英国の医療の失敗

本田整形外科クリニック 本田忠
2008/12/16


医療のコンビニ受診批判
 医療機関に、ほんのちょっとした風邪や、かすり傷でも行く人が多い。コンビニのように病院でも開業医でも気楽に利用している。だから病院がそれだけ忙しくなってしまう。無駄な医療費も増える。医療施設は機能分化してフリーアクセス制限して、病院への受診を抑制するべきだという考え方です。

医療機関を訪れるのに何らかの受診抑制をかける:フリーアクセス制限する。
a)軽医療で保険免責制の導入
 一定額以下の医療費については自費診療にする。例えば、医療費の自己負担分が1000円以下の場合には自費にする。軽医療では医者にかかりづらくするためです。しかし、これは病気が重症化してしまう危険があります。重症化してしまえば結局、多額の医療費がかかってしまうので医療費の削減にはなりません。
b)総合医(家庭医)
 家庭医一人一人にそれぞれ住民を登録制にするために「人頭制」といいます。患者さんは特定の1人の総合医との相談の上でなければ、原則、他医療機関受診はできません。現在のように、自由に医療機関にかかることは困難になります。日本でも一部ですが後期高齢者管理料で同じ考え方が入りました。

英国の失敗
 英国では総合医(家庭医GP)制度が導入されています。低医療費政策とあいまり、専門医受診できないため患者さんは国外で医療を受け出した。
1)医療機関を受診するのにいちいち予約が必要。イギリスは結果として待ち時間の増大となった。待機リストが増えた。
2)一人で開業する形態はほとんどない;現在の開業医の絶滅
 家庭医の大部分がグループ診療を行っている。
3)零細で家族経営であるところも少なくありません。
4)患者さんは自由に通院先のGPを選択できますが、一旦決めたら、引き続きそこに通うことになります。患者さんは、専門医による治療を阻まれると思うことが多い。
5)GPと専門医とのコミュニケーションが大変悪い

フリーアクセスは堅持すべき
1)患者さんはご自分の信ずる名医を自分で自由に選ぶ権利がある。受診制限など基本的にはないほうが良い。
2)医療機関の機能分化は一見ごもっともですが、患者さん自身では、本当に風邪かあるいは肺炎かは判断できません。
3)GPは、患者さんかかえこみで、診療しますので、いわゆる診診連携はほとんどなくなる
4)患者さんの反発
 医療機関の受診に当たっては様々な制限がかかる。このようなシステムが、自由に受診できる、今の医療に慣れている患者さんに受け入れられるとは到底思えません。また一人で何でもみる医師など、僻地以外に需要が有るとも思えません。皆さんが求めるのは名医であり、何でもみる医師ではないでしょう。