地域完結医療


2008/11/30本田整形外科クリニック本田忠


地域完結型医療ってなに
 臨床研修医制度導入などによる、医師不足に端を発した 医療崩壊が叫ばれています。二次医療圏を単位として地域医療をシステムと考えて、乏しい医療資源を地域においてより有効に活用できるようなシステム作りが必要です。過度の病院の集約は地域住民にとっては、特に雪国においては直ちに利便性の低下となり、医療難民が発生するでしょう。

地域医療連携(病診連携)ってなに
 かかりつけ医と地域の病院がスムースな連携を取りながら、地域の皆様に安心できる医療を提供することをめざす。地域の開業医と病院が医療情報を共有することで、的確な医療を提供し、無駄な待ち時間や検査の繰り返しなどを省くシステム。

かかりつけ医ってなに
 自分の健康状態の相談ができ日頃から信頼できる医師。ふだんはかかりつけ医に診察をする。専門的な検査や治療が必要となれば、その病気にあった病院や専門医を紹介する。

八戸の夜間救急体制はどうなっているの
 八戸の夜間救急体制は他地区に比べて充実しています。実績では夜間急病センター等を受診している患者さんは、病院を訪れる患者さんよりも多い。夜間診療体制のより充実が望まれますが、無床開業医の増加、高齢化、診療科の偏在もあり「時間外診療」の負担増や訴訟対策も大変です。


地域連携パスってなに
 急性期から慢性期に至る医療機関の連携パス(医療連携クリティカルパス)を地域まで延長し、保健・福祉のサービスを連動させるもの。二次保健医療圏を対象として実施する。青森県でも平成17年に「地域連携パス標準化モデル」事業が行われ、平成18年度診療報酬改定においてパスに対する保険点数が新設されました。大腿骨頚部骨折と脳卒中ですが、順次拡大される予定です。しかし機能の異なる施設同士の情報共有を目的とする連携パス作成は容易ではありません。

地域における連携機能のより一層の充実が必要
 現在全国で様々な試みが多様な疾患で行われています。地域のニーズに併せて順次導入していく必要があると思われます。


多様な疾患:高知県における疾患別病診連携システム
なっとくパス9疾患:呼吸障害、心臓病、糖尿病、脳血管障害、前立腺、肝臓、小児喘息、女性尿失禁、閉経後卵巣機能不全症。

産科関連
 周産期医療体制(重症な合併症等危険な状態にある妊産婦や低出生体重児等に適切な医療を提供する医療体制)の整備
1)産科オープンシステム (静岡県)
ア)出産までの健康診査は、産科の診療所で実施
イ)出産については、県西部浜松医療センターで対応
ウ)出産後の健康診断は、紹介元の診療所で実施
エ)帝王切開等のハイリスクの出産は、出産後も県西部浜松医療センターで対応
オ)病院の医師と診療所医師が、患者への直接指導や面談による治療方針の検討などにより、退院指導、術後管理等に関して共同指導を実施
2)産婦人科のセンター化 (北海道中空知地区)
砂川市立病院と滝川市立病院、市立美唄病院の診療科単位の広域連携、特定の医療機関に医師を集中し、他の医療機関に外来医師を派遣するシステム。

3)地域小児科センター構想 (日本小児科学会)
豊能広域こども急病センター:箕面市立病院隣接別棟、終夜型。4市2町による設置

4)がん診療
 八戸でも地域がん診療連携拠点病院が指定されました。その指定要件ではかかりつけ医との連携もうたわれています。全県のネットワークの構築も必要です。
1)緩和医療の提供体制
ア)チームによる緩和医療の提供体制を整備
イ)地域において、かかりつけ医を中心とした緩和医療の提供体制を整備すること。
ウ)かかりつけ医とともに地域がん診療連携拠点病院内外で共同診療を行い、早い段階から緩和医療の導入に努めること。
エ)かかりつけ医の協力・連携を得て、退院後の緩和医療計画を含めた退院計画を立てること。
2)地域がん診療連携拠点病院内に相談支援センター等)を設置すること。
3)別途定める標準登録様式に基づく院内がん登録を実施すること。

5)介護や介護予防
 主治医がケアカンファレンスに必ず出席し、高齢者の退院時から在宅まで継続的にかかわる「尾道方式」 が有名ですが、みやぎ在宅ホスピスケアネットワークなども構築されています。


地域における病診連携のシステム化、IT化が必要です
 医療資源の有効活用、専門医不足の支援として、ITなども導入していく必要があります。他地域では電子カルテを中核とした医療連携ネットワークとしては、鶴岡地区医師会のNet4U(ネットフォーユー)が有名です。千葉県立東金病院を中心とした、わかしお医療ネットワークや、画像を中心とした釧路脳神経外科病院により道東画像ネットワークなども構築されています。より目的を絞った形では、国立病院機構横浜医療センターでは病診連携パス(胃・大腸がん術後)が構築されています。
 幸いIT関連も当地は先進地域です。インフラは整っています。関係各位の合意さえあれば、ネット上に様々なIT利用のシステム構築は、そう費用をかけずに構築出来ます。なんなりと御相談いただければ幸いです。


参考文献
全国で行われている医療連携の事例について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/s1024-8c.html
その他(地域連携クリティカルパス等)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0920-8c06.pdf
特集地域連携
http://di.mt-pharma.co.jp/libraries/detail.cgi?mode=1&mainid=35&id=1