染源となる期間
 患者の他人への伝播可能期間は発症の前日から始まり、発症日から7日後、または無症状になるまでのうち長い方(CDC)
小児、特に乳幼児は発症後10日間、感染性があるかもしれない。
臨床症状
 新型インフルエンザA(H1N1)感染が確認された、合併症のない患者がこれまでに呈した症状には、発熱・悪寒・頭痛・上気道症状(咳、咽頭痛、鼻汁、息切れ)・筋肉痛・関節痛・疲労感・嘔吐・下痢がある。ニューヨーク市では、新型インフルエンザA(H1N1)患者の95%がインフルエンザ様疾患(ILI)の診断定義(発熱および、咳または咽頭痛)を満たしていた。
まれに非定型例として熱発のないインフルエンザもありえる。なお国内発生の神戸の新たな報告もある。参考文献にあげた。
合併症
 合併症が季節性インフルエンザと同様であると医療者は考えておいたほうがよいであろう。すなわち、慢性基礎疾患の悪化、上気道疾患(副鼻腔炎、中耳炎、クループ)、下気道疾患(肺炎、気管支炎、ぜんそく発作の重積)、心疾患(心筋炎、心膜炎)、筋骨格系疾患(筋炎、横紋筋融解症)、神経系疾患(急性脳症、感染後脳症、脳炎、熱性けいれん、てんかん発作)、トキシックショック症候群、二次性細菌性肺炎(敗血症を伴うものも含め)である。

合併症に対するハイリスク群
今回のインフルエンザのハイリスクグループ
1)カリフォルニア州で2009 年5月17 日までに新型インフルエンザと報告された553 例(確定333 例、疑似症例220 例)のうち、入院30 例を検討した。
基礎疾患等
慢性肺疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患等)、免疫不全状態(T 細胞性免疫不全等)、慢性心疾患(先天性心疾患、冠動脈疾患等)、糖尿病、肥満、妊娠
2)2009 年4 月15 日から5月5日まで米国41 州で発見され入院した39 例について検討し た。
基礎疾患等
自己免疫疾患、先天性心疾患、喘息、妊娠、重症筋無力症等
・重症化しやすい基礎疾患を有する者等について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-04.pdf

 季節性インフルエンザの合併症に対するハイリスク群が、ブタ由来インフルエンザの合併症に対してもハイリスク群と考えていいであろう。
季節性インフルエンザの合併症に対するハイリスク群は以下の通り:
5歳未満の小児
65歳以上の成人
18歳以下の小児や若者で、長期アスピリン治療を受けている人や、インフルエンザウイルス感染後ライ症候群に罹患する可能性の高い人
妊婦
慢性の肺・心・肝・血液・神経・神経筋・代謝性疾患を有する成人または小児
免疫抑制状態にある成人または小児(治療やHIV感染による免疫抑制状態も含む)
長期滞在型医療施設や慢性疾患治療施設入居者

1)新型インフルエンザの大阪における臨床像2009年5月21日
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/clinical_epi_osaka.html
2)2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/clinical_epi_kobe.html
3)3人の妊婦での新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染-アメリカ合衆国2009年4月-5月 (09/5/12)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/MMWR09_May12.html
4)日常生活上の注意点〜糖尿病患者・透析者・妊婦さん向け5月23日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-03.pdf
5)糖尿病のある方の新型インフルエンザ対策(患者・一般向け・医療関係者向け)(国立国際医療センター)2009年5月22日 
http://www.imcj.go.jp/sogoannai/naibunpitu/touinfuru.htm
6)6月1日CDC:MMWR:新型インフルエンザA(H1N1)感染で入院した患者−カリフォルニアー2009年(09/5/22)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/MMWR09_May22_2.html
7)神戸市における新型インフルエンザ臨床像の暫定的なまとめ(第二報)2009年5月25日
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/clinical_epi_kobe2.html
8)6月12日 IDSC:大阪府下の2つの学校における新型インフルエンザの臨床像(第二報)−改訂版(09/6/5)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/clinical_epi_osaka02.html
9)大阪府、神戸市における新型インフルエンザの臨床像(第2報)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140075
10)2009年7月29日新型インフルエンザ確定患者の疫学情報 の中間取りまとめについて(PDF:539KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/07/dl/infuh0729-02.pdf
11)感染研・岡部氏「新型インフルエンザ流行は現在が第1波」5月の流行は「前駆波」か
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0907/090766.html?ap
12)
小児の新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染に関連した神経学的合併症テキサス州ダラス, 2009年5月MMWR Vol. 58 No. 28(2009年7月24日号)
13)9月2日 IDSC:パンデミック(H1N1)2009の臨床像(09/9/1)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/case0902.html


ハイリスク患者への具体的対策
外来部門において推奨される対策
1.全ての医療従事者が標準予防策に加えて飛沫予防策を実施する
 全ての医療従事者が標準予防策を徹底する。加えて、新型インフルエンザに感染しているかどうかに関わらず、全ての患者のケアに際してサージカルマスクを着用する等、飛沫予防策を実施することを考慮する。
2.発熱患者とその他の患者の動線を分ける
 すべての医療機関において、すべての外来患者に対する発熱等の症状のスクリーニングを行うこと。たとえば、医療機関の入り口に近いところで、発熱や呼吸器症状の有無をチェックし、これを認める者については別室や他の患者から離れたエリアに誘導する。
 とくに発熱外来を担当する医療機関は、入口を分ける、時間帯を分ける等により発熱患者とその他の患者との動線を分けるようにし、また、来院者にこれを周知する。
3.ハイリスク者へは長期処方をすることによりその受診を回避する
 患者発生が少数である時期より、すでにコントロールがついているハイリスク者については可能な限り長期処方を行って、急速に患者数の増加がみられる時期に医療機関を受診する機会を極力減らすように調整する。
4.ファクシミリ等による処方せんの送付について検討する
 事前にかかりつけの医師が了承しておくことで、発熱等の症状を認めた際に、電話等による診療により新型インフルエンザへの感染の有無について診断できた場合には、診察した医師はファクシミリ等により抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんを患者が希望する薬局に送付することができる。
 また、とくにハイリスク者については感染源と接する機会を少なくするため、一般的に長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、電話等による診療により診断ができた場合、診察した医師はファクシミリ等による慢性疾患等に係る処方せんを患者が希望する薬局に送付することができる。

ハイリスク者に勧める感染対策
1.感染防止策についての正しい知識を身につける
 新型インフルエンザやその感染防止策に対する正しい知識を持つため、テレビ、新聞等のマスメディアやインターネットなどにより情報収集を行うとともに、居住地域の状況については、地方自治体の提供する情報の収集に努めるよう勧める。また、自らの持病についてもよく理解し、主治医の指導に従った生活習慣と内服等を維持するよう、勧めることはもっとも大切である。
2.医療機関を受診する場合には事前に電話をかける
 急速に患者数が増加している地域で受診を希望する場合には、緊急時を除き、なるべく事前に電話をかけてかかりつけの医師から受診すべきかの判断を求めるように勧める。また、受診の予約をすることで、医療側は長時間にわたり院内で待つことがないようにする。
3.院内ではサージカルマスク着用と手洗いを心がける
 発熱外来に限らず、すべての医療機関において新型インフルエンザに感染している患者が受診している可能性があるものと考え、医療機関を受診する場合には必ずサージカルマスクを着用することを勧める。さらに、こまめに手洗いもしくはエタノール等による手指消毒を心がけてもらう。
4.待合室では他の患者から離れた場所に座る
 医療機関において指定されたエリアがない場合には、なるべく他の患者からは離れた場所で診察の順番を待ってもらうよう誘導する。
6月1日IDSC:医療機関におけるハイリスク者に関する感染防止策の手引き(09/6/1)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/highrisk.html


新型インフルエンザA(H1N1)感染患者への医学的ケア
 新型インフルエンザA(H1N1)感染を疑われる患者「すべて」が医療機関を受診する必要があるわけではない。感染者で重篤な症状がある人、あるいはインフルエンザによる合併症に対するハイリスク者(リスト参照)は、医療機関へ連絡を取るか受診するべきである。

どのような患者に対して新型インフルエンザA(H1N1)診断検査を行なうべきか
 医療者は、患者が「急性発熱性呼吸器疾患」叉は「敗血症症状を呈する」場合、新型インフルエンザ(H1N1)の診断検査を行なうべきである。乳幼児、高齢者、及び免疫不全者は非典型的な症状を呈しうる。熱発しないこともある。
 優先して検査を行なうべき人達は1)入院を要する人、2)(前述した)ハイリスク群、である。
 すべての新型インフルエンザ(H1N1)感染疑い患者が診断を確定する必要はなく、特に疑い患者が感染地域住民である場合や、症状が軽い場合はなおさらである。誰を検査するかに関する臨床的な判断も加味して判断すべきである。

ニューヨークの高校における実際のアウトブレイク時の各種トリアージは
報告はどこまでするのか
1)重症で理由の説明できない発熱を伴う呼吸器系疾患を有する患者。
2)症状は軽いが集団発生に関連している場合に限って、該当する患者をすべて報告する。
検査は
1)重症で、理由の説明できない呼吸器疾患を有する者に行う
2)症状が軽い患者に対しては疾患が重篤になるリスクがある場合を除いて検査を勧めていない
抗インフルエンザ薬の投与は
1)確定例、可能性例、疑い例、あるいは重症の説明不能な発熱性呼吸器疾患で検査結果を待っている人。
2)基礎疾患を有し、疾患が重症化しやすい人。
3)軽症(合併症を伴っていない)治療は発症後48時間以内に限り推奨。
抗ウイルス薬の予防投与は
1)適切な個人防護具を着用せずにブタインフルエンザ感染確定例、可能性例、疑い例にケアを提供した医療従事者。
2)新型インフルエンザ感染確定例・可能性例・疑い例の無症状の家族または濃厚接触者で、インフルエンザ重症化のハイリスク群に含まれる人または医療者本人
濃厚接触者へは
1)軽症の人は症状発症後7日間、または症状消失後24−48時間でいずれか長い方、自宅にとどまり、くしゃみや咳をするときは覆い、頻繁に手洗いをするように助言されている。
2)新型インフルエンザウイルスの検査や、推測に基づいた抗ウイルス薬を用いた治療は推奨していない。
参考;5月18日 CDC:MMWR:学校でのブタ由来インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染症−ニューヨーク市、2009年4月(09/5/8)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/MMWR09_3.html

重症化の徴候
臨床医、患者、そして自宅での加療に携わっているものは、病状が重症化する徴候を注意して観察する必要がある。症状の進行は、非常に早い場合があるため、H1N1感染確定者、ならびに疑いのある者は、以下の症状が認められた場合には、医療機関の受診を勧める。
・活動中あるいは安静時の頻呼吸
・呼吸困難
・蒼白
・血痰もしくは着色した痰
・胸部の痛み
・精神状態の変化
・3日以上続く高熱
・低血圧
小児では、重症化の徴候として、促迫呼吸や呼吸困難、注意力散漫、起床困難、遊ぶことへの興味の減衰なども含まれる。
推奨された抗ウイルス薬の使用2009/8/26
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/WHO_antivirals.html

新型インフルエンザ症例定義
(平成21年5月22日改定)
1)定義:QandA:新型インフルエンザ発生届
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090522-02a_0002.pdf
2)医療機関における新型インフルエンザ診断の流れH21.5.24版
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0525-01a.pdf
3)症例定義についてのQandA:H21.5.24版
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/info0525-01a.html
4)新型インフルエンザ 疑似症患者連絡様式(参考)(Excel:32KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/xls/info0525-01a.xls
5)新型インフルエンザ発症が疑わしいと判断された後の流れ
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02c.pdf
6)新型インフルエンザA(H1N1)症例の調査に使用する症例定義の暫定的な手引き−改訂版アメリカ東部時間2009年6月1日CDC
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/casedef3.html

平成21年6月19日地域における対応について
(1)発生患者と濃厚接触者への対応
a)患者
 原則として患者(患者と疑われる者を含む。)については、医師の指示等に従い、入院措置ではなく、新たな感染者をできるだけ増やさないよう、外出を自粛し、自宅において療養する。なお、感染拡大のおそれがある場合などについては必要に応じて入院させることも可能とする。
 基礎疾患を有する者等*に対しては、早期から抗インフルエンザウイルス薬の投与を行う。そのうち、重症化するおそれがある者については優先的にPCR検査を実施し、必要に応じ入院治療を行う。なお、医師の判断に資するため、厚生労働省において、医療従事者に対して、随時、最新の科学的知見等を情報提供することとする。

b)濃厚接触者
 患者の濃厚接触者に対しては、都道府県等は、外出自粛など感染拡大防止行動の重要性をよく説明し協力を求めるとともに、一定期間に発熱等の症状が出現した場合、保健所への連絡を要請する。学校等の集団に属する者であって、複数の患者が確認された場合は、必要に応じ積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者を特定する。
 基礎疾患を有する者等で感染を強く疑われる場合については、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を医師の判断により行う。さらに、医療従事者や初動対処要員等のうち基礎疾患を有する者については、それらの者がウイルスに暴露した場合には、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を行う。その上で、感染した可能性が高くない場合には、職務の継続を可能とする。
* 基礎疾患を有する者等:新型インフルエンザに罹患することで重症化するリスクが高いと考えられている者をいう。通常のインフルエンザでの経験に加え、今回の新型インフルエンザについての海外の知見により、以下の者が該当すると考えられる。
 妊婦、幼児、高齢者、慢性呼吸器疾患・慢性心疾患・代謝性疾患(糖尿病等)・腎機能障害・免疫機能不全(ステロイド全身投与等)等を有しており治療経過や管理の状況等を勘案して医師により重症化へのリスクが高いと判断される者等。

(2)医療体制
 発熱相談センターは、受診する医療機関が分からない人への適切な医療機関の紹介、自宅療養している患者への相談対応等、電話による情報提供を行う。具体的な発熱相談センターの運用については、地域住民がどのような情報を必要としているか等に応じて都道府県等において決定する。
 外来部門においては、今後の患者数の増加に対応するために、現在、発熱外来を行っている医療機関のみならず、原則として全ての一般医療機関においても患者の診療を行う。その際、発熱患者とその他の患者について医療機関内の受診待ちの区域を分ける、診療時間を分けるなど発熱外来機能を持たせるよう最大の注意を払う。特に、基礎疾患を有する者等へ感染が及ばないよう十分な感染防止措置を講ずる。また、公共施設、屋外テント等の医療機関以外のところに外来を設置する必要性は、都道府県等が地域の特性に応じて検討する。
 入院については、原則として実施せず自宅療養とするが、重症患者については、感染症指定医療機関以外の一般入院医療機関においても入院を受け入れる。その場合も、医療機関は院内感染防止に配慮した病床の利用に努める。都道府県は、地域の実情に応じて病床を確保する。
 都道府県は、特に新型インフルエンザに感染した際のリスクが高いと考えられる者を守るため、都道府県の判断により発熱患者の診療を原則行わない医療機関(例えば透析病院、がん専門病院、産科病院等)を定めることができる。
医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針 (平成21年6月19日)
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/unyousisin20090619.pdf

[2] 外来部門における対応
○ 発熱外来のほか、全ての医療機関で発熱患者の診療を実施。その際、外来部門における院内感染対策を徹底。
 外来部門においては、今後の患者数の増加に対応するために、現在、発熱外来を行っている医療機関のみならず、原則として全ての一般医療機関においても発熱患者の外来診療を行うこととします。その際は、外来部門における院内感染対策を徹底します。具体的には、季節性インフルエンザと同様に発熱患者はマスクを着用することとします。また、医療従事者は可能な限り常時サージカルマスクを着用します。さらに、発熱患者については、他の患者からできるだけ離れた場所(可能なら別室)で診察を待つようにする、発熱患者とその他の患者について医療機関内の受診待ちの区域を分ける、診療時間を分けるなど、空間的・時間的に発熱患者とその他の患者を分離するよう努めます。特に、基礎疾患を有する者等へ感染が及ばないよう十分な感染防止措置を講じる必要があります。
 なお、発熱外来として発熱患者を優先的に受け入れる医療機関をあらかじめ指定している地域においては、引き続きそれらの医療機関へ発熱患者を紹介することも可能です。また、公共施設、屋外テント等の医療機関以外のところに外来を設置する必要性については、都道府県等が地域の特性に応じて検討することとします。
「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定について:平成21年6月25日
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140467


1)医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)概要平成21年6月19日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/dl/0619-01b.pdf
2)「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定について平成21年6月25日
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140467


検査時の医療従事者の感染防護
 新型インフルエンザ(H1N1)の検査には、鼻咽頭ぬぐい液や吸引液、鼻腔ぬぐい液と咽頭ぬぐい液か鼻腔洗い液、あるいは気管吸引液などの上気道検体を採取する。発症者から鼻腔や気管吸引を行なう人は「適切な個人防護具の着用」が必要である。
 患者の診察や臨床検体の採取を担当する医療従事者は、患者と濃厚接触する機会が高く、患者の咳やくしゃみによる飛沫感染を防ぐためのPPE一式を装着することが必要である。
・ ガウン(防水性ガウン)
・ 手袋
・ キャップ
・ ゴーグルまたはフェイスシールド
・ マスク(N95 またはそれと同等レベル)
・ 飛びはね(スプラッシュ)が予想される場合には、ゴムエプロンおよびゴム長靴の着用も考慮
十分な防護装具なしに患者由来検体を取り扱った者は、健康観察や抗インフルエンザウイルス薬の予防投薬等を行う
国立感染症研究所感染症情報センター:鳥(H5N1)・新型インフルエンザ(フェーズ3〜5)対策における患者との接触に関するPPE(個人防護具)について
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/05pandemic.html


インフルエンザ迅速診断
 「発症早期」では、「臨床症状のみ」から診断するのは困難。インフルエンザの診断精度は「臨床症状からは70%」ぐらいだといわれている。「まんえん期」となれば、診断キットは不足する。臨床症状から総合的に判断して行う必要があります。
イムノクロマト法を用いた抗原検出法キット
免疫クロマトグラフィ法によるインフルエンザ抗原の検出の原理

 滴下されたサンプルがキットに使用されているマット上を流れていく。テストラインには抗体がコーティングされており、ウイルス抗原が捕らえられると、そこにウイルスに対する標識抗体が反応する。標識として金コロイドなどが用いられており、酵素法を使わないのでウイルスに反応した標識抗体がそのままラインとして可視化される。検体が正しく流れたかを確認するために、コントロールラインの上には最初から抗原が付着されており、標識抗体が検体と共にマット上を流れて、付着している抗原に結合し、ラインが現れる。

