医療と
TPP
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2011年12月3日本田整形外科クリニック 本田忠 |
平成の開国 米国は米国企業の輸出拡大(5年間で倍増)と米国人の雇用創出を目的として、周辺国の「新たな市場の開放」を求めています。主要新興国(中・印・ブラジ ル)との二国間交渉やパナマ・コロンビア・韓国とのFTA、WTOドーハラウンドと並んで、TPPを推進しています。対する日本は2011年1月菅首相 (当時)「平成の開国」として「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)参加を表明しました。 日本の問題 米国は、日本の貿易体制が「制限的」であるとして、「非関税障壁」と「農産物の関税」を問題にしています。その結果、主に「農業」団体から反対が起こ り、対照的に、輸出拡大や投資の活発化への期待から、「財界・経済界」は賛成の立場です。TPP参加の経済効果については、省庁により、ばらつきがあり、 議論を混乱させる一因となっています。 医療の分野 医療の分野では、主に1)保険、2)医薬品・医療機器、3)医療IT、4)医療サービスの4分野について、非関税障壁の撤廃あるいは縮小が求められてい ます。懸念内容としては「混合診療の全面解禁」や「医療への株式会社の参入」あるいは米国製薬メーカーのための、「薬価算定ルール」等への干渉です。実際 米韓FTAでは、医薬品、医療機器の償還価格にまで踏み込んだ内容になっています。 交渉にあたってはこれらの問題を注意してみていく必要があります。 日本医師会2011年11月2日 1.政府は、TPP において、将来にわたって日本の公的医療保険制度を除外することを明言すること。 2.政府は、TPP 交渉参加いかんにかかわらず、医療の安全・安心を守るための政策、たとえば、混合診療の全面解禁を行なわないこと、医療に株式会社を参入させないことなど を個別、具体的に国民に約束すること。 国民医療を守る青森県民協議会2011年11月5日 医療に市場原理主義を導入させるTPPへの参加を進める動きがある。こうした政策に断固反対するとともに、だれもが平等に医療を受けられる国民皆保険制 度をこれからも堅持していく 非関税障壁とは 「非関税障壁」とは、関税以外の、貿易の障害となる、あらゆる規制やルールのこと。WTO 用語集によれば、「関税によらずに、輸出入を制限するために政府が用いる規制で、輸出入の禁止、輸入数量割当、技術的障害などのことを指す。」とされてい る。が、輸出入に不平等な結果をもたらす、ある国特有の社会制度や取引慣行その他にまで拡大解釈されることもある。 |
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日米経済調和対話における2011 年米国政府の対日要望より一部抜粋 |
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