校医の複数化について

本田整形外科クリニック 本田忠2012/6/8


 近年、生徒や児童のかかる疾病は大きく変わりました。ひと昔前であれば、トラホームや、感染症が主でした。現在はむしろ不登校や、精神疾患、スポーツ外傷などです。今年から武道の必修化も始まります。学校医も疾病構造やニーズが変わった以上、従来の小児科、内科、耳鼻科、眼科などの学校医に加えて、心療内科や精神科、産科、整形外科などの各専門科の参加も望まれます。校医を現在のように単独ではなくて、複数化して、学校で起こる様々な問題に対して、異る専門家がグループで対応する必要性が上がってきた。日本医師会ではこのようなシステムを「学校専門相談医」構想として提案しています。
日本医師会の学校保健委員会の答申
1)医師側のチーム体制
 現在の学校保健においては、内科・小児科、眼科、耳鼻科以外の専門科領域の問題点も大きくなってきている。しかしながら、皮膚科、精神科、整形外科、産婦人科領域の専門医の医師が学校医を委嘱されている場合はまだまだ多くはない。専門分野における異なる観点を調整しながら、チームを組んで現場での健康教育を円滑に実施するための努力をする必要がある。
2.子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業の発展型
 今後は、学校単位の学校保健委員会のみならず、地域における、いわば「拡大学校保健委員会」や「地域学校保健委員会」とでも言うようなものが必要となるであろう。例を挙げてみると、鳥取県では、学校保健委員会の構成メンバーを地域にまで拡大し、その地域での様々な問題への対応を図り、講師派遣などにも地域のグループとして対応することを目指している。
予算の壁があります
 限られた予算の中で校医の複数化に対し柔軟な対応が望まれます。


学校保健委員会答申 平成20年3月
http://www.med.or.jp/japanese/members/iinkai/meibo/rep/gakko19.pdf
学校保健委員会答申 平成22年3月
http://www.med.or.jp/japanese/members/iinkai/meibo/rep/gakko21.pdf
◇国民生活安全対策委員会答申
『国民の健康で安全な生活』の確保に向け、医師会として何をすべきか、何ができるか。〜国民が生活する上で生命・健康に脅威となる重大な事象の検証及びその対策〜
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120314_5.pdf