第30回八戸医学会


日時:平成16年11月21日
場所:八戸市総合健診センター3階視聴覚ホール

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録画中継は、Windows Media Playerで見る事ができます。ただし閲覧ソフトが、PCに組み込まれていないと見る事ができません。閲覧ソフトは、あらかじめここで最新版をダウンロードしてください。無料です。機種依存はありません。お手持ちのpcにあわせてください。なお代表的な対応機種は以下です。
Windows Media Player 9 シリーズ(Windows XP 用)(Xp 8.9M バイト)
Windows Media Player 9 シリーズ(Windows 98 SE, ME, 2000 用)
Windows Media Player 7.1 for Win 98, Win 2000 and Win Me
Windows Media Player for Mac OS X(Mac OS X 10.1)
windows Media Player 6.4 for Win95 and Win NT4
例年のRealplayerを変更しました。ご注意ください。 閲覧ソフトはご覧のごとく、サイズが9Mちかくと、大きいので、回線の遅い方は数時間かかることもあります。

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展示会 (インターネット録画中継)


日医ITフェア開会挨拶 瀬尾 喜久雄

 今年は県医師会の主催で、日本医師会後援による日医ITフェアとなります。今話題の日本医師会標準レセプトであるORCA関係がメインとなります。その他電子カルテやレントゲンなど最新の多くの機器が展示されます。各企業紹介をします。


日医総研ORCAプロジェクト     ■日医総研ORCAプロジェクトhome Page
日医標準レセプトソフト、ORCAプロジェクト


JRCエンジニアリング株式会社    ■JRCエンジニアリング株式会社 Home Page
日医標準レセプトORCAおよびその周辺機器
1)JRCエンジニアリング株式会社
 日本医師会の提供する日医標準レセプトソフト(ORCA)の導入を主業務に、医療機関のIT化を支援させていただきます。これまで、244床の病院を含めて90医療機関以上(H16年10月現在)にORCAを導入させていただきました。
ORCAの導入実績が”全国1位”を誇る理由は、
☆経験豊富なSEが運用まで、懇切丁寧な支援を行います
☆医療事務専門のスタッフによるコールセンターを開設しています
☆ORCAの最適な運用方法で導入支援をさせていただきます
☆リモートメンテナンスによる全国均一な保守を実現しています
☆ORCAのデータを共有することで医療機器との連携を実現します
 ・電子カルテとの連携
 ・診察券発行機との連携
 ・再来受付機との連携
 ・CR機との連携
 ・検査、健診システムとの連携
 ・ダイレクトメール用宛名印刷機能
 など、多数の機器との連携をしております
☆院内ネットワークのご提案をいたします
☆市町村公費請求書の印刷機能なども実現できます
☆電子カルテ、磁気カード発行器などの機器をご紹介します
ORCAの導入をお考えの医療機関様は一度、下記宛にお問合せください。
住所 :東京都新宿区高田馬場3−13−2 TSECビル4階
    医療情報ビジネス部 東京事業所
電話 :03−5348−7330
FAX:03−5348−7333
メール:orca-info@jrce.jp
URL:http://www.jrce.jp/

KBS(ビジネスサービス)    ■株式会社ビジネスサービス Home Page
次世代携帯電話FORMの紹介


株式会社エスアールエル    ■株式会社エスアールエル Home Page
国内最大級の医療従事者向け情報サイト「m3.com」とClub SRL「m3.com」
は、医師を始めとする医療従事者が、『欲しい!』と思った情報に最も迅速かつ適確にたどりつける国内 最大級の医療従事者向けWebサイトです。ソネット・エムスリー株式会社が運営しています。サイト内に目的別に数種類の検 索機能を実装し、「臨床技術」や「学術文献」など、多忙な医師がニーズに直結した情報を、スムーズに入手できます。 ま た、多くのコンテンツ・検索結果が、医師の閲覧・利用頻度によって順位付け(ランキング)されるため、医師の関心の高い 情報をいち早く把握することができるサイトです。
   m3.com内で検査センターのエスアールエルが「Club SRL」という名称で臨床検査関連情報を配信しています。Club SRLはm3.comの「MR君」からお届けします。ここからは検査に関する各種問合せもできます。
現在「Club SRL」では下記の3種類のeプログラムを提供しています。医療従事者の方に限り www.m3.com/srl からご登録頂き、ご利用いただけます。
1.「検査再発見」:意外と知られていない、検査に関するミニ知識をご案内
2.「検査百科」:先生のお役に立つ、eツールをご提供
3.「検査最前線」:SRLの最新検査情報や保険適用情報などをタイムリーにお知らせ


