医師不足について



本田整形外科クリニック本田忠 2011年12月6日



医師数はどれくらいが妥当か
  医師不足が特に地方で深刻です。絶対数も足りない。地域偏在もある。ではどれくらい増えればよいのか。医師の人口は二峰性で70代後半の山が消えつつあり ます。また現在人口減少社会で、同時に高齢化も進行します。医療需要は高齢化社会対応で当座は増しますが、いずれ、需要は減少することになります。
 目安はラフな「医師数OECD比較」と厚労省の「必要求人数調査」があります。現在は求人数調査で不足分を24000人として1.2倍に補正する形で 行っています。すでに1300人/年増加しています。医学部13校分です。しかし焼け石に水で1.5倍程度にすべきであるとの声も根強くあります。逆に医 師数の急増による質の低下や過剰を心配する意見。定員増で対処するより医学部を新設するべきだという意見もあります。百家争鳴状態です。
勤務時間や女性医師数増を考慮するなら1.5−1.6倍程度にする
 当直にも配慮するなら、江口らの勤務時間を考慮した労働条件が厳しい婦人科で7693/4981=1.5倍程度となります。これは労働時間は待機もあるので11時間計算しています。加えて医師の偏在、女性医師増もありますから、これよりは若干膨らむ可能性もあります。
こまめに補正していく
 補正前の卒業者数を年間8000人として1,2倍で9600人/年。10年で16000人増。これが今の文科省案です。一方5割増しした英国に倣えば 1.5倍で12000人/年。10年で4万人増です。医師数増は10年間で2-4万人の間です。いずれにしろ、大幅増を危惧する意見も根強いわけで、いっ たん作ったら廃校できない医学部新設よりは「定員増」(教員数や設備の無理はある)等でできるだけ小回りが利くようにして、毎回需要調整しながら行ってい く形なんでしょうか。








参考
平成24年度医学部入学定員の増員計画について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/10/1312420.htm
日医総研江口らの試算
http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=437
全国で必要となる産婦人科医数は7,693人であった。現在の4,981人に比べて2,712人の不足であった。
医師不足および偏在解消に向けての日本医師会の見解
−厚生労働省「必要医師数実態調査」等を踏まえてー
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101006_11.pdf
二次医療圏別に見た医師不足と医師偏在(2008年版)
http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=425
医学部教育・初期臨床研修制度についての日本医師会の考え
―日医総研の聞き取り調査を基に―)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110112_2.pdf
医師不足・偏在の解消策について〜グランドデザインの見直し案
http://dl.med.or.jp/dl-med/nichikara/yousei02_jma.pdf
医師不足解消のための教育規制改革
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110803_1.pdf