医療とTPPその2



本田整形外科クリニック 本田忠 2011年12月7日



 TPPにおいて具体的交渉でどの程度踏み込んでくるか不明ですが、アメリカの目標は5年で輸出倍増ですから、かなり広範な範囲に及 ぶと思われます。非関税障壁の撤廃が求められます。医療分野では薬にしても制度にしても、現在のアメリカの医療と同等になれば、これはかなり困ることには なります。
アメリカの医療の現状
 テレビなどを見ていますと、「自由競争による医療の効率化」をいう 方がおられます。たとえば医師が反対しているのは、「守旧派」で「自由競争について いけないから」だろうというご意見です。医療の特徴として、自由競争すれば医療という財は際限なく高騰します。その結果はアメリカの医療そ のものです。映画シッコやジョンQで活写されています。無保険者が5000万人程度います。ドナルドキーン氏の例で行けば、一日救急で点滴を受けただけで 一日4000ドル(約30万円)。民間保険会社の保険に入っていないと支払いもできない。医療費が払えない保険破産も多く起こっています。
小泉内閣時代のオリックスの宮内氏の混合診療解禁をめぐる発言
「金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも、高度医療を受けたければ、家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう。」
週刊誌の記事;ドナルド・キーン氏の例
 「ドナルド・キーン氏が、日本永住を表明したが、決断の背景には理由があった。日本の病院に入院、医師の診察と治療はとても信用できるものでした。これ はアメリカでは経験したことのない、ありえないことです。ニューヨークでは酷い経験をした。病院に救急車で運ばれた。何人も医者が回ってきますが、前の医 者が何をしたかを知らないので、何回も同じことを聞かれる。2時間ほど検査をした後は、8時間も放っておかれた。治療費を聞くとこれで一日4000ドル (約30万円)。まるで地獄のようでした。説明できないほど嫌な思いをしました。」
 小池氏「しかし、日本にはアメリカ型の効率性重視の医療制度を取り入れようとする動きがあるようです。」
私は日本での体験を信じています。そしてそれが私だけの例外ではないと信じていま す。ニューヨークでの体験は、日本ではありえないと思います。



参考;ドナルドキーン氏のインタビュー;週刊文春
http://blog.livedoor.jp/tttt1967/archives/4905756.html
http://blog.goo.ne.jp/moominwalk/e/233062b413dfd89f05319448bd213dcc
医療と TPP2011年12月3日本田整形外科クリニック 本田忠
http://www.orth.or.jp/Isikai/2008/now/tpp2011.html