ラピッドビューインフルエンザA/B(カイデル社)
 A型インフルエンザウイルス抗原とB型インフルエンザウイルス抗原を特異的に認識する2種類のモノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィー法による抗原検出キットです。米国カイデル コーポレーション(Quidel Corporation)が開発した製品で、約10分間で、鼻腔中のA型およびB型インフルエンザウイルスを検出できます。


実際に陽性と判定できるまでの時間は?
 イムノクロマト法を用いて抗原を検出する迅速診断キットでは、抗原量あるいはウイルス量が多い方が早く判定できる。
 このような観点からは、咽頭ぬぐいと鼻腔ぬぐいを同時に行う、あるいは複数回行うという方法も、感度の向上や判定時間の短縮につながるだろう。

インフルエンザ迅速検査の精度(20095/20神戸暫定報告より)
 インフルエンザ迅速検査実施については、43例全例の新型インフルエンザ検査確定例(RT-PCR陽性者)について情報を得られた。発症日から迅速検査の検体採取日までの中央値は1日(0-4日)であった。迅速検査A型陽性の診断は23例(53.5%)についてなされていた。一方、迅速検査A型陰性の診断は20例(46.5%)であったが、これは発症から検査までの期間が短いことも影響していると考えられる。また、迅速診断検査キットの種類別についての情報は得られていない。

咽頭ぬぐい液採取にあたって
1)最寄りの保健所と連携して採取する。
2)検体の搬送については、保健所が行う。例数が増えてくれば問題となる。検討を要する。

手技の手順
鼻咽頭検体検査方法Video:以下のSwab Techniqueのビデオが参考となる
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMe0903992/DC1
 特別な手技は必要ではなく、一般的な咽頭(鼻腔)ぬぐい液の採取である。
a)N95マスク、ガウン、手袋、フェイスシールド(ゴーグル)を装着する。
b)手技中に頭が逃げないように工夫する。
c)まっすぐに採取キットを鼻腔底部に沿って挿入することで、咽頭に到達することができる。
d)片方の鼻孔で咽頭に到達しなければ、逆の鼻孔から再度行う。
e)採取キットを5〜10秒程度回転させ、表面の細胞を採取する。
f)素早く採取キットをとりだし、ハンクス液(緩衝液。無ければ生理食塩水でも可能。)につける。乾燥した場合には検査は不可能。
g)冷蔵(室温保存および凍結保存禁止)して、できる限り早く(3日以内は検査可能)に検査機関に持ち込む。

感度の決め手は検体採取(日経メディカルより引用)
 迅速診断キットの感度に影響を与える重要な因子は、検体材料の採取法である。検体としては咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液が用いられる。ここでは具体的な方法を紹介する。
1)スワブの持ち方

 スワブはペンを持つように、軽い抵抗でもすべるようにして持つ。患者が動いた時も危なくないような持ち方を心掛けるようにする。スワブの太さは様々なものがある。鼻腔を拭う際は、比較的細く、柄に適度な弾力があるものが好まれるようだ。

2)咽頭のぬぐい方

 スワブを口腔から咽頭にしっかり挿入し、咽頭全体の発赤部位を中心にスワブの先端を粘膜面にしっかりと接触させ、数回擦過する。このとき口蓋垂を跳ね上げるようにして後ろの上咽頭まで拭うのが理想である。咽頭から粘膜を採取する際は粘膜表皮をも一緒に採取できるようにある程度強く、しかし出血しない程度の強さで擦過する。

3)鼻腔のぬぐい方

 小児の場合はベッドに寝かせ、介助者が頭と手を固定する。鼻孔の形や方向は個人差が大きいので、事前にペンライトで確認しておく。鼻腔孔からスワブを数mm挿入し、鼻腔孔から耳孔を結ぶ線にほぼ平行に、鼻腔底に沿ってゆっくり挿入し、抵抗が出たところで止める。
 挿入の際、あまりゆっくり挿入すると痛みが強いため、小児では顔や首を動かすことがある。位置と角度が決まったら、ある程度一気に挿入する。10秒間スワブをそのままの位置に保ち、鼻汁を浸透させる。その後、スワブをゆっくりと回転させながら引き抜く。危険防止のため、決して無理に挿入してはならない。

4)鼻腔吸引液

 小児で鼻汁が多い場合に有用である。鼻汁がない場合は検体が採れない。患者をベッドに寝かせ、介助者は頭と手を固定する。吸引トラップの挿入は鼻腔孔から耳孔を結ぶ線を想定してから行う。
 吸引トラップを吸引ポンプにつなぎ、もう片方のチューブを鼻腔の最奥部までしっかりと挿入し、陰圧にして鼻咽頭分泌液を採取する。

採取法はどれがのぞましいか
 「新型インフルエンザの症状等を認める患者」の場合:咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引(ぬぐい)液、気管吸引液、肺胞洗浄液のうち、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引(ぬぐい)液の採取が推奨される。
 なお、「一般のインフルエンザ」では、検体の種類では、「鼻腔吸引液」の感度がA型およびB型で100%という成績が得られた。「咽頭ぬぐい液」では、感度が若干低い傾向が見られ、咽頭ぬぐい液よりも鼻腔ぬぐい液の方が感度は若干高かった。成人と小児の成績を比較すると、一般に小児の感度が良い傾向があるが、年齢による差はほとんどないと考えてよい。

迅速診断検査の判定(カイデル社)


1)新型インフルエンザを疑う症状・所見を有し、

a)迅速診断キットでA 型陽性(+)であった場合疑似症例(法には基づかない疑似症患者)となる。
 保健所と連携を取った上で、必要があれば指定医療機関に受診させる。なお「確定診断」のために、地方衛生研究所で実施するウイルス学的検査(RT-PCR 法等)のための「検体採取」も行う
b)迅速診断キットでA 型陰性(−)、B 型陰性(−)であった場合
ア. 迅速診断キットの限界を十分に考慮する。すなわち、発病初期や発病後時間が経過した症例、適切な検体採取ができなかった場合等、十分なウイルス量が採取できなかった場合では、インフルエンザであっても陰性になる場合があることを十分に考慮した上で、問診・診察の結果から、医師が新型インフルエンザを強く疑う場合には、疑似症例となる。その場合も、保健所と連携を取った上で、指定医療機関を受診させる。なおウイルス学的検査(RT-PCR 法等)のための検体採取を行う。

イ)上記1-a)(疑似症)に該当しない場合で、直ちに入院とならない場合であっても、医師が臨床的に新型インフルエンザを否定できないと考えた場合は、他の人と接触がないように自宅待機とし、翌日必ず再受診するか、あるいは必ず電話連絡により症状等を連絡するよう指導する。再受診後の流れは1-b)と同様である。再受診・電話連絡のいずれもない場合は、医療機関から確認の連絡を入れる。

c)迅速診断キットでA 型陰性(−)、B 型陽性(+)であった場合
 B 型インフルエンザと診断し、その後の対応・治療は通常の季節性インフルエンザと同様にする。



クラスターサーベイランス
疑い患者
臨床症状及び簡易迅速検査で医師が診断する患者(新型、季節性を問わない。のぞくB型)
クラスター発生があれば医師はクラスターサーベイランスにのっとり行う。
1)最寄の保健所に届ける
2)PCR検査は複数の患者のうち一部に行う
2)患者に対し外出自粛などの保険指導を行う
3)濃厚接触者に対し
症状がなければ外出自粛は行わない。予防投与も行わない
症状があれば外出自粛を行い、かつ連絡する。予防投与を行う

確定患者PCR
確定患者は届出する
疑似症患者;みなし患者(同一集団):PCRを行わないがみなしで届ける

ウイルスサーベイランス
1)定点機関で行う
2)全例PCRを行う(一定の上限まで)
3)PCR確定例でも届出は不要

○ 医師が新型インフルエンザ患者を診断した場合で感染症法第12 条に基づき医師による保健所への届出が必要となるケース
・ 当該医師が同一の施設に通う患者でインフルエンザ様症状を呈する者を1 週間以内に2 名以上診察した場合⇒保健所へ届出
・ 新型インフルエンザ患者と診断した患者に対し、問診等により当該患者の属する集団(学校、社会福祉施設、医療施設、職場、部活動、サークル、塾、寮などで目安としては10 名以上の集団)で他に新型インフルエンザ様症状を呈している者がいる可能性があると判断。
⇒保健所に連絡し、患者の属する施設で確定患者が出ていることが判明した場合、または保健所に寄せられた連絡の内容から集団発生が疑われる場合⇒保健所へ届出
◇感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令等について2009/7/24
http://www.med.or.jp/kansen/swine/


新型インフルエンザ症例定義(平成21年5月22日改定)
1)定義:QandA:新型インフルエンザ発生届
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090522-02a_0002.pdf
2)医療機関における新型インフルエンザ診断の流れH21.5.24版
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0525-01a.pdf
3)症例定義についてのQandA:H21.5.24版
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/info0525-01a.html
4)新型インフルエンザ 疑似症患者連絡様式(参考)(Excel:32KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/xls/info0525-01a.xls
5)新型インフルエンザ発症が疑わしいと判断された後の流れ
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02c.pdf
6)9月2日 IDSC:新型インフルエンザの診断ガイダンス(09/9/1)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/diagnosis0902.html

2.医師は、別紙1の症例定義に基づき、新型インフルエンザの疑似症患者(法には基づかない疑似症患者)と診断した場合には、直ちに以下の疫学的な情報を最寄りの保健所に連絡する。(
新型インフルエンザ疑似症患者連絡様式(参考)(Excel)に記載する。
・感染が報告されている地域(国内外)への渡航歴・滞在歴
・新型インフルエンザ患者又は新型インフルエンザが疑われる患者との接触歴
・患者の周囲(職場、学校、家族など)にインフルエンザ様症状を呈するものがいるか等
3.当該連絡を受けた保健所は、都道府県、保健所設置市及び特別区(以下「都道府県等」という。)の本庁に報告を行うとともに、迅速な対応を講じるため、併せて厚生労働省に報告する。都道府県等は、当該疑似症患者が、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「法」という。)第8条第2項に規定する「当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるもの」に該当するかについて検討する。
なお、「当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるもの」については、疫学的に感染の疑いが濃厚であるかどうか等を勘案して判断することとなる。
4.検討の結果については、保健所から当該患者を診察した医師に伝え、疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものについては、法第8条第2項の規定に基づき、患者とみなし、医師は、法第12条第1項の規定により、都道府県知事に別紙2の届出を行う。(みなし患者;法に基づく疑似症患者=疑似症患者+正当な理由:正当な理由は都道府県が判断)
5.最終的な確定は、地方衛生研究所の検査結果をもって行う。医師は、この確定した患者または無症状病原体保有者について、法第12条第1項に基づき、別紙2を用い、直ちに最寄りの保健所へ届出を行う。

症例定義改定についてのQandA(5月22日版)

問1今回の症例定義の改定でなにが変わるのか。
 従来、疑似症患者は、新型インフルエンザがまん延している国又は地域等の滞在歴・渡航歴等の疫学的要件が必要であったが、今回の改定では、症状及び医師の臨床的な判断のみとした。

問2医師が、新型インフルエンザを臨床的に強く疑った時とはなにか?
 インフルエンザ様の臨床症状(38℃以上の発熱又は急性呼吸器症状)、迅速診断キットの結果などを踏まえ、診察した医師が判断する。なお、インフルエンザ迅速診断キットによって、A型陽性だった場合には、原則、疑似症患者の定義に当てはまり、保健所への連絡を要するものであるが、インフルエンザ迅速診断キットによってA型陰性B型陰性の場合やインフルエンザ迅速診断キットがない場合であっても、別添の資料(1.2)等を参考に医師が、強く疑った場合には、保健所への連絡を要する。

問3「当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由」とは何か。
 通知に示しているとおり、「疫学的に感染の疑いが濃厚であるかどうか等を勘案して判断することとなる」が、具体的には以下のような観点を総合的に加味して判断することとなる。
a)感染が報告されている地域(国内外)での滞在又は旅行歴
・まん延していると考えられる地域(5月21日時点で、米国(本土)、メキシコ、カナダ)
・まん延しているとは考えられていない地域ではあるが急速な患者数の増大が見られる場合
b)新型インフルエンザ患者との濃厚な接触歴がある
c)職場、学校または家庭などにおけるインフルエンザ様症状の発生状況
・インフルエンザ様症状を呈している者が、患者の周囲に3名以上いる場合
d)他の疾患を強く疑われる場合でないこと
・患者の周辺に、他の疾患が流行していない場合
※疫学的な情報は、海外においてはWHO、CDC、各国政府ホームページ、国立感染症研究所等の公式な情報を、日本国内においては、厚生労働省もしくは地方自治体により公表された情報とする。

問4疑似症患者について、必ず地方衛生研究所で確定(PCR)検査を行わなければならないのか?
 疑似症患者であってかつ「当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由」がある場合は、原則として、PCR検査を行うことが必要である。
ただし、一定以上の患者が発生している場合、PCR検査については、新たな地域での患者発生を把握する観点から、患者が発生していない地域からの検体を優先して検査を実施するなど、検査に優先順位をつけて運用して差し支えない。

以下で6月19日からまんえん期体制になりました。全例PCRを行う必要はありません。集団発生した場合と必要時に行えば良い。
医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針 (平成21年6月19日)
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/unyousisin20090619.pdf


新型インフルエンザ発生地域
※疫学的な情報は、海外においてはWHO、CDC、各国政府ホームページ、国立感染症研究所等の公式な情報を、日本国内においては、厚生労働省もしくは地方自治体により公表された情報とする。

随時更新しています。
○2009年8月21日インフルエンザの流行状況について(今年のインフルエンザ流行シーズン入り)
 本日国立感染症研究所において公表された、平成21年第33週(8月10日-8月16日の感染症発生動向調査におけるインフルエンザの定点当たりの報告数が季節性インフルエンザの全国的な流行開始の指標値(1.00) を上回った。
8月22日 世界の症例報告数(日本時間 09/08/13)
8月22日 IDSC:新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新12(09/8/20)

3)流行地図(日本、世界)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html

4)新型インフルエンザ対策本部基本的対処方針(平成21年5月22日)等における「患者や濃厚接触者が活動した地域等」について(更新 第6報)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140249
5)新型インフルエンザ対策本部基本的対処方針(平成21年5月22日)等における「患者や濃厚接触者が活動した地域等」について(更新 第7報)
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140501
6)9月4日 IDSC:新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新13(09/9/1)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/09idsc13.html
7)青森県
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kankyo/kankyosenta/files/w0935.pdf


毒性について
現在(日本時間 2009年7月1日 午後6時現在)の新型インフルエンザの死亡率は0.43%であり、一般のインフルエンザは致死率0.1〜0.2%です。

参考文献
1)WHO発表の確定例(累計)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/case2009/090701case.html
2)2009/06/16(火)新型インフルエンザの状況をどうみるか?―第49回日本呼吸器学会学術講演会 緊急報告
押谷氏はわが国でこれまで想定されていた新型インフルエンザでは、罹患率を人口の25%としており、これに基づき、感染者数は約3,000万人とされていた。押谷氏は、新型インフルエンザの病原性を季節性インフルエンザと同程度(致死率0.1〜0.2%)とすると、死亡者数は3〜6万人、致死率が0.4%と仮定した場合、死亡者数は12万人に上ると推測している。さらに、季節性インフルエンザと異なり、死亡者の多くは子供と20〜40歳代の成人であるため、社会的インパクトはきわめて大きいと警告している。

感染力について
厚生労働省新型インフルエンザ定例レク2009年5月27日
http://bousai.jiji.com/info/swine_flu/090527_01.html
−親子感染が少ないのはどういう状況か
安井研究協力官 5人以下だけだった。通常の季節性インフルエンザなら、学校から持ち帰って、母親が感染し、他の兄弟に感染させると解釈され、学会発表もされている。今回は本当に感染がなかったかどうかは分からず、感染しても発症しなかったのかもしれないが。ご両親には感染させていないが、他の兄弟にはうつっている。小学生でも、他の兄弟に感染してもお母さんには感染をしない。
 母親が感染をしていても発病していないのかも、今後、調べていかないといけない。事実として。通常の季節性と異なっているのはなぜなのか。子供たち同士の距離は10代以下のほうが近いのだが、なぜ高校生なのか。感染はどんどん広がっていってはいないので、どこでもらったか想定できる。理由は分からないが、年齢層が絞られた状態で広がっていっている。
 濃厚接触者の定義にも関わるが、同じような接触をしていても発症の有無がある。家族は最も濃厚なはずだが。長時間、相手と話をする関係にある人が感染をすることが多かったのではと解釈している。海外でも高校生が多い。親子関係が少ないとは聞いていなかったが、ご家庭に子どもさんがいられるときにご両親に会っているが、症状もなくぴんぴんしている。ご兄弟は熱が出ているとか、先に発病されている方がいる。そこからうつったと思われる。 みんなで首をひねっているが、さらに追及していかねばならない。

−感染力はどうみているか
安井研究協力官 なかなか数字では表せない。クラス単位で広がってはいるが、季節性と一緒だ。すれ違っただけで感染した可能性は極めて低い。長時間、近い距離にいて、広がっていった。空気感染するのではといわれているが、印象としては教室内で飛沫感染で広がっていった。席が近い人が会話を繰り返して、飛沫で感染を繰り返したり、席が離れていても近しい関係で広まったという印象だ。通常の季節性インフルの感染力よりずば抜けて大きいという印象は持っていない。

感染力は2倍;再生産数は2.3人で季節性インフルエンザの1.1の2倍
新型インフルエンザ、1人から2.3人感染メキシコより多く日本を調査
参考文献
2009年6月13日提供:毎日新聞社
 神戸や大阪の高校を中心に広がった日本の新型インフルエンザで、1人の感染者からうつる人数は2.3人と推定されることが13日、オランダ・ユトレヒト大の西浦博研究員(理論疫学)らの分析で分かった。世界保健機関(WHO)の研究チームによるメキシコでの推定値1.4-1.6人よりも大きい。欧州の感染症専門誌ユーロサーベイランスに発表した。
 未成年者間に限ると2.8人とさらに大きかった。インフルエンザは学校で広がりやすく、流行拡大の端緒になることは経験上知られているが、西浦研究員は「初めて客観的に示すことができた」としている。
 感染力を示すこの人数は「再生産数」と呼ばれ、流行初期の感染者数の増え方などから算出する。通常の季節性インフルエンザでは、1.1-1.4とされる。
 同研究員らは、今月1日までの日本の確定患者371人中、兵庫県と大阪府での感染が濃厚な361人の疫学データを分析。約8割が高校生ら10代で、人から人への感染にかかる日数をWHO研究チームと同様に1.9日として計算すると、再生産数は2.3人となった。さらに、各時点ごとの再生産数である「実効再生産数」を計算したところ、最初の国内感染者が確認された翌日の5月17日以降、1を下回った。1未満なら流行が縮小していることを意味する。

