専門医について

本田整形外科クリニック本田忠 2011/1/5


医師不足が喧伝されています
 日本の医師数は平成20年で286,699人です。平成18年より8,772人(3.2%)増加しています。勤務医が174,266人、開業医が97,631人です。全体では内科が62,845人(23.1%)と最も多く、次いで整形外科19,273人(7.1%)、外科の順です。病院では内科が23,613人(13.5%)と最も多く、次いで臨床研修医、外科の順です。一方、診療所では内科が39,232人(40.2%)が最も多く、次いで眼科、整形外科7,297人(7.5%)の順です。平均年齢は近年、病院では上昇傾向が続いている一方で、診療所では横ばい傾向となっています。
専門医制度
 「日本専門医制評価・認定機構」で「一定の認定基準」を作り、各学会で認定しています。学会は「基本的領域診療科」の学会群と、より細かい「Subspecialty」の学会群にわかれています。基本領域学会は、18学会です。基本領域内の専門医は重複は認められません。5年ごとに更新が必要です。サブスペシャルティ領域の学会については二つ以上の専門医取得可能です。また原則として専門医制度は「医療保険の診療報酬点数とは関連しない」とされています。また一定の要件を満たせば専門医広告が可能です。
専門医制度の目標
 「専門医の質の向上と一定の診療レベルの保持のため、認定の更新制度を行い生涯教育態勢を行うこと」とされています。
専門医不足が深刻化します
 基本領域18学会の専門医数は、平成22年8月現在で126,976人です。医師の44%にあたります。「質の向上」の名の元に数を減らそうとする動きが有ります。たとえば整形外科専門医は現在17,924人です。病院勤務整形外科医は11,976人です。認定要件を年間の手術件数を100件とすれば整形外科医は全国で4000人程度になります。病院数は8,739 施設ですから、地域から整形外科医専門医は払底します。厚労省の平成22年の必要医師数調査でも整形外科の求人数は多い。また整形外科医は外科とはいえ外科的治療と保存的治療が2本の柱ですので、手術的治療のみで専門性を評価するべきでもないと思われます。
専門医制度は名医を保障する制度ではない
 専門医制度の本来の目的は「生涯教育制度の整備」により「整形外科医全体の質の向上」を図るものであり、単に数を絞り「名医を保障する」ものではないと思われます。ひたすら制度を厳しくして少数の名医を保障することは制度としては本末転倒かと思われます。たった数百名の名医作りはマスコミに委せておけば良いでしょう。制度で行うべき事ではないと思われます。



※印は,専門医広告が可能な学会


社団法人日本専門医制評価・認定機構
http://www.japan-senmon-i.jp/
平成20年(2008)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/33-20.html
2010年9月22日 平成21年医療施設(動態)調査・病院報告の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/09/index.html