切断術について

適応

1)下肢壊死
 急性血管閉塞:血管外科的処置が優先
 慢性血管閉塞:側副血行が形成されるので、徐々に出現。
        やはり血管外科的処置を優先。
 糖尿病性壊疸:タイプが2つある。予後が違うので注意
       保存的治療が優先。感染のコントロールをしてから行なう
 上記で血行再建手術の適応のないとき、あるいは失敗したとき
2)悪性腫瘍:出来るだけ温存する.
3)外傷
 判断に迷うときは、最小限のデブリードマンにとどめ、組織の壊死が
判明する数日後に行なう
4)感染
   ガス壊疸の場合、高圧酸素を優先。

切断時期の決定

A)壊疽のDEMARCATIONが、はっきりするまで、まつ
 DEMARCATION(壊疸と周囲の境界)あれば進行しない、なければ
進行する
 皮膚の色が光沢を帯びていれば、そこでの切断は避ける。切断レ
ベル診断に重要
 特に急性閉塞の場合、早すぎる切断は、側副血行の形成で助かる
部分まで不必要に切る恐れあり、逆に進行した場合は、更に高位に
 なる恐れあり、
 理想的な切断時期は、局所組織の生存性が確認される、最小5ー7
 日待つのが望ましい。あくまで切断は、最終手段であることを銘記
 する。
 まず、血管外科、あるいは放射線科での血行再建の可能性を追求する
B)中毒症状=CRUSH SYNDROME
 壊疽による急性の中毒症(意識障害、乏尿)、敗血症(発熱)おこ
 せば緊急手術
それ以外は、待機しても可。
できるだけ全身状態の改善を図ってから行なう。
CRUSH SYNDOME→MOF

  原因:外傷性ショック+壊死組織の存在+敗血症
  症状:腎不全、肺水腫、線溶亢進
     壊死→腎毒:ミオグロビン→腎不全
   ただしミオグロビンのみでは急性腎不全は起こらない
    ショック状態で腎血流の減少がないといけない
   切断するような症例は、脱水もあり、脱水に最も注意.
   診断基準あり

CPK、GPT

 筋壊死で遊離する。壊死筋のマーカーとして利用できる。
 どの程度になれば、切断に移るかまでは不明
 筋活動や注射でも変動する。数値は当てにならない。
参考図参照。
 例:

    発症日     0日
    入院       1日
    血管撮影   1日
          放射線科で局所血栓溶解剤動注するも効果なく
    股離断     6日   大腿上端でDEMARCATION+出来上がった.

                 1日  2日   6日  8日  9日  13日
                 発症             切断
   GOT     144 183  176 59  46  30
   GPT      61  91   145 64  49  24
   CPK     3330     4260    4130    300    157    43 
   γ-GTP      228             247    226   120    120 
   BUN     23   40  49  31  17  10
   CREATININ 0.9 1.0 1.1 0.5 0.5  0.5


切断高位決定
検査
1)動脈造影:高位決定ならず
       切断創の治癒率との相関なし
2)PLETHSMOGRAPHY、RADIOACTIVE TRACER、脈拍有無、THERMOGRAPHY
  ならない
3)超音波ドップラー
     血流も分かる.阻血があれば筋エコーが増強する
4)臨床所見、局所の皮膚の色をみて、別表を参考しながら
 最終的には、手術時の皮膚よりの出血、軟部組織の活性度で決める

麻酔
 できれば全麻もしくは硬膜外がよい。腰麻は避ける。

手技
 1)止血帯はいずれも出来るだけ用いない。エスマルヒは絶対用いない
 2)皮下組織はわけない
 3)筋形成術にする
 4)ドッグイヤーは切らない

文献
1)切断原因別にみた切断手技、別冊整形外科4、義肢装具
2)筋阻血後の酵素活性の変動、整形外科MOOK2整形外科的神経筋疾患
3)MOF 救急医学14,1729,1990
4)MOF 整形外科 38,10,1557,1987
5)足関節・足の切断 臨整外 26(8)937,1991

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