株式会社アルファシステム    ■株式会社アルファシステム Home Page
電子カルテシステム「スーパークリニックU」および連動ソフトウェア・関連機器の展示
☆もっと見やすく、もっと使いやすく、もっと簡単に☆
検査診療支援システムの実績NO1の株式会社ラボテックが自信を持ってお送りする「スーパークリニックU」。
導入から日常の運用までをトータルでバックアップ!株式会社アルファシステムが安心サポートを提供します。
●レセコン一体型の電子カルテシステム
●全国主要検査会社の検査結果ダウンロード 
●新薬・医療情報のオンライン自動取込
●法令改定ソフトオンライン自動更新
●リモートメンテナンス・リファイン機能
●安心のダブルサーバ方式バックアップ
●診療科、診療形態別導入手法
●外部システムとの連携サポート
 画像ファイリング、電話予約、診察券発行、心電計、薬袋発行システムなど
■株式会社ラボテック:スーパークリニック商品紹介
  会社案内 http://www.labotech.co.jp
  製品案内 http://www.e-clinic.or.jp
 


カネイリ
最新のITが、もりだくさん、東芝医事用コンピュータ展示


キヤノン販売株式会社    ■キヤノン販売株式会社 Home Page
@製品名=メディカルバックボーン(ホスピタル/クリニック)
A製品区分=電子カルテ
B対象施設=診療所(0〜19床)向け
C入力方式=キーボード/タブレット/タッチパネル
Dレセプト機能の有無=無し(但しORCA標準連動)
E標準化への対応=HL7、MML、CLAIM、DICOM
F標準装備の周辺システム=オーダリング、入退院管理、リスク管理、予約業務
Gオプションの周辺システム=各部門システム、経営管理支援、検診システム、ベッドコントロール,レセプトシステム 他
H納期=診療所 :2ヶ月〜5ヶ月
I価格=診療所 :250万円〜(サーバー1台・クライアント2台構成のソフトウェア部分)
J保守体制=クリニック:コールセンターの設置による遠隔サポート・・・・15万円/年
            無償での新規リリース機能提供含む(バージョンアップは別)
K特徴3点=●優れた入力支援機能
●HL7、MML、CLAIMなどの標準規約によるシステム接続を標準装備
●機能拡張(カスタマイズ)を最小限の費用で実現できるシステム設計を採用

コセキ株式会社    ■コセキ株式会社 Home Page
出展機器
富士FCR PICOシステム

富士コンピューテッドラジオグラフィ(FCR)はX線画像の検出媒体に、スクリーン/フィルムに変わる イメージングプレート(IP)を使用し、IPに蓄積されたX線画像情報をデジタル化して画像処理することで、 常に安定した画像を提供し、部位・目的に応じた画像処理効果により診断精度の向上が図れます。 また、各種画像ファイル装置に接続することで簡単に画像データ保存が可能です。
パイオニア リモートキャストBB
http://wwwbsc.pioneer.co.jp/product/remotecastbb/index.html
貴院ならではのオリジナル情報や専門的な医療情報、娯楽番組などの多彩なコンテンツを、 パイオニアが一括管理し配信する新しい情報サービス。大画面プラズマディスプレイと、大容量ブロードバンドの 活用により、貴院の手をわずらわせることなく毎日自動で配信。患者さまに分かりやすく、インパクトのある多彩な 情報をお伝えします。医療サービスの質の向上を実現するための院内向け情報配信サービスは、パイオニアにお任せ ください。