症状やや重いが感染力低い 新型インフルで動物実験:2009年7月3日 提供:共同通信社
 新型インフルエンザウイルスを実験動物のフェレットに感染させたところ、季節性インフルエンザに比べて症状はやや重かったが、感染力は低かったとする研究結果を米疾病対策センター(CDC)などのチームがまとめ、2日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 研究チームは、米国のカリフォルニアとテキサス、メキシコで、それぞれ患者から採取された3種類の新型インフルエンザウイルスをフェレットに感染させ、季節性インフルエンザウイルス(Aソ連型)を感染させた場合と症状や感染力などの違いを比較した。
 季節性に比べ、新型に感染した場合は体重減少などのやや重い症状がみられた。また、新型のウイルスは肺で増殖していたほか、腸管からも検出され、比較的下痢が多いとされる新型の臨床像を裏付けた。
 感染力の比較では、季節性は接触感染と、くしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染の両方で感染。一方、新型では接触感染はみられたが、飛沫感染の効率は低かった。
 同誌には、オランダの研究チームも同様の動物実験の結果を発表。こちらは新型と季節性で感染力はさほど変わらないとの結果だった。
 フェレットは人と同じようにインフルエンザウイルスに感染し、症状も人と似ているため実験によく利用される。

90歳以上は新型インフルの抗体保有―東大医科研
 東大医科学研究所の河岡義裕教授らは7月13日、スペイン風邪の流行が見られた1918年以前に生まれた90歳以上の高齢者は、新型インフルエンザウイルスに対する抗体を保有しているとの研究結果を発表した。英国科学雑誌「Nature」のオンライン速報版で公開された。一方、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター第一室の小田切孝人室長は同日、同研究所内で開かれた勉強会で、70−100歳代の4割が新型ウイルスに対する抗体を持っていたとの調査結果を示した。
 河岡教授らは、さまざまな年齢の人から採取した血清中に、新型ウイルスに対する抗体が認められるかを調査。その結果、新型ウイルスに対する抗体は18年以前に生まれた人で認められたが、それ以降に生まれた人ではほとんどの人が持っていなかったという。河岡教授らは、これまで60歳以上の人が新型ウイルスに対する抗体を保有している可能性が指摘されていたが、60−80歳代の人も「安心できない」としている。
 一方、小田切室長は、72−101歳の30人(平均83.4歳)から採取した血清を調べたところ、12人が新型ウイルスに対する抗体を持っており、特に80歳代で多かったと指摘。こうした高齢者が「過去に今回の新型ウイルスと似たような抗原を持ったウイルスに感染していた可能性は否定できない」と述べた。また、こうした抗体の有無が「高齢者に患者が少ない要因の一つかもしれない」とも指摘した。ただ、今回の調査は小規模なもので、この調査結果を一般化できるかは「分からない」とした。
 また、21−35歳の30人(同27.8歳)から採取した血清も同時に調べたが、「検出限界ぎりぎり」で抗体が検出された人が1人いるのみだったという。
■肺で「効率よく増殖」、季節性より「強い病原性」
 また河岡教授らは、カニクイザルを用いた実験で、新型ウイルスは季節性ウイルスより肺などで「効率よく増殖」し、「強い病原性」を示すことも明らかにした。
 季節性ウイルスに感染させたサルは感染3日目、ウイルスが咽頭や気管、肺などで認められたが、新型ウイルスに感染させたサルではこのほか、気管支など「さまざまな臓器」でウイルスが見られ、しかも多くの量が認められたという。肺の状態も、季節性ウイルスに感染したサルでは「細胞壁が少し厚くなっているものの、空気を含む領域が多く残っていた」が、新型ウイルスに感染したサルでは「炎症細胞や赤血球、たんぱく質などが充満しており、空気はほとんど含まれていない肺胞が観察された」という。
 さらに河岡教授らは、タミフルやリレンザなど既存の抗ウイルス薬と現在開発中の抗ウイルス薬が、新型ウイルスの増殖を抑制することも明らかにした。
更新:2009/07/14 22:06   キャリアブレイン


疑似症患者(A+もしくは疑われる場合)の取り扱い方法(患者は疑似症患者、みなし患者、確定患者の3レベルとなる)

●疑似症患者:あくまで診察した「医師」が判断した疑似症患者;A+あるいは臨床的に強く疑う患者
医師は最寄りの保健所に連絡
(*4)
*4: 以下の情報とともに疑似症患者として連絡
1)感染が報告されている地域(国内外)への渡航歴・滞在歴
2)新型インフルエンザ患者又は疑われる患者との接触歴
3)患者の周囲(職場、学校、家族)にインフルエンザ様症状を呈するものがいるか等
新型インフルエンザ疑似症患者連絡様式(参考)(Excel)に記載する。

みなし患者;法に基づく疑似症患者;連絡を受けた都道府県等が判断した疑似症患者;疑似症患者+正当な理由
当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由(都道府県等において検討する。)
法に基づく疑似症患者として、医師は保健所に届出を行う。(様式
:「新型インフルエンザ発生届
※ 保健所は確定診断(PCR)のため検体を地衛研に送る。

確定患者:PCRで確定した患者。
○ 確定診断された場合、「確定患者」として医師は保健所に届出を行う(様式:「
新型インフルエンザ発生届
よって以下の新型インフルエンザ発生届は「みなし指定」時と「確定」で2回使うことになる。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090522-02a_0002.pdf

2)確定まで
問:保健所に相談した後、疑似症患者に対してどのように指導すればよいですか?
a)発生初期
 保健所の指導により「疑似症」は全て、「入院設備のある感染症指定病院等」に連絡の上搬送して入院させる
 「疑似症患者」は、「診断が確定するまで、入院」させて、院内感染対策に配慮した上で加療する。
b)まんえん期
 「重症」であれば入院させる。「軽症」であれば、「外来」にて、院内感染対策に配慮した上で加療する。かつ注意点を指導する。
 新型インフルエンザの疑いがある場合は、抗インフルエンザウイルス薬を処方した上で、自宅で服用、療養し、健康観察を実施する。その際、外出の自粛を厳しく指導するとともに、自宅療養中の注意事項についても指導する。

患者さんへの説明
IDSC:新型インフルエンザが疑われる患者様へ(疑似症患者診断時の説明文書:一般医療機関用)5月6日
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_leaflet.pdf

家族はどうなる:停溜はしない(平成21年5月22日改定)
濃厚接触者は
停留を行わず外出自粛を要請する
その他の同乗者は健康監視の対象とはせず、健康状態に異常がある場合には、発熱相談センターへの連絡を徹底する。
患者の同居者等の濃厚接触者への予防投与について
 急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域における予防投与は、基礎疾患を有する者等のうち、以下の者を対象とする。
・ 自宅療養する軽症者の家族
・ ウイルスに暴露し、感染した可能性が高い医療従事者や初動対処要員等

院内同時滞在している患者さん対応
1)院内の同時滞在者名簿を提出する。
2)保健所の判断による
a)疑似症の患者と濃厚接触していれば健康観察の対象=自宅待機となる
b)濃厚接触でなければ健康観察の対象や、自宅待機にはならない。

(問27)従業員が発症した場合、同じ職場の従業員全員を自宅待機させる必要がありますか 。
 発症した従業員と濃厚接触した同僚を自宅待機させることは必要と考えられますが、発熱相談センターや保健所の判断により、濃厚接触者でないとされた者についてまで自宅待機を命ずることは適当ではありません。
問29)国では、各省庁の事業や職員について、どのような措置を講ずるのですか 。
○職員が感染者と濃厚接触した可能性がある場合には、発熱相談センターに相談の上、その結果を職場に連絡させ、必要に応じ、特別休暇を取得するよう呼びかける。
平成21年5月22日新型インフルエンザ対策本部基本的対処方針
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090522-03a.pdf

新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
(3)接触者調査(感染症法第15 条第1,2,3 項)
 接触者の調査を迅速に行い、適切な対応を実施することは新型インフルエンザの封じ込めや早期対応にとっては極めて重要である。以下に患者との接触者の定義及びその対応について記述する。
1)患者との接触者の定義
 患者との接触者とは、新型インフルエンザ発病者(疑似症患者を含む。)が発症した日の1 日(24 時間)前より、発症した日を0 日目として発症後7 日目まで(発症者の症状が遷延した場合はそれ以上に伸びる場合がある)に接触した者とする。接触者の分類は以下の通りである。
a)高危険接触者(濃厚接触者)
「新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む。)との濃厚接触者」
 高危険接触者と判明した者に対しては、可能な限り速やかに調査を実施しなければならない。以下の定義に従って接触者のリストアップを行い、リストアップされた者については、1 日2 回の検温を、患者との最終の接触があった日より、接触終了後10 日間(最終曝露日を0 日としてより10 日目が終了するまで:本田注:これは7日間)に至るまで確実に行うよう、協力を求める(感染症法第15 条第3 項)。さらに同意が得られた場合には、保健所等の公衆衛生機関において抗インフルエンザウイルス薬の予防投薬を行う(添付3.新型接触者票参照、添付4.体温記録用紙参照)。調査の優先順位は感染危険度を指標として決定するものとし、感染危険度は原則的に以下のア→オの順とする。
ア.世帯内居住者
患者と同一住所に居住する者。
イ.医療関係者
 個人防護具(PPE)を装着しなかったかあるいは正しく着用せずに、患者の診察、処置、搬送等に直接携わり曝露の可能性のある医療関係者や搬送担当者。
ウ.汚染物質への接触者
 患者由来の血液、体液、分泌物(汗を除く。)、排泄物などに、防護装備なしで接触した者。具体的には手袋、マスク、手洗い等の防護対策なしで患者由来検体を取り扱った検査従事者、患者の使用したトイレ、洗面所、寝具等の清掃を行った者等。
エ.直接対面接触者
 手で触れること、会話することが可能な距離で、PPE を装着しなかったかあるいは正しく着用せずに、上記患者と対面で会話や挨拶等の接触のあった者。接触時間は問わない。勤務先、学校、医療機関の待合室、会食やパーティー、カラオケボックス、乗用車の同乗等での近距離接触者等が該当する。
オ.蔓延地域滞在者
 新型インフルエンザがヒト−ヒト感染し、蔓延しているとされている地域(または国)に滞在または旅行していた者。当該地域(または国)での接触歴の有無は原則として問わない。蔓延地域(または国)については、別途指定するものとする。

b)低危険接触者(軽度接触者)
「新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む。)との低危険接触者(軽度接触者)」もしくは「新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む。)との低危険接触者」
 低危険接触者については、可能な限り速やかに調査を実施することを検討すべきである。感染危険度はア→イの順であり、ア、イのどこまでを確認し、調査・健康観察・抗ウイルス薬予防投与の対象とするかは、発生段階や患者の状況等を参考に決定する。
ア.6-(3)-1)-a-エの直接対面接触者のうち、患者との距離が2メートルよりも近くなることがなかった者。
イ.閉鎖空間の共有者
・比較的閉鎖された空間において、PPE を装着しなかったかあるいは正しく着用せずに、2メートル以内の距離で空間を共有した者。→バス、列車、航空機等の交通機関内や、ホテル、レストラン、映画館、ホール等で行動をともにしていなかった近距離接触者がこれにあたる。
イは不特定多数の接触者にあたり、通常の疫学調査ではその特定は困難である。従って、調査には交通機関の運営者(航空会社や鉄道会社等)や報道機関等の協力が必要となる場合が想定されるが、同時に不正確な情報に基づいたパニックや風評被害による混乱も予想されるため、正確な情報の発信、説明等の対策も考慮しなければならない。

2)患者との接触者に対する調査と対応:
 新型インフルエンザ患者との接触者に対する調査及び主な対応については以下の通りである。
a)接触者のリストアップ
 保健所等は、定義されている高危険接触者を確実にリストアップする。低危険接触者(前述)についても、感染の危険性を考慮に入れ、必要と判断されるレベルまではリストアップする。
b)リストアップされた接触者の状況確認及び追跡調査
 保健所等は、リストアップされて感染した恐れがあると判断された接触者に対しては、健康状態の報告を要請する(感染症法第44 条の3 第1 項)。具体的にはリストアップされた者に対して、感染発症者との接触状況に関する調査を十分に行い、観察開始日より、最終曝露日を0 日として10 日目に至るまで毎日の健康観察を実施する。調査担当者は「インフルエンザ接触者調査票(添付3)」に調査対象者となる接触者の情報を記録するが、調査対象者にはあらかじめ「体温記録用紙(添付4)」を渡しておき、自己記録又は家族による記録を依頼する。原則的に、リストアップされた接触者に対しては保健所等の担当者からの面接や毎日の電話やFAX 等の連絡による健康状態の把握等の情報収集を行う。(感染症法第15 条第3 項)
c)リストアップされた接触者に対する抗インフルエンザウイルス薬の予防投与(接触者予防投薬)
 リストアップされた者に対しては、同意を得た上で保健所等の公衆衛生機関において抗インフルエンザウイルス薬の予防投薬を行う(添付3.新型接触者票参照、添付4.体温記録用紙)。予防投薬期間は、最終曝露日を0 日目として曝露後10 日目までとする(例えば曝露後3 日目に接触者とリストアップされて内服を開始した場合、曝露後10 日目までの計8 日間の内服となる)。本田注;7日間に短縮。
d)リストアップされた接触者に対する指導と受診の基準
 保健所等は、リストアップされて感染した恐れがあると判断された接触者に対して、「外出自粛の要請」を行う(感染症法第44 条の3 第2 項)。すなわち、リストアップされた者について、自宅で待機させ、やむを得ず外出する際はマスクを着用するように指導を行う。また、新型インフルエンザの感染症状(38℃以上の発熱、急性呼吸器症状等)が認められた場合には、直ちに保健所等へ健康状態の報告を行うことについて事前に説明を行っておく。
 保健所等は、対象者からの報告を受けた後、必要と判断した場合は速やかに感染症指定医療機関等の受診を指示する。発熱については重要な指標であり、特に成人例で濃厚な接触歴が確認された当該者は、受診を考慮すべきである。
e)有症状時の行動について
1)に該当する者は、人の集まる場所での活動を可能な限り避けるべきであることをあらかじめ指導しておく。症状が出現した場合、速やかに保健所等へ連絡し、その指示のもとに保健所等が指定した医療機関受診してもらう。その場合も可能な限り公共の交通機関の利用は避けるべきである旨指導する。
f)リストアップされなかった接触者に対して
 調査によって接触者であることが判明したものの、リストアップする必要がないと判断された者に対しては、保健所等は可能な範囲で新型インフルエンザウイルスのヒトへの感染の可能性、症状、潜伏期間等に関する説明を行い、基本的には自己観察を依頼するべきである。必要に応じて体温記録用紙(添付4)を渡して体温測定と記録を促すべきである。また、経過観察期間中(曝露日を0 日目として10 日目終了まで)に38℃以上の発熱、急性呼吸器症状が出現した場合は、管轄の保健所等に直ちに連絡し、今後の生活様式、他者との接触や医療機関受診等について相談するように依頼するべきである。

7.積極的疫学調査の継続と終了について
(2)調査終了の目安
 原則的に、地域内で多数の新型インフルエンザ患者が発生し、多くの患者の感染源の特定が不可能となり(疫学的リンクの喪失)、積極的疫学調査による感染者の追跡実施の意義がなくなったときに、本調査は終了となる。都道府県等は、本基準をもとに国と協議を行った上で調査終了の判断を行う。積極的疫学調査の終了以降は、新型インフルエンザサーベイランスの強化を行う。

6月19日からまんえん期体制になりました。全例PCRを行う必要はありません。集団発生した場合と必要時に行えば良い。
医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針 (平成21年6月19日)
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/unyousisin20090619.pdf

新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02a.pdf

症例定義についての QandA(5月24日)
問1 疑似症患者と医師が判断したらすぐに届出が必要なのか?
 直ちに届出が必要なわけではありません。
インフルエンザ様の症状、インフルエンザ迅速診断キットの結果を踏まえ新型インフルエンザが臨床的に強く疑われる場合は、原則、医師は疑似症患者と判断し、保健所に疫学的な情報を含めて連絡することになります。この段階では、疑似症患者ではあるものの、「感染を疑うに足りる正当な理由がある」(以下「正当な理由」とする)という要件が不足しているため、法に基づく届出の対象にはなりません。
 医師からの連絡をうけ、保健所・都道府県等において疫学的な情報から「正当な理由」があるかどうかについて検討し、あるとされた場合には、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下法という)第12 条第1項に基づき医師は疑似症患者の届出を行う義務が生じます。

問2 疑似症患者の届け出をした場合、必ずPCR 検査を行わなければならないのか?
 疑似症患者であってかつ「正当な理由がある」と判断された場合、法に基づく届出をした後、診断を確定するために原則、保健所を通してPCR 検査を行っていただきます。
 ただし、「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」において、PCR 検査については、一定以上の患者が発生している場合、患者が発生していない地域からの検体を優先して実施するなど、その者が確定患者であるか否かが、地域で講ずるべき対策を考慮する上で重要な検査に優先順位をつけて運用して差し支えないこととなっています。
なお、都道府県の判断にて、疑似症患者であって「正当な理由がある」とされない場合にも、念のためにPCR 検査をすることは差し支えありません。

問3 疑似症患者の届け出をした場合、全員入院させなければならないのか?
 疑似症患者であってかつ「正当な理由がある」と判断された場合、法に基づく届出をした後、診断を確定するために、感染のまん延を防止するため、必要があると認めるときは、入院を勧告することとなります。
ただし、「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」において、「急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域」では、入院については、基礎疾患を有するものや重症化の兆候が見られるものを優先的に入院させる一方、軽症者は、自宅で服薬、療養し、健康観察を実施することとされております。

問4 医師から連絡を受けた保健所は都道府県等に報告を行うとともに、併せて厚生労働省に報告するとあるが、全例報告する必要があるのか?
 医師が疑似症患者と診断し保健所に連絡する段階では、必ずしも厚生労働省に報告する必要はありません。ただし、疑似症患者でかつ正当な理由があると判断した場合には、法第12 条第2 項に基づき厚生労働大臣への報告が義務づけられますので、ご留意ください。
症例定義についてのQandA:H21.5.24版
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/info0525-01a.html

