医師不足その2



本田整形外科クリニック本田忠 2011年12月7日



我が国の医療制度
 長年の低医療費政策や、TPP導入、医療の合理化、混合診療解禁論、一部負担金増や受診時定額負担などで、皆保険制度もかなりあやしくなってきていますが、患者さん側からみた長所として,次の3点があげられます。
1)国民の誰もが,公平に医療サービスを受けることができること。
2)一定の質が確保された医療を,比較的低い患者負担により受けることができること。
3)自由に医療機関を選択できること。
 1)及び2)については国民皆保険体制の確立によります。3)については,患者さんは医療機関を自由に選ぶことができるフリーアクセスのためです。
医療の現状
1)受療率から見れば量的ニーズは満たしている
 日本はフリーアクセスにより、外来患者数が多いわけですが、受療率は1970年以降横ばいまたは減少傾向にあり一応医療の需要が満たされているといえます。また現在は不況でさらに外来患者数が減ってきています。一部負担金は諸外国より高額です。
2)医師一人当たりの患者数は多い
 他国より外来受診患者が多い分だけ医師一人当たりの患者数が多い。単価が低い、いわゆる薄利多売です。
3)3時間待って3分診療は改善はされてきている
 大病院の方が待ち時間が長い傾向にあります。予約制の導入等により,実際の待ち時間や診察時間をみると,最も多いのは「30分未満の待ち時間」で「3分から10分診療」となっています。
4)医療従事者の長時間労働が問題
  医師不足により、勤務医の過重労働が問題になっています。勤務医の待遇改善が必要。なお勤務医の平均年齢は上がってきています。僻地でも医師は不足してい ます。医師数増が求められますが、開業医は都市部では過剰で過当競争気味です。医師数は微調整しながら増やしていかないと医療機関の倒産が増えます。



社会保障改革で目指す将来像(案)第5回厚生労働省社会保障改革推進本部資料




参考
第5回厚生労働省社会保障改革推進本部資料2:社会保障改革で目指す将来像(案)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001x6y3-att/2r9852000001x72u.pdf
年間外来患者数の国際比較:本田宏
http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/genki/182/genki182-02.html
医師が1年間で診ている患者数を比べると、スウェーデンでは900人、アメリカで2200人。日本だけが断トツで8400人です(表3)。 「OECD平 均は2400人ですから、日本の医者は3・5倍働いている。だから“3時間待ち3分診療”“ちゃんと説明もできない”ということになるのです」< br> 平成22年度我が国の保健統計
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hoken/national/22.html
外来患者数は減り続けている
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2011/zenbun/html/s1-2-3-01.html
韓国、アメリカ、ドイツ及びスウェーデンの4か国と比較すると、医療サービスの利用状況は「ほぼ毎日」から「月に1回くらい」までの割合の合計が61.6%と高く、他の国と比較して医療サービスの利用頻度が最も高く なっている。図1−2−3−9 医療サービスの利用状況(国際比較)
2-1 医療提供体制の整備
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz199901/b0034.html
医師不足について本田整形外科クリニック本田忠 2011年12月6日
http://www.orth.or.jp/Isikai/2008/now/fusoku2011.html