株式会社 サン・コンピュータ    ■株式会社 サン・コンピュータ Home Page
ORCAと富士通のHOPE。
株式会社 サン・コンピュータ
青森県八戸市北インター工業団地1−5−10
     TEL:0178−21−1100
     FAX:0178−21−1260
       


BML    ■株式会社 ビー・エム・エル      
電子カルテ Medical Station

日本光電工業株式会社    ■日本光電工業株式会社 Home Page
● Prime parkは、検査データベースとインフォームドコンセントのためのコミュニケーションツールがリンクした診療支援システムです。
● 心電図、超音波画像、内視鏡画像、X線画像、数値情報などの検査データを取り込み、いつでも検索・読み出しが可能です。
● 波形、数値、画像…さまざまな情報を、患者説明画面に表示。患者さまひとりひとりに合わせて、わかりやすく説明できます。
● 画面データを出力し、患者さまに渡すこともできます。
● 2種類のホルター心電図再生が可能。即時再生機能とネットワーク利用の組合せで、簡単・確実を実現します。
● レセプトコンピュータや電子カルテと連携しての日常診療はもちろん、地域医療や予防医療への展開も可能にしています。
● 製品紹介URL:
http://www.nihonkohden.co.jp/iryo/products/practice/prm/prm1100.html
☆ 【AED・自動除細動器】AED−9100御紹介URL:
http://www.nihonkohden.co.jp/aed/index.html


高園産業株式会社    ■高園産業株式会社 Home Page
<製品紹介文@ 「自動分割分包機 パックメイト ハーフ・DiO」>
高速&高性能。使いやすさへのこだわりをコンパクトボディに結集。
●業界最速! 毎分46包のスピーディ分包が可能。
●扱いやすい半折分包紙を採用。分包紙のセットもカンタンです。
●幅896mm。さらにスリムになって調剤台にすっきり収まります。
●分包サイズは薬剤に合わせて4種類から選択可能。
●SH集塵+ホッパー集塵機構で、コンタミを極限まで低減。
●分包紙切り込み装置の搭載で、患者さんが開封しやすくなりました。
 ※ダイヤマット、セロポリ分包紙のみの対応。
<製品紹介文A 「マイコン内蔵自動高圧蒸気滅菌器 モナクレーブ MC-R220」>
滅菌から乾燥までを完全自動処理。
マイコン制御の高性能タイプ。
●スタートボタンを押すだけで、滅菌から乾燥までを自動処理。
●4種類のプログラムを記憶し、チャンバ内温度や各行程の残り時間をリアルタイムで  デジタル表示。
●終了予定時刻をダイレクトに設定可能。また、6日先までのスケジュールも予約できます。
●高圧時にはドアの開閉ができない安全設計。
●ピンホール対策に高板厚チャンバを採用。信頼性の高い電磁弁方式の採用で、給排水時のトラブルも解消。

NTS    ■有限会社エヌティエス Home Page
●日医標準レセプトソフトORCA   ●ORCA連動低価格診察券発行機
●「日医総研認定サポート事業所」です。



八戸医学会 (インターネット録画中継)


八戸市医師会会長挨拶

1.八戸市における花粉症の研究(第23報)
1)23年間の空中飛散花粉
2)スギ花粉症患者における果実アレルギー
3)花粉症の喘息への影響
鹿内内科医院○鹿内喜佐男
八戸市庁環境保全課 鈴木寿 秋川戸亜希子
フレンド薬局 水無暢子
株式会社アスカム阿部守雄 工藤秀逸

2.三八地域10市町村の麻疹ワクチン累積接種率と接種体制
−麻疹ゼロを達成するために−
くば小児科クリニック○久芳康朗 どんぐりこどもクリニック 佐々木正人
縄田小児科医院 縄田與幸

3.八戸市内高校生におけるコンタクトレンズの使用状況
−アンケート結果から−
熊谷産婦人科眼科医院○熊谷俊一



4.当院におけるいびき外来の現状
西村耳鼻咽喉科医院○西村哲也

5.当科における転移性肺腫瘍手術症例の検討
八戸市立市民病院外科○岡本道孝 長谷川達郎
江場俊介 西村隆一
星史彦 小林仁存
坂本康寛 田中拡
上野達之 水野豊
岩見大二 小坂和弘
寺澤孝幸 澤直哉
三浦一章
〃病理方山揚誠