入院の適応
1.症状等から判断して入院が必要な重症者の場合
○ 発熱外来等を受診し、入院が必要と診断された重症患者については、原則として、感染症指定医療機関等に入院させることとし、入院先の調整は各都道府県等の対策本部が行う。
○ また、急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域において、基礎疾患を有する者等に、症状が出現した場合、軽微であっても入院治療を行うことを検討する。

自宅療養
2.必ずしも入院が必要とならない軽症者の場合
○ 急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域の発熱外来等において、新型インフルエンザの疑いがある場合は、患者の症状に合わせて抗インフルエンザウイルス薬を処方した上で、自宅で服用、療養し、健康観察を実施する。その際、外出の自粛を厳しく指導するとともに、自宅療養中の注意事項についても指導すること。
(自宅療養中の注意事項の例)
*患者及び同居者は、うがい、手洗い、手指消毒を励行する。特に患者に接触した場合などには徹底する。
*自宅においてもマスク着用や、咳エチケット(※)を徹底する。
*食事は、同居者と一緒にせず、時間を変えるか自室でとる。
*ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、テーブル等の人がよく触れるところは1日1回拭き取り清掃することが望ましい。
*トイレ、洗面所、浴室などの共有空間についても、患者が使用した後にはできるだけ清拭する。
*衣類やタオルなどのリネン類は、患者と同居者で共有しない。
*自宅への訪問者はできる限り避けるようにする。

※咳エチケット
・周囲の人から1m以上離れる。
〔咳やくしゃみのしぶき(飛沫)は約2mとびます〕
・マスクを着用する。
・ティッシュで口を覆い、顔をそらせる。
・マスクがない場合は、ティッシュなどで口と鼻を覆い、他の人から顔をそらして、1m以上離れる。
・口を覆ったティッシュなどはゴミ箱へ捨てる。
・咳やくしゃみを抑えた手はただちに洗う。
・咳やくしゃみを手で覆ったら、手を石鹸で丁寧に洗う。

○ 保健所は、自宅療養中の患者について健康観察を行い、発症から7日間又は症状が無くなるまで継続する。症状の重症化等によって入院医療が必要となった場合は、担当医師と相談の上、1.と同様に取り扱う。

3.患者の同居者等の濃厚接触者への予防投与については、各都道府県等の対策本部において対応方針を決定することとなるが、急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域における予防投与は、基礎疾患を有する者等のうち、以下の者を対象とする。
・ 自宅療養する軽症者の家族
・ ウイルスに暴露し、感染した可能性が高い医療従事者や初動対処要員等
・新型インフルエンザ患者の入院等の取扱いについて平成21年5月22日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-06.pdf

自宅療養する患者さんへ
通常のインフルエンザとの違い
 新型のインフルエンザは誰も免疫をもっていないため、通常のインフルエンザに比べると、感染が拡大しやすく、多くの人がインフルエンザになることが考えられます。そのため、感染の拡大を防ぐために十分な施策が必要となります。

自宅療養の場合
 現在は感染が確認されたら入院して治療を受けることになります。しかしまんえん期は、症状の軽い方は「自宅で療養する」事になります。
家族などの同居者は
 感染している可能性が高い同居者などは外出を自粛し、保健所へ健康状態を報告することが法律で定められています。また、状況に応じて抗インフルエンザ薬(タミフルなど)が配布されることがあるので、保健所からよく説明を聞きましょう。

患者を看護・介護するときの注意点
・必要のない外出は控えてください(特に人が集まる場所)。
・患者はなるべく家族とは別の個室で静養し、マスクを着用し、咳エチケットを心がけます。適宜換気も行ってください。
・マスクだけでは感染を完全に防ぐことはできませんので、お互いに距離をとるなど、他の感染防止の方法も行いましょう。
・家族はなるべく接触をさけ、手洗い、うがいを徹底し、マスクを着用します。
・患者の看護や介護をした後は、必ず水と石鹸による手洗い、またはアルコール製剤による消毒をします。
・患者が使った食器や衣類は、通常の洗剤によって消毒することができます。

治療方法は?
安静と睡眠を充分にとり、発汗等で脱水になり安いので水分補給を充分にしてください。
主な治療法は抗インフルエンザウイルス薬(タミフル・リレンザ)の投与です。
医療機関を受診する時はマスクを着用します。マスクがない場合は「咳エチケット」を心がけ、周囲に感染させないよう注意してください。
公共の交通機関(電車、バスなど)の利用は避け、できる限り自家用車などを利用してください。

直ったかどうかの判断は
 職場等に復帰する場合は、必ず医師の判断を仰いでからにしてください。完全に治癒していなければ感染が拡大します。
新型インフルを知るために
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_what.html#inful_07

新型インフルエンザの感染者が自宅での治療となった場合、家族はどうすればよいのですか?
 新型インフルエンザの患者が自宅での治療となった場合、同居の家族は濃厚接触者となり健康観察の対象となります。このため、外出を自粛し、他の人との接触を極力控えるとともに、
・一日朝夕2回の検温と体調変化を本人が毎日記録する
・発熱や呼吸器症状が現れたときは直ちに保健所に連絡する
・保健所が定期的に行う健康状態確認の問い合わせに応じるということをお願いしています。
また、
・患者はなるべく家族とは別の個室で静養することとし、マスクの着用や「咳エチケット」を心がけてもらう
・手洗い、うがいをてっていし、マスクを着用する
・患者の看護や介護をした後は必ず石けんによる手洗い、またはアルコール製剤による消毒をする
をお願いします。

流行地から帰ってきたが家族と一緒にいても良いですか?また食事を一緒にすることは避けるべきですか?
 流行地からの帰国者については症状を認めなくとも、7日間は自宅で待機いただき、外出はなるべく控えていただきくようにお願いしています。ただし、家族と一緒に食事をしたり、同じ部屋で過ごすことは構いません。会社等外出する必要がある場合は、呼吸器症状がなく、完全に健康な状態であることを前提として、マスクをして外出することは禁止していません。
 家族に感染症に弱い方がいる場合には、なるべく居室を分けるなどの工夫をして、7日間は接触を減らすように注意してください。
うがい・手洗い・咳エチケットなどの予防行動を心がけ、風邪症状の兆候(のどの痛み・倦怠感など)があれば、すぐに保健所に連絡してください。
・新型インフルエンザに関するQ&A
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=139287

自宅療養を行う際の留意点平成21年6月26日改定
新型インフルエンザ対策担当課長会議資料3
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0626-05.pdf


退院に関する基準の考え方について(2009年5月28日)
 新型インフルエンザについて、法第22 条第1 項に規定する「病原体を保有していないことが確認されたとき」とは、症状が消失してから実施する24時間以上の間隔を置いた連続2回のPCR法により、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液又は咽頭ぬぐい液の検体から病原体の遺伝子が検出されないことが確認された場合であって、発症から7日間を経過しているときとする。

 なお、退院させなければならない基準は上記のとおりであるが、患者(未成年者の場合は保護者を含む)が感染防止対策を理解し、退院後も実践でき、かつ「適切な医療の提供が受けられると判断される場合」など、法第19 条に規定する「まん延を防止するため必要があると認めるとき」に該当しなくなったときには、入院勧告等を解除し、退院させることができる。

「退院に関する基準の考え方について」に関するQ&A
Q1 PCR検査を実施しなければ入院措置は解除できないのですか?
 PCR法による検体検査を求めているのは、「入院措置を解除し退院させなければならない場合の基準」です。この基準を満たさない場合であっても、都道府県知事が、当該入院措置について「まん延を防止するため必要があると認めるとき」に該当しなくなったと判断する場合には、退院させることができます。

Q2 「まん延を防止するため必要があると認めるとき」に該当しなくなったときとはどのようなときですか?
 患者の居所地において、急速な患者数の増加が見られており、患者(未成年者の場合は保護者を含む)が感染防止対策を理解し、退院後も実践でき、かつ適切な医療の提供が受けられると判断される場合などが該当します。

Q3 患者が理解すべき感染防止対策とはどのようなものですか?
 自宅療養中も外出の自粛を守ること、同居者がいる場合には、うがい、手洗い、咳エチケットを徹底し、できるだけ居室を分けるなどの工夫をすること等が理解すべき対策として挙げられます。

Q4 退院後の自宅療養はいつまで継続しますか?
 新型インフルエンザについては、いまだ臨床的特徴及び疫学的特徴が、十分明らかにされていないため、感染可能期間を明示することは困難です。ただし、海外の知見等によれば、感染可能期間について「発症してから5〜7日、小児や免疫不全者ではより長期化する可能性がある」としているので参考としてください。

Q5 適切な医療の提供が受けられると判断される場合とはどのような場合ですか?
 自宅において可能である治療(抗インフルエンザウイルス薬の内服療法等)が患者の療養において十分であると判断される場合であって、点滴や酸素投与等の一般的には入院していなければ受けられない医療が患者の療養において必要とは考えられない場合です。
退院に関する基準の考え方について(2009年5月28日)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0528-01.pdf


確定例の診断
 医師は、上記の臨床的特徴を有する者のうち、「38℃以上の発熱」または「急性呼吸器症状のある者」を診察した結果、症状や所見から新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)が疑われ、かつ、次に掲げる検査方法により、新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)と診断した場合には、法第12条1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。

この場合において、検査方法と検査材料は、以下に定めるもののいずれかを用いること。
(1)分離・同定による病原体の検出
(検査材料)喀痰・咽頭ぬぐい液・鼻汁・便・髄液・血液・その他
(2)検体から直接のPCR法(Real-timePCR法、Lamp法等も可)による病原体の遺伝子の検出
(検査材料)喀痰・咽頭ぬぐい液・鼻汁・便・髄液・血液・その他
(3)中和試験による抗体の検出(ペア血清による抗体価の有意の上昇)
(検査材料)血清

PCRでは鼻咽頭スワブを推奨する
検体採取と検査
 ブタインフルエンザを疑う場合、臨床医は新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス検査用の呼吸器スワブを採取すべきで、冷蔵庫(冷凍庫ではない)で保存すべきである。
6月1日CDC:症例がごく少数例または全く報告のない地域でのスクリーニングに関する暫定的手引き(09/5/1)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/screening.html

新型インフルエンザと確定するための検査診断の流れ(発熱外来で行うことが原則)
 まんえん期のクラスターサーベイランスは全医療機関対象であるが、その後の疫学調査が定点調査となる、パンデミック時のサーベイランスでも、PCRは発熱外来では必須となっている。「確定検査」は、現時点では、原則として、「地方衛生研究所で実施されるRT-PCR 法」等、新型インフルエンザウイルス遺伝子の検出をもって行うが、適切な検体採取と検体の搬送は極めて重要であるため、十分な準備をしておく
 迅速診断キットは陰性であっても、否定できない場合があるので、以下の記載に基づき適切な判断をする。(再検査、再受診の指示など)

確定診断:遺伝子検出検査のための検体採取は、発熱外来で行う。
 PCRのための検体の採取は、原則として発熱外来で行う。適切な検体採取は、その後の迅速対応に資するために極めて重要であるため、必ず、
新型インフルエンザ(swine-origin influenza A/H1N1)」ヒト感染例に対する検査診断(医療機関から地方衛生研究所への流れ)Ver.1(09/5/1) および、参考資料その2と3を一読した上で、検体採取ならびに検体の搬送を実施すること。
確定診断用の検体採取法
 綿棒2本で鼻腔ぬぐい液を取って、1本を迅速に、Aがでたら、残りの1本を保健所に送ればよい。また鼻腔吸引液は、娩出後の児の鼻腔の吸引に使うような器具で、吸えばよい。つまりネラトンカテーテルの間にトラップがつくイメージです。
a)滅菌綿棒を用いて鼻腔ぬぐい液あるいは咽頭ぬぐい液を採取し、ウイルス輸送培地に十分攪拌したのち、棒部分を折り曲げて捨て、綿球部分が輸送培地に浸っている状態ですぐに冷蔵(室温保存や凍結はしない!)保存する。
b)原則として積極的疫学調査を行っている初期段階においては、咽頭ぬぐい液と鼻腔吸引(ぬぐい)液の両方を採取する。
c)検査依頼票は、一検体につき一枚であるので、複数検体の場合には、検査依頼票と検体が照合可能なようにしておく。
d)採取後すぐに冷蔵保管しておいた検体は、冷蔵で保健所経由で地方衛生研究所に搬送する。
e))急性期(発症後1週間以内)と回復期(発症後3〜4週)の血清を、小分けして冷凍(-20℃以下)保管(短期間なら4℃も可能)し、必要時に抗体検査実施可能な状態にしておく。
f)細菌培養用の培地、生理食塩水、迅速診断キットに添付されている検体採取用の液は、絶対に用いないこと!
※ 検体搬送の方法は、保健所職員が直接、医療機関から地方衛生研究所に搬送する場合と、保健所職員の搬送方法に関する指導に基づき、医療機関から地方衛生研究所に送付する場合の2 通りがある。
参考資料
 適切な検体採取は、その後の迅速対応に資するために極めて重要であるため、必ず、
新型インフルエンザ(swine-origin influenza A/H1N1)」ヒト感染例に対する検査診断(医療機関から地方衛生研究所への流れ)Ver.1(09/5/1) を一読した上で、検体採取ならびに検体の搬送を実施すること。
5月6日 IDSC:国内医療機関における新型インフルエンザA(H1N1)診断の流れ Ver.1(09/5/6)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_diagnosis.pdf
1) 疑似症例受診前の対応
 最寄りの保健所(または管轄の地方衛生研究所)と連携を取り、疑似症例が受診した際に、迅速な検査に資するため、以下の物品を準備する。なお、受診予想患者数に応じて、準備数を調整する。
a)ウイルス検査用滅菌綿棒(室温保存)
b) 1-2mL に小分けしたウイルス輸送培地(Virus transfer medium:以下、VTM**)(冷凍保存:-20℃で1 年保存可能)
c)疑似症例の鼻腔ぬぐい液(あるいは吸引液)、咽頭ぬぐい液などを採取するため、感染予防に必要な個人予防衣(PPE)

2) 疑似症例受診時の対応
a)問診、診察の後、疑似症例に該当すると診断した場合は、速やかに保健所に連絡するとともに、感染予防に必要なPPE を装着した上で、滅菌綿棒を用いて鼻腔ぬぐい液あるいは咽頭ぬぐい液を採取し、ウイルス輸送培地に十分攪拌したのち、棒部分を折り曲げて捨て、綿球部分が輸送培地に浸っている状態ですぐに冷蔵(室温保存や凍結はしない!)保存する。鼻腔吸引液を用いる場合は、鼻腔を吸引した後に、ウイルス輸送培地を吸引し、チューブ内の検体を吸引し、すぐに冷蔵(室温保存や凍結はしない!)保存する。原則として積極的疫学調査を行っている初期段階においては、咽頭ぬぐい液と鼻腔吸引(ぬぐい)液の両方を採取する。
b)検体には、保健所がNESID(疑い症例支援調査システム)により発行した検査依頼票の右下にあるラベル(サンプル貼付用検体ナンバー)を切り取り検体容器に貼付し、検査依頼票とともに、地方衛生研究所に搬入する。検査依頼票は、一検体につき一枚であるので、複数検体の場合には、検査依頼票と検体が照合可能なようにしておく。
c)採取後すぐに冷蔵保管しておいた検体は、冷蔵で保健所経由で地方衛生研究所に搬送する。
d)問診内容・症状・所見から新型インフルエンザ(swine-origin influenza A/H1N1)が強く疑われるにも関わらず、地方衛生研究所に搬送した検査で陰性の結果が出た場合は、再度、上記検体を採取して上記方法で検体を搬送する。
e)急性期(発症後1週間以内)と回復期(発症後3〜4週)の血清を、小分けして冷凍(-20℃以下)保管(短期間なら4℃も可能)し、必要時に抗体検査実施可能な状態にしておく。

注意事項
※ 1.1)物品の準備が出来ていない場合は、速やかに保健所あるいは地方衛生研究所から入手する。医療機関に既にあったウイルス分離用の培地を代用することは可能であるが、細菌培養用の培地、生理食塩水、迅速診断キットに添付されている検体採取用の液は、絶対に用いないこと!
※ 検体搬送の方法は、保健所職員が直接、医療機関から地方衛生研究所に搬送する場合と、保健所職員の搬送方法に関する指導に基づき、医療機関から地方衛生研究所に送付する場合の2 通りがある。
※ 迅速診断キットは、A 型インフルエンザウイルスが陽性の場合診断の参考になるものの、陰性結果であっても、新型インフルエンザ(swine-origin influenza A/H1N1)を否定することができないため、当面、全例RT-PCR 法等によるインフルエンザウイルス遺伝子の検出で確定することとする。
※ 検体は発症後1−4日目に採取することが推奨される(発症後10-14 日目の検体でもPCR では検出可能とされているが、多くの場合は陰性となる)。


参考資料その2:確定診断のための遺伝子検出検査のための検体採取
1)患者から滅菌綿棒で採取したぬぐい液検体は1-2ml のVTMに浸し、棒部分を折り曲げて捨て、綿球部分がVTMに浸っている状態にする。
2)新型インフルエンザの症状等を認める患者の場合:咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引(ぬぐい)液、気管吸引液、肺胞洗浄液のうち、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引(ぬぐい)液の採取が推奨される。
※ 原則として積極的疫学調査を行っている初期段階においては、咽頭ぬぐい液と鼻腔吸引(ぬぐい)液の両方を採取する。
3)鳥インフルエンザH5N1が疑われる患者の場合:鳥インフルエンザH5N1ウイルスは下気道で増える鳥型であることから、ウイルスは鼻腔吸引(ぬぐい)液には殆ど排出されないと予想される。よって、咽頭ぬぐい液の採取が推奨される。
※ 上記検体は再検査ができるように検献体採取の際に医療機関等では、1回に2 検体分採取し、保健所では、予めNESIDシステムにおいて検査依頼票を2枚発行し、ラベルには同一患者からのものであることがわかるように、No1, No2 などの番号を付し、2 検体を地衛研へ送付する。
新型インフルエンザウイルス検査対応指針と検体搬送のガイドライン5月3日:暫定版 国立感染症研究所
https://www.chieiken.gr.jp/NFLU/090503-01.pdf


