混合診療について



本田整形外科クリニック 本田忠2011年12月5日



自由診療は禁止されていません
 日本においては、効果のわからない治療でも保険併用さえしなければ自由に受けられます。単価も自由です。
混合診療は禁止
 混合診療とは、病気の一連の治療で保険診療と自由診療を同時に行うことです。併用は禁止です。しかし一連の治療でなければ可能です。たとえば、癌の治療 中に、その癌に関する保険外診療はできません。しかし、別な病気、たとえば自由診療である交通事故の治療は同時にできます。
どういうことが起こるのか
 癌で、保険未収載の最新治療を希望した場合、保険診療と併用はできません。自由診療を受けた時点から、すべて保険診療部分を含めて自由診療となります。 あるいは別な施設で自由診療で行うことになります。これを不合理として、裁判で争われましたが、残念ながら最高裁で敗訴となりました。
なぜこのような制約があるのでしょうか
 理由は、財政的なものと、質の担保があります。財政的な観点から は、保険診療と自由診療が同時併用されれば、効果のわからない治療に 保険財源(80%が自由診療ならその残り)が使われます。一方世の中には、効果のわからない治療は有望なものから、気休め程度のものまで、多種多様あり、 際限がありません。併用可とすれば、到底保険財源が持ちません。乏し い保険財源を守るためのやむを得ない制度と思われます。
 また、質の担保の観点からは、最新の治療になればなるほど、実験的 な要素が多くなります。実際は全く効果がないかもしれません。そのような治療は元来自由診療であるべきで、効果の確定した治療が、保険適応になるべきで す。
 外国の新薬の保険収載までのタイムラグが問題になっています。これ は今回のTPPで議題に上るでしょうが、患者さんのためには当然新薬は、早期認可されるべきでしょうが、現在薬害訴訟が多くなっています。副作用などを考 えれば拙速は避けるべきと思われます。



高度先進医療
 現在、保険適応になっていない、しかし有望な高度先進医療は質の担保のために届け出制にして施設を限って行えるように整備されました。また薬剤もできるだけ早くということで薬価収載前でも公知申請と同時に使用できるようになりました。





参考文献
先進医療の概要について
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=169081