長期処方について

本田整形外科クリニック 本田忠 2011/1/21


 現在、麻薬及び向精神薬、1年以内の新薬など特定の薬剤を除き、薬剤投与期間の日数制限がありません。そのため、医師の判断で長期処方は可能です。
日数制限のある薬
1)発売されてから1年以内の薬は14日分が限度。
2)向精神薬、麻薬などの薬は薬剤によって14日、30日、90日分が限度。
なおこれらの薬も年始年末や長期旅行などでは、この限りではありません。
長期処方の現状
 調査によれば、高脂血症や高血圧症は、処方期間が「8 週以上」の医師は約8 割とかなり長期化していました。診療所で、その理由として、もっとも多かったのは「患者さんからの要望」が、6 割でした。
長期処方のメリット
 忙しい方や、冬季などでは、長期処方は、病院に何度も行かなくてよい。また診察の回数が減り、その分の診察代や薬局で調剤費用が不要になるというメリットがあります。ただ、一回の処方量が増えますので、一回分としては高くなります。
長期処方のデメリット
 長期処方により「患者の容態の変化に気づくのが遅れたこと」がある医師が2 割近くありました。また「患者さんが次の診察に来なかったこと」がある医師は約5 割でした。容態が変化して重篤化したケースも報告されています。ご高齢の方では、長期処方中に容態が変化しても、遠慮して次回診療時まで我慢してしまうという報告もありました。
なるべく定期的に受診する
 高血圧などで症状が安定していれば、長期処方は確かに嬉しいことでしょう。しかし、医学的な観点からは、あまりにも長く病院や薬局を訪れないと、病状の変化や副作用の発見が遅くなったり、見逃すことがどうしても多くなります。ご自身の体のことですから、長期処方に関しては医師に十分相談してください。安定していても定期的にはきちんと受診するようにしてください。また、いつも使っている薬だからと安心せず、もし何か変だなと思うことがあったら、すぐに医師や薬剤師に相談してください。



厚生労働省「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向の概要〜平成21年度版〜」


日医総研長期処方についてのアンケート調査報告
http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=441
厚生労働省「平成16 年度社会保険診療報酬等の改定概要」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/02/tp0219-1/dl/5.pdf