6.当院における穿孔性胃十二指腸潰瘍に対する治療法の検討
八戸市立市民病院外科○坂本康寛水野豊
澤直哉 岡本道孝
寺澤孝幸 岩見大二
上野達之 長谷川達郎
三浦一章

7.高血圧性脳内出血に対する神経内視鏡手術の役割<
定位的血腫吸引術との比較
八戸市立市民病院脳神経外科○川村強 野下展生
藺藤順 金山重明

8.大腿筋膜炎におけるリハビリテーションの一考察
下肢アライメント異常への介入と動作指導の効果
なかざわスポーツクリニック○葛間翔 中澤成史
佐々木和広 竹中啓
加藤義人 大塚聖子
武部恒美 南山礼孝



9.超音波健診における精密検査の現状と問題点
八戸市総合健診センター健診検査課○松橋いく子 板垣和子
小林明子
超音波検診部門 高木クリニック高木伸也

10.市内3施設における抗生剤使用状況
青森労災病院○中居肇
細菌感受性動向調査連絡協議会

11.市内4施設における薬剤感受性結果(平成15年度)
八戸市立市民病院検査科○田代博美
細菌感受性動向調査連絡協議会

12.「臨床検査なんでも相談室」の開設について
八戸市立市民病院検査科○高坂公雄 杉本クミ子
松本明 中野理恵子
大岡しずえ 堀内弘子
掛端健一 方山揚誠


13.バセドウ病に対するアイントープ治療
八戸市立市民病院内分泌糖尿病科○中園誠葛西伸彦
柿崎善史 工藤貴徳

14.中高年のスポーツに伴う血圧変動
伏谷内科医院○伏谷靖

15.コンピュータ・グラフィックを用いて制作した糖尿病網膜症ビデオの検討
動画と静止画の比較について
向井田胃腸科内科医院○向井田英明
青森労災病院第三内科 日向豪史
馬場町眼科クリニック 高橋俊明
熊谷産婦人科眼科医院 熊谷俊一

16.持効型インスリン製剤の使用経験
青森労災病院第3内科○日向豪史大和一美


17.当科における前立腺生検の検討
八戸市立市民病院泌尿器科○川守田直樹 稲葉康雄
相馬文彦

18.前立腺癌検診レポート第7報(平成15年度)
二次検診の集計結果について
八戸赤十字病院泌尿器科○瀬尾喜久雄
八戸市立市民病院泌尿器科 相馬文彦
青森労災病院泌尿器科 柳沢健
八戸平和病院泌尿器科 浜田和一郎

19.よりよい在宅養療支援をめざして
退院時カンファレンスの開催を通して
八戸市立市民病院○大前尚子
生協訪問看護ステーション寺地栄
八戸市立市民病院神経内科 奥島敏美
八戸生協診療所 竹本照彦

20.医療連携−当院における逆紹介推進とその実態
八戸市立市民病院医療連携室○金山重明 接待隆敏
松橋弘志 蝦名睦子
下野晃 石宇妙子
三浦一章

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特別講演

座長 本田忠

「医師が日本の医療の真実を知らねば、国民を守れない」

−持続可能な医療体制確保のためのORCAの基礎知識を含めて−

日本医師会総合政策研究機構研究部部長 石原謙先生

愛媛大学医学部附属病院医療情報部教授


第30回八戸医学会特別講演

「医師が日本の医療の真実を知らねば国民を守れない」スライド原稿

−持続可能な医療体制確保のためのORCAの基礎知識を含めて−


抄録

 「日本の医療は、亡国論があるように高価で、医療ミスの頻発が示すとおりレベルが低く、情報も開示せず、効率も悪い」だから「医療レベルを米国並みに上げるために、競争を持ち込み、無駄を省かせよう。株式会社による医療機関経営の方が患者サービスが良くなる」と、一部の企業人が主張し、多くのマスコミもこれに同調しています。

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 その論拠の一つに、「高齢米国人の医療への満足度は8割で、日本での同満足度は、3割しか無い。」(内閣府2001年8月調べ:高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果)などの調査結果があります。おそらく皆様もご自身やご家族の体験から日本の医療はこのままではダメだ。とお感じになることもあるでしょう。

それでは、本当に日本の医療はお粗末なのでしょうか?そしてそのお粗末は医師や看護師がさぼっているからなのでしょうか?

