病院の再編計画

本田整形外科クリニック 本田忠2010/12/21


 青森県には6つの二次医療圏があります。自治体病院は合計で26あります。図1参照
自治体病院の抱える問題
 県内の多くの病院が経営の悪化や医師不足に悩んでいます。平成17年度決算で23病院が赤字となっており、累積赤字は559億円にのぼります。医療法で定められた医師数を満たしている病院も少数です。
医療の合理化計画
 県では、二次医療圏単位で医療を完結させる体制を目指して、平成11年に「青森県自治体病院機能再編成指針」を策定しました。各医療圏で中核病院に機能を集約し、周辺の医療機関は、療養病床や診療所へ転換する計画です。
各圏域の機能再編成計画
 八戸圏域では市町村の反対から計画は頓挫しました。現在策定中なのは、西北五地域、下北地域、津軽地域です。
西北五医療圏
 西北五医療圏は、人口は15.5万人で、5の自治体病院があります。県内でも急速に過疎化・高齢化が進んでいる地域で、圏域の5つの自治体病院が赤字です。二次医療圏域外に流出する患者の割合が(自地依存率64.8%)他の圏域と比べて高い。平成17年6月に62人だった自治体病院の常勤医師は、平成20年5月で51人と減りました。内科、外科、整形外科、産婦人科が減少しています。
具体的な再編計画(図2)
 病院は、国保五所川原市立西北中央病院、鰺ヶ沢町立中央病院、つがる市国保病院つがる市立成人病センター、国保鶴田町立中央病院、公立医金木病院組合公立金木病院の5つです。再編計画では、平成25年度末までに中核病院1施設(新築。西北は廃止)、サテライト病院2施設(金木、鯵ヶ沢)、サテライト診療所2施設(成人病センター、鶴田)とするというダイナミックなものです。
問題点
 施設を集約化することで「合理化」にはなります。一方、再編成により、一般病院数及び療養病床数が減少します。地域でベットがなくなれば容易に入院はできません。財政負担も大きい。紆余曲折が予想されます。人口減少社会でどのように地域医療を支えていけば良いのか大変難しい問題です。


図1


図2(青森県地域医療再生計画(案)より)


参考文献
自治体病院機能再編成について
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/kinosaihen.html
青森県地域医療再生計画(案)(西北五地域保健医療圏)
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/chiiki-iryo-saisei.html