腰椎麻酔について

 

髄液

 比重 1003−1009  浸透圧 290-295mOsm/l


体位

   男女差あり、骨盤の高さに注意すこし傾ける。L3/4部分を屈曲させて最下部にする方法もある


使用薬剤

1)低比重液 1003以下
 2)等比重液 
 3)高比重液 1010以上
   比重は溶解液で変わる。高比重液は麻痺の範囲を調節し安い
   特に下肢手術の場合は、片側だけ利かせることが出来るので高比重がよい
   安全性 高比重≧低比重≧等比重
    高比重が無難である。

小児脊椎麻酔

 6歳以下は意志疎通に問題あり、行なわない。6歳以上で行なう。
 量:成人量よりも多めに使用する。
  1%テトカイン 0.2mg/kg
  0.5%ジブカイン 0.2mg/kg
 自律神経反射が強い。麻痺高があがりやすい。血圧が下がり安い

高齢者

 低血圧になりずらい  頭側へ広がりやすい(髄液がすくない)  股関節手術で 0.5%テトカインで2.0ml   


○麻酔効果判定時間

 5分で1/2は完了。30分は変動しうる  5分間は、まめに判定する。高位を変えることが出来る。  仰臥位にした場合でも、30分はテーブルは、高さを変えない。


片側脊椎麻酔

   高比重液で行なうほうがやりやすい    局麻剤は若干少なく、速度はゆっくり注入する。    側臥位は5分以上、長ければ長いほどよい。10分でよい    患側のみが麻酔されるため、循環動態の変化は軽度である。


各論

 最近はペルカミンは使用しなく、なってきている。  テトカインが主流になりつつある。

1)脊麻用キシロカイン

2)マーカイン
  作用時間は4ー5時間。本来はこれが主流だが、   日本では脊椎用は市販されていない。日本では防腐剤が入り不可

3)ペルカミン(dibucaine)
 特徴:低血圧の頻度は少ない
    運動神経遮断程度も弱い
    効果発現時間 3分
    持続時間 2−3時間
    神経毒性あり、追加投与は危険。注意していれる
   欧米ではほとんど使用していない。できればテトカインがよい
  使用量
   広がりが悪いためやや多めに用いる
   1) [(身長ー100)*0.2±2]mg*3/20ml
        +2開腹術、 −2低位麻酔
        片側のみならこれに0.7倍する
   2)0.04*体重CC 

4)テトカイン
  ペルカミンより作用時間は短いが効果発現が早く、効果の程度もはっきりする   溶解液により、比重を替えることが出来る。
 テトカイン20mg、1アンプルを
       溶解液    量
  1)高比重液 5ー10%ぶどう糖 3ml
  2)等比重液 生理食塩水OR髄液 3ml
  3)低比重液 蒸留水 3ml
 1)高比重の場合
効果発現 2分以内
  固定時間 5ー6分(4ー10分)
  持続時間 2時間−2.5時間
 作成法:10%グルコース+テトカイン20mg 3ml
 使用量:[(身長ー100)*0.2±2]mg*3/20ml
      +2開腹術、 −2低位麻酔
      片側のみならこれに0.7倍する
  例
   身長    150cm       180cm
   下肢手術 8mg(1.2ml)   14mg(2.1ml)
 比較的長時間なら多めの量をゆっくり注入
    短時間なら少な目に 

2)低比重及び等比重
  いずれも高比重ほど麻酔域は広がらない(用量依存的ではない)。
 低位脊髄麻酔には最適。
 手技に慣れないときは、穿刺針を抜去せず、麻酔域を確認しながら、
 溶液を追加する。
 注入量は、高比重のときよりも、すこし多め

5)局麻薬+血管収縮薬の投与
 目的 効果時間延長
    局麻剤全身性中毒作用の抑制
 問題 脊髄虚血
    血管収縮剤の全身作用:ペルカミンs+アドレナリンで高血圧
    賛否両論あり、どうしても使いたいときは、硬膜外を行なう方が無難
  薬剤
   アドレナリン(β2):1/10万
   ネオシネジン(アルフア)1−5mg
  禁忌 甲状腺機能亢進症、糖尿病、高血圧、高齢者
   実際 ボスミン加腰椎麻酔(1万倍希釈)
  テトカイン 20mg
  ボスミン 1mg(1ml)
  10%グルコース
 希釈
   テトカイン20mg+10%グルコース 3.6cc
   ボスミン         0.4mg(0.4cc)
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    0.5%テトカイン         4cc
  作用発現時間 2−5分(延長する)
   固定時間  4ー10分(10分)
   持続時間  2−3時間(12ー60%延長)
   用量    1.2−3cc 

麻酔効果が得られないとき
 再度穿刺する
 追加量
  まったく無効なら、初回投与量
  ネオペルカミンsは、特に追加投与量は少な目に、
  頻回にチエックする
  麻酔剤の吸着が完了する追加投与後30分まで、判定を怠らない

全脊麻(呼吸停止)
  1)医師を多く呼ぶ
  2)酸素投与、必要なら挿管
  3)昇圧剤投与 ドパミン エフエドリン

事故 
  十分注意する

                 参考
1)脊椎麻酔  監修横山和子 HBJ出版局 1991
2)整形外科麻酔の臨床 小坂義弘 南江堂 1991

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