疫学調査
1)国内発生早期:「全例」の積極的疫学調査
新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02a.pdf
2)まんえん期以降
 臨床は臨床で行う。それとは別に疫学調査のために行う。
a)フェーズ5;クラスターサーベイランス
 条件のあうものをピックアップして行ってを報告する。
b)フェーズ6:パンデミック時インフルエンザ様疾患サーベイランス
定点調査となる。

新型インフルエンザの診断検査の意義は、
1. 適切な対応を促すため、通常のインフルエンザと新型インフルエンザを鑑別し、亜型同定を行うこと
2. 感染者を確実に捉え、入院措置を迅速に取れるように科学的な根拠を示すこと
3. 各自治体における医療対応につなげるため、初発患者の早期把握と初期感染拡大の状況を的確に把握すること

原則
新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02a.pdf
まんえん期の確定診断は全例では行わない
 従って、各都道府県において、疫学調査で患者の接触歴および感染経路を辿れない状態になれば、全数の診断検査は不要となり、ウイルス分離および性状解析を中心とした対応に移行する(新型インフルエンザ対策(フェーズ4以降)におけるサーベイランスガイドライン参照)。なお、疫学調査で患者の接触歴、感染経路を辿れない状態は、都道府県によって異なり、診断検査の体制の切り替えは、都道府県によって判断される。
診断検査のための臨床検体の採取は、当該患者が受診・入院した医療施設等で、PPE等の感染防止対策を十分行う事のできる医療従事者が行うこととする。

保存は長期間きく;地衛研での検体の保管
○ 短期間で検査可能な場合:検査が7日以内に行われる場合は冷蔵庫(4℃)に保管する。感染研への輸送時も凍結せずに4℃を維持する。
○ 検査までに時間を要する場合:7日以上の日数を要する場合は-70℃以下の冷凍庫で保管する。感染研への輸送時はドライアイス詰めにして凍結状態を維持する。
1)新型インフルエンザウイルス検査対応指針と検体搬送のガイドライン5月3日:暫定版 国立感染症研究所
https://www.chieiken.gr.jp/NFLU/090503-01.pdf
2)細胞培養培地の基礎
http://www.cosmobio.co.jp/catalog_detail/pdf/bionews_2004-baiyou.pdf

現在のPCR実行はあくまで全数調査(積極的疫学調査)
 PCRは平成21年5月22日現在全例調査が原則です。ただし優先順位がついています(まんえん期にクラスターサーベイランスが実行されるまでは全例調査が大原則。)。なお検体はー70度で保管すれば長時間保存出来ます。

 今回の新型インフルエンザは季節性インフルエンザと症状が似ていることにかんがみ、患者が発生していない地域であっても、学級閉鎖などインフルエンザ様症状を有する者の増加等が見られる場合、新型インフルエンザかどうかを判別するために、新型インフルエンザウイルスの確定診断のための検査(PCR検査)を積極的に活用し、感染の実態をいち早く把握することが重要である。
 一定以上の患者が発生している場合、PCR検査については、新たな地域での患者発生を把握する観点から、患者が発生していない地域からの検体を優先して検査を実施するなど、検査に優先順位をつけて運用して差し支えない。今後は、PCR検査は、新型インフルエンザ発生国あるいは発生地域において患者との接触が強く疑われ、かつ、発熱等の症状がある者に対し、優先的に行う。
参考
1)新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02a.pdf
2) 医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針 5月22日
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/newflu20090522_unyouhoushin.pdf

まんえん期以降
1)クラスターサーベイランス:フェーズ5
 これは全医療機関でおこなう。
報告基準
○ 10日以内に、3人以上の、発熱を含むインフルエンザ症状があり、その組み合わせが、同一同居家族、同一施設に属する、あるいはその中に当該の病院の医療従事者が含まれるなど、ヒト-ヒト感染が起こりうる疫学的な関連性がある場合。

2)パンデミック時インフルエンザ様疾患サーベイランス
 これは指定医療機関で行う定点調査
青森県であれば
【対象医療機関の選定方法】
1.下記の条件を満たす発熱外来以外の医療機関から、従来のインフルエンザ定点医療機関〔本県65 箇所〕の1.5 倍の医療機関〔本県換算97 箇所程度〕を選定
・インターネット利用可能
・従来のインフルエンザ定点医療機関又は小児科あるいは内科を標榜する医療機関
2.全ての発熱外来

参考文献
1)新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02a.pdf
2)新型インフルエンザ対策(フェーズ4以降)におけるサーベイランスガイドライン新型インフルエンザ専門家会議平成19年3月26日
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/09-03.pdf
3)青森県新型インフルエンザ対策(フェーズ4以降)におけるサーベイランスガイドライン
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/hoken/files/2009-0122-1952-a.pdf

現在のサーベイランスは

1)新型インフルエンザの国内発生時における積極的疫学調査について平成21年6月26日
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140513
2)新型インフルエンザにかかる今後のサーベイランス体制について平成21年6月26日
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140515
3)インフルエンザウイルスにかかる病原体サーベイランスの強化と調査について(依頼)2009年6月10日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0610-02.pdf
1)検体の採取
「インフルエンザ病原体定点医療機関」においては、インフルエンザの患者定点として保健所に報告する全ての患者について検体を採取し、地方衛生研究所に送付すること。
2)検体の検査
地方衛生研究所は、病原体定点医療機関から送付された全ての検体について、季節性インフルエンザの検査とあわせて、インフルエンザ迅速診断キットB型が陽性になり、新型インフルエンザが除外される場合を除き、インフルエンザ迅速診断キットA型の結果に関わらず、新型インフルエンザ検査を行うこと。

新型インフルエンザの早期探知等にかかるサーベイランスについて(依頼)2009年6月10日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0610-01.pdf
発生の早期探知の監視
 軽症、重症にかかわらず、同一の集団(学校、施設、同一集会への参加者、家族など)に属する者の間でインフルエンザ(疑い例を含む)が続発していることを知った場合、診断した医師は所管の保健所に報告すること。
ウイルスの性状変化の監視
 インフルエンザ定点医療機関(入院のための病床を有するものに限る)は、1週間のインフルエンザの入院患者数について、毎週定期的に、別紙2を所管の保健所に報告すること。(患者数0人の報告を含む。)インフルエンザ定点医療機関以外の医療機関においては、入院を要するものと判断されるインフルエンザの患者を医師が診断した場合、医師は所管の保健所に報告すること。

3.サーベイランスの着実な実施:平成21年6月19日厚生労働省
(1)感染拡大の早期探知
 新型インフルエンザの集団における患者発生を可能な限り早期に探知し、感染の急速な拡大や大規模な流行への発展の回避を図る。
 このため、保健所は、全ての患者(疑い患者を含む)を把握するのではなく、放置すれば大規模な流行を生じる可能性のある学校等の集団に属する者について、重点的に把握を行う。また、同一集団内で続発する患者についても把握を行う。この変更に当たっては、円滑な移行期間を経て、速やかに実施する。
 地方衛生研究所は、これらの疑い患者の一部からの検体に対し、確認検査を実施し、新型インフルエンザと確定した場合には、医師は、保健所への届出を行う。
 あわせて、保健所においては、従来から学校等におけるインフルエンザの集団発生につながる出席停止や臨時休業の状況を把握しているが、今後は、より迅速に把握する。
都道府県等では、これらの結果等を国へ報告するとともに、患者への対応、濃厚接触者への対応等を含め、必要な感染拡大防止対策を実施する。

(2)重症化及びウイルスの性状変化の監視
 入院した重症患者の数を把握するとともに、予め定められた病原体定点医療機関からインフルエンザ患者の検体提出を受け、地方衛生研究所及び国立感染症研究所において、病原性や薬剤耐性など、ウイルスの性状変化に対する監視を実施する。
その結果、性状の変化が見られた場合には、その結果を公衆衛生面、医療面等における対応へ的確に反映させる。

(3)インフルエンザ全体の発生動向の的確な把握
 予め定められた定点医療機関におけるインフルエンザ患者の発生状況の保健所への報告に基づき、インフルエンザ全体の発生動向を的確に把握し、医療関係者や国民へ情報提供する。
医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針 (平成21年6月19日)
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/unyousisin20090619.pdf

2.サーベイランスの着実な実施
(1) 感染拡大の早期探知
○ 全数報告を行うのではなく、クラスターサーベイランスを実施し、感染拡大を早期に探知。
 保健所は、新型インフルエンザを疑う患者の全てを把握する全数報告を行うのではなく、学校、施設等の同一の集団における複数の新型インフルエンザ患者の発生(クラスターでの発生)を速やかに把握するとともに、これらの患者の一部の検体について、地方衛生研究所において確認検査を行い、国に報告する集団発生のサーベイランス(クラスターサーベイランス)や、学校等における臨時休業等の把握を着実に実施していくこととなります。これにより、感染拡大の早期探知を行い、必要に応じて積極的疫学調査及び学校等の臨時休業を実施する等の公衆衛生的対応をとることにより、結果として感染拡大の抑制・緩和を図ることを目的としています。
 この変更に当たっては、円滑な移行のための期間をおき、速やかに実施することとします。なお、第3の3に示すとおり、全数把握については、当面現行どおり行う必要があります。
第3 適用日
1. 第2の1(1)及び(2)について
 本指針の改定の日より、本指針に基づく対策に切り替えていただいて差し支えありませんが、医療体制の見直し等については、現場の医療機関の理解等が必要な場合もあることから、地域における実施時期については、各地方自治体において、地域の実情を踏まえて決定していただいてかまいません。
 全数把握については、本指針改定の日より、直ちに取りやめるという趣旨ではなく、感染症法に基づく医師からの届出についても、当面は現行どおり行う必要がありますのでご留意願います。
「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定について平成21年6月25日
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140467


医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)概要平成21年6月19日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/dl/0619-01b.pdf





クラスターサーベイランス
疑い患者
臨床症状及び簡易迅速検査で医師が診断する患者(新型、季節性を問わない。のぞくB型)
クラスター発生があれば医師はクラスターサーベイランスにのっとり行う。
1)最寄の保健所に届ける
2)PCR検査は複数の患者のうち一部に行う
2)患者に対し外出自粛などの保険指導を行う
3)濃厚接触者に対し
症状がなければ外出自粛は行わない。予防投与も行わない
症状があれば外出自粛を行い、かつ連絡する。予防投与を行う

確定患者PCR
確定患者は届出する
疑似症患者;みなし患者(同一集団):PCRを行わないがみなしで届ける

ウイルスサーベイランス
1)定点機関で行う
2)全例PCRを行う(一定の上限まで)
3)PCR確定例でも届出は不要

クラスターサーベイランスの届出方法の変更2009/8/25
 報告する必要がなくなったわけではなく、決められた報告書様式で書く必要がなくなった。電話でよい

新型インフルエンザ(A/H1N1)に係る今後のサーベイランス体制について2009/8/26
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/08/dl/info0825-03.pdf
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う運用の変更について(Q&A等)2009/8/26
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/08/dl/info0825-02.pdf
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令について(施行通知)2009/8/26
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/08/dl/info0825-01.pdf
社会福祉施設等における新型インフルエンザに係る今後のクラスター(集団発生)サーベイランスへの協力について2009/8/26
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/08/info0826-01.html


治療
処方について
 原則、院内処方が望ましい。これは二次感染を防ぐために、出来るだけ接触者を減らすためです。
院外処方における対応

医療機関における対応
・処方せんは、通常は患者に対して発行されるものであるが、新型インフルエンザ患者やその同居者は外出が自粛されている状況下にあること等を考慮して、患者の同意を得て、医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等で送付することを原則とする。
薬局における対応
・医薬品は患家へ届けることを基本とし、その際は、可能な限り新型インフルエンザ患者との接触を避けるために、服薬指導は電話で行うことでも差し支えない。

1)ファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんの取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-05.pdf
2)新型インフルエンザに関連する診療報酬の取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0527-01.pdf
3)2009年9月2日 IDSC:新型インフルエンザの治療(09/9/1)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/treatment0902.html


ブタ由来インフルエンザA(H1N1)の治療

ワクチン
新型インフルエンザA(H1N1)に対するワクチン(WHO 翻訳:感染症研究所)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/VaccineQandA.html
2009年8月28日 新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会(8月27日)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
a)基礎データ:
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090828-01.pdf
b)ワクチン:
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090828-02.pdf
c)予防接種比較:
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090828-03.pdf
d)カンガエルーネット:
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090828-04.pdf

新型インフルエンザワクチン接種の 進め方について 平成20年9月18日
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai21/siryou2.pdf
新型インフルエンザワクチン接種に関するガイドライン:新型インフルエンザ専門家会議平成19 年3 月26 日
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/09-09a.pdf

妊娠とインフルエンザ
Q3: 妊婦がインフルエンザ様症状(38℃以上の発熱と急性呼吸器症状)を訴えた場合、どのように対応すればよいでしょうか?
A3: 産婦人科への直接受診は避けさせ、地域の一般病院へあらかじめ電話をして、できるかぎりの早期受診を勧めます。WHO は新型インフルエンザ感染が疑われる場合には医師は確認検査結果を待たずに、ただちにタミフルを投与すべきとしています。妊婦には、「発症後48 時間以内のタミフル服用開始(確認検査結果を待たず)は重症化防止に最も有効」と伝えます。
Q4: 妊婦に新型インフルエンザ感染が確認された場合の対応(治療)はどうしたらいいでしょうか?
A4: ただちにタミフル(75mg 錠を1 日2 回、5 日間)による治療を開始します。
インフルエンザワクチン。
1、インフルエンザワクチンの母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低いと説明し、ワクチン接種を希望する妊婦には接種してよい(B)
Q5: 妊婦が新型インフルエンザ患者と濃厚接触した場合の対応はどうしたらいいでしょうか?
A5: 抗インフルエンザ薬(タミフル、あるいはリレンザ)の予防的投与を開始します。

産婦人科診療ガイドラインー産科編2008
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/FUJ-FULL.pdf
39ページCQ102 妊婦授乳婦へのインフルエンザワクチン投与は?
1、インフルエンザワクチンの母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低いと説明し、ワクチン接種を希望する妊婦には接種してよい(B)
ワクチン摂取
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/fluQA/QAdoc04.html#q22
3) インフルエンザワクチンはウイルスの病原性をなくした不活化ワクチンであり、胎児に影響を与えるとは考えられていないため、妊婦は接種不適当者には含まれていません。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、ワクチンの中でインフルエンザウイルスは生きていません。そのため、胎児に直接影響を与えることはありません。妊婦は接種不適当者(いわゆる接種禁忌)には含まれていませんが、国内では、妊婦または妊娠している可能性の高い女性に対するインフルエンザワクチン接種に関して、調査成績が十分に集積されていないため、米国のように勧奨の対象にはなっていません。ただし、妊婦がインフルエンザにかかると、重症になる場合が多く、使える薬も限られています。ワクチンによって重症化を予防した方が利益があると考えられた場合には、ワクチンを接種しておかれると良いと思います。
インフルエンザワクチンの接種とは関係なく、一般的に妊娠初期は自然流産が起こりやすい時期であり、この時期の予防接種は避けた方がよいと考えられます。  一方米国では、「予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)」の提言により、妊娠期間がインフルエンザシーズンと重なる女性は、ワクチンを接種するのが望ましいとされています(Prevention and Control of Influenza. MMWR 2008;57(RR-7):1-59参照)。
これまでのところ、妊婦にワクチンを接種した場合に生ずる特別な副反応の報告は無く、また、妊娠初期にインフルエンザワクチンを接種しても胎児に異常の出る確率が高くなったというデータも無いことから、予防接種直後に妊娠が判明しても、胎児への影響を心配して人工妊娠中絶を考慮する必要はありません。  同様に、ワクチン接種による精子への影響もありませんので、妊娠を希望しているカップルの男性の接種にも問題はありません。

抗インフルエンザ治療薬

推奨された抗ウイルス薬の使用
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/WHO_antivirals.html
パンデミック(H1N1)2009-briefing noteその8 (原文)
パンデミックウイルスに感染した世界中のほとんどの患者は、典型的なインフルエンザ様症状を呈し、治療薬を服用しなくても、完治している。元来健康な患者で、合併症を呈していない場合は、抗ウイルス薬で治療する必要はない。
小児における抗ウイルス薬の使用法
WHOは、小児の患者で、重症な人、症状が悪化している人、ならびに重症化や合併症を併発するリスクの高い人への速やかな抗ウイルス薬投与を推奨する。この推奨には、5歳以下の小児も、重症化のリスクが高いということで、含まれている。
5歳以上の健康な児童は病気が長引く、あるいは症状が悪化している場合を除いて、抗ウイルス薬の投与は必要ない。
重症化の徴候
臨床医、患者、そして自宅での加療に携わっているものは、病状が重症化する徴候を注意して観察する必要がある。症状の進行は、非常に早い場合があるため、H1N1感染確定者、ならびに疑いのある者は、以下の症状が認められた場合には、医療機関の受診を勧める。
・活動中あるいは安静時の頻呼吸
・呼吸困難
・蒼白
・血痰もしくは着色した痰
・胸部の痛み
・精神状態の変化
・3日以上続く高熱
・低血圧
小児では、重症化の徴候として、促迫呼吸や呼吸困難、注意力散漫、起床困難、遊ぶことへの興味の減衰なども含まれる。

抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/09-10.pdf
抗インフルエンザ治療薬
 タミフル、リレンザには感受性があり、臨床的な効果も確認されている。
タミフルで解熱時間が大幅に短縮(通常のインフルエンザの場合)
a)発症後48時間以降や、健常成人で新型インフルエンザの感染が考えにくいなどの場合は、投薬を控える。オセルタミビルは、発症48時間以内に投薬開始すれば、発症からの経過時間にかかわらず、解熱時間(投薬開始から解熱するまでの時間)はA型では30時間前後、B型では40〜50時間だった。
b)発症から解熱までの発熱時間は、同薬を早期に使用開始すればするほど短縮され、発症12時間以内で投薬開始すれば、A型では発症から約1日半(30数時間)、B型では同じく2日強(50時間強)だった。

新型インフルエンザ
 海外で報告された症例のほとんどは軽症であり、治療及び抗インフルエンザウイルス薬(以下、抗ウイルス薬)の投与なしに完全に回復している症例もあるが、一部のハイリスク者(高齢者、基礎疾患のある人、妊婦や乳幼児などかかると重症化する恐れのある人)では注意が必要である。
感染拡大時
○発症後48時間以内の服用開始を原則とし、重症入院患者を優先する。
 疑似症例であっても、できるだけ早期にタミフルの投薬を実施すること。48時間以内の投薬が特に効果があるが、48時間を超えても効果があるとする研究もあるので、投与しても構わない。
・治療期間は5日間。
・投与量は、13才以上については、75mg×2回/日。
・この治療法については確定例についても同じ。
・アスピリンやアスピリンを含む薬剤については、Reye症候群の可能性があるので使用禁止。

