無保険者の増大 |
本田整形外科クリニック 本田忠2009/1/15 |
国民皆保険制度 全国民は公的保険に入ることとされています。しかし健康保険証カードの裏面で、「特別の事情がないのに保険料を滞納した場合、この証を返還していただくことがあります。」とかかれています。 低医療費政策 国は財源がないことを理由に、患者さんの負担を徐々に増やしています。その結果一部負担金や、保険料もアップされています。なお、一部負担金が増加しても、国などの保険者の負担割合が減るだけで、それが直接医療機関の収入になるわけではありません。 資格証明書(被保険者資格証明書)について 政府は、1997年に滞納者への「資格証明書」交付を市町村の義務としました。資格証明書は災害など法令に定める特別な事情がないにもかかわらず、保険料を滞納して1 年以上が経過したとき、通常の保険証の返還と引き換えに交付されるものです。滞納理由に関して弁明の機会は与えられてはいます。医療機関を受診した際は、一旦医療費の全額(10 割)を支払った後、市役所に申請し、自己負担の割合に応じて給付を受けることになります。 特別の事情 1)世帯主がその財産につき災害を受け、又は盗難にかかったこと 2)世帯主又は生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと 3)世帯主がその事業を廃止し、又は休止したこと 4)世帯主がその事業につき著しい損失を受けたこと 5)これら4つに類する事由があったこと により、保険税を納付することができないと認められる場合、公費負担医療の対象者等も同様に、対象から除外されます。 皆保険制度の崩壊 経済不況とあいまり、全国で保険料を滞納する方が増えてきています。平成20年9月15日の厚労省の調査では、全国では保険料の延納世帯は380万世帯で全世帯の18.6%です。そのうち、資格証明書発行は33万世帯です。青森県では、滞納世帯数は37372世帯。資格証明書はそのうち532世帯。八戸市では、8679世帯、資格証明書は494世帯に発行されています。しかも徐々に増加してきています。実質皆保険制度は崩壊しつつあります。 対処方法 緊急的な対応として、短期被保険者証の発行が通知されました。資格証明書の交付世帯であっても、18歳未満の子どもについては、申し出があれば有効期限1年の短期の保険証を交付することになりました。この取り扱いにより、世帯主の保険料滞納の状況にかかわらず、子どもの医療機関への受診機会が保障されます。詳しくは市の収納課にお問い合わせください。 抜本対策としては、医療の財源をしっかり確保して、国民の皆さんの保険料や、一部負担金を減らすことが第一です。皆保険制度は社会のセーフティネットです。混合診療の導入や、無保険者が増加すれば、お金持ちしか医療を受けることが出来なくなります。 ※ 短期被保険者証 通常定める有効期限(1年間) より、有効期限が短い保険証のこと。医療機関に支払う自己負担金など、通常の保険証と変わらない。 |
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健康保険証(国民健康保険被保険者証)の裏面 |
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参考文献 「資格証明書の発行に関する調査」の結果等について http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=132995 八戸市:国保税の納付でお困りのときは http://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/13,1982,48,125,html |
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