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 実際には今の日本の医療は、制度としては世界的に評価の高いのです。WHOのWorld Health Report 2000では、全世界の191カ国の医療制度を5つの指標から評価し、日本は仏、伊などともに、最高水準の評価を受けています。日本人は欧米諸国の人々の3倍から5倍もの多い回数で医療機関を受診していますが、それでも日本は総医療費のGDP比(国内総生産額の何%かというマクロ指標)が6%という先進国で最も安いのが事実なのです。よく引き合いに出される米国はGDP比14%という高額の医療費を使いながら、37位という厳しい評価がWHOから下されています。民間保険会社の厳しい制約によるお粗末な医療と、その保険にも入れない5千万人の人々の存在がこの評価結果となりました。

 WHOのWorld Health Report 2003では、なんと巻頭の概要Overviewから、日本の医療の元に生まれた女性の幸いを最高の例として言祝いでいます。

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 WHOのレポートが指摘するように、利潤追求を至上命題とする民間医療保険会社が主導権を握ると、公的医療は崩壊します。公的医療がお粗末であればあるほど民間医療保険はよく売れますので、販売会社は公的医療保険制度に様々な圧力をかけるわけです。医療関係者の間で話題になっている映画「ジョンQ」は、民間医療保険の問題点をよく分かる形で、しかも感動的に表現しております。機会があれば、ぜひ御覧ください。

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 さて、日本の医療制度が素晴らしいと申し上げても、実際には医療機関で待たされたり、入院しても総室に入れられて不愉快な思いをしたりした方々は、「日本の医療が素晴らしいなどとは思えない。治療をする現場の環境が自宅以下ではおかしい。」とお感じになるかもしれません。残念ながら、日本の医療機関での治療環境が多くのご自宅と比べて必ずしもよくないのは事実です。それはなぜでしょう。実は欧米と比べてベッドあたりの医師や看護師の人数が著しく少ないので手が回らないのです。要は診療にコストをかけられない医療保険制度なのです。

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 それは、誰しも一度は必ずお世話になる出産にかかる費用を日米比較すると一目瞭然です。日本では全国どこでもおよそ30万円から40万円程度の費用で、約1週間の入院ですね。一日あたり、約5万円で母児ともに、検査から治療まで保障され、3度の食事まで上げ膳下げ膳で運ばれ、医師と看護師のケアが24時間ついております。シティホテルの室料やサービスと比べてこれで高いでしょうか?一方、米国では一泊二日か二泊三日での出産が普通ですが、まともな医療機関では約150万円から200万円の支払いが相場です。一日当たり、控えめに見積もっても50万円になります。米国では、医師も看護師も日本の数倍の頻度と滞在時間でケアのためにベッドサイドに訪れてくれます。説明の時間も長いことも確かです。無痛分娩は言うに及ばず、本当に患者の希望をほとんど何でも聞いてくれます。それに引き替え、日本での医療機関では患者様に我慢を強いることの多いこと、、、 実は医師も我慢の限界に達しています。一人一人の患者様に充分な時間をかけ診療ができる米国の医師が羨ましい、と思う日本の医師は私だけではありません。多くの現場の医師が皆様方の想像を絶する緊張下での長時間労働に耐えています。このままでは過労死だ、と感じている医師やご家族が大半でしょう。

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 さて、この両国を比較して、皆さんは、どうお感じになりますか?日本の医療へのご不満は、行きすぎたコスト抑制のために医療スタッフの手間と時間をかけられない現状をご理解いただけたでしょうか。詳しくは記しませんが、日米の出産時の品質の指標である周産期死亡率などは、日本の方が米国の倍近く良いデータであることをお伝えしておきたいと思います。