妊婦への投与
 リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)あるいはザナミビル(商品名:リレンザ)を、妊娠している又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に投与することとし、授乳中の女性に投与する場合には、授乳を避けるように指導する。
・妊婦へのタミフルの安全性は証明されていない
・投与のリスクとベネフィットを天秤にかけて判断
・ただし、これまで投与によって妊娠への影響や、生まれてきた児への影響はCDCには報告されていない。

以下は日本産科婦人科学会QandAより一部抜粋(よりくわしくは参考文献参照)
Q5: 抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)は胎児に大きな異常を引き起こすことはないのでしょうか?
A5:2007年の米国疾病予防局ガイドラインには「抗インフルエンザウィルス薬を投与された妊婦および出生した児に有害事象の報告はない」との記載があります。

Q6: 抗インフルエンザウィルス薬(タミフル、リレンザ)の予防投与(インフルエンザ発症前)と治療投与(インフルエンザ発症後)で投与量や投与期間に違いがあるのでしょうか?
A6:
米国疾病予防局の推奨では以下のようになっていますので、本邦妊婦の場合にも同様な投与方法が推奨されます。
1.タミフルの場合
予防投与:75mg錠1日1錠(計75mg)、治療のための投与:75mg錠1回1錠、1日2回(計150mg)
なお、本邦の2008年Drugs in Japanによれば、治療には上記量を5日間投与、予防には上記量を7日〜10日間投与となっています。
2.リレンザの場合
予防投与:10mgを1日1回吸入(計10mg)、治療のための投与:10mgを1日2回吸入(計20mg)
なお、本邦の2008年Drugs in Japanによれば、治療には上記量を5日間吸入、予防には上記量を10日間吸入となっています。

Q7: 予防投与の場合、予防効果はどの程度持続するのでしょうか?
A7; タミフル、リレンザともに2008年Drugs in Japanによれば、これらを連続して服用している期間のみ予防効果ありとされています。

Q8: 予防投与した場合、健康保険は適応されるのでしょうか?
A8: 予防投与は原則として自己負担となりますが、自治体の判断で自己負担分が公費負担となる場合があります。

Q9: 抗インフルエンザウィルス剤を服用しながら授乳することは可能でしょうか?
A9: 母乳自体による新型インフルエンザ感染の可能性は現在のところ知られていません。季節性インフルエンザでは母乳感染は極めてまれです。授乳時に抗インフルエンザウィルス薬を投与する場合には、薬剤の児への潜在的リスクと母乳栄養による利益を考慮した上で患者と相談の上、決定して下さい。なお、米国疾病予防局の推奨では抗インフルエンザウィルス剤を服用しながら児に授乳することは可能であるとされています。同時に児への感染リスクを最小限にするため、頻繁に手洗いしたりマスクをつけるなどの処置を必要とします。母児分離を行なうべきとの勧告は今のところなされていません。

1)妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象)
http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20090520a.html
2)妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人向けQ&A(医療関係者)(社団法人 日本産科婦人科学会)104KB)5月19日
http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20090520b.html
3)
妊婦・授乳婦の新型インフルエンザに対するタミフルとリレンザの使用について日本産婦人科医会
5)妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人向けQ&A
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140309

・ 10 代の新型インフルエンザ患者への抗ウイルス薬(リン酸オセルタミビル)の使用については、異常行動との関連で出されていた使用制限は解除される見込みだが、投与後2 日間の患者の健康状態の観察は十分に行う。
・現在、日本国内においては、添付文書では「10才以上の未成年においては、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること」とされている。主治医により、投与することのメリットがデメリットを上回ると判断された場合には、「本剤により治療が開始された後は、
(1)異常行動の発現の恐れがあること、
(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は患者が一人にならないように配慮すること」等、必要な事項について患者・家族に説明を行う。
・投与する場合には、
体重15kg未満:30mg×2回/日
体重15kg以上23kg未満:45mg×2回/日
体重23kg以上40kg未満:60mg×2回/日
体重40kg以上:75mg×2回/日
を目安に投与する。
米国においては、新型インフルエンザの発生を受けて、緊急使用が許可されている(詳細は米国CDCのWebページを参照。)。
−タミフルの投与は10代でも同様に対応するのか?
神戸はリレンザだという。若い人に副作用があるというので、リレンザを出すようにしている。尾身茂政府専門家諮問委員会委員長(自治医科大教授)

タミフルカプセルの脱カプセル化
 タミビルは大変苦いので小さな子供に飲ませるには工夫が必要であり、乳糖や砂糖を加える、あるいはジュースにとかして飲ませるなどの説明を充分に親などにする必要があります。オセルタミビルは、薬物の代謝酵素であるチトクロームP450(CYP)で代謝されませんし、CYPの活性にも影響を与えませんので用時にジュースなどに懸濁させて飲ませることも可能です。

調剤方法の参考例
 タミフルカプセル75mg(1カプセル中オセルタミビルとして75mg含有。全量は165mg)4カプセル(300mg含有)からカプセルを外し、タミフルドライシロップ3%と同一含量になるよう乳糖で賦形し、1g中にオセルタミビルとして30mg含有する散剤を予製する。
体重に準じて2mg/kgになるよう分包する。
(仮に30mg/gの散剤10gを予製する場合(幼少児には1回2mg/kg体重、1日2回投与するので、15kgの患児の5日分に相当)は、タミフルカプセル75、4カプセルを外し、カプセル中の散剤に全量が10gとなるよう乳糖で賦形する。この散剤を1gづつ分包する。)
なおあくまで例外的処置ですので保険上の取り扱いについては以下の参考文献を熟読ください

1)新型インフルエンザに関連する診療報酬の取扱いについて」(事務連絡)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0527-01.pdf
2)新型インフルエンザの治療・予防投薬におけるタミフルドライシロップが不足した場合の対応について:2009.05.27
http://www.jshp.or.jp/cont/090527-s.html
3)感染症情報センターの「国内医療機関における新型インフルエンザ(A/H1N1)抗ウイルス薬による治療 ・予防投薬の流れ Ver.2
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/antiviral2.html

ザナミビル(商品名:リレンザ)の小児への投与
 適切に吸入できると判断された場合にのみ投与することとし、1 歳未満の患児(低出生体重児、新生児、乳児)または4 歳以下の幼児に対する安全性は確立されていないが、症状・所見から重症化が予想され、保護者へのインフォームド・コンセントが十分に得られた場合においては、医師の判断に基づき、投与することもあり得る。

1)第8回リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)資料
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=139709
2)リレンザ使用上の注意5月11日
http://www-bm.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/medical/090511-01.html
3)タミフル使用上の注意5月11日
http://www-bm.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/medical/090511-02.html


予防投与
−予防投与の費用負担は2009/05/20
 江浪補佐 予防投与の費用負担は、原則自己負担だが、健康観察の予防投与は公費負担とするのは可能と書いてある。

公費=医療従事者が患者と実際に暴露したら公費。暴露しないであらかじめ投与すれば適応外と解釈されます。
新型インフルエンザと確定した場合、現在の症例定義に合致した場合は医療従事者の予防投与分のタミフルをたとえば県から出す。観察者分は保険で差し支えない。
○ 予防投与に用いるタミフルは、国の備蓄薬を用いることが原則だが、緊急を要する場合には、都道府県備蓄薬を先に使用し、後で国の備蓄薬を補充することも考えられる。

蔓延期の予防投与分は出さない。(旧来の解釈)
5月22日の厚労省会見ではまんえん期でも同様に行うとされています。
−医師や看護師の補償の問題は
江浪補佐
1)感染の初期で患者発生が少数で感染拡大防止に努めるべき地域。
 医療従事者、初動対処要員には、ウイルスに暴露されて、感染される可能性が高い場合は予防投与を行うことを明確にしている。
2)かなり患者の増えてきている、むしろ重症者治療に重点を置く地域
 医療従事者、初動対応要員の予防投与の考え方は同じ。

平成21年6月7日青森県保険衛生課
医療従事者に対しては、防衛対策が十分でない場合に投与するのが原則だが、対象者の心理的な不安も考慮して投与できるとした。

○早期対応戦略時及び、患者に濃厚接触した医療従事者等でワクチン未接種の者が、「十分な防御なく、暴露した場合」に投薬。暴露前では投与しない。
○ 新型インフルエンザ発生時にタミフルの予防投与を行うことによって早期に感染を封じ込めることは極めて重要であり、WHOにおいても対策のひとつとして考えられている。したがって、感染拡大防止のための早期対応戦略時に予防投与を行うこととする。
○ また、医療従事者等への感染・発症・重症化を防ぐことも医療機能の維持や感染被害の抑制のために重要である。患者に濃厚接触した医療従事者等でワクチンが未接種でかつ、十分な防御なく暴露した場合はタミフルの予防投与を行うこととする。その際、既に有効性が確認されているワクチンの接種を受けている場合は、予防投与は行わず、発熱等の症状が出現後すぐに、確定診断を待たずにタミフルの治療投与を行うこととする。
○ 予防投与に用いるタミフルは、国の備蓄薬を用いることが原則だが、緊急を要する場合には、都道府県備蓄薬を先に使用し、後で国の備蓄薬を補充することも考えられる。
○ なお、こうした予防投与については必ずしも薬事法で承認を得られていない場合も含まれており、投与対象者(小児の場合は保護者を含む)にはそのことを十分に情報提供し、同意を得た上で行うこととする。
○ 早期対応戦略の一つとしてなされる予防投与は、新型インフルエンザの発生が地域限定的な場合において、感染拡大を防止するためのものである。
このため、国は新型インフルエンザによる感染が拡大した場合や、予防投与用の備蓄薬が一定量以下となった場合には、残量の有効かつ効率的な使用のために早期対応戦略としての予防投与を行わないことを都道府県に指導する。
○ さらに残量が減少してきたときは、医療従事者等へも、予防投与は行わず、発症後すぐに、確定診断を待たずに治療投与をするよう都道府県に指導する。

1)国内医療機関における新型インフルエンザ(A/H1N1)抗ウイルス薬による治療 ・予防投薬の流れ Ver.2 2009年5月20日
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/antiviral2.html
2)国内医療機関における新型インフルエンザ(A/H1N1)抗ウイルス薬による治療・予防投薬の流れ Ver.1、2009 年5 月6 日国立感染症研究所感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_treatment-chemoprophylaxis.pdf
3)新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染患者及び濃厚接触者に対する抗ウイルス薬使用の暫定的手引き−改訂版
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_antiviral_revised.html

・新型インフルエンザの診療等に関する情報(抗インフルエンザ薬の予防投与の考え方等)に係るQandAについて
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=139481
問1 積極的疫学調査で濃厚接触者と判明し、予防投与を行う場合、医師の診察が必須か。
(答)
保健所または医療機関の医師の診察が必要。

問2 急速な患者の増加が見られる地域に出張や旅行等で滞在した場合には予防投与対象者となるのか。
(答)
 急速な患者数の増加が見られる地域に滞在しただけでは、予防投与対象者とはならない。ただし、積極的疫学調査により滞在中に感染者との濃厚接触があったと判明した場合は、この限りでない。
 予防投与の適応の検討にあたっては、
「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」(平成21年5月22日厚生労働省)及び5月3日付事務連絡を参考としていただきたい。

問3 適切な感染防御のもと感染者の診療等に携わった医療従事者・初動対処要員等については、予防投与対象者となるのか。
(答)
 診療時に適切な感染防御が行われていた場合には、予防投与の必要はない。なお、予防投与の考え方については、新型インフルエンザワクチンの開発状況や有効性、発生段階等に応じて変更もあり得ることから、随時最新の情報をご確認いただきたい。

5 抗インフルエンザウイルス薬の予防投与によって、副作用が生じた場合、医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用被害救済制度の対象になるか。
(答)
 医師の診察により医薬品が適正に使用されたと考えられる場合には対象となり得るが、医薬品副作用被害救済制度の救済給付の決定に当たっては、個別事案ごとに、薬事・食品衛生審議会が、医薬品の適正な使用による健康被害であるか等の医学的薬学的事項を判定することとなっている。
 この薬事・食品衛生審議会における「医薬品の適正な使用」の判定にあたっては、抗インフルエンザウイルス薬の添付文書の記載事項のみならず、国・自治体等の指針及び指導も考慮されるものと考えている。
 なお、抗インフルエンザウイルス薬による健康被害を受けた投与対象者等が、医薬品副作用被害救済制度へ請求を行う場合には、抗インフルエンザウイルス薬を投与されたことを証明するもの(投薬証明書)等が必要となることから、医療機関のみならず保健所等により投与する場合においても、医薬品の使用記録を保存する等必要な措置を講ずるようお願いしたい。

Q2.「適正な使用」とは、具体的にどのような使用をいうのですか。
A.「適正な使用」とは、原則的には医薬品の容器あるいは添付文書に記載されている用法・用量及び使用上の注意に従って使用されることが基本となりますが、個別の事例については、現在の医学・薬学の学問水準に照らして総合的な見地から判断されます。
 なお適性使用の可否はあくまで厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(副作用・感染等被害判定部会)で審議されます。

1)医薬品副作用被害救済制度|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html
2)医薬品副作用被害救済基金制度
http://wp.cao.go.jp/zenbun/kokuseishin/spc08/houkoku_b/spc08-houkoku_b4-III.html

予防投与の用法と用量
 A型インフルエンザウイルス感染症の予防投与に適応があるのは、タミフルとリレンザのみである。現在の添付文書上の適応に基づくと以下の通りとなる。
 オセルタミビルの予防投与法は、通常、成人および13歳以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7〜10日間、経口投与する。
*商品名:タミフル=「タミフルカプセル75」/リレンザ=「リレンザ」
*予防投与に関して、現時点では新型インフルエンザに対する抗ウイルス薬の予防効果は必ずしも明らかではないこと、また、添付文書をもとに副作用等の発現リスクがあること等について、投与対象者(未成年者の場合は保護者を含む)に十分情報提供し、同意を得た上で行うこととする。*リレンザについては、4歳以下に対する安全性は確立していない。また、小児に対して適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与すること。

なお予防に用いる場合には、
(1)インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始すること
(2)インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、オセルタミビルを連続して服用している期間のみ持続する
(3)成人の腎機能障害患者では表1の投与法を目安とする
表1 成人の腎機能障害患者へのオセルタミビル投与法(外国人データ)
Ccr(ml/分)      治療         予防  
Ccr>30       1回75mg 1日2回     1回75mg 1日1回 
10<Ccr≦30      1回75mg 1日1回     1回75mg  隔日 
Ccr≦10     推奨用量は確立していない   推奨用量は確立していない


追加療法
 抗菌薬などを用いた追加療法については、患者の臨床的状態に基づき医療者の裁量で使用すべきである。

解熱薬、抗菌薬は何を使う?
 インフルエンザ罹患時には、抗インフルエンザ薬のほか、対症療法として解熱薬や抗菌薬を処方することもある。
アスピリンなどのサリチル酸系解熱鎮痛薬、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸を使った解熱薬は、15歳未満のインフルエンザ患者には投与しないことになっている。小児のインフルエンザに伴う発熱に対して使用する場合は、より危険性の少ないアセトアミノフェンが適切である。
  またインフルエンザでは、細菌感染の合併がなければ、特に抗菌薬の投与は不要である。しかし、高齢者における死因の多くが肺炎であることを考えると、肺炎合併が懸念される場合は、早い段階で抗菌薬の使用を考慮する必要がある。
 抗インフルエンザ薬により熱が下がっても、咳、喀痰などの症状が長く続くことはしばしばみられる。抗菌薬のクラリスロマイシンは、気道環境を改善することがin vitroで証明されている。迅速診断キットによりインフルエンザと診断され、さらに抗菌薬の適応と考えられる症例を対象とした日本臨床内科医会の無作為割付法による臨床研究でも、抗菌薬投与後48時間と72時間における咳の残存率は、クラリスロマイシンの方がセフェム系抗菌薬よりも有意に低く、咳の早期改善効果が高いことが明らかになっている。

子どもについての特別な配慮(CDC)
 アスピリンやアスピリンを含有する薬剤(例、サルチル酸ビスマスーPepto Bismol)は、新型インフルエンザ A (H1N1)の確定例、疑診例のいずれでも、18歳以下の子どもには処方してはならない。Reye症候群併発の可能性があるからである。解熱のためには、他の解熱剤、アセトアミノフェンまたは非ステロイド抗炎症剤が推奨される

 4歳以下の子どもでは、まずヘルスケア・プロヴァイダー(日本では小児科医)に相談し、勝手に市販の風邪薬を服用させてはならない。
*註:わが国では、ボルタレン、ポンタールの使用が禁止されている。

抗菌薬療法(WHO)
 抗菌薬の予防投与は行うべきではない。肺炎があるときには、抗菌薬による治療は市中感染による肺炎に対する公開されたエビデンスに基づくガイドライン6に、一般的には従うべきである。しかしながら、季節性インフルエンザや過去のインフルエンザパンデミックは、二次性の黄色ブドウ球菌感染のリスク増加に関連していた。それは、重症、急速に進行、壊死性、あるいはいくつかの地域ではメチシリン耐性株によるかもしれない。可能であれば、微生物学的検査の結果で、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の患者における細菌の重複感染疑いとして適切な抗菌薬使用を行うべきである。メキシコの何例かの患者は、典型的な院内感染の病原体による人工呼吸器に関連した肺炎や院内感染肺炎を起こしていた。

コルチコステロイド(WHO)
 コルチコステロイドは、新型インフルエンザA(H1N1)患者の治療の際には、日常的に使用されるべきではない。低濃度のコルチコステロイドは、昇圧剤を必要としたり、副腎不全が疑われたりするような場合の敗血症性ショックの患者には考慮して良い。長期にわたる、あるいは高濃度のコルチコステロイドの使用は、日和見感染やウイルス複製を延長させる可能性等、インフルエンザウイルス感染の患者において重症の副作用を起こすことがある。

高度呼吸管理(WHO)
 新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染によるARDSの治療は、公開されているエビデンスに基づいた敗血症関連性ARDSのガイドラインにのっとってなされるべきである。肺を保護するような人工呼吸管理を使用すべきである。

