総合医について

本田整形外科クリニック 本田忠 2011/1/5


総合医とは
 専門を問わないで、幅広く行う医師のこと。家庭医ともいいます。厚生労働省は、開業医を「総合医」として、初期診療と病院で行う専門医療との役割分担を明確にするとしています。
総合医のシステム
最も成功しているとされるデンマークの例です。非常に不自由な制度です。
1)フリーアクセス制限:自由に医師を選べない
 怪我なら整形外科にかかりたくてもまずはホームドクターを受診する。
2)待ち時間が長い(週単位)
 規定では、治療方針の振り分けまでにかかる日数が2週間以内。そこから治療体制に入るまでの待ち時間は1ヶ月以内です。
3)家庭医にはレントゲンもない
 デンマーク在住の高田さんの経験では、右足首を剥離骨折し、ギプスをしたのは骨折から2週間後。6週間後に、X線も新たにとらず、ギプスをはずした。初期治療が遅れたために、合併症も起こした。日本であれば、整形外科開業医を受診してその日のうちに診断がつきギプスも4−5週です。
現在の日本の医療の特徴
1)皆保険制度
 どなたでも保険証さえあれば医療保険を使えます。混合診療解禁の欠点は米国映画「シッコ」をみればよくわかります。
2)フリーアクセス
 国内どこでも自由に受診できる。
3)自由標榜制、自由開業制
 日本の開業医はそれぞれ臓器別専門医の勤務医として訓練を受けてから開業しています。柔軟な専門医制度です。フリーアクセスを確保していれば質の悪い所は自然淘汰されます。
総合医は過度の機能分化による非効率なシステム
 総合医制度では、施設により、医師の偏在が起こります。総合医は診療所に、専門医は病院にしかいません。キャリアの相互移動もありません。現在の日本の開業制度は、専門医が開業して、キャリアの移動があり、専門外は診診連携や、病診連携で、いわば地域のチーム医療で対処している制度です。総合医は医師が少ない僻地では意味があると思いますが、通常は疾患によって、患者さんが自由にそれぞれの専門医師を選べる現在のシステムの方がよいようです。


平らな国デンマーク/子育ての現場から高田ケラー有子
第86回 「医療体制の一長一短」 配信日:2010-02-11
http://www.jmm.co.jp/dynamic/report/report2_1938.html
第89回 「初めての小児科体験」
http://www.jmm.co.jp/dynamic/report/report2_2044.html
総合医批判
http://www.orth.or.jp/seisaku/syutyou/sougoui.html