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 日本は何よりの証拠に、世界一の長寿と健康余命を確保しています。我が国の医療は国際的に誇れる希有な制度を確立しているのです。一方、日本の企業に君臨してきた銀行は、国際的な格付け機構によると、ほとんどが最低のEランク(外部の支援を必要とする状況との認定)、やDランクです。他の民間企業も国際標準である連結企業会計や時価会計制度への対応に四苦八苦していらっしゃるようで、決して国際競争力が高いという国際評価はありません。このような状況のなかで、我が国の医療のみは、WHOから素晴らしい高評価を得ているのです。

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 世界的にみて異常とも言われる日本の医療費の過度な抑制政策は、しばしば日本政府の予算が無いからだ、と貧乏日本を根拠に説明されます。しかし、これは諸外国と比べるととんでもない大嘘です。日本政府は高齢者もすべて含めた医療のために毎年およそ10兆円を出していますが、公共事業には50兆円とも70兆円ともいわれる巨額を毎年毎年支出しています。医療費のGDP比は先進国中最低ですが、公共事業のGDP比はダントツに先進国中最高です。なんと、先進7カ国G7の日本以外の全ての国の公共事業費の合計よりも、日本一国での公共事業費の方が多いのです。

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 公共事業に関した職種の方々も大勢いらっしゃることでしょうから、申し上げにくいのですが、政府予算の中でこのように異常な高い割合を占めている公共事業を1割削減するだけで、今、議論されている医療や年金の問題など雲散霧消するほどの巨額です。既に経済学者の研究から、医療福祉への投資は公共事業への投資と同等かそれ以上の経済波及効果と雇用創出効果があることも指摘されています。

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 株式会社による医療機関経営についても一言申し上げておきたいと思います。「株式会社による経営の方が患者サービスが良くなる。だから株式会社に医療機関を経営させろ。」と主張する方々やそれに賛同する方々がいらっしゃいますが、それは将来大変困ったことになる間違いです。そう主張される方が、自らの経営する球団の利益のために、実に不透明で中世のギルドのような行動に走ったことは記憶に新しいところです。行動と言説の乖離は詐欺師のすることではないでしょうか。要注意です。

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 株式会社組織での医療機関経営の方が本当に良い、と信じるならば、既存の医療機関のトップに経営形態を株式会社に変更せよと指示すれば済む話です。そうではなく、「医師免許を持たない経営者」が病院を運営したいとおっしゃっているのが、いわゆる「株式会社参入」問題です。ここで「株式会社参入」という言葉に騙されてはなりません、その主張の本質は「医師免許無しで病院経営をしたい」という「医師免許の問題」なのです。日本の医療は巷間の誤解とは異なり、民間組織主体の完全な自由競争で、医学部への入学の段階から全く何の制約もありません。すでに大学を卒業している方なら、学士入学制度を利用して、わずか四年間で医師免許を取得できます。にもかかわらず、医師免許を取るのが大変だから無免許で医療機関を経営させろ、というのでは医療の質やサービス以前の問題であり、何をか言わんや、ではないでしょうか。

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 混合診療の問題もよく考えると全く単純な話しです。大方の方々が望む医療は公的保険医療に速やかに組み込む制度と運用をすれば、全ての国民が等しく安心できます。先進医療の導入についても医学的にコンセンサスの取れているものに限れば、国民医療費を脅かすような金額にはなりません。むしろ、国民医療費を脅かす原因は他にいくつもあることを皆様方はよくご存じと思います。混合診療の問題は既に10年以上も前から二木立先生が随所で実に明瞭に指摘しておられるところでもあります。

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 健康な人々は、公平な社会において健全な経済活動の中で存分に競争をすればよいでしょう。しかし、病気になった方々や、もともとハンディキャップのある方々に対しては、安心して治療や介護を受けることに専念できる社会の仕組みを作ることこそが、国家や政府の役割ではないでしょうか。そしてその財源や国家体力は充分に日本にあるのです。これからの日本の進むべき道はどちらでしょう。

 

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