酸素療法(WHO)
 診察あるいはトリアージ、そして引き続き入院患者としてのケアの間にルーチンに、酸素飽和度を可能ならばいつでもパルスオキシメーターで監視するべきである。酸素補給は、低酸素血症を補正するために実施されるべきである。WHOの肺炎に対する勧告では、酸素療法は90%以上の酸素飽和度を保つことを推奨している。しかしながら、この目安は、臨床的状況、例えば妊娠中などでは、92〜95%までに増やされるかもしれない。標高が高いところの住民は、低酸素血症の診断には異なる目安が必要であろうが、肺炎やARDSがあるような重症の低酸素血症の場合にはまた、さらに影響を受けやすくなるであろう。
 重症の低酸素血症の患者はマスクによる高流量(例えば、10L/min)の酸素投与が必要である。酸素投与に従うことが困難な患者(小児等)には、看護スタッフや家族の付き添いが必要かもしれない。パイプで送られる酸素が使用できないところでは、大きなシリンダーによる供給が必要となるであろう。WHOでは、1979年以降、酸素を必須医療品のリスト(List of Essential Medicines)の中に入れているが、未だにいくつかの国では、広く使用可能な状況ではないところがある。もし、医療用酸素が使えない場合は、工業用の酸素を使うことが可能である。新生児の酸素療法は、ガイドラインに従うこと。

1)CDC:小児における新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染に対する予防と治療の暫定的手引き(09/5/13)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_children_treatment.html
2)日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」作成委員会
a)成人市中肺炎診療ガイドライン:日本呼吸器学会,2007年1月15日発行
http://www.jrs.or.jp/home/modules/glsm/index.php?content_id=16
b)成人市中肺炎診療の基本的考え方:日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/home/modules/glsm/index.php?content_id=21
3)WHO:新型インフルエンザA (H1N1)ウイルスのヒト感染に関する臨床管理:暫定的手引き(09/5/21)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/WHO_clinical_management.html

[2009年6月18日(VOL.42 NO.25) p.46]シリーズ パンデミックに挑む―発生とその対策 第3回新型インフルエンザの診療
NA阻害薬と抗菌薬投与が主要な対策:菅谷 憲夫 氏
早期の抗菌薬投与が必須
 2008年に,スペインかぜによる当時の死亡者のほとんどの死因が2次性の細菌性肺炎であったことが報告された。インフルエンザウイルスにより気道が傷害を受け,そこに上気道の肺炎球菌や連鎖球菌などが感染して重症肺炎を引き起こし,呼吸不全となって死亡したという。菅谷部長は「H5N1インフルエンザに関して,一部で報道されているようなサイトカイン・ストーム(免疫過剰による反応)から多臓器不全で死亡する例は,新型インフルエンザでは例外的な症例である」と指摘する。
 さらに,同部長は「多くの重症患者は2次性の細菌性肺炎を併発すると考えられるため,早期の抗菌薬投与が必須となる。また,多くの患者にレスピレーターが必要となる。現状では,新型インフルエンザに対する誤解から患者を受け入れられる病院・病床が少なく,入院できないケースが多発することになりかねない」と危惧する。

全医療機関が新型対策を 感染症学会が緊急提言
 提言は、1918年のスペイン風邪も今回の新型も、重症例、死亡例の多くは細菌性肺炎を併発しているとして、重症肺炎に備えた人工呼吸器の整備を求めた。
 また細菌性肺炎では肺炎球菌によるものが最も多く重症化もしやすいため、高齢者、呼吸器や心臓の慢性病患者、糖尿病患者などの「ハイリスクグループ」に対しては、肺炎球菌ワクチンの接種を積極的に考慮すべきだと提案した。
     [共同通信]

病薬アワー 2008 年 1 月 28 日放送:東京慈恵会医科大学付属第三病院呼吸器内科 診療医長竹田 宏
肺炎球菌ワクチン ニューモバックス
 本ワクチンは少なくとも5年間有効とされていますが、本邦では再接種が認可されていません。これは本ワクチンの開発初期の試験において、14価肺炎球菌ワクチンを2年未満の間隔で再接種した成人に注射局所の副反応の増強がみられたことに起因して、その副反応を懸念し本邦では再接種を禁じているためです。一方、その後の試験で4年以上の間隔をおけば、局所反応の増強を回避できることが確認され、米国では65歳時に前回の接種後5年を経過していると再接種が認められており、さらに脾機能不全や免疫不全例では、5年ごとの接種が勧奨されています。本邦でも再接種認可が強く求められ、関連学会等より国に要望書が提出されているところです。
ニューモバックスNP FAQ 萬有製薬
Q1.ニューモバックスNPの再接種は可能ですか?
A. 過去に肺炎球菌ワクチンを接種されたことのある方は接種不適当者に該当しますので、当社としてはニューモバックスRNPの再接種をすすめることはできません。
 海外において、初回接種から5年以上間隔をあけて肺炎球菌ワクチンを再接種した場合、接種部位の副反応(発赤、腫脹、腕の痛みなど)の発現率は再接種時の方が高頻度でした。
 この原因は不明ですが、全身を循環している抗体と局所に再接種された抗原が接種部位で起こす抗原抗体反応に由来するものと推測されています。
 また、初回接種から6年経過後の成人15例に対し、肺炎球菌ワクチンを再接種したところ、抗体価の上昇は初回接種に比べて低いことも示されております(平均抗体価上昇率:初回接種3.1倍、再接種1.5倍)(3)。 再接種による副反応を回避する為の期間や条件について、充分な解明が 得られていませんので、日本ではニューモバックスRNPの再接種はできません。
ニューモバックスNP 添付文書
(接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者))
 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならない。
1.過去に、含有莢膜型の組成のいかんにかかわらず多価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンを接種されたことのある者では、本剤の接種により著しい副反応(注射部位疼痛、注射部位紅斑、注射部位硬結等)が起こるので、接種を行ってはならない(同様の理由で本剤の追加免疫や再接種を行ってはならない)。


休業について

発生初期はあくまで以下の考え方の元に行われます。
新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
(3)接触者調査(感染症法第15 条第1,2,3 項)
 接触者の調査を迅速に行い、適切な対応を実施することは新型インフルエンザの封じ込めや早期対応にとっては極めて重要である。以下に患者との接触者の定義及びその対応について記述する。
1)患者との接触者の定義
 患者との接触者とは、新型インフルエンザ発病者(疑似症患者を含む。)が発症した日の1 日(24 時間)前より、発症した日を0 日目として発症後7 日目まで(発症者の症状が遷延した場合はそれ以上に伸びる場合がある)に接触した者とする。接触者の分類は以下の通りである。
a)高危険接触者(濃厚接触者)
「新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む。)との濃厚接触者」
 接触者のリストアップを行い、リストアップされた者については、1 日2 回の検温を、患者との最終の接触があった日より、接触終了後10 日間(最終曝露日を0 日としてより10 日目が終了するまで:本田注:これは7日間)に至るまで確実に行うよう、協力を求める(感染症法第15 条第3 項)。さらに同意が得られた場合には、保健所等の公衆衛生機関において抗インフルエンザウイルス薬の予防投薬を行う
イ.医療関係者
 個人防護具(PPE)を装着しなかったかあるいは正しく着用せずに、患者の診察、処置、搬送等に直接携わり曝露の可能性のある医療関係者や搬送担当者。

b)低危険接触者(軽度接触者)
「新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む。)との低危険接触者(軽度接触者)」もしくは「新型インフルエンザ患者(疑似症患者を含む。)との低危険接触者」
 低危険接触者については、感染危険度はア→イの順であり、ア、イのどこまでを確認し、調査・健康観察・抗ウイルス薬予防投与の対象とするかは、発生段階や患者の状況等を参考に決定する。
ア.6-(3)-1)-a-エの直接対面接触者のうち、患者との距離が2メートルよりも近くなることがなかった者。
イ.閉鎖空間の共有者
・比較的閉鎖された空間において、PPE を装着しなかったかあるいは正しく着用せずに、2メートル以内の距離で空間を共有した者。

2)患者との接触者に対する調査と対応:
 新型インフルエンザ患者との接触者に対する調査及び主な対応については以下の通りである。
a)接触者のリストアップ
 保健所等は、定義されている高危険接触者を確実にリストアップする。低危険接触者(前述)についても、感染の危険性を考慮に入れ、必要と判断されるレベルまではリストアップする。
b)リストアップされた接触者の状況確認及び追跡調査
 保健所等は、リストアップされて感染した恐れがあると判断された接触者に対しては、健康状態の報告を要請する(感染症法第44 条の3 第1 項)。具体的にはリストアップされた者に対して、感染発症者との接触状況に関する調査を十分に行い、観察開始日より、最終曝露日を0 日として10 日目に至るまで毎日の健康観察を実施する。調査担当者は「インフルエンザ接触者調査票(添付3)」に調査対象者となる接触者の情報を記録するが、調査対象者にはあらかじめ「体温記録用紙(添付4)」を渡しておき、自己記録又は家族による記録を依頼する。原則的に、リストアップされた接触者に対しては保健所等の担当者からの面接や毎日の電話やFAX 等の連絡による健康状態の把握等の情報収集を行う。(感染症法第15 条第3 項)
c)リストアップされた接触者に対する抗インフルエンザウイルス薬の予防投与(接触者予防投薬)
 リストアップされた者に対しては、同意を得た上で保健所等の公衆衛生機関において抗インフルエンザウイルス薬の予防投薬を行う(添付3.新型接触者票参照、添付4.体温記録用紙)。予防投薬期間は、最終曝露日を0 日目として曝露後10 日目までとする(例えば曝露後3 日目に接触者とリストアップされて内服を開始した場合、曝露後10 日目までの計8 日間の内服となる)。本田注;7日間に短縮。
d)リストアップされた接触者に対する指導と受診の基準
 保健所等は、リストアップされて感染した恐れがあると判断された接触者に対して、「外出自粛の要請」を行う(感染症法第44 条の3 第2 項)。すなわち、リストアップされた者について、自宅で待機させ、やむを得ず外出する際はマスクを着用するように指導を行う。また、新型インフルエンザの感染症状(38℃以上の発熱、急性呼吸器症状等)が認められた場合には、直ちに保健所等へ健康状態の報告を行うことについて事前に説明を行っておく。
 保健所等は、対象者からの報告を受けた後、必要と判断した場合は速やかに感染症指定医療機関等の受診を指示する。発熱については重要な指標であり、特に成人例で濃厚な接触歴が確認された当該者は、受診を考慮すべきである。
e)有症状時の行動について
1)に該当する者は、人の集まる場所での活動を可能な限り避けるべきであることをあらかじめ指導しておく。症状が出現した場合、速やかに保健所等へ連絡し、その指示のもとに保健所等が指定した医療機関受診してもらう。その場合も可能な限り公共の交通機関の利用は避けるべきである旨指導する。
f)リストアップされなかった接触者に対して
 調査によって接触者であることが判明したものの、リストアップする必要がないと判断された者に対しては、保健所等は可能な範囲で新型インフルエンザウイルスのヒトへの感染の可能性、症状、潜伏期間等に関する説明を行い、基本的には自己観察を依頼するべきである。必要に応じて体温記録用紙(添付4)を渡して体温測定と記録を促すべきである。また、経過観察期間中(曝露日を0 日目として10 日目終了まで)に38℃以上の発熱、急性呼吸器症状が出現した場合は、管轄の保健所等に直ちに連絡し、今後の生活様式、他者との接触や医療機関受診等について相談するように依頼するべきである。

1)新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02a.pdf
2)実際の実例
5月28日 IDSC:A病院職員新型インフルエンザ発生事例報告(09/5/28)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/rep_hosp_osaka.html

接触した医師やスタッフはどうなる
 あらかじめマスク等で防御していれば、濃厚接触には当たりません。よって休業する必要もありません。
−患者が出た場合休診にいたる可能性はないか2009/05/20
江浪補佐 神戸市で、発熱外来でない医療機関に診察をお願いする中で、まったく何の感染防止も取らずに診察をすることがないよう、相談をしていただいている。神戸市においては,徹底されれば濃厚接触者として休診をお願いする取り扱いにはならない。時間や場所を分けるなどの感染防護策をとれば大丈夫。

1.予防投与対象者
○ 「十分な感染防止策を行わず」に、新型インフルエンザウイルスの曝露を受けた者を、予防投与の対象者とする。充分な防御あれば予防投薬しない。
○「早期対応戦略時」及び、「患者に濃厚接触した医療従事者等」でワクチン未接種の者が、「十分な防御なく、暴露した場合」に投薬。暴露前では投与しない。
○ また、医療従事者等への感染・発症・重症化を防ぐことも医療機能の維持や感染被害の抑制のために重要である。患者に濃厚接触した医療従事者等でワクチンが未接種でかつ、「十分な防御なく暴露した場合」は、タミフルの予防投与を行うこととする。
○ さらに残量が減少してきたときは、医療従事者等へも、予防投与は行わず、発症後すぐに、確定診断を待たずに治療投与をするよう都道府県に指導する。
○暴露後は健康管理に注意して、熱発などの経過観察を充分にしてください。

家族はどうなる:停溜はしない(平成21年5月22日改定)
濃厚接触者
停留を行わず外出自粛を要請する
その他の同乗者
健康監視の対象とはせず、健康状態に異常がある場合には、発熱相談センターへの連絡を徹底する。

問1 積極的疫学調査で濃厚接触者と判明し、予防投与を行う場合、医師の診察が必須か。
(答)
保健所または医療機関の医師の診察が必要。
問3 適切な感染防御のもと感染者の診療等に携わった医療従事者・初動対処要員等については、予防投与対象者となるのか。
(答)
 診療時に適切な感染防御が行われていた場合には、予防投与の必要はない。なお、予防投与の考え方については、新型インフルエンザワクチンの開発状況や有効性、発生段階等に応じて変更もあり得ることから、随時最新の情報をご確認いただきたい。
・新型インフルエンザの診療等に関する情報(抗インフルエンザ薬の予防投与の考え方等)に係るQandAについて
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=139481

参考文献
1)新型インフルエンザ対策本部(第4回会合) (平成21年5月22日)医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/newflu20090522_unyouhoushin.pdf
2)対処方針Q&A
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/newflu20090522_taisho_qa_main.pdf
3)
新型インフルエンザの疑似症と診断された場合の病院や行政の対応について
4)新型インフルエンザ感染防止のための事業者の事業運営について(その2)【自治体宛・関係団体宛】2009/6/4
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/06/dl/info0603-01.pdf


停留対象者への予防投与
 停留対象者への予防投与についても、「患者の濃厚接触者」に準じて処方を行う。

処方を希望する者への事前処方
 不必要な予防投与による副作用やウイルスの耐性化の発生を避けるとともに、抗ウイルス薬の効率的な使用を行うべきことから、第2段階(国内発生期)における予防投与については、濃厚接触者に対して行うことを基本とする。
なお、第3段階(感染拡大期からまん延期)における予防投与に関しては今後さらに検討を要する。
院内感染の実例
「リストアップされた病院職員に対して」
 全てのリストアップされた病院職員に対しては、B氏との最終接触日を0日目として、7日目が終了するまでの間を健康観察期間とし、1日2回の体温測定を実施するとともに、抗インフルエンザウイルス薬の予防内服を、健康観察期間中は実施する

病院職員のうち、最も感染している可能性のある濃厚接触者2名(レベル1)は、上記健康観察期間中は自宅待機とする

レベル2(2名)は、B氏と濃厚接触しているものの、発症前24時間よりも以前の接触であり、レベル3(12名)は濃厚接触とはいえない。従って健康観察期間中も原則として勤務は可能とするが、検温によって37.5℃以上の発熱がみられた場合は速やかに連絡し、勤務中の場合はその勤務を離れる

レベル4(12名)は、感染している可能性は最も低いが、ハイリスク者の入院する医療機関である事を考慮し、感染拡大防止の観点から健康観察の対象とし、その取り扱いはレベル2および3に準ずることとする

「最終的にリストアップされた入院患者に対して
 全てのリストアップされた入院患者に対しては、B氏との最終接触日を0日目として、7日目が終了するまでの間を健康観察期間とし、新型インフルエンザの症状の発生について慎重に経過観察を行うと共に、抗インフルエンザウイルス薬の予防内服を、健康観察期間中は実施する
5月28日 IDSC:A病院職員新型インフルエンザ発生事例報告(09/5/28)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/rep_hosp_osaka.html


患者搬送
 入院が必要な場合は、「保健所」や受入先と充分に打合せして、受入可能医療機関へ搬送する。
搬送法
 二次感染を予防するために必要な処置を行って搬送してください。
 移送に当たっては、患者さんへ適宜「サージカルマスク」を着用させる。同伴者については、原則「同伴させない」ようにする。同伴させざるをえないときは、適宜感染予防策をこうずる。搬送中は周囲の環境を汚染しないように配慮し、特に汚れやすい手袋に関しては汚染したらすぐに交換する。手袋交換の際は手指消毒を行なう。
 また出来るだけ自家用車や自前の搬送車を使用してください。公共の輸送車を避けてください。緊急であれば救急車も使用してください。救急車は都道府県知事の責任で行うこととされています。よりくわしくは
医療施設等における感染対策ガイドラインを参照ください。


自院で行う発熱外来
1)分離する
2)まず保健所に連絡する
3)処方はファックスを利用する

新型インフルエンザ感染者の増加に伴う医療機関における外来診療について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-07.pdf

新型インフルエンザ対策本部(第4回会合) (平成21年5月22日)より
1)患者数の増加に伴い、発熱外来の医療機関数を増やす。
2)対応可能な一般の医療機関
 外来においては、一般の患者と新型インフルエンザ患者が動線にて交わらないよう、入口等を分ける、あるいは診療時間帯を分けるなど最大の注意を払う。

確定診断について
 PCR検査を全例行う。ただし地域により優先順位を付ける。

推奨される感染対策
症例に対して医療従事者が最初に接する場所での感染対策
 海外渡航などの疫学的リンクを疑わせる要因だけでは患者のリスク別振り分けができなくなってきた現状では、来院患者の新型インフルエンザ様症状に対するスクリーニングが重要になってくる。患者同士が待合室でうつしあったり、医療従事者が患者から伝播を受けたりするなどの事象を防ぐことが大切である。CDCもWHOも、患者同士の間隔を確保する、呼吸器衛生・咳エチケットを実施するなど、来院患者に関して新型インフルエンザを明確に疑う前の予防策を強調している。

1)すべての医療機関において、すべての外来患者を含む来訪者に対する発熱や咳、くしゃみなどのインフルエンザ様症状を指標としたスクリーニングを行う。医療機関の入り口に近いところでその有無をチェックする
2)インフルエンザ様症状を呈している患者と、そうでない患者を別の領域に誘導する これらの業務に従事するスタッフは、常時サージカルマスクを着用していることが望ましい
3)患者に対して迅速診断キットやウイルス分離・PCR検査のための検体を採取する場合は、それに加えて眼の防護(ゴーグルまたはフェイスシールド)と手袋を着用する。この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行うようにする
4)標準予防策や手指衛生も忘れずに行う
5)潜伏期はおそらく1〜4日、最大7日程度(CDC、WHO)
6)患者の他人への伝播可能期間は発症の前日から始まり、発症日から7日後、または無症状になるまでのうち長い方(CDC)
7)新型インフル感染患者は個室に入れ、換気を良くする(陰圧室は不要)
8)患者に近寄ったりケアをしたりする際は、標準予防策に加えて、飛沫予防策(=サージカルマスク)と手指衛生を行う
9)PCRは優先順位を付けて全例行う(検体さえ採取しておけば-70度での冷凍保存で保存が利きます。)
神戸市がPCR検査を限定的にやるというが:2009/05/20
 難波室長 今は全例の把握の時期だ。検査も想定されている発熱外来で調整されていたが、一般の診療所でも発熱患者の対応をするので、検体についてどのように扱うかの課題も出てくる。神戸市と医師会でも調整している。献体をどこからどう運ぶかなどのロジも含めて検討する。
一般診療期間でみたばあいには、PCRはやらないというが:2009/05/20舛添要一厚生労働相
 やらないということではなく、優先順位を付けるということ。世界で初めての新しい感染症なので、全人類にとって、どういうウイルスであるか研究しないといけない。きちっと検査をして、PCRで新型と確定して、そう言う人たちに調査を積み重ねる必要がある。
−重症者は大事なので優先させるが、軽症者は現時点では全部やるが、もしかしたら今後やらない可能性もあるということを大臣にお話ししたと言うが:2009/05/20舛添要一厚生労働相
 要するに、数との勝負であって、何十万人と出てくると物理的に不可能です。まだ、2百数十人なので、人類がこの新しいウイルスと闘うために、新しい病気を克服するためにどうしても必要な調査だ。今のところは時間がかかっても全例やる。
10)区分をする。
重篤化する方と、どう区分けするのか:2009/05/20舛添要一厚生労働相
 メリハリをきかせる。軽症者はご自宅で治療をしていただく。一般病院で治療する。その時の注意は、慢性疾患で通ってきている患者さんと、普通の患者さんと、新型インフルエンザの患者さんと交わることのないような区分けをしっかりして欲しい。時間帯で分けるのは尾身さんが言ったが、それも一つの手。物理的、空間的に分けることも手だ。
医療機関での新型インフルエンザ感染対策:第三段階(まん延期)以降2009年5月20日 国立感染症研究所感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/infection_control_2.html

参考:自院で発熱外来を行う施設基準等(東京都一部改変)
 もし各医院で発熱外来を行うなら、「新型インフルエンザ患者」と「一般の患者」は峻別する必要があります。またもし新型インフルエンザの患者と一般患者と誤って接触した場合は、「濃厚接触者リストの届出」を要します。
1)特別な「施設基準」は不必要です。届出のみで行えます。
2)発熱外来は一般外来と完全にわけてください。
具体的なわけ方例
a)空間的区別:施設の一部又は全部を新型インフルエンザ診療専用とする。
b)時間的区別;午前午後又は時間を限るなどで専用の時間を作る。
c)施設外対応;駐車場でテント内、車で行う。往診での診療を行う。
d)予約制診療;電話等で診療の受付を行い指定した時間に当該患者だけを対応する。
各位医療機関の実情にあわせて運営されてください。
ドライブスルー外来
 駐車場で行うドライブスルー外来はいささか効率が悪いようです。人員も要する。
3)補償制度
a)自院で診療所で開設した場合に事故等にあった場合の補償制度
 院長には公的補償制度はありません。従業員には労災が適応されます。院長は民間の保険等で対処ください。
民間保険
 豚インフルエンザに特化したものはない
死亡;生命保険
入院;医療保険
休業;所得補償保険
 以上東京海上及び損保ジャパンより

個人診療所での院内対策例;川村肇先生提供(川村内科医院;栃木県小山市駅南町5−16−8)
患者様へ ver4
 国内で新型インフルエンザの感染が確認されました。院内での感染を防ぐため,以下のようなご注意をお願い致します.
【マスク】院内に入る時に消毒液で手指を消毒し,マスク(ガーゼ以外)をつけて下さい.マスクは鼻と口を覆うようにつけてください.特に,咳・鼻水のある方は必ずマスクをつけてください.
熱のある方は事務員に(電話等で)申し出てください.
くしゃみやせきの際はティシューなどで口鼻を多い,ティシューはくずかごに捨てて下さい.
【手指】院内では,できるだけ,手指でものに触れないようにしてください.できるだけ,口,鼻,目に,手を持っていかないようにしてください.
【距離】院内では,家族以外の方とは1−2mの距離をおいて座って下さい.
【消毒】院外に出る際とき,玄関に置いてある消毒液で手指を消毒して下さい.
【帰宅後】マスクをはずして捨てた後,30秒以上流水で手を洗って下さい.そして,うがいをしてください.まず口を2−3回すすぎ,その後,のどのうがいをしてください.

院内設備
玄関にマスクや消毒液があることを確認
スタッフ全員マスク着用
患者全員マスク着用 1−2m離れて座るよう指導
悪寒もしくは発熱患者は自宅〜自動車待機
悪寒もしくは発熱患者が自動車待機となったら院長へ→院長が自動車に行き問診,必要があれば,【インフルエンザ迅速診断キット】検体採取
A陽性は自動車待機のまま,発熱相談センターへ連絡
インフルエンザ迅速診断キット陰性は,一人一人,裏玄関から誘導し感染症室で診察




―具体的な対策の実施についてー
 症状は季節性インフルエンザと同じ程度という意見もあるが、国内での感染防止策については、学校の臨時休業など不必要に強い措置となっているのではないですか。
(1) 現時点では、基本的には国民に新型インフルエンザウイルスH1N1に対する免疫がないと考えるべきであり、かつ、それに対応するワクチンが存在しないこと
(2) 基礎疾患(慢性疾患)を有する者を中心に重症化する例が報告されていること
(3) ウイルスの感染力やウイルスがもたらす病原性等について未解明な部分があること
(4) 感染を繰り返すことにより、ウイルスが変異する可能性があること
などから、症状は季節性インフルエンザに類似するとしても、慎重に対応する必要があると考えられます。

参考文献
1)新型インフルエンザ対策本部(第4回会合) (平成21年5月22日)医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/newflu20090522_unyouhoushin.pdf
2)対処方針Q&A
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/newflu20090522_taisho_qa_main.pdf


ウイルスの寿命
 ウイルスは通常2時間、最大でも8時間程度で死滅する。加熱では70度で死滅する。新型インフルエンザの感染経路は今のところ通常の季節性インフルエンザの感染経路と同じと考えられている。つまり、くしゃみや咳をした時に出る飛沫を吸い込んで感染する「飛沫感染」が中心と考えられている。しかし、飛沫が付着した物に触れた手で口や鼻などを触って感染する接触感染的な要素も、本疾患の伝播に多少は関与していると考えられている。
 従って、新型インフルエンザ患者が居た場所の周囲に飛沫が付着している可能性はないとは言えない。しかしながら、インフルエンザウイルスの環境中における生存期間は2〜8時間程度であり、感染者がいた直後であればともかく、一定時間を経過した後であれば、環境中にウイルスが残存していることを心配しての消毒等は意味がなくなる。つまり、学校も含めた施設において感染のあると思われたものが、そこから離れて半日以上経過した後には、特別な環境整備を行う必要はない。なお、日常の清掃、清潔は常に重要である。

1.環境整備
(1)床の清掃
 患者が滞在した場所の床は濡れたモップ、雑巾による拭き取り清掃を行う。また、明らかに患者由来の血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物などが存在している箇所は消毒を行う。
(2)患者が接触した箇所の消毒
 患者が頻回に接触したと考えられる箇所(ドアノブ、トイレの便座、スイッチ、階段の手すり、テーブル、椅子、ベッド柵等)については、消毒薬で十分に湿らせた濡れタオルや雑巾で拭き取り消毒を行う。
(3)壁、天井の清掃
 患者由来の血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物などが明らかに付着していない場合は通常以上の清掃の必要はない。患者由来の血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物などが付着している場合は消毒を行う。
(4)食器・衣類・リネン
 食器・衣類・リネンは通常の洗浄・清掃でよい。衣類やリネンに患者由来の血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物などが付着しており、洗濯等が不可能である場合は、当該箇所を消毒する。また、可能であれば熱水消毒(80℃、10 分間以上)を実施する方法もある。
(5)物品
 患者が使用していた物品は、適宜拭き取り清掃を行う。

2.消毒について
(1)次亜塩素酸ナトリウム溶液
 濃度は0.02〜0.1w/v%(200〜1,000ppm)の溶液を用いる。30 分間の浸漬かあるいは消毒液を浸したタオル、雑巾等による拭き取り消毒を行う。消毒剤の噴霧は不完全な消毒や、ウイルスの舞い上がりを招く可能性があり、また消毒実施者の健康障害につながる危険性もあるため、推奨されない。
(2)イソプロパノールもしくは消毒用エタノール
 70v/v%イソプロパノールもしくは消毒用エタノールを用いて消毒を行う。消毒液を十分に浸したタオル(ペーパータオル等)、脱脂綿を用いた拭き取り消毒を行う。消毒剤の噴霧は不完全な消毒、ウイルスの舞い上がりを招く可能性があり、推奨されない。
(3)その他の消毒薬については、「医療機関における感染対策の手引き」を参照する。
3.環境整備の際に着用すべきもの
 清掃、消毒等の環境整備を行う際に、実施者はマスク(原則的に不織布製マスク)、ゴーグルもしくは眼を防御するもの、手袋を着用する。手袋は滅菌である必要はなく、頑丈で水を通さない材質のものを使用する。
4.手指衛生について
 環境整備後あるいは消毒後には手袋を外した後に流水・石鹸による手洗いかもしくは速乾性擦式消毒用アルコール製剤による手指衛生を必ず実施する。手指衛生はあらゆる感染対策の基本であり、室内で患者の所有していた物品を触った後、食事配膳前、食事摂取前、排便・排尿後にも手指衛生を実施すべきである。また、患者発生後地域において新型インフルエンザの流行が発生する可能性があり、外出からの帰宅後にも必ず手指衛生を実施するように指導する。

新型インフルエンザ(Swine-origin influenza A/H1N1)積極的疫学調査実施要綱(暫定版)平成21 年5 月1 日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02a.pdf

医療施設の環境整備
12-1. 床、テーブルなどは汚染除去を目的とした除塵清掃が重要であり、湿式清掃をおこなう。また、日常的に消毒薬を使用する必要はない
12-2. 手が頻繁に触れる部位は、1 日1 回以上の水拭き清拭または消毒薬(界面活性剤、第四級アンモニウム塩、アルコールなど)による清拭消毒を実施する。
註6: 環境消毒のための消毒薬の噴霧、散布、燻蒸および紫外線照射、オゾン殺菌は、作業者や患者に対して有害であり実施しない。

 季節性インフルエンザのシーズン中に使用される定型的な清掃と消毒の方策は、新型インフルエンザH1N1の環境管理にも適用できる。衣類、器具、医療廃棄物の管理も、季節性インフルエンザの際に実施する手順に準じて行うべきである。
医療機関における環境感染対策のガイドライン、2003(市川高夫訳)を参照のこと

参考文献。
1)6月1日IDSC:新型インフルエンザ患者発生後の施設における環境整備について(09/5/31)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/environment_disinfection.html
2)日医 患者の安全確保対策室/安全対策マニュアル
http://www.med.or.jp/anzen/manual.html
医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き等
http://www.nih-janis.jp/manual.html
感染対策マニュアル
・ 医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(V5)(pdf 1,112kb) 。
・ Ver.4に対して寄せられた主なご意見と回答(pdf 203kb) 。
・ 中小病院/診療所を対象にした医療関連感染制御策指針(案)2006(pdf 407kb) 。
・ 小規模病院/有床診療所施設内指針(案)2006(pdf 347kb) 。
・ 
http://www.nih-janis.jp/files/manuduction/無床診療所施設内指針(案)2006.pdf
・ 鑑文書(pdf 51kb)


フェーズ分類
日本の段階定義
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kettei/090217keikaku.pdf
発生段階
前段階(未発生期) 新型インフルエンザが発生していない状態
第一段階(海外発生期) 海外で新型インフルエンザが発生した状態
第二段階(国内発生早期) 国内で新型インフルエンザが発生した状態
第三段階
国内で、患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった事例が生じた状態
感染拡大期
各都道府県において、入院措置等による感染拡大防止効果が期待される状態
まん延期
各都道府県において、入院措置等による感染拡大防止効果が十分に得られなくなった状態


WHOの分類
WHOの世界インフルエンザ事前対策計画(2005/5)
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/05pandemic/EAResponse05.pdf
フェーズ5
例:
・ クラスター関連の感染伝播が継続しているが、総症例数の急増は無い。たとえば、25−50 例のクラスターが2 から4 週間持続する。
・ 感染伝播は持続しているが、症例は地方(人里は離れた村、大学、軍基地、島)に限局していると思われる。
・ クラスターが発生していることが知られている地域社会において、曝露源がよく分からない少数の症例が出現する(たとえば、より広範な拡散の始まり)。
・ 同一のあるいは密接に関連したウイルス株により、ひとつあるいは複数の地理的領域でクラスターが出現し、急速に症例数が増加している。
パンデミック期
フェーズ6. 一般のヒト社会の中で感染が増加し、持続している。

1 インフルエンザ様疾患の患者あるいは死亡者の異常な集積とは、2週間のあいだに、同一の特定の地理的領域において、呼吸器症状を含む同じ臨床徴候で発症し、その疫学的パターンや臨床徴候が、通常、季節性流行のインフルエンザ感染例において観察されるものと一致しない複数の個人(疑い例、可能性例、あるいは確定例)から成る症例群と定義される。これらの、通常観察されないものとは、(i)通常とは異なる年齢群の分布、(ii)慢性疾患の無い成人における病状の重篤さ、(iii)感染性があると疑われる生きた動物、あるいは動物の死骸に曝露した個人や、医療従事者といった特定のリスク群に感染がみられるなどを含むと考えられる。


参考文献
総論

新型インフルエンザ症例定義(平成21年5月22日改定)
1)定義:QandA:新型インフルエンザ発生届
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090522-02a_0002.pdf
2)医療機関における新型インフルエンザ診断の流れH21.5.24版
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/dl/info0525-01a.pdf
3)症例定義についてのQandA:H21.5.24版
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/info0525-01a.html
4)新型インフルエンザ疑似症患者連絡様式(参考)(Excel:32KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/05/xls/info0525-01a.xls

5)新型インフルエンザ発症が疑わしいと判断された後の流れ
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/090501-02c.pdf
6)新型インフルエンザ患者の入院等の取扱いについて5月23日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-06.pdf
7)新型インフルエンザ感染者の増加に伴う医療機関における外来診療について5月23日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-07.pdf
8)発熱外来を置かない医療機関に発熱患者さんが来た場合
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090506-02.html
9)新型インフルエンザに関する院内感染対策の徹底について5月21日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/infu090521-05.html
10)新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染患者の診断と治療を行う医療従事者向けの暫定的手引き(5月4日改訂版)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_03.html
11)WHO:新型インフルエンザA (H1N1)ウイルスのヒト感染に関する臨床管理:暫定的手引き(09/5/21)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/WHO_clinical_management.html
12)CDC:小児における新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染に対する予防と治療の暫定的手引き(09/5/13)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_children_treatment.html
13) 新型インフルエンザ関連用語集
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140229
14)東京都における発熱外来の登録に関わるFAQ
http://www.monju-jp.com/pub/090513toi-Q.pdf
15)新型インフルエンザ:小山で発熱外来のシミュレーション
新型インフルエンザの感染発生に備えて「発熱外来」のシミュレーションが11日、小山市総合公園で実施された。県南健康福祉センター、小山地区医師会、小山市などの約80人が参加。医療機関での感染拡大を防止するため、ドライブスルー方式をシミュレーションした。 総合公園の駐車場とサイクルセンターを利用して、受け付け、問診・発熱検査、検査結果確認、診察、薬剤処方などの順路を設定。患者役が乗った車8台が順路を移動し、医師・看護師・薬剤師役が割り当てられた作業を確認した。 シミュレーションの結果、車の患者1人に時間がかかることや、順路の設定など課題が分かった。
16)国内感染確認後の新型インフルエンザ対策パンフレット
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/pamphlet_kokunaia.pdf
17) 新型インフルエンザ関連用語集
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=140229

患者さんへの説明
1)IDSC:新型インフルエンザが疑われる患者様へ(疑似症患者診断時の説明文書:一般医療機関用)5月6日
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_leaflet.pdf
2)
新型インフルエンザで自宅療養する患者さんへ
3)インフルエンザ一般
a)インフルエンザの予防等基礎知識普及啓発資料(簡易版)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/file/dl/File02.pdf
b)インフルエンザを知るために
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_what.html
4)妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象)
http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20090520a.html
5)日常生活上の注意点〜糖尿病患者・透析者・妊婦さん向け5月23日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090523-03.pdf
6)糖尿病のある方の新型インフルエンザ対策(患者・一般向け・医療関係者向け)(国立国際医療センター)2009年5月22日 
http://www.imcj.go.jp/sogoannai/naibunpitu/touinfuru.htm
7)9月4日 IDSC:個人ができる対策(PDFファイルで提供)(09/9/1)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/leaflet0904.pdf

迅速診断キット
1)インフルエンザの診断(日経メディカル)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/flu2006/200611/501874.html
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/flu2006/200612/501875.html
2)新型インフルエンザ診療マニュアル(第1版)神奈川県医師会
http://kanagawa.med.or.jp/01Pandemic%20Influenza/influenza.html
3)医療機関・関係団体の皆さまへ(大阪府)
http://www.pref.osaka.jp/chiiki/ikyokikanhenotuuti/index.html

一般的な事
1)厚生労働省インフルエンザのページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
2)国立感染症研究所・感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html
3)首相官邸:新型インフルエンザへの対応
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/index.html
4)青森県
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/pandemic_flu_action.html
5)リンク
http://bousai.jiji.com/info/swine_flu/koreichi_090504.html
6)防災WEB
http://bousai.jiji.com/info